(経済関連ニュース)
・7月中国の貿易黒字は244億㌦、輸出は前年比+34.2%、輸入は26.9%。
・1〜7月の貿易収支は1,368億㌦の黒字、輸出は前年同期比+28,6%、輸入は前年同期比+19.5%。
・6月インドの鉱工業生産 前年比+9.8%(前月改定+10.9%)、市場予想+11.0%。
・7月米輸入物価指数 前月比+1.5%、除くエネルギーは前月比+0.2%(前月改定+0.9%(速報比▲0.1%))、市場予想+1.0%。
・Q207伊GDP速報 前期比+0.1%(Q107+0.3%)、市場予想+0.4%。
(非鉄金属関連ニュース)
・Freeport インドネシアGrasbergでの最大生産量を現状の300KMtから200〜250KMtに減少させると発表。環境への配慮から。
・Grupo Mexicoはストライキ中の労働者2,200名の解雇の容認を政府に打診。対象はCananea銅山、Taxco,San Martin亜鉛山。
・1〜7月の中国の銅と銅製品の輸入は前年比+49%の1.72百万トン、7月の輸入は6月から3%弱減少し、206,830Mtに(但し前年比+28%)。
・7月の中国の銅スクラップの輸入は前月比▲17%の395,505Mtに。1〜7月の輸入は前年比+18%の3百万トンに。
・1〜7月の中国のアルミの輸出は前年比▲57%の314,639Mtに。7月は30,938Mt。
・1〜7月の中国のアルミナの輸入は前年比▲22%の3.1百万トンに。7月のアルミナの輸入は440,000Mtに。
(エネルギー関連ニュース)
・ConocoPhillips Carson製油所(139KBD、カリフォルニア、P5)、でフレア発生。
・Coffeyville Kansas製油所、上手く行って9月中旬に再稼動の見込み。
・Husky Lima製油所(165KBD、オハイオ、P2)、7月19日の火災で稼動停止となっていたが、現在フル操業に。
・9月のBrentの輸出量は14%増加の240KBDとなる見込み(前月209.613KBD)
・IEA月報
7月の石油供給は85.3MBD(前月比+1.1MBD)、ショートタームのメンテナンスからの復帰で。
2007年、2008年のNon-OPEC供給は各々50MBD、51MBD。
7月のOPEC供給は30.5MBD(前月比+385KBD)、イラクとナイジェリアの稼動停止であった油田の再開の影響で。実効スペアキャパは3.0MBD未満。
2007年の石油需要は86MBD(前年比+1.8%)、2008年は88.2MBD(+2.5%)。日本の重油や直焚原油の使用増加や、湾岸諸国の使用量増加が、Non−OECDアジアとFSUの消費量減少を相殺。
Q207のOECD在庫は67MB(前期比+0.73MB)、但し、5年平均には満たない。FSCは6月末時点で54.0日(前月比▲0.1日、前年比▲0.4日)
6月の製油所の稼動は73,3MBD、7月は1.3MBD増加(メンテナンスの終了等の影響で)。8月は75,1MBD(Non-OECD諸国のメンテナンス(主に中国とFSU)で)。
(商品市況概況)
「下落」
昨日の商品価格は軒並み下落した。サブプライムローンを引き金とする信用収縮の動きが続いている中、手仕舞い売りが継続したため。但しNY時間に入ってFRBが追加的な資金供給を実施した事から流動性不安が低下、軒並み引けに掛けて買い戻しが入る展開となった。今のところ金や債券といった安全資産へのいわゆる「質への逃避」が起きており、リスク資産からの資金撤退の動きは継続中である。また円キャリートレードの巻き戻しの動きも発生している事から当面の間、相場はさえない展開が続く事になろう。恐らく日銀はECBやFRBと歩調をあわせ、利上げを見送るものと見ている。
CFTCのNon-Commercialポジションは上記を明確に表しており、ロングポジションの売り閉じの動きが活性化する一方、金のロングポジションは大きく拡大している。また、先週のパフォーマンスがもっとも良かった商品は鉛、上海A、錫、最も悪かったのがTocomガソリンであった。セクター別では、ソフトが最もパフォーマンスが良く、次いで貴金属、新興国株の順で、最も悪かったのがエネルギーであった(特にTocomの下げが大きい。恐らく株安を受けた手仕舞い売りの動き)。
(非鉄金属)
週末の銅価格は下落した。LME在庫の減少、上海在庫の減少はあったものの株安を背景とする信用収縮の動きが止まらず、だらだらと水準を切り下げる展開であったが、米FRBが再び大量の資金供給を行ったことで若干安定を取り戻し、引けに掛けて買い戻しが優勢となった。LME在庫は▲950Mt減少、(FSCは2.3日)、(キャンセルワラント率は4.7%)。売買高は10,223枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブの形状は略変わっていない。C-3は142㌦バックとバック幅を拡大した。 今後についての見通しに大きな変更はなく、ファンダメンタルの強さを背景に堅調な推移が続くと見ているが、株価動向に振らされる展開になると考えている。各国中央銀行は矢継ぎ早に資金供給を行うなどの対策を行っているが、今のところサブプライムローンに端を発する市場混乱は収束していないためだ。よって暫くはワイドなレンジでのもみ合いが続く事になろう。売買材料を整理すると以下の通りである。1つ目は、主要消費国中国の需要が高水準なGDPや固定資産投資、鉱工業生産を背景として需要サイドが堅調に推移する見込みである事、2つ目は生産国のストライキ懸念が以前としてあること、3つ目はLME在庫水準の低さ・キャンセルワラント率の高止まりである。このように供給サイドに関する問題は根本的に解決していない。但し足元は下値を探る動きのほうが優勢になると考えている。理由の1つ目は繰り返しになるが、信用収縮の動きが加速し低流動性市場における投機筋の手仕舞い売りが継続すると見られることである。小職はサブプライムローンに端を発する信用収縮問題は当面収束しないと見ており、引き続き、株式動向には細心の注意を払う必要があると考えている。2つ目は短期的に中国国内の供給が需要を上回っている可能性があること(7月の輸入統計では精錬銅・銅製品の輸入量が再び前月から減少しているが、前年比では引き続きプラスが継続しており、経済成長に裏打ちされた長期的な需要の増加トレンドは維持しているものの、短期的には供給不足が解消されている可能性があることを示している)、3つ目は、中国当局が更なる利上げを示唆するコメントをしていることである。但し、利上げが実際に需要減少を促すまでには時間がかかると考えている。本日も方向感が出にくいが、低流動性資産からの資金撤退の動きは加速するとみられることからロングポジションの手仕舞い売りが続く事になろう。尚、9月オプションの建玉は8,000㌦コールが1,039枚、7,800㌦コールが970枚、7,700㌦プットが750枚、7600㌦プットが445枚、7,500㌦プットが930枚となっている。
週末の亜鉛価格は下落した。相場展開は銅と略同じである。上海在庫、LME在庫の減少は略材料視されず、相場は下値を探る動きとなったが、米FRBの大量資金供給を受けて米国株が大幅に下げ幅を縮小した事などから買い戻しが優勢となった。LME在庫は▲250Mt減少、FSCは2.0日(キャンセルワラント率は9.2%)。売買高は5,479枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下。C-3は54㌦バックとバック幅を縮小した。 今後についてはファンダメンタルは強いものの信用収縮の動きに歯止めが掛かっていない事から、総じてワイドなレンジでのもみ合いになると見ている。但し亜鉛は銅やアルミに比して直接投機筋の投資対象になりにくいため、短期的な株価の下落の影響は銅・アルミ比で大きくなく、株価低迷が長期化した場合の影響の方が大きい(実際に景気が低迷して実需が減少)非鉄金属であることは念頭においておくべきであろう。ファンダメンタルの売買材料を整理してみると、中期的には買い材料が多い。1つは中国のQ207のGDPが予想を上回る大きな伸びとなった事から引き続き中国国内の亜鉛需要は車の防蝕向けに旺盛であると見られること、2つ目はこの旺盛な需要を背景として中国政府が亜鉛輸出の増加に歯止めをかけるべくリベート撤廃に加え、6月1日から亜鉛の輸出関税の引き上げを実施したこと、3つ目は亜鉛の在庫水準が低く有事のバッファが少ないこと、である。しかしながら株価動向が不安定であるため、このマイナス材料がファンダメンタルの強材料を凌駕すると見られることから上値ではしっかりと売りが入らざるを得ない。尚、長期的には大半のメタルと同じく年後半に向けての下落を予想している(3,000㌦を切る水準までの下落の可能性は現時点では低いと考えている。下値の目途は3月21日にマークした3,119.75㌦)。まとめれば、短期的には下落、中期的には上昇、長期的には低下、ということであろう。目先の上値は一目均衡表の雲の下限、3,500㌦、下値の目途は3月21日にマークした3,119.75㌦を挙げておきたい。尚、価格の目途となりやすい9月オプションは3,500㌦コールが510枚、3,400㌦コールが600枚、3,500㌦プットが1,225枚、3,400㌦プットが1,030枚、3,000㌦プットが850枚となっており、下落への警戒感が強いようだ。
週末の鉛価格は下落した。LME在庫の減少はあったが、銅や亜鉛と同様、信用収縮のあおりを受けて下値を探る展開となった。但し株価の回復とともに値を切り上げ、先週指摘した30日移動平均線のサポートラインを維持して引けている。LME在庫は▲175Mt減少、(FSCは1.4日)在庫水準の低さやキャンセルワラント率の高さ(キャンセルワラント率は12.2%)を背景に、ファンダメンタルは非常に強い。売買高は3,909枚。イールドカーブは期先の下げ幅が大きかったが全ゾーン低下している。C-3は62㌦バックとバック幅を縮小した。 今後についてはファンダメンタルに大きな変化は無いことから基本しっかりの展開に変更はない。しかし、信用収縮問題が完全に解決しているわけではなく、むしろ拡大している感があるため暫くは下値を探る動きとなろう(但し鉛は、銅やアルミと比較すると流動性の観点から投機資金の運用対象にはなりにくいため、株価の与える影響は限定的であると考えているが、株価低迷が長期化した場合には実需の減少を通じて価格に下押し圧力を与えるため、注意である)。ファンダメンタルは、中国が鉛の輸出関税を引き上げたことに伴い、中国からの輸出が6月以降減少すると予想されること(6月統計では既に輸出減少が確認されている)、豪を初めとする大手生産者の生産障害になんら進展が見られないこと、自動車バッテリー向けに使用される中国での需要が引き続き旺盛であると考えられる事(6月までの中国の商用車・自家用車販売は引き続き堅調)、LME在庫水準が依然として低いこと(FSCはとうとう1.5日に)ことから、極めて強いと言ってよい。やはり価格は暫く高止まる可能性の方が高いといえる。但し、繰り返しになるが、株価が再び不安定になってきた事や中国の利上げ観測等(中国の利上げは中国国内実需のマイナス要因となり得る)のマイナス材料も徐々に出始めており、著しい高値を維持することが段々難しい環境になっている事も注意すべきであろう。但しカーバッテリー向けに使用される鉛は代替品が存在しないため、下げ幅は限定される事になるといってよかろう。本日も30日移動平均線を維持できるかどうかがポイントになると考えている。
週末のアルミ価格は下落した。材料は他コモディティと同様、サブプライムローンに端を発する信用収縮の動きに歯止めが掛からない中、在庫の減少等のプラス材料はあったものの水準を切り下げる動きとなった。しかしながら米株がFRBの資金供給を切っ掛けにして下げ幅を縮小した事からアルミにも買い戻しが入り、下げ幅を縮小する展開となった。LME在庫は▲1,400Mt減少、(FSCは8.3日)しているが、需給は他非鉄金属と比べてタイトとは言えない。(キャンセルワラント率は2.3%)。売買高は11,001枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに小幅低下。C-3は58㌦コンタンゴとコンタンゴ幅を縮小した。 今後については、アルミは銅と同様投機筋の投資対象となり易い非鉄金属であることから、株価動向に左右される展開が続く事になると考えている。但し、信用収縮の動きに歯止めが掛かっていないことから下押し圧力が強まることとなろう。また、ファンダメンタル的にも、比較的ベアな要素が多い。1つ目は最大消費国中国が投資抑制を目的として利上げを検討していることである。銅と並んでアルミは政策金利引き上げの影響を受け易い非鉄(インフラ整備の初期段階で使われる非鉄金属であるため)であることから、利上げは即効性はないが徐々に上値を重くする効果が予想されること、2つ目は中国国内の企業在庫水準が以前に比して増加している可能性が高く、LME在庫の水準もFSCベースでは他メタル比で低くないこと、3つ目は原材料であるアルミナ価格が欧州・中国で低下を始めたことが挙げられる。一方で買い材料は、1つ目は中国の固定資産投資や鉱工業生産等が引き続き堅調であること、2つ目はエネルギー価格が需要期を迎えて堅調に推移していること、が挙げられる(但し現時点において低流動性市場からの資金退避の動きが継続しているため、エネルギー価格は低下している)。このほかの売買材料としては、生産量回復後の価格支配力維持の観点から大手生産社の大型合併が始まっている事を挙げておきたい。期先で売りヘッジをしていない企業と、している企業が合併した場合、通常はヘッジをしない方針に変更されるケースが多いからだ。こうした合併の動きも期先での売りヘッジの動きを鈍化させ、イールドカーブをコンタンゴ化させる可能性がある(かつて原油市場で見られたように、高い価格水準で全ゾーンコンタンゴになる可能性はある)。
本日も株動向次第であるが、月次チャートを見るに今年6月にやや潮目が変わった可能性がある。一目均衡表の雲を下抜けしていることもあり明確なサポートラインもない中、昨年1月以来維持してきた2,500㌦ラインをトライする可能性は十分にあると見ている(個人的にはその水準まで下落したときのイールドカーブの形状がどのようになっているがが一番の関心事であるが)。価格の節目となりやすい9月オプションの状況は、2,900㌦コールが1,183枚、2,800㌦コールが2,497枚、2,750ドルコールが3,153枚、2,750㌦プットが976枚、2,700㌦プットが1,200枚、2,650㌦プットが4,450枚となっており、下落への警戒感が強い。
週末のニッケル価格は下落した。LME在庫が季節的な動きで増加したことや、世界的な過剰流動性の市場からの退場の動きを受けて、ニッケルも水準を切り下げる展開となったが、FRBの資金供給オペを受けて引けに掛けて下げ幅を縮小する動きとなった。LME在庫は+480Mt増加、(FSCは4.8日)、キャンセルワラント率は3.0%。売買高は1,555枚。イールドカーブは全ゾーン低下。C-3は285㌦コンタンゴとコンタンゴ幅を縮小した。 今後については、LME在庫の大幅な増加を受けたファンダメンタルの転換から暫くは下値を試す動きが継続すると見ている。また、過剰流動性の市場からの一時退場の動きが続くと見られること、中国当局の利上げ観測も売り材料になろう。ニッケル在庫は少ない、と考えていたがFSCも4日を回復しており危機的状態は脱したといってよい。一時期の相場の主役から転落した感がある。また、中国国内での銑鉄使用増加や、クロム系ステンレス(ニッケルを必要としないステンレス鋼)への移行といったマイナス材料もあり、下値を探り易い地合いになっていると考えるべきである。
小職は30,000㌦を挟んでのもみ合いを想定していたが、昨年11月15日にマークした28,650ドルも下回ってしまったことから、次の節目は昨年8月の25,350㌦となる。ここまで水準が下落するかどうかは、信用収縮関連の問題がどうなるか、LME在庫の状況に拠ると考える。信用収縮関連の問題の根本的な解決には時間を要すると見られるため、LME在庫動向がより重要であるといえるが、通常、LMEニッケル在庫は春先から12月末まで増加の傾向をたどりやすい。よって、25,000㌦までの下落はあってもおかしくない、という結論に達する。一方で、銑鉄への移行やクロム形ステンレスへの移行も、ニッケル価格が低下するまでの繋ぎの色彩も強く、ニッケル価格が低下すれば再びニッケルが消費される可能性は高いと考えていることから下値も限られ、中期的には価格は回復するものと見ておいたほうが良い、という見方を現時点で変更する必要性はないと考えている。
週末の錫価格は大幅に下落した。信用収縮の問題は対岸の火事的な感じであったが、遅ればせながら錫にも一旦手仕舞い売りの動きが出たようである。LME在庫は▲15Mt減少、(FSCは13.9日)、キャンセルワラント率は0.7%。売買高は609枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下。C-3は42㌦コンタンゴとコンタンゴ幅を縮小した。 今後については、錫はテクニカルに調整があったものの、インドネシア生産者からの輸出体制が完全に復帰しているわけではないこと(小規模生産者の生産回復にはまだ時間を要する見込み)、やインドネシア政府の金属関連商品の輸出関税強化の可能性から思惑的な買いを誘いやすく、再び上昇すると見ている。また、LME指定倉庫在庫の40〜50%を1人のプレイヤーが保有している事も指摘されており、思惑的な買いを誘い易い環境にあることも上げ要因となろう。但し、他非鉄金属と同様、米国株式の調整に伴うセンチメントの悪化、中国当局の連続利上げが実際に行われた場合の実需減速の可能性には注意しておきたい。また、期先の上昇が始まっている事も、市場が長期的な価格高止まりを容認したことを意味するため、今後の期先の動向には注意する必要があろう。
(エネルギー)
昨日のNY原油は下落した。価格動向は他の商品と略同じ、アジア〜欧州時間に掛けて売り込まれたが、NY時間に入ってFRBの追加的な資金供給が実施されたことから、流動性懸念が低下、株価が下げ幅を大幅に縮小した事から引けに掛けて買われ、下げ幅を縮小して引けた。これによりかろうじて30日移動平均線のサポートは維持した格好。イールドカーブは全ゾーン低下。Brentも同様の相場展開であったが、フロントマンスに関しては前日比プラスまで買い戻しが進んだ。その他のゾーンは前日比マイナスとなっている。イールドカーブは期近を除いて低下。
石油製品はまちまち。RBOBはNY時間に入って買い戻しが優勢となり、前日比プラスで引けたが、期近以外のゾーンは略前日と変わっていない。ファンダメンタルの強さは繰り返しコメントしている通りであり、株が安定すればやはり買われる、ということであろう。ヒーティングオイルは小幅低下。こちらは引き続き一目均衡表の雲の下限できっちり支えられている。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下。ICEガスオイルは期近は変わらず、その他のゾーンは低下した。
本日の原油相場も株価次第であるが、引き続き株の先行きの不透明感が払拭されたわけではないため、ワイドなレンジでもみ合うものと考えている。米国経済の先行不透明感が強まっている中、株価は調整色を強め、債券が物色されるといったリスクマネーのリスク資産からの退避の動きが活発化していることがここ数日の大幅調整の要因であるが、原油・石油製品をめぐるファンダメンタルは大きく変わっていないため積極的に下値は狙いにくい。先週の米統計では製油所稼働率が再び低下に転じたため、石油製品在庫の水準が依然として低いままである一方で、OPECは9月会合まで増産をする見込みではない事から引き続き原油・石油製品とも需給が逼迫することが予想されるためである。
ファンダメンタル的には、北海油田からの生産減少、OPECが増産について否定的な見解を示している事、ナイジェリアの情勢不安から供給は十分でないこと、石油製品在庫の水準は極めて低い事から需給は引き続きタイトである。ガソリン在庫水準はFSCベースでは依然として過去5年の最低水準を下回るレベルであり、十分な在庫があるとは決していえない。
イールドカーブが全ゾーンバックになった事から投機資金が投資し易い環境にあるものの、CFTCの統計に見られるように投機筋は概ねロングポジションを手仕舞い始めている。暫くは債券や金等の安全資産のほうが物色されやすい環境が続く事になるといえる。
WTIはCushing在庫の減少を受けて全ゾーンバックが復活しており、ようやくWTIが「原油の需給の状態を考える」上で有効な指標になってきたといえる。以前から提唱していたWTI/Brentのネガティブスプレッドの解消は、期近のみ解消される事となった。しかしながら北海油田からの生産減少と、著しいユーロ高の影響もあって完全なネガティブスプレッドの解消にはもう少し時間がかかると考えている。
短期的な在庫水準の指標となる米国のガソリンのサプライカバーは過去5年の最低水準を下回っている状態で、石油製品市場の需給はタイトな状況が続いているといえる。また、ここ暫く横這っていた原油のFSCは、昨日の稼働率の低下により再び過去5年の最高水準を上回った。今週の統計でのFSC改善は良い意味でのFSC改善ではない。あくまで稼働率低下に伴う悪い意味での改善である。OPECに増産の意向が今のところない以上、今後、稼働率が改善してもピークシーズン入りしている石油製品の需要を満たすだけの生産をしつつ在庫を積み増す事が難しいといえる。また、IEAの月報ではQ207の在庫水準が過去5年平均に満たない事が示されており、FSCの悪化も確認された。つまり最近高い価格に慣れてしまっているため忘れているが、ファンダメンタルの厳しい状況にはなんら変化がないのである。こうした在庫水準の低さは以前から指摘している通り有事へのバッファが少ないことを意味し、同時にアップサイドへのセンシティビティが高いことを意味する。ガソリンのFSCは21.0日しか存在せず、ドライブシーズンを耐えうる在庫は確保できていない(過去5年最低の水準は22.4日)。ガソリンの得率が限界的な水準(60%近辺)まで上昇していることを鑑みれば、ガソリンの供給は輸入に頼らざるを得ず、今後も非常にボラタイルな展開が予想される。
供給サイドに関しては、Non-OPECサプライの減少(北海地区からの産油量減少)の影響が効いてきており、安泰ではない。OPECは9月総会まで増産の意向はなく、夏場のピークシーズンは冷夏とならない限り、供給が不足する状況が続く事となろう(日本は異常気象のため、夏入りが遅れている)。尚、需要増加の顕著な中国であるが、中国の農村部の都市化に起因する石油需要の増加は当面継続する可能性が高く(世銀等の見通しでも2007年の中国のGDP成長見通しは9%台を維持)、大幅な税制の変更等がなければ急速に需要が減少することはないと見ている。
尚、価格の目途となりやすいWTIオプションの建玉状況は、80㌦コールが15,645枚、75㌦コールが23,857枚、70㌦コールが13,280枚、75㌦プットが14,576枚、72㌦プットが7,117枚、70㌦プットが13,025枚となっている
(ひとりごと)
この前コンビニで、ある本を衝動買いしてしまった。
「へんなほうりつ」
という本である。
内容は、世界各国の変わった法律を掲載しているだけなのだがこれが結構面白い。
例えば
「魚を銃撃してはいけない」
何だこりゃ?
と思いますわな。
どうもアメリカの法律らしく、動物愛護の一環なんだそうだ。
じゃあ、スポーツフィッシングとか、それこそフツーの釣りとかもダメなんじゃないの?
そのほかにもですね
「子牛を寂しがらせてはいけない」
なーんてのもありました。
これも動物愛護の一環で、スイスの法律らしいです。
でもこういう法律も結構まじめに議論された挙句制定されているんだろうから
あんまり笑っちゃいけないんだろうけど
この前の衆議院みたいに、強行採決とかあったんだろうか。
「子牛を寂しがらせてはいけない法、強行採決」
「与党の横暴」
「参議院でも子牛関連法案が議案に」
なんて感じで。
うーん。世界は結構平和なのかも知れないですよ。
この本に興味がある方はコチラ↓
http://www.fusosha.co.jp/book/2007/05402.php