北海道恐るべし-その1

(経済関連ニュース)
・米MBA住宅ローン申請件数 前週比+1.3%の622.9、購入指数+0.4%の425.8、借換え指数+2.3%の1,770.2。
・7月米中古住宅成約指数 前月比▲12.2%の89.9(前月+5%)、同時多発テロが発生した2001年9月以来の水準。
・8月豪雇用者数前月比+31.9千人、市場予想+17.5千人。
・米週間新規失業保険申請者数 前週比▲19千人の318千人(前週改定337千人(速報比+3千人))、市場予想330千人。
・英中銀 政策金利を5.75%に据え置き。
・ECB政策金利を全会一致で4%に据え置き。経済のファンダメンタルは強く、中期的にはインフレリスクがある。
 但し、将来的には「強い警戒」という表現を用いる可能性もある。
・8月米ISM非製造業景況指数 55.8(前月55.8)、市場予想54.5。
・Q207米労働生産性改定 前期比年率+2.6%(速報比+0.8%)、市場予想+2.4%。
・Q207米単位労働コスト 前期比年率+1.4%(速報比▲0.7%)

非鉄金属関連ニュース)
・Grupo Mexicoの労働組合長の変更の投票が成立。

(エネルギー関連ニュース)
・米在庫統計 原油▲3.9MB、ガソリン▲1.5MB、ディスティレート+2.3MB、稼働率+1.8%
・シリア上空をイスラエル空軍機が領空侵犯。
・米当局、ナイジェリアで西側諸国の権益に対するテロ攻撃の恐れがある、と発表。

(商品市況概況)
「上昇」
 昨日の商品価格はおおむね上昇して引けた。ECBの利上げ見送り、米国時間に発表された雇用コスト指数改定値が、速報から大きく下方修正されたことから、米国の利上げの可能性が経済統計面からも後退したため、株価が上昇、幅広く買い戻しが入った。但し、FRBが実際に利下げに踏み切るかどうかは来月のFOMCを見てみなければなんとも言えない。先月末のバ議長コメントも「最新の」統計のみ注目するとしており、今後発表される統計の内容、特に住宅関連統計の内容次第では再び株価が大幅に下落する可能性は否定できない。安直な利下げや大量な資金供給は、住宅バブル退治の妨げになってしまうためFRBは引き続き非常に難しい舵取りを要求されることとなろう。言いたいことは、サブプライムローン問題が完全に解決するまでにはまだまだ時間がかかる見込みで、経済統計や中小ファンドの破綻のタイミングで株価が下落し、商品価格も連れ安になる可能性は高い、ということだ。今のところ市場は年末までに25bpごと、3回の利下げを見込んでいるが、どこのタイミングで利下げが実施されるかが次の焦点になる。今の状態であれば、9月末の四半期決算を乗り越えられないファンドや金融機関が出てくる可能性も否定できず、10月に大きな相場の方向転換があるかもしれないため、要注意である。

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は上昇した。LME在庫の増加もあって弱推移していたが、ECBが利上げを見送ったことを受けた株安や、NY時間に発表された米統計でインフレ懸念が後退したことから「インフレ抑制のための利上げ」が回避される見込みであることからNY時間に入ってから買い戻しが優勢になったようである。但しチャート的には10日移動平均線レジスタンスラインで頭を抑えられた。LME在庫は+775Mt増加、(FSCは2.8日)、(キャンセルワラント率は2.6%)。売買高は6,861枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは全ゾーンパラレルに上昇。C-3は67?バックとバック幅を拡大した。 今後については引き続き主要金融市場動向に振らされる展開になると考えている。今のところサブプライムローン問題は下火となっているが、ファンドや金融機関の9月末の四半期決算から来年にかけて、この問題は市場の材料として継続することになると見られ、この材料は引き続き相場の下押し材料となる可能性が高い。その一方、ファンダメンタルの強さには変わりなく、非常に不安定な相場展開が続くことになろう。売買材料を整理すると以下の通りである。買い材料は、1つ目は、主要消費国中国の需要が高水準なGDPや固定資産投資、鉱工業生産を背景として需要サイドが堅調に推移していること、2つ目は生産国のストライキ懸念が継続していること、3つ目はLME在庫水準の低さである。FSCは2.8日分しかない。このように供給サイドに関する問題は根本的に解決していない。売り材料は、1つ目は繰り返しになるが、株価動向が不安定な事から投機筋も積極的に商品市場に手を出しにくい環境にあることである。また株価の低迷が長期化し、景気が減速した場合に「悪い形での」価格下落を引き起こす可能性があるため予断を許さない。2つ目は短期的に中国国内の供給が需要を上回っている可能性があること(7月の輸入統計では精錬銅・銅製品の輸入量が再び前月から減少しているが、前年比では引き続きプラスが継続しており、経済成長に裏打ちされた長期的な需要の増加トレンドは維持しているものの、短期的には供給不足が解消されている可能性があることを示している)、3つ目は、中国当局の利上げ姿勢が持続している事である。これは欧米各国の金融当局が利上げを見送っているのとは別の観点からの利上げであり、過剰な設備投資を抑制せんとしているものであるため実際に需要減少を促すまでには暫く時間を要しよう。尚、9月オプションの建玉は8,000?コールが1,239枚、7,800?コールが895枚、7,500?プットが720枚、7,400?プットが538枚となっている。

 昨日の亜鉛価格は上昇した。銅と同様、株式市場が比較的落ち着いていること、NY時間での統計の内容が悪くなかったことからアジア〜欧州時間にはLME在庫の増加もあって売られていたものの、NY時間に買い戻しが入り、前日比プラスで引けた。LME在庫は+400Mt増加、FSCは2.2日(キャンセルワラント率は8.6%)。売買高は5,426枚。イールドカーブの形状は略パラレルに全ゾーンが上昇。C-3は7?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。 今後については引き続き主要金融市場の動向に振らされ、不安定な相場展開になると考えている。金融当局の対応によって金融危機は回避されている状況であるが、やはり株価が調整すると敏感に反応しやすい環境であり、サブプライムローン問題の根が深いことが露呈している。しかしながらファンダメンタルの売買材料を整理してみると、中期的には買い材料が多い。1つは中国のQ207のGDPが予想を上回る大きな伸びとなった事から引き続き中国国内の亜鉛需要は車の防蝕向けに旺盛であると見られること、2つ目はこの旺盛な需要を背景として中国政府が亜鉛輸出の増加に歯止めをかけるべくリベート撤廃、亜鉛の輸出関税の引き上げを実施したこと、3つ目は亜鉛の在庫水準が低く有事のバッファが少ないこと、である。しかしながらサブプライムローン問題は実はこれからが本番であり、このマイナス材料が存在する以上は上値ではしっかりと売りが入らざるを得ない。また、中国当局が加熱する経済を冷やす目的で金利上げを行ったことも、中長期的な需要の減少を引き起こす可能性がある。尚、長期的には大半のメタルと同じく年後半に向けての下落を予想している。目先、2990?を下値の目処としてあげていたが、この水準を切ってしまったことから昨年6月に付けた2,810?が下値の目処となろう。まとめれば、短期的には下落、中期的には上昇、長期的には低下、ということである。但し、今回の株安が長期化した場合、実需の減速を伴って価格が下落し、価格低下が長期化する恐れもあるため要注意である。目先の上値は節目の3,200?、下値の目途は2,800?であるが、この水準を切った場合には明確なサポートラインが存在せず、2,500?程度までの下落はあってもおかしくないか。尚、価格の目途となりやすい9月オプションは3,500?コールが535枚、3,400?コールが600枚、3,500?プットが1,225枚、3,400?プットが1,030枚、3,000?プットが669枚となっており、依然として下落への警戒感が強い。

 昨日の鉛価格は下落した。LME在庫の減少や株価の上昇等もあったが、基本的に週末を控えて同じ水準でのもみ合いであった。LME在庫は▲75Mt減少、(FSCは1.1日)在庫水準の低さやキャンセルワラント率の高さ(キャンセルワラント率は13.2%)を背景に、ファンダメンタルは非常に強い。売買高は1,764枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下した。C-3は45?バックとバック幅を縮小した。 今後については引き続き主要金融市場の動向に振らされ、不安定な展開が継続すると考えている。鉛をめぐるファンダメンタルは非常に強いものの、今回のサブプライムローン問題は実はこれからが本番であり、この材料がある限りは上値ではそれなりに売りが入ると見られ、レンジワークになると予想する。但し、もし、株価が長期的に安定しない場合、実需の減少を通じて価格に下押し圧力がかかる可能性もあるため要注意ではあるが。ファンダメンタルは繰り返しになるが、非常に強い。中国が鉛の輸出関税を引き上げたことに伴い、中国からの輸出が7月以降も、豪を初めとする大手生産者の生産障害になんら進展が見られないことや、自動車バッテリー向けに使用される中国での需要が引き続き旺盛であると考えられる事(7月までの中国の商用車・自家用車販売は引き続き堅調)、LME在庫水準が依然として低いこと(FSCは1.1日に)、カーバッテリー向けに使用される鉛は代替品が存在しないことなど、極めて強い買い材料が目白押しである。よって金融市場の混乱、という波乱材料がなければ基本は上値を試し易い環境にあることは忘れてはならない。本日はECBの利上げ見送りなどのプラス材料もあり、この水準でもみ合いになるものと見ている。価格の節目となりやすい9月オプションの状況は、3,500?コールが300枚、3,000?コールが650枚、3,200?プットが518枚、3,000?プットが500枚となっており、上昇への警戒感が強い。

 昨日のアルミ価格は上昇した。LME在庫の減少もあって取引序盤は強含み推移していたが、鉛と同様NY時間に入ってから突如水準を切り下げた。特段新規材料がなかったことから週末を控えたポジション整理の売りに押されたものと考えられる。但し足元10日移動平均線をサポートラインとして比較的落ち着いた相場展開となっている。LME在庫は+4,925Mt増加、(FSCは8.6日)しているが、需給は他非鉄金属と比べてタイトではない。(キャンセルワラント率は3.7%)。売買高は10,984枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに上昇。C-3は52?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。 今後については、主要金融市場動向に一喜一憂の展開が予想され、引き続き不安定な状態が続く事になると見る。今のところ各国中央銀行は金融市場の安定に向け協調体制を敷いているが、サブプライムローンの本番はこれからであり、9月のファンドや金融機関の四半期決算がひとつの山になると考えられ、このタイミングでもう一波乱あるのではなかろうか。また、ファンダメンタル的にもベアな要素が多い。1つ目は最大消費国中国が投資抑制を目的として今後も利上げを実施する可能性があること、2つ目は中国国内の企業在庫水準が以前に比して増加している可能性が高く、LME在庫の水準もFSCベースでは低くないこと、3つ目は原材料であるアルミナ価格が低下を始めたことが挙げられる。一方で買い材料は、1つ目は中国の固定資産投資や鉱工業生産等が引き続き堅調であること、2つ目はエネルギー価格が需要期を迎えて堅調に推移していること、が挙げられる。このほかの売買材料としては、生産量回復後の価格支配力維持の観点から大手生産社の大型合併が始まっている事を挙げておきたい。期先で売りヘッジをしていない企業と、している企業が合併した場合、通常はヘッジをしない方針に変更されるケースが多いからだ。こうした合併の動きも期先での売りヘッジの動きを鈍化させ、イールドカーブコンタンゴ化させる可能性がある(かつて原油市場で見られたように、高い価格水準で全ゾーンコンタンゴになる可能性はある)。尚、7月の中国の輸出入統計では、前月比ベースではネット輸入が増加、前年比ベースでは減少しており、短期的にはブル、中長期的にはベアな内容であった。
 本日も株価次第であるが、2,400?の心理的節目と10日移動平均線レジスタンスライン内でのレンジワークになるのではなかろうか。下値の目途は昨年9月にマークした2,405?を挙げておきたい。価格の節目となりやすい9月オプションの状況は、2,750?コールが3,153枚、2,700?コールが725枚、2,700?プットが1,200枚、2,650?プットが4,450枚、2,450?プットが930枚となっており、依然として下落への警戒感が強い。"

 昨日のニッケル価格は上昇した。LME在庫がまとまったロットで増加したが、他メタルと同じくNY時間での統計の内容が悪くなかったことやECBの利上げ見送りで株が堅調に推移したことから、10日移動平均線を下回っていたこともあり安値拾いの買いが入った模様である。LME在庫は+462Mt増加、(FSCは6.5日)、キャンセルワラント率は3.9%。売買高は640枚。イールドカーブは期先を中心に上昇している。C-3は245?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。 今後については、サブプライムローン問題が解決しない中、不安定な状態が続くと考えている。但しニッケルは現在、どちらかといえばLME在庫の増加基調が継続していることに象徴されるファンダメンタルが売買材料とされている可能性が高く、上昇幅は限定されると考える(ニッケル在庫は少ない、と考えていたがFSCも5日を回復しており危機的状態は脱している)。また、中国国内での銑鉄使用増加や、クロム系ステンレス(ニッケルを必要としないステンレス鋼)への移行といったマイナス材料もあり、下値を探り易い地合いになっていると考えるべきである。ただし、一連のサブプライムローン問題発生の過程においてもニッケル価格は25,000?を大きく割り込むことがなく、徐々に期先の価格が上昇していることも鑑みれば25,000?を安値としてイールドカーブコンタンゴ化すると考えていたが、概ねそのような状態となってきた。期先が上昇した場合、期近は低下しにくくなる。引き続きイールドカーブの形状変化に注目する必要があろう。
 小職が目標に挙げていた昨年8月の25,350?を一旦割り込み、株価の安定とともにニッケル価格は短期的には下値を固めた感がある。サブプライムローンに端を発する信用収縮の問題が完全に解決したわけではないため予断を許さない状況が続くと見るが、当面は8月16日につけた24,800?が下値の目途となろう。中期的にはLME在庫が春先から12月末まで増加の傾向をたどりやすいことを考えると、年末に掛けて再び下値を探り易い地合いであると言えるが、銑鉄への移行やクロム形ステンレスへの移行も、ニッケル価格が低下するまでの繋ぎの色彩が強く、ニッケル価格が低下すれば再びニッケルが消費される可能性は高いと考えていることから下値も限られ、中〜長期的には価格は回復するものと見ておいたほうが良い。次の下値の目途は昨年7月にマークした21,800?を挙げておきたい。"

 昨日の錫価格は上昇した。LME在庫は増加したが、株価の上昇もあり、上昇した。インドネシアの輸出の回復に遅れが見られるなか、基本的にはブル地合いが継続している。LME在庫は+85Mt増加、(FSCは13.6日)、キャンセルワラント率は9.52%。売買高は288枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに上昇。C-3は100?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。 今後については、各国金融政策とそれを受けた株価動向を受けて不安定な相場展開が続くと考えている。錫は特に流動性が低い事から値を飛ばし易い。但し、インドネシア生産者からの輸出体制が完全に復帰しているわけではないこと(小規模生産者の生産回復にはまだ時間を要する見込み)、インドネシア政府の金属関連商品の輸出関税強化の可能性から基本的には需給はタイトになりやすく、何もなければ上値を試し易い地合いにあると考えておくべきである。しかし、他非鉄金属に比べるとまだFSCの水準も高く、サブプライムローン問題が解決しない中、特殊な材料が出ない限りは上値も限られると見る。

(エネルギー)
 昨日のNY原油はNY株の上昇、米在庫統計での在庫の予想以上の減少等を受け、ガソリン価格の下落はあったものの続伸となった。強いファンダメンタルに支えられて4日続伸となっている。イールドカーブは全ゾーンパラレルに上昇している。Brentも同様に上昇し、引け際売られる局面もあったが50日移動平均線のサポートラインを下値として総じてしっかりの推移であった。イールドカーブは全ゾーンパラレルに上昇。
 石油製品はまちまち。RBOBは在庫統計での在庫減少が予想よりも少なかったことや、ピークシーズンが終わりに近づきつつあることから下落となり、200?を挟む攻防となった。但し在庫水準自体が低いことになんら変わりはなく、先々の不安からイールドカーブは期近が下落、期先は上昇している。ヒーティングオイルは上昇。昨日の統計では在庫の増加が確認されたものの、絶対水準とFSCの低さから原油の上昇もあって4日続伸となった。イールドカーブは期近を中心に全ゾーン上昇し、ブルスティープニング。ICEガスオイルも上昇。イールドカーブは期近が上昇し、ブルスティープニングし、略全ゾーンバックの状態となっている。"

 本日の原油相場はもみ合うものと考えている。昨日のECBの政策金利据え置きの影響もあり、本日は株式市場に大きな波乱が見られないと予想される中、昨日発表された米在庫統計が比較的ブルな内容であったこと、週末を控えたポジション整理の売りも予想されることから強弱材料が混在するためである。
 足元、投機筋の資金(特に買いもちポジション)は商品市場に流入しにくい環境が続いていると考えているが、サブプライムローン問題が本格化し、株価が長期低迷ないしは9月末の四半期決算を乗り切れないファンドや金融機関の破綻があった場合には、需要の減少を伴って価格げ下落する可能性もあり、目先は9月末〜10月が相場の転換点になる可能性が高い。
 ファンダメンタル的には、北海油田からの生産減少、OPECは9月11日の総会で生産を据え置く可能性が高いこと、ナイジェリアの情勢不安が継続していることから供給は十分でないこと、石油製品在庫の水準は極めて低い事から需給は引き続きタイトである。ハリケーンの影響をどうにかこうにか受けずにすんでいるが、ガソリン在庫水準はFSCベースでは依然として過去5年の最低水準を下回るレベルであり、需要のピークを過ぎたとはいえ十分な在庫があるとは決していえない。また、イラン問題はまだ解決していておらず、下火になったが地政学的リスクは残存している。北朝鮮問題に進捗が見られた場合、重油等の人道支援が行われる可能性が高く、こちらは問題の進捗が域内需給の逼迫要因になり得ると考えている。
 CFTCの統計では、金・ソフトのロングポジションが増加する中、非鉄と原油はロングポジションが減少し始めている。その一方でショートポジションが増加しており、信用不安の若干の後退を受けて投機筋が新たにポジションを取り始めている可能性もある。RBOBはそろそろ需要が減少してくることもあって、ロング・ショートともポジションクローズが先行した。その一方でこれからの主役であるヒーティングオイルは在庫水準の低さももあって、ロングポジションが増加している。
 短期的な在庫水準の指標となる米国のガソリンのサプライカバーは過去5年の最低水準を下回っている状態で、石油製品市場の需給はタイトな状況が続いている。但し、ガソリンはピークシーズンを終えつつあるため、ハリケーンの直撃などの事故がなければ何とか無難にこのシーズンを乗り切ったと言ってもよいかもしれない。但し、今回の統計でも明らかになったように、石油製品の需要が堅調である一方、石油製品の供給体制は脆弱である。稼働率が上がらないことが石油製品在庫の水準が増加しない最大の要因であるが、原油価格の高騰を受けてクラックマージンが縮小していることから、製油所の稼働率を引き上げにくい環境にあることがその背景にある。今後はハリケーンが来ないという前提に立てばディスティレートが石油製品の主役となるが、FSCは31.4日しか存在しない(過去5年最低の水準は31.3日)。今のところ、ガソリンの得率を引き下げ、ディスティレートの得率を引き上げることは可能であるが、ガソリンのFSCがわずか19.8日しかないことから、得率の引き上げは困難であろう。よって必然的に米国は国内製品供給を海外からの輸入に頼らざるを得なくなるが、同様の理由で欧州でも製油所の稼働率を引き上げにくい状態にあるため、非常にボラタイルな展開になろう。
 このように石油製品供給は増やしたくとも増やしにくい環境が続いており、当面下値は限られることになろう。石油製品価格が下落するとすれば、サブプライムローン問題の拡散による消費の減少であるが、統計を見る限りでは今のところ明確な需要の減少は確認されていない。
 原油供給に関しては、Non-OPECサプライの減少(北海地区からの産油量減少)の影響が効いてきており、安泰ではない。OPECは9月11日にウィーンで開催される総会で増産の意向はなくおそらく生産は据え置きとなろう。稼働率が上がりにくい環境にあることから原油が足りない、ということはないと考えられるがひとたび稼働率が上昇した場合には現在の生産レベルでは原油供給は不十分であるといえる。尚、需要増加の顕著な中国であるが、中国の農村部の都市化に起因する石油需要の増加は当面継続する可能性が高く(世銀等の見通しでも2007年の中国のGDP成長見通しは9%台を維持)、大幅な税制の変更等がなければ急速に需要が減少することはないと見ている。
 尚、価格の目途となりやすいWTI10月オプションの建玉状況は、80?コールが25,440枚、75?コールが16,563枚、70?コールが10,787枚、76?プットが6,396枚、73?プットが7,057枚、70?プットが13,678枚となっている。

(ひとりごと)
北海道に遊びに行ってきた。
少し遅い夏休み、というよりもずっと休んでいるので休みというのもどうかと思うが。

北海道に行くのは5年ぐらい前に出張で行って以来である。
憧れの北の町。
カニ、ホタテ、ウニ、えび、食べまくりツアーである。
普段は倒さない羊も、申し訳ないが1頭ぐらいは倒す勢いで北海道入りした。

初日はカミさんの友人が北海道に住んでいるため、お昼を一緒に。
私的には、海産物を食べるつもりでいたのだが、イタリアンであった。
これは、和食の店だと長居できない、という理由での選択である。
さあ、北の大地の食べ物はどうであろうか。

はじめに出てきたのが、きたあかりの冷たいスープ。
いわゆるヴィシソワーズである。

これが美味い。

何がって、とにかく加えられている調味料が少ないにも関わらず、味が濃いんですよね。
やはり、野菜の美味さは格別である。
次のサラダも、サラダにワインビネガーがかけられたシンプルなものであったが、これもまたおいしかった。
と、ここの辺りで、東京から出てきている人間からすると、

「野菜では負けても、パスタでは負けまい」

という対抗心でいっぱいになるのだが、パスタも相当いい勝負であった。
食べたのは、タリアテッレ牛肉のラグーソース、である。
使っている牛肉も、おそらくこの辺りで取れた牛の切れ端の肉を使っているんでしょう。
甘みが濃厚ですっきりしているんですよね。
パスタ自体もおそらくこの辺りの小麦粉を使っているんでしょうか。
味が濃くて牛肉の味に負けないおいしさであった。

以上、デザートもついて1,500円也。
北海道、恐るべし。
(続く)