北海道恐るべし-その2

(経済関連ニュース)
・7月独輸出 前月比▲0.1%(前月改定+1.9%)、市場予想+1.0%。
・8月米雇用統計 非農業部門雇用者数 前月比▲4千人(前月改定+68千人(速報比▲24千人))、市場予想+100千人。
・8月米失業率 4.6%(前月+4.6%)、市場予想4.6%。
・8月米平均時給 前月比+5㌣(+0.3%)、前年比+3.9%。
・7月米卸売り在庫 前月比+0.2%(前月改定+0.3%(速報比▲0.2%))、市場予想+0.4%。
・7月米売上高 前月比+0.1%(前月+0.4%)、在庫比率 1.11ヶ月(3ヶ月連続)。
・米大豆週間輸出成約高134.6KMt(前週566.6KMt)、市場予想300〜700KMt。
・米とうもろこし週間輸出成約高260.3KMt(前週1,115.9KMt)、市場予想400〜1,300KMt。

非鉄金属関連ニュース)
・Southern Copper(世界第5位の金属生産者)の労働組合は11.5%の賃上げを要求しているが、Ilo銅山、Cuajone銅山、Toquepala鉱山のスト回避のため、9月12日に労使交渉を実施の見込み。
インドネシアの5つの錫精錬業者は、需要の増加を受けて生産エリアを倍に拡大する計画。
・PT Timahの輸出は2008年は30KMt(本年見込み25KMt)に増加する見込み。8月のPT Timahの輸出は5,644Mt。
・Jaya AbadiとDonna Kembara, Bangka Putraの8月の輸出は4,787Mt、Duta Putra, Bukit Timahは今年輸出をできておらず。
・1-7月のロシアのアルミ輸出は前年同期比+14%の2.28MMt。銅輸出は146.1KMt、Pニッケルは139.6KMt。
Queensland Alumina(世界最大のアルミナ精錬業者。3.95MMt/年)、火災発生。生産に影響はなし。

(エネルギー関連ニュース)
・Valero Corpus Christi(テキサス、P3)、コンプレッサーのメンテナンスを実施。
・Motiva Port Arthur製油所(285KBD、テキサス、P3)、硫化物とニトロ化合物、一酸化炭素の空気中への流出があったと発表。
ConocoPhillips Sweeny製油所(72KBD、テキサス、P3)、今週末に再稼動。
・Shell Dock Sud製油所(100KBD、ブエノスアイレス)、18.4百万リットルの水を政府の許可なく使用していたことで。
・Kinder Morgan ミズーリ州モンゴメリーで、燃料漏れが発生、ワイオミング州キャスパー〜イリノイ州ウッドリバー(145KBD、926マイル)の原油パイプラインを停止。

(商品市況概況)
「まちまち」
 週末の商品価格はまちまちであった。株価、特に新興国株との連関性の高い非鉄金属は、米雇用統計の悪化を受けた株価の調製を受けて軒並み下落した。一方、エネルギーも下落する局面はあったが、ファンダメンタルの強さを材料として買いが入り、前日比プラスで引けている。週末発表された米雇用統計は米国経済の先行きが極めて不透明であることを市場に認識させるに十分な内容であった。先月末のバ議長コメントでも「最新の統計に注目する」としており、今回の統計を受けて米国は完全に利下げを実施せざるを得なくなったといえる。但し、安直な利下げや大量な資金供給は、住宅バブル退治の妨げになってしまうためFRBは引き続き非常に難しい舵取りを要求されることとなろう。繰り返しになるが、サブプライムローン問題の解決にはまだ時間がかかる見込みで、経済統計や中小ファンドの破綻のタイミングで株価が下落し、商品価格も連れ安になる可能性は高いということである。今のところ市場は年末までに25bpごと、3回の利下げを見込んでいるが、どこのタイミングで利下げが実施されるかが次の焦点になる。今の状態であれば、9月末の四半期決算を乗り越えられないファンドや金融機関が出てくる可能性も否定できず、10月に大きな相場の方向転換があるかもしれないため、要注意である。

(非鉄金属)
 週末の銅価格は下落した。上海在庫の減少もあってアジア〜欧州時間にかけて強含み10日移動平均線をトライする展開となったが、NY時間総長に発表された米雇用統計が予想を大きく上回る悪化となったことから株価が暴落、こうしたセンチメントの転換を通じて水準を切り下げる展開となった。LME在庫は前日比変わらず。(FSCは2.8日)、(キャンセルワラント率は2.5%)。売買高は7,120枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下。C-3は66㌦バックとバック幅を縮小した。 今後については引き続き主要金融市場動向に振らされる展開になると考えている。週末の米雇用統計は、米国経済の先行きが不透明であることを示唆しており、サブプライムローン問題が根本的な解決を見ない中、ファンドや金融機関の四半期決算となる9月末から年末に波乱がある可能性が高く当面、米国の不安定な経済情勢が相場の下押し材料となると考えている。その一方、ファンダメンタルの強さには変わりなく、非常に不安定な相場展開が続くことになろう。売買材料を整理すると以下の通りである。買い材料は、1つ目は、主要消費国中国の需要が高水準なGDPや固定資産投資、鉱工業生産を背景として需要サイドが堅調に推移していること、2つ目は生産国のストライキ懸念が継続していること、3つ目はLME在庫水準の低さである。FSCは2.8日分しかない。このように供給サイドに関する問題は根本的に解決していない。売り材料は、1つ目は繰り返しになるが、株価動向が不安定な事から投機筋も積極的に商品市場に手を出しにくい環境にあることである。また株価の低迷が長期化し、景気が減速した場合に「悪い形での」価格下落を引き起こす可能性があるため予断を許さない。2つ目は短期的に中国国内の供給が需要を上回っている可能性があること(7月の輸入統計では精錬銅・銅製品の輸入量が再び前月から減少しているが、前年比では引き続きプラスが継続しており、経済成長に裏打ちされた長期的な需要の増加トレンドは維持しているものの、短期的には供給不足が解消されている可能性があることを示している)、3つ目は、中国当局の利上げ姿勢が持続している事である。これは欧米各国の金融当局が利上げを見送っているのとは別の観点からの利上げであり、過剰な設備投資を抑制せんとしているものであるため実際に需要減少を促すまでには暫く時間を要しよう。本日も株価次第であるが、引き続き下値を探り易い地合いであるといえ、7,000㌦ラインをトライすることとなろう。
 尚、価格の目処となり易い10月オプションの建玉は8,000㌦コールが435枚、7,800㌦コールが1,975枚、7,200㌦プットが592枚、7,000㌦プットが1,072枚となっている。

 週末の亜鉛価格は下落した。アジア時間はここ数日間の下げ幅が大きかったことから買い戻しが優勢となったが、LME在庫が久し振りにまとまって増加したこともあって、欧州時間に入ってから弱含み、NY時間に発表された雇用統計を受けてさらに下落する展開となった。これにより、2,810㌦のサポートラインを割り込み、2,775㌦で引けている。LME在庫は+1,500Mt増加、FSCは2.2日(キャンセルワラント率は8.7%)。売買高は4,895枚。イールドカーブは期近を中心に下落しベアフラットニング。C-3は5㌦コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。 今後についてはサブプライムローン問題に端を発する米国経済の先行き不透明感が強まっていることから、引き続き不安定な相場展開になると考えている。金融当局の対応によって危機的な連鎖倒産といった事態は回避されているが、やはり株価が調整すると敏感に反応しやすい環境であり、サブプライムローン問題の根が深いことが露呈している。しかしながらファンダメンタルの売買材料を整理してみると、中期的には買い材料が多い。1つは中国のQ207のGDPが予想を上回る大きな伸びとなった事から引き続き中国国内の亜鉛需要は車の防蝕向けに旺盛であると見られること、2つ目はこの旺盛な需要を背景として中国政府が亜鉛輸出の増加に歯止めをかけるべくリベート撤廃、亜鉛の輸出関税の引き上げを実施したこと、3つ目は亜鉛の在庫水準が低く有事のバッファが少ないこと、である。しかしながらサブプライムローン問題は実はこれからが本番であり、このマイナス材料が存在する以上は上値ではしっかりと売りが入らざるを得ない。また、中国当局が加熱する経済を冷やす目的で金利上げを行い、先々も検討していることも中長期的な需要の減少を引き起こす可能性がある。尚、長期的には大半のメタルと同じく年後半に向けての下落を予想している。目先、昨年6月に付けた2,810㌦を下値の目処としてあげていたがあっさり下抜けしてしまった。今回の信用収縮問題の落ち着きどころが見えるまでは下値を探る展開にならざるを得ない。まとめれば、短期的には下落、中期的には上昇、長期的には低下、ということである。目先の上値は節目の3,000㌦、下値は切りのよい2,500㌦程度までの下落はあってもおかしくない。尚、価格の目途となりやすい10月オプションは3,000㌦コールが700枚、3,200㌦プットが400枚、3,000㌦プットが150枚、2,800㌦プットが123枚となっている。

 週末の鉛価格は下落した。相場展開は銅・亜鉛とほとんど変わらず、LME在庫の減少を受けて取引序盤は強含んだものの、NY時間に入っての株価の下落を受けて水準を切り下げた。今のところ50日移動平均線を頭に、一目均衡表の雲の中を徐々に水準を切り下げる展開となっている。LME在庫は▲200Mt減少、(FSCは1.1日)在庫水準の低さやキャンセルワラント率の高さ(キャンセルワラント率は12.9%)を背景に、ファンダメンタルは非常に強い。売買高は1,366枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下した。C-3は45㌦バックと前日と変わらず。 今後については引き続き主要金融市場の動向に振らされ、不安定な展開が継続すると考えている。鉛をめぐるファンダメンタルは非常に強いものの、今回のサブプライムローン問題は実はこれからが本番であり、この材料がある限りは上値ではそれなりに売りが入ると見られ、レンジワークになると予想する。但し、もし、株価が長期的に安定しない場合、実需の減少を通じて価格に下押し圧力がかかる可能性もあるため要注意ではあるが。ファンダメンタルは繰り返しになるが、非常に強い。中国が鉛の輸出関税を引き上げたことに伴い、中国からの輸出が7月以降も、豪を初めとする大手生産者の生産障害になんら進展が見られないことや、自動車バッテリー向けに使用される中国での需要が引き続き旺盛であると考えられる事(7月までの中国の商用車・自家用車販売は引き続き堅調)、LME在庫水準が依然として低いこと(FSCは1.1日に)、カーバッテリー向けに使用される鉛は代替品が存在しないことなど、極めて強い買い材料が目白押しである。よって金融市場の混乱、という波乱材料がなければ基本は上値を試し易い環境にあることは忘れてはならない。本日はNY時間での株価の下落を受けて再び下値を探る展開になると考えている。下値の目処は一目均衡表の雲の下限となる2,800㌦程度か。価格の節目となりやすい10月オプションの状況は、3,500㌦コールが308枚、3,000㌦コールが60枚、2,900㌦プットが440枚、2,700㌦プットが280枚となっている。

 週末のアルミ価格は下落した。LME・上海在庫の増加もあって、寄り付きこそ前日比プラスであったものの、じりじりと水準を切り下げる相場展開であった。その後発表された米雇用統計が予想を大きく下回る内容であったことから売りが加速、結局前日比マイナスで引けることとなった。LME在庫は+8,000Mt増加、(FSCは8.7日)しているが、需給は他非鉄金属と比べてタイトではない。(キャンセルワラント率は4.0%)。売買高は6,824枚。イールドカーブは期近を中心に低下した。C-3は52㌦コンタンゴと前日と変わらず。 今後については、主要金融市場動向に一喜一憂の展開が予想され、不安定な状態が続く事になると見る。今のところ各国中央銀行は金融市場の安定に向け協調体制を敷いているが、サブプライムローンの本番はこれからであり、9月のファンドや金融機関の四半期決算がひとつの山になると考えられ、このタイミングでもう一波乱あるのではなかろうか。また、週末発表された8月の米雇用統計は、米国経済自体の先行きの不透明感が増していることを示唆するものであり、市場参加者のマインドをベアにするには十分なものであったといえる。ファンダメンタル的にもベアな要素が多い。1つ目は最大消費国中国が投資抑制を目的として今後も利上げを実施する可能性があること、2つ目は中国国内の企業在庫水準が以前に比して増加している可能性が高く、LME在庫の水準もFSCベースでは低くないこと、3つ目は原材料であるアルミナ価格が低下を始めたことが挙げられる。一方で買い材料は、1つ目は中国の固定資産投資や鉱工業生産等が引き続き堅調であること、2つ目はエネルギー価格が需要期を迎えて堅調に推移していること、が挙げられる。このほかの売買材料としては、生産量回復後の価格支配力維持の観点から大手生産社の大型合併が始まっている事を挙げておきたい。期先で売りヘッジをしていない企業と、している企業が合併した場合、通常はヘッジをしない方針に変更されるケースが多いからだ。こうした合併の動きも期先での売りヘッジの動きを鈍化させ、イールドカーブコンタンゴ化させる可能性がある(かつて原油市場で見られたように、高い価格水準で全ゾーンコンタンゴになる可能性はある)。尚、7月の中国の輸出入統計では、前月比ベースではネット輸入が増加、前年比ベースでは減少しており、短期的にはブル、中長期的にはベアな内容であった。
 本日も株価次第であるが、2,400㌦の心理的節目をトライする展開になると考えている。下値の目途は昨年9月にマークした2,405㌦を挙げておきたい。価格の節目となりやすい10月オプションの状況は、2,750㌦コールが585枚、2,600㌦コールが980枚、2,400㌦プットが410枚、2,350㌦プットが455枚となっている。

 週末のニッケル価格は下落した。NY時間に発表された米雇用統計の内容が不冴えであったことから、主要金融市場が大幅に調整したことを受けたセンチメントの悪化から売られた。しかしながらニッケルは現時点において投機資金の運用対象となりにくいことから下げ幅も限定されている。LME在庫は+384Mt増加、(FSCは6.6日)、キャンセルワラント率は3.9%。売買高は768枚。イールドカーブは期先を中心に低下している。C-3は240㌦コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。 今後については、サブプライムローン問題が解決しない中、不安定な状態が続くと考えている。但しニッケルは現在、どちらかといえばLME在庫の増加基調が継続していることに象徴されるファンダメンタルが売買材料とされている可能性が高く、上昇幅は限定されると考える(ニッケル在庫は少ない、と考えていたがFSCも6日を回復しており危機的状態は脱している)。また、中国国内での銑鉄使用増加や、クロム系ステンレス(ニッケルを必要としないステンレス鋼)への移行といったマイナス材料もあり、下値を探り易い地合いになっていると考えるべきである。ただし、一連のサブプライムローン問題発生の過程においてもニッケル価格は25,000㌦を大きく割り込むことがなく、徐々に期先の価格が上昇していることも鑑みれば25,000㌦を安値としてイールドカーブコンタンゴ化すると考えていたが、概ねそのような状態となってきた。期先が上昇した場合、期近は低下しにくくなる。引き続きイールドカーブの形状変化に注目する必要があろう。
 小職が目標に挙げていた昨年8月の25,350㌦を一旦割り込み、株価の安定とともにニッケル価格は短期的には下値を固めた感がある。サブプライムローンに端を発する信用収縮の問題が完全に解決したわけではないため予断を許さない状況が続くと見るが、当面は8月16日につけた24,800㌦が下値の目途となろう。中期的にはLME在庫が春先から12月末まで増加の傾向をたどりやすいことを考えると、年末に掛けて再び下値を探り易い地合いであると言えるが、銑鉄への移行やクロム形ステンレスへの移行も、ニッケル価格が低下するまでの繋ぎの色彩が強く、ニッケル価格が低下すれば再びニッケルが消費される可能性は高いと考えていることから下値も限られ、中〜長期的には価格は回復するものと見ておいたほうが良い。24,800㌦を割り込んだ際のセカンドサポートは昨年7月にマークした21,800㌦を挙げておきたい。

 週末の錫価格は下落した。LME在庫の減少や、インドネシアからの輸出の遅れを受けて取引序盤は大幅に上昇して推移していたが、他のメタルと同様、NY時間に入って発表された米雇用統計の著しい悪化を受けて後場にかけて下落している。LME在庫は+135Mt増加、(FSCは13.7日)、キャンセルワラント率は9.22%。売買高は428枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下。C-3は85㌦コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。 今後については、各国金融政策とそれを受けた株価動向を受けて不安定な相場展開が続くと考えている。但し錫は流動性の低さから投機資金の投資対象になりにくいこともあり、投機資金が商品市場から一旦撤退していることからしばらくはファンダメンタル重視の相場展開となろう。とはいっても、株価の調整が長期化した場合には当然錫にも下押し圧力が掛かると考えておくべきである。ファンダメンタル的には、インドネシア生産者からの輸出体制が完全に復帰しているわけではないこと、インドネシア政府の金属関連商品の輸出関税強化の可能性から需給はタイトになりやすく、何もなければ上値を試し易い地合いにあると考えておくべきである。しかし、他非鉄金属に比べるとまだFSCの水準も高く、サブプライムローン問題が解決しない中、特殊な材料が出ない限りは上値も限られると見る。


(エネルギー)
 週末のNY原油は上昇した。ファンダメンタルの強さを受けて取引序盤は強含んでいたが、他商品と同様、NY時間に発表された米雇用統計が非常に悪い内容であったことからNY時間に大幅に下落。しかしながら、ファンダメンタルを背景として下げ幅が限られたことから引けにかけて急速に買い戻しが入り、前日比プラスで引けている。これで5日続伸となっている。イールドカーブは全ゾーンパラレルに上昇。Brentも略同様の相場展開で、引けにかけて上昇し、一目均衡表の雲の上限をついに上抜けした。イールドカーブは期先を中心に全ゾーン上昇し、ブルフラットニング
 石油製品も上昇。RBOBは略一貫して水準を切り上げる展開となった。しかしながら株価の調整もあって、引き続き200㌣を攻防ラインとしてもみ合い推移しているとの感は否めない。イールドカーブは全ゾーンパラレルに上昇している。ヒーティングオイルも上昇。原油と同様、NY時間に一時下落する局面があったが、下げ幅が限定されたことからファンダメンタルの強さを反映して買いが入った。現在、2005年のカトリーナ襲来時の最高値、219.85が視野に入りつつある状況。イールドカーブは期近を中心に全ゾーン上昇し、ブルスティープニング。ICEガスオイルも上昇。イールドカーブの形状は略変わらず。

(本日の見通し)
 本日の原油相場はもみ合うものと考えている。週末発表された米統計が非常に悪い内容であったことから株価が大幅に調整しており、センチメントの悪化を通じて手仕舞い売りが入り易い環境にある一方、ファンダメンタルの強さを映じて買いも入り易く、方向感が出にくいためだ。しかしながら原油・石油製品は概ね5日連続で上昇していることもあって、どちらかといえば手仕舞い売りに押されて下落し易い地合いといえよう。
 足元、投機筋の資金(特に買いもちポジション)は商品市場に流入しにくい環境が続いていると考えているが、サブプライムローン問題が本格化し、株価が長期低迷ないしは9月末の四半期決算を乗り切れないファンドや金融機関の破綻があった場合には、需要の減少を伴って価格げ下落する可能性もあり、目先は9月末〜10月が相場の転換点になる可能性が高い。

 ファンダメンタル的には、北海油田からの生産減少、OPECは9月11日の総会で生産を据え置く可能性が高いこと、ナイジェリアの情勢不安が継続していることから供給は十分でないこと、石油製品在庫の水準は極めて低い事から需給は引き続きタイトである。ハリケーンの影響をどうにかこうにか受けずにすんでいるが、ガソリン在庫水準はFSCベースでは依然として過去5年の最低水準を下回るレベルであり、需要のピークを過ぎたとはいえ十分な在庫があるとは決していえない。また、イラン問題はまだ解決していておらず、下火になったが地政学的リスクは残存している。北朝鮮問題に進捗が見られた場合、重油等の人道支援が行われる可能性が高く、こちらは問題の進捗が域内需給の逼迫要因になり得ると考えている。
 CFTCの統計では、エネルギー全体のロングポジションが拡大している。各国金融当局の対応によって株式市場動向が落ち着きを取り戻していることが背景であるが、週末の雇用統計で大分状況が変わってきた可能性が高く、来週はポジション、特にロングポジションの売り閉じの動きが活発化する可能性が高い。

 短期的な在庫水準の指標となる米国のガソリンのサプライカバーは過去5年の最低水準を下回っている状態で、石油製品市場の需給はタイトな状況が続いている。但し、ガソリンはピークシーズンを終えつつあるため、ハリケーンの直撃などの事故がなければ何とか無難にこのシーズンを乗り切ったと言ってもよいかもしれない。但し、今回の統計でも明らかになったように、石油製品の需要が堅調である一方、石油製品の供給体制は脆弱である。稼働率が上がらないことが石油製品在庫の水準が増加しない最大の要因であるが、原油価格の高騰を受けてクラックマージンが縮小していることから、製油所の稼働率を引き上げにくい環境にあることがその背景にある。今後はハリケーンが来ないという前提に立てばディスティレートが石油製品の主役となるが、FSCは31.4日しか存在しない(過去5年最低の水準は31.3日)。今のところ、ガソリンの得率を引き下げ、ディスティレートの得率を引き上げることは可能であるが、ガソリンのFSCがわずか19.8日しかないことから、得率の引き上げは困難であろう。よって必然的に米国は国内製品供給を海外からの輸入に頼らざるを得なくなるが、同様の理由で欧州でも製油所の稼働率を引き上げにくい状態にあるため、非常にボラタイルな展開になろう。

 このように石油製品供給は増やしたくとも増やしにくい環境が続いており、当面下値は限られることになろう。石油製品価格が下落するとすれば、サブプライムローン問題の拡散による消費の減少であるが、統計を見る限りでは今のところ明確な需要の減少は確認されていない。
 原油供給に関しては、Non-OPECサプライの減少(北海地区からの産油量減少)の影響が効いてきており、安泰ではない。OPECは9月11日にウィーンで開催される総会で増産の意向はなくおそらく生産は据え置きとなろう。稼働率が上がりにくい環境にあることから原油が足りない、ということはないと考えられるがひとたび稼働率が上昇した場合には現在の生産レベルでは原油供給は不十分であるといえる。尚、需要増加の顕著な中国であるが、中国の農村部の都市化に起因する石油需要の増加は当面継続する可能性が高く(世銀等の見通しでも2007年の中国のGDP成長見通しは9%台を維持)、大幅な税制の変更等がなければ急速に需要が減少することはないと見ている。
 尚、価格の目途となりやすいWTI10月オプションの建玉状況は、80㌦コールが22,456枚、75㌦コールが18,437枚、70㌦コールが10,761枚、76㌦プットが7,111枚、73㌦プットが7,942枚、70㌦プットが14,925枚となっている。

(ひとりごと)
イタリアンを食べた後、大倉山シャンツェに行ってみた。

少し薀蓄をたれると(というよりも、大倉山シャンツェのパンフレットによれば)、1931年、秩父宮親王の口ぞえで、大倉喜七郎が私財を投じて建設した
日本最古のジャンプ台である。
現在のK点は120M、バッケンレコードは2005年の第六回伊藤杯シーズンファイナルで、金子祐介が記録した145Mである。
因みにスキージャンプ競技ノルウェーで自然発生したらしいが、ノルウェーの「テレマーク」地方でできたらしい。
着地の時の「テレマーク」はここから来ているらしい。
古い時代の処刑の方法であった、との説もあるが。

というジャンプ台であるが、上ってみましたよ。リフトで。
登ったことあります?ジャンプ台。
本当に怖いんですよ。
すごく急だし。
リフトで登っていると、ほとんど真上に上っていくんですよね。
テレビで見ていて、たいしたことないな、と思っていたんですが、もうね。
横から見たらね、どうみても傾斜が60度ぐらいあるように見えるんですよね。
リフトで見ていて分かったんだが、ジャンプの距離が大きいほどランディングバーンの角度が緩やかになっている。
どうも、空中で選手が描く放物線に傾斜角を合わせているようである。
そのため、早く着地してしまうとやたらと急な斜面に着地してしまうことになる。

それが何を意味するかって?
そりゃね、やってみなくちゃわかりませんが、絶対失敗ジャンプの方が怖いに違いないのですよ。
だって、傾斜が60度ぐらいあるように見えるんですよ。
そんなところから直滑降、できます?

よく日本のジャンプ競技を見ていて
「原田なにやってんだ」

とか

「そんなに早く着地して、根性ないぞ」

とか言っていましたが。
ごめんなさい。
私が悪かったです。
むしろ早く着地したほうが上記の通り、どう考えても怖そうだ。

と、思いつつ、わが子には絶対こんな危険なスポーツはやらせたくないなぁ、と思った。
(続く)