こっち

(商品市況概況)
「景気悪化が促す価格下落」
 昨日のコモディティ市場は下落後反発した。下落の材料は明らかに世界景気が減速感を強めていることに伴う需要の減少観測である。また、投機資金も主戦場たる株や債券のマーケットで不冴えな実績となっていると予想されることから、エマージングコモディティといった比較的流動性の低い市場への資金投入を見送っている可能性が高い(ちなみに当コラムでは、投機資金が相場を撹乱しているとは考えておらずあくまでファンダメンタルズ重視で投資動向が決まる、とのスタンスを貫いており、投機資金が商品市場に流入することは株や為替債券と同様の事象であると考えるようにしている)。
 その一方で上げ材料はロシアとアメリカの「新冷戦」の可能性や、そもそも在庫水準を需要対比で引き下げている状況下でのハリケーンのメキシコ湾進入の可能性、といった地政学的リスクで原油価格が上昇したことである。既にご理解いただいていると思うが、原油価格の上昇はコストを押し上げて他のコモディティ価格の押し上げ材料となりえる。昨日もコメントしたとおり、今までは「需要の減少」がフォーカスされていたが、ここから年末に掛けては「供給途絶のリスク」を念頭に置く必要があると考える。よって相場は堅調な推移となろう。但し、価格が極端に上昇した場合には需要が減少し価格が下落するのはこの春から夏場に掛けて確認済みであるため、以前ほどの力強い上昇にはならないと考えている。

(経済関連ニュース)
・8月独Ifo指数 94.8(前月改定97.5)、市場予想97.2。
・7月米新築住宅販売 前月比+2.4%の51.5万戸(前月改定50.3万戸(速報比▲2.7万戸))、市場予想52万戸。
 住宅在庫前月比▲5.2%の41.6万戸、在庫比率10.1ヶ月(前月10.7ヶ月)。
・8月米消費者信頼感指数 56.9(前月改定51.9(速報比変らず))、市場予想53.0。
・米S&P/ケースシラー住宅価格指数 前年比▲15.9%(前月▲15.8%)、市場予想▲16.2%。
・米S&P、ファニーメイフレディマック優先株格付けをBBB−に3段階引き下げ。
FOMC議事録「一部のメンバーは来年もインフレ率が低下しないと予想。参加者は次の行動は利上げと判断。市場リスクは幾分後退。金融機関にとって資本増強は一段と困難な状況になってきた」
・ロシア 南オセチアアブハジアの独立を承認。メドベージェフ大統領「新たな冷戦を辞さず」

・ドルは対ユーロで上昇。独Ifo指数の悪化を受けて。その後米住宅関連指数が予想以上の悪化とならなかったものの、ユーロが買い戻されてドルは上げ幅を削った。対円でもドルは上昇している。
日本株は下落。米住宅ローン問題に端を発した金融不安がまだ継続していることを嫌気し、金融株を中心に売られた。米国株は小幅高。原油の上昇を受けてエネルギー関連株が買われた。ファニーメイフレディマック公的支援の可能性が高まってきたことなどから住宅関連株も買われた。

穀物市場サマリー)
・大豆価格は小幅下落。独Ifo指数の悪化を受けたドル高の進行を受けて水準を切り下げたが、原油価格の上昇を受けて反発、下げ幅を削って引けた。米中西部の乾燥予報、アイオワイリノイ州の洪水の影響による作付遅れ、霜害の影響を受ける可能性が高まっていることから総じて堅調な推移が続いている。イールドカーブの形状はほぼ変らず。
・トウモロコシ価格は続落。取引序盤はドルの対ユーロでの上昇を受けて水準を切り下げたが、ハリケーン懸念等を材料に原油価格が反発したことなどから下げ幅を削り、そもそも霜害や乾燥気候の影響といったファンダメンタルズを材料にしっかりの展開であることから、前日比小幅マイナスで引けている。イールドカーブは全ゾーン小幅低下。
・小麦価格も下落した。カンザスオクラホマでの降雨が土壌改善を促すと見られたことや、ドルの対ユーロの上昇を受けて30日移動平均線のサポートを試す展開となった。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下している。

非鉄金属関連ニュース)
・NY金は小幅上昇。独Ifo指数を受けてドルが急上昇したことが嫌気され、下落する局面もあったが原油の反発やロシア問題といった有事の発生に伴い、金は引けにかけて反発した。目先10日移動平均線を下値にしっかりの展開。
 足許金価格のトレンドは変化している。米国のみならずユーロ圏の景気が鈍化し始めていることに伴うドルの行き過ぎた下落が修正され始めているためだ。同時に地政学的リスクの高まりや、米景気の後退懸念に伴う恒常的にドルの水準が安いこと、株式市場のパフォーマンスの悪化、といった材料を受けて安全資産であり、市場規模のうちの半分近くが投機資金である金は、質への逃避で物色されることから大幅な下落とはなっていない。同時に金価格の上昇が宝飾品需要を落ち込ませている可能性が高く(WGCの発表によればQ108の宝飾需要は前年比▲21.5%の454.4Mtに、世界最大の金消費国であるインドの需要は前年比▲50%の102.1Mtに落ち込んでいる)上値を追いきれないのも事実であろう。よって、ドルの行き過ぎた下落が修正される局面に入っていることも考慮し、弊社は金価格の見通しをニュートラルに引き下げることにした。これは今までこのコラムで主張していたように「当面高値で安定推移」との見方と整合するものである。もし金の見通しをベアに転換するには今しばらくドルのトレンドを経済統計とともに見定める必要があろう。
 NY銀も上昇。10日移動平均線の上値重くこのラインは上抜けできず。

・NYプラチナ価格は下落。ドルが対ユーロで強含んだことや、独経済統計の悪化等が嫌気された。金はその後有事で買い戻しが入ったが、工業需要が主であるプラチナの反発は弱く、結局10日移動平均線を下回って引けている。
 中期的な見通しについてプラチナは、堅調な推移になると考えていたが、自動車向け需要が一時的にでも減退すると見られることから今までの強気姿勢は維持できないと考えている。世界経済への影響が大きい米景気の悪化観測の高まり、GM、フォードといった自動車産業の景況感悪化に反映される自動車販売の減少に伴う触媒需要の減少観測を受け、このコラムで指摘してきた需要減少のリスク要因の影響が大きくなってきている状況。また、ドルがユーロ圏経済の鈍化懸念を材料にして反転上昇していることもプラチナ価格の下げ要因となりえる。
 価格上昇に対するその他のリスクシナリオは、プラチナ価格が上昇し代替品としてパラジウムが代用品として利用されるリスクである。今のところディーゼル車向けに用いられているパラジウムは全体の10%程度であり、これは将来的には25%程度まで上昇すると考えている。しかしながらここまで価格が低下してくるとその動きも鈍化することとなろう。また地上在庫の多さがこうした不足分を補うと見られることから、結局のところ生産不足分は相殺されニュートラルになる可能性があることも相場の下押し材料となりえよう。しかしながらやはり南アの生産状態が電力価格の上昇やその他のコストの上昇等で不安定であることから、アップサイドのリスクは意識せざるを得ないだろう。しかしそのリスクは以前に比して格段に低下していると考える。
 NYパラジウム価格も、ドル高の進行やプラチナ価格の下落を受けて10日移動平均線を上値に比較的狭いレンジでもみ合った。
 今後パラジウムの価格は軟調に推移すると考える。プラチナ価格が自動車向け需要の減少観測とドル高の進行で下落しているため、代替品として需要が減少すると見られるためだ。また、非常に多い地上在庫(弊社見積もりではチューリッヒに8百万オンス、ロシアに10百万オンスの地上在庫があると見ている)が、価格の上限を押さえることとなろう。

(エネルギー関連ニュース)
・米在庫統計市場予想 原油+1.1MB、ガソリン▲2.5MB、ディスティレート+0.6MB、稼働率+0.2%
・ハリケーン「グスタフ(カテゴリー2)」26日中にもハイチに上陸の見込み。メキシコ湾への進入の可能性も。

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は下落した。今週200日移動平均線を維持できなかったことから下落圧力強く、LME在庫の大幅増加もあって取引序盤から軟調な推移であったが、独経済統計の悪化、それを受けたドルの上昇といったマイナス材料が重なり急落、しかし10日移動平均線でサポートされたことや原油価格の戻りもあって下げ幅を削って引けた。ここ数ヶ月、世界景気の悪化観測が意識され需要要因で価格が下落するという経済にとって好ましくない形での下落となっているが、7,000?が視野に入る中で一旦調整が終了した可能性は高い。コンセントレートの供給懸念は根強く、中国の固定資産投資や鉱工業生産の水準の高さを鑑みれば底堅く推移することになろう。LME在庫は+3,100Mt増加、(FSCは3.2日)、(キャンセルワラント率は7.3%)。売買高は6,586枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期近が低下、期先が上昇している。C-3(Cash vs 3M Fwd)は85?バックとバック幅を縮小した。
 昨日の亜鉛価格は下落した。銅価格の下落もあって序盤から軟調な推移であったが、独Ifo指数の悪化を受けたドル高の進行もあって下げが加速、一時30日移動平均線を割り込むがその後の銅価格の戻りを受けて30日移動平均線を維持して引けた。亜鉛は需要が強いというわけではないが、大生産国であるはずの中国の輸入が前年比で増加傾向を辿っており、生産調整が継続する可能性があることからやはり底堅い推移となっている。LME在庫は▲375Mt減少、FSCは4.9日(キャンセルワラント率は4.9%)。売買高は4,879枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下している。C-3は21?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の鉛価格は下落した。50日移動平均線を下回って寄り付いた後軟調な推移となったが、依然としてシンガポール在庫の減少が継続していることやキャンセルワラント率の高止まりから比較的しっかりした推移となっている。また、中国からの精錬鉛のアウトフローは明確に減少し始めており、7月の統計ではとうとう中国は精錬鉛の純輸入国に転じてしまったことも相場の下支え材料となっている。LME在庫は▲1,625Mt減少、(FSCは3.6日、キャンセルワラント率は15.0%。)。売買高は2,145枚。イールドカーブは期近を中心に低下し、ベアフラットニングしている。C-3は8?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日のアルミ価格は下落した。取引序盤からエネルギー価格がドル高の進行を受けて調整色を強めていたことからアルミも連れ安となった。しかし、ロシアと米国の政治的・軍事的な緊張の高まりや、ハリケーンの影響で原油価格が再び上昇したことからアルミも下げ幅を削る展開となった。現在のコストベースと考えられる2,600?程度までの下落はあってもおかしくない地合いであるがやはり2,800?を下回るレベルでは安値拾いの買いが入りしっかりするとの印象である。LME在庫は▲525Mt減少、(FSCは10.1日)。(キャンセルワラント率は1.8%)。売買高は8,256枚。イールドカーブの形状は期近が低下し、ベアスティープニングしている。C-3は52?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日のニッケル価格は下落した。原油価格が調整し、各種経済統計も少なくとも景気回復を示すような内容でもないことから全体の地合い悪く、軟調な推移となり、10日移動平均線を割り込むに至った。しかし、Xstrataがドミニカでコスト上昇とニッケル価格の下落を背景に生産調整を行うとの報道や、地政学的リスクの高まりでニッケル比較的下げ幅が限定されているとの印象を受ける。ニッケルに関しては引き続き堅調に推移するであろうとの弊社見通しを小職は支持するが、中国のステンレス需要も弱含み推移すると見られることからやはり上値は限られよう。LME在庫は+264Mt増加、(FSCは10.9日)、キャンセルワラント率は1.9%。売買高は1,393枚。イールドカーブは期近を中心に低下し、ベアフラットニング。C-3は60?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の錫価格は下落した。経済統計の悪化やドル高の進行を受けてドル資産が売られる中、錫も水準を切り下げる動きとなった。またLME在庫が2営業日連続で大幅に増加したことも売り材料となったようだ。中期的な上げ相場が終焉を迎えたと考えられるものの、インドネシアや中国の生産輸出状況に改善が見られない中(インドネシアは悪化)、やはりファンダメンタルズを材料にしっかりとした推移が続くことになろう。LME在庫は+165Mt増加、(FSCは5.8日)、キャンセルワラント率は10.08%。売買高は247枚。イールドカーブは全ゾーンほぼパラレルに低下している。C-3は75?バックとバック幅を縮小した。

(エネルギー)
 昨日の原油価格は小幅上昇。ドル高の進行を受けて10日移動平均線を割り込み200日移動平均線を目指す展開となっていたが、在庫水準の低い中ハリケーン・グスタフがメキシコ湾に侵入する可能性が高くなってきたことや、ロシアの冷戦容認発言、といった地政学的リスクの高まりで反発し、10日移動平均線を回復して引けた。イールドカーブは全ゾーン小幅上昇。Brentも全ゾーン小幅上昇している。直近限月の騰落率はWTIは+1.0%、Brentは+0.5%。
 石油製品も上昇。RBOBも同様に軟調に推移し200日移動平均線のサポートを試す動きとなったが原油価格の反発を受けて買い戻しが優勢となった。特に先週の在庫統計でRBOB在庫がFSCベースで5年平均を下回るいわゆる「有事のバッファの少ない状態」にあることもあって上げ幅は大きかった。イールドカーブは期近の上げが大きい。直近限月の騰落率は+1.8%。ヒーティングオイルも上昇。こちらもRBOB同様、200日移動平均線をトライしたが原油の反発で上昇して引けている。イールドカーブは期近の上げ幅が大きい。直近限月の騰落率は+1.8%。ICEガスオイルは上昇。イールドカーブは期近の上げ幅が大きい。直近限月の騰落率は+1.3%。

(ひとりごと)
今朝方テレビを見ていたら、「日本の国民1人あたりのGDPが世界で18位になった」と報じていた。
もう10番以内にも入っていないのだ。
商品価格リスクヘッジ商品を導入して、少しでも価格が安定し企業収益が確保できれば良いのに、とまた思ってしまった。

朝から気分が重いっす。

さて。

最近我が子が

「こっち」

という言葉を覚えた。
目が合うとしゃがんで床やベッド、椅子などを指差し

「こっち」

と、訴えてくる。
何があるのか?と思っていくと何があるわけでもなく、どうやら「ここに来い」ということらしい
何が楽しいのかはさっぱり分からないのだが、とにかく言われるままに「ここ」に行く
でも彼は更に床を繰り返し指差し

「こっち」

を繰り返す。
超ピンポイントで、彼が指差すところに座らないと許してくれないのだ。
それが一体何の意味があるのだろうか。
しかも言われたとおりに超ピンポイントで座ると、すぐにどこかに言ってしまう。
何だかとらえどころのない、女子高生みたいだ。

子は親を見て育つので、きっとそういうことを両親のどっちかがやっているのかしら、と思い考えた。
そしたら。
確かに言ってました。
偉そうに、カミさんを叱るときに

「こっちに来なさい」

と、言ったのを確かどこかで見られた気がするのだ。
と、言うことは。

彼は私を「こっち」に呼んで叱りたいのだろうか。
俺、何かやったかなぁ...