旅人算

(商品市況概況)
「住宅供給公社2社の救済の影響」
 昨日のコモディティ市場は軒並み下落した。米住宅供給2公社の政府支援がこの週末に決定されたため、ドル高が急速に進行したためである。取引序盤は住宅公社支援策と、ハリケーン「アイク」を材料にした買いが入り殆ど全てのコモディティに買い戻しが入っていたのだが、NY時間に入ってから環境が一変、ドル高の進行を受けた手仕舞い売りが入り上げ幅を削る展開となった。
 しかしながら今回の救済策は、各エコノミストが指摘するように「やらざるを得ない措置であり、止血の効果はある」ものの、すぐに景気浮揚につながるものではない。不良債権問題はバランスシートから完全に切り離して始めて終了、と言えるため結局のところ悪化の速度は遅くなるものの本格的な景気回復には今しばらく時間を要するものと見られる。年末に向けては引き続き景気の悪化懸念が材料視されることになると予想され、商品価格の頭を抑えることになると考えている。
 昨日のこのコラムでコメントしたが、「株の下落が誘発する景気の悪化」にとりあえず歯止めが掛かる効果が期待されることから、全体としては今回の救済策発表は少なくとも短期的には商品市場にとってはプラスの効果があるといえ、商品価格は救済策を受けたドル上昇との綱引きになると予想される。

(経済関連ニュース)
・8月英生産者物価指数 前月比▲0.6%、市場予想+0.1%。物価の下落で中央銀行に利下げ余地広がるか?
相撲協会北の湖理事長が辞任。

・ドルは対ユーロで上昇。週末に発表されたフレディ・マックとファニーメイの公的管理決定を受けて、住宅・信用市場の急速な悪化に歯止めが掛かるとの見方からドルが強含んだ。ドルは対円でも大幅に上昇している。この週末を挟んで状況が大きく変化した。
日本株は大幅に上昇。フレディ・マックとファニーメイの政府救済による著しい信用不安の悪化に歯止めが掛かるとの見方が強まり、売り込まれていた金融株が力強く買い戻され、輸出関連株もドル高の影響はあったものの上昇、不動産株等も買われた。その他の先進国・アジア株も同ニュースを受けて軒並み上昇している。上海A株、ブラジルBovespa指数のみ下落している。米国株は大幅に上昇。住宅公社社の救済策を好感し、信用収縮に歯止めが掛かるとの見方が広がり金融・住宅関連株が上昇した。

穀物市場サマリー)
・大豆価格は反発。週末発表された米住宅供給2公社の政府による支援決定を受けて信用収縮に歯止めが掛かるとの期待感が広がり、売り込まれてきたドル建資産に幅広く買い戻しが入る流れを受けて、大豆価格は上昇することとなった。イールドカーブは全ゾーンパラレルに上昇している。
 とはいっても、ドル高が進行したこともあって上げ幅は限定されている。"
・トウモロコシ価格は反発。大豆と同様、米住宅供給2公社の救済支援策発表を受けてドル建資産が買い戻される流れを受けて上昇した。しかしこちらも同様にドル高が急速に進行したことからトレードオフとなり、上げ幅は極めて限定された。イールドカーブの形状は略変わらず。
・小麦価格は下落。大豆・トウモロコシと同様取引序盤は上昇していたが、引けにかけてはドル高の進行や、そもそもの需給緩和観測に焦点が当たり水準を切り下げ、前日比マイナスで引けることとなった。

非鉄金属関連ニュース)
・NY金は小幅下落。ハリケーン「アイク」が勢力を強める中、原油価格が反発したことで金も買われていたが、週末の住宅公社2社の救済報道を受けてドルが大幅に強含んだことから反転下落した。10日移動平均線レジスタンスラインを上抜けできなかったことも下げにつながったようだ。目先8月15日の安値、780.90?が下値として意識されようか。
 足許、ユーロ圏の景気が鈍化し始めていることに加え、米住宅公社の救済策が市場で好感されていることからドルの対ユーロでの上昇が鮮明になりつつある。これに伴い金は軟調な推移となっている。同時に地政学的リスクの高まり、や原油価格が依然高止まっていることなどから安全資産であり、市場規模のうちの半分近くが投機資金である金は質への逃避で物色され易く、大幅な下落とはなっていない。よって、ドルの行き過ぎた下落が修正される局面に入っていることも考慮し、弊社は金価格の見通しをニュートラルに引き下げている。これは今までこのコラムで主張していたように「当面高値で安定推移」との見方と整合するものである。尚、金価格とユーロドルの一次回帰分析の結果は、金価格=1,065.3×ユーロ-738.51となっており、現在の価格は略この一次回帰線上にある。
 NY銀も下落した。材料は明確にドルの上昇。取引序盤は原油価格の上昇を受けて金価格も強含んでいたことから前日比プラスで推移していたが、NY時間に入ってからのドル上昇を受けて金が下落したことから水準を切り下げる展開となった。とうとう12?の節目を割り込んで引けた。

・NYプラチナは続落。原油価格の上昇等を材料に金価格が強含んでいたことからプラチナにも買い戻しが入り、10日移動平均線レジスタンスをトライする動きとなっていたが、NY時間に入ってから、日曜日に発表された米住宅公社2社の救済策が好感されてドルが急上昇したことを受けて手仕舞い売りが入り、結局前日比マイナスで引けることとなった。目先、先月からトライしている1,300?のラインが下値として意識されることになると見る。この水準を割り込むかどうかは今後のドル/ユーロ動向にかかろう。
 中期的な見通しについてプラチナは、低い水準で安定すると考える。世界経済への影響が大きい米景気の悪化観測の高まり、GM、フォードといった自動車産業の景況感悪化に反映される自動車販売の減少に伴う触媒需要の減少観測を受け、このコラムで指摘してきた需要減少のリスク要因の影響が大きくなってきている状況であるためだ。
 しかしながら南アフリカの生産が安定しない環境下、環境に配慮した自動車の需要は堅調であることも鑑みれば大幅な調整にはなりにくいと考える。また、プラチナ価格が大きく下落したことから、代替品としてのパラジウム需要の増加が期待ほどには増加しないことが予想されることも、プラチナ価格の下支え要因となろう。
 NYパラジウムも下落した。材料は他の貴金属と同様にドルの上昇である。10日移動平均線が上値として意識されたのも同様。しかしながらパラジウムは絶対水準自体が低いレベルになっていることから下げ幅も限定されている。
 今後パラジウムの価格は軟調に推移すると考える。プラチナ価格が自動車向け需要の減少観測とドル高の進行で下落しているため、代替品として需要が減少すると見られるためだ。また、非常に多い地上在庫(弊社見積もりではチューリッヒに8百万オンス、ロシアに10百万オンスの地上在庫があると見ている)が、価格の上限を押さえることとなろう。

(エネルギー関連ニュース)
・米在庫統計市場予想 原油▲3.8MB、ガソリン▲3.5MB、ディスティレート▲2.1MB、稼働率▲8.7%
・イラン ノザリ石油相「原油市場は供給過剰であり、OPECは減産を行うべきだ」
・ハリケーン「アイク」キューバの東側に進行。カテゴリー3に発達。

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は上昇した。週末2日間の下落幅が余りに大きかったことや、ハリケーン「アイク」の影響で原油が上昇したこと、週末の米住宅供給2公社の救済策発表を受けて買い戻しが入って強含み推移していたが、NY時間のドルの急上昇を受けて急速に地合いが悪化し、上げ幅を削る展開となった。結果、7,000?の節目を回復できずに引けている。昨晩は完全にドル高が全ての要因を上回ったようだ欧州景気の悪化懸念が急速に台頭し始めていることが、相場の地合いを悪化させているが、足許の動きで特に気になるのが中国周りのLME在庫の増加である。この動きはしばらく続くと見られる。引き続きコンセントレートの供給懸念は根強く、中国の固定資産投資や鉱工業生産の水準の高さを鑑みれば下値は限定されるとの見方に変更はないが、簡単に割り込むことはないと見ていた7,000?を下回ってしまったことから一旦下値余地を探らねばならないだろう。LME在庫は▲50Mt減少、(FSCは3.8日)、(キャンセルワラント率は4.9%)。売買高は11,249枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期近が小幅上昇し、ブルスティープニングしている。C-3(Cash vs 3M Fwd)は35?バックとバック幅を拡大した。
 昨日の亜鉛価格は上昇した。というよりも、週末の下げ幅が大きかったことから各非鉄金属に買い戻しが入り、亜鉛も同様に買い戻されたのだが、LME在庫の大幅増加やドル高の影響もあって上げ幅は限られた、という相場展開である。亜鉛の需要は強くないが、大生産国であるはずの中国の輸入が前年比で増加傾向を辿っていることや、その他生産者の価格下落時の生産調整の可能性が高いことから底堅い推移が続いている。LME在庫は+1,025Mt増加、FSCは4.8日(キャンセルワラント率は3.9%)。売買高は1,948枚。イールドカーブは略全ゾーンパラレルに上昇している。C-3は24?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の鉛価格は上昇した。鉛も週末2日の下げ幅が大きく、50日移動平均線のサポートと一目均衡表の雲を下抜けているが、一旦買い戻しが入った格好。しかしながらNY時間のドルの急騰もあって引けにかけては上げ幅を削る動きとなった。キャンセルワラント率が2ケタ台を維持していることも相場の下支え材料となっているようだ。足許、中国からの精錬鉛のアウトフローは明確に減少し始めており、7月の統計ではとうとう中国は精錬鉛の純輸入国に転じてしまったことなども相場の下支え材料となっている。しかしながら、世界景気の悪化懸念が強まっていることが相場を押し下げ始めていることは注意したい。LME在庫は+275Mt増加、(FSCは3.3日、キャンセルワラント率は12.8%。)。売買高は1,441枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに大幅に上昇している。C-3は14?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日のアルミ価格は上昇した。取引序盤はハリケーン「アイク」の影響で原油が上昇したことや、米住宅2公社の政府救済報道を受けて買い戻しが優勢となり、LME在庫の減少等もあってさらに上値を試す展開となったが、週末の高値を上抜けできなかったことから下落に転じ、NY時間のドルの急上昇を受けて結局下落、上げ幅を削る展開となった。このコラムでは2,600?程度が現在のコストベースであると考えており、マーケットのセンチメントを鑑みればこのレベルを試す可能性は高いと考えている。しかしながら将来の中国からのアウトフローの明確な減少懸念もあって、下落局面では安値拾いの買いも入りやすく、力強い下落にはなっていないとの印象。LME在庫は▲1,125Mt減少、(FSCは10.2日)。(キャンセルワラント率は2.0%)。売買高は12,252枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きく、ブルスティープニング。C-3は50?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日のニッケル価格は上昇した。その他の非鉄金属と同様、週末の大幅な下げと週末の米供給公社支援策発表を好感した買い戻しが優勢となり、上昇していたが、NY時間のドル大幅上昇を受けて騰勢を弱め小幅高に留まった。ニッケルに関しては引き続き堅調に推移するであろうとの弊社見通しを小職は支持するが、中国のステンレス需要が弱含み推移すると見られることに加えて、欧州景気が減速する可能性が高まってきたことからやはり上値は限られよう。LME在庫は+342Mt増加、(FSCは11.5日)、キャンセルワラント率は1.6%。売買高は696枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きいが、略全ゾーンパラレルに上昇している。C-3は68?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の錫価格は上昇した。取引序盤は週末の流れを受けて一旦下値を探る動きとなったが、週末の米供給公社の支援策発表や、ハリケーンアイクの影響で原油価格が上昇したことから非鉄金属セクターに幅広く買い戻しが入る流れを受けて、錫価格も上昇することとなった。しかしその後は他のドル建コモディティと同様、NY時間の急速なドル上昇を嫌気した売りに押され、上げ幅を削る展開となった。インドネシアや中国の生産輸出状況に改善が見られない中(インドネシアは悪化)、ファンダメンタルズを材料にしっかりとした推移が続くと考えているが、世界景気の悪化懸念が強まる中上げ幅は抑えられることになろう。LME在庫は▲30Mt減少、(FSCは5.7日)、キャンセルワラント率は12.62%。売買高は176枚。イールドカーブは期近を中心に上昇し、ブルスティープニングしている。C-3は75?バックとバック幅を拡大した。

(エネルギー)
 昨日のNY原油は行って来い。ハリケーン「アイク」がメキシコ湾を目指していることからアジア時間の早朝から上昇し、110?の節目をトライする動きとなったが、週末に発表された米住宅公社2社の救済策が交換され、米株・ドルが大幅に上昇したことからNY時間に原油価格は急落。しかし下落局面では安値拾いの買いも入り結局のところほぼ前日比変わらずで引けることとなった。Brentも略同じ相場展開。イールドカーブは期先が小幅低下している。
 原油市場は世界景気の減速懸念の高まりで明らかに以前程の力強さがなくなってきている。足許米国はFSCを5年平均レベルに維持するオペレーションを持続しており、先週の在庫統計でも概ねそういったオペレーションを実施していることが確認されているが、今週もハリケーンアイクの襲来の影響もあって、恐らくメキシコ湾からの生産は先週に続き完全に停止の状態が続くことになると予想され、当コラムで指摘しているFSCで5年平均レベルの維持が困難な状況になりつつある。米国需給は価格下落に伴う需要の底打ちも手伝い徐々に逼迫の度合いを強めていることから、ファンダメンタルズは以前に比して強くなっていることは常に考慮せねばなるまい。
 しかし昨晩に関しては完全にドル高進行のほうが市場で材料視されることとなった。直近限月の騰落率はWTIは+0.1%、Brentは▲0.6%。
 石油製品は上昇。ハリケーンアイクの襲来予想でメキシコ湾からの生産が減少する見込みであることや、主要なPADD3のリファイナリの稼働率が大幅に低下すると見られることが支援材料となった。RBOBは取引序盤は10日移動平均線レジスタンスを目指して上昇する展開。FSCが過去5年レベルを下回っており、当コラムで定義している「有事のバッファ」が現在ない状態であるため、ハリケーンの襲来による稼働率低下は素直に買い材料となる。しかしながら原油価格がドル高の進行で下落したことからRBOBも上げ幅を削る展開となった。イールドカーブは期近が上昇、期先が小幅低下している。直近限月の騰落率は+2.3%。ヒーティングオイルも行って来い。取引序盤は明確にハリケーンを材料に上昇(ディスティレート在庫もFSCが5年平均に満たない)し、ドル高を受けた原油下落を受けて下落した。イールドカーブは略全ゾーン上昇しているが、期近の上げ幅が大きいようだ。直近限月の騰落率は+1.0%。ICEガスオイルも上昇。イールドカーブは期近の上げが大きい。直近限月の騰落率は+0.5%。

(ひとりごと)
最近微妙にイライラすることが増えた。

え?仕事ですかって?

いや、それもあるんですけどね。
下らん話なのですが、外を歩いているときなんですよ。
半端に広い歩道を歩いているとき。

最近、日本の男女の体格が向上して
男よりも、女の人の方がたしか体格の向上が著しいらしく
概ね、若い女性で背の大きな人は、私と同じぐらいなんですよね(168cm)

で。

基本、男よりも女の人の方が足が長いので
昔は私よりも明らかに歩くのが遅い女性が大半だったのですが
私と殆ど変らない速度で歩く女性が増えたんですよね
でも、さすがに私ほどセカセカとは歩かないので、若干歩く速度が遅いのです。

その結果、何が起こったかというと

まずですね。半端に広い道路の前方左斜め前に女性が歩いていて
当然私の方が「若干」歩くのが早いので、徐々に追いつくんですね
だが、不思議なことに私が近づいてくると「少しだけ」歩く速度が上がるのだ。
そのため、彼女のことを追い越すのに時間を要し、追いつくときまでの速度でそのまま歩きぬけることができれば
2〜3秒程度で追い越せたところが
10秒ぐらいかかったりすることがあるのだ。

なぜかこのとき私は、小学校の頃にやった「旅人算」を思い出してしまう。
人間の体の厚さが50センチだとして、私が完全に彼女を追い抜くまでには彼女のすぐ後ろに来てから、1メートル歩かねばならず
彼女の歩く速度を時速4.0キロ、私の歩く速度を4.5キロとしたときに、その差、時速0.5キロ
秒速に直せば、13.9センチ/秒
となると、彼女を追い越すには7.2秒、か。
恐らく加速する前の彼女の速度は時速3.5キロぐらいだったので、その場合は27.8センチ/秒で距離が縮まり
彼女を追い越すのに3.6秒程度で済む。
おお、略2倍だ。

なんて、ことを考えながら歩いているんだが彼女の反応はそうではない。
明らかに

「わざわざ歩く速度を同じにして、こっち見ないでよ」

といった、表情になっているのだ。
あ、いや、あのですね。別に顔を覗き込んでいるわけじゃないんです。
なんとなく、ね。きっとそう思っているだろうな、みたいな。
まぁ、いいや。どうせ信じてはもらえまい。

なんとなく全身に伝わる警戒心。
僕はただ単に早く彼女を追い抜きたいだけなのに。

なので。
最近こういう私と歩く速度が同じぐらいの女性が前方を歩いている場合には
「小走りで走り抜けるように」
心がけています。

ああああああああ、ストレス。