ピンキリ

(商品市況概況)
「1にも2にも、米不良債権処理」
 昨日のコモディティ市場は軒並み反発した。米国発の金融不安が拡大する中、各金融市場の流動性が著しく低下、キャッシュ化の動きが続いた1週間であったが週末に掛けて各国中央銀行がドル供給で合意したと発表したことや、来週発表(このレポートを皆さんが読むのが月曜日であれば今週)予定されている米政府による不良債権の公的処理機関の設立構想が示されたことが株価の上昇を誘発し、キャッシュ化の動きに歯止めが掛かったためである。また、米株式市場における株の空売り規制の強化も価格の押し上げ材料となった。今目の前にある金融危機回避に向けて、米国政府が「何でもありモード」に突入した可能性が高く、日本が10年以上かかって取り組んだ不良債権処理がわずか数週間の間に進行していることが好感されてた格好だ。
 しかし、である。不良債権の公的処理機関が設立されたとしても、実際に不良債権がバランスシートから切り離され、処理が抜本的に解決するには未だ時間を要すると見られ、それが終了した後の景気回復にはそれなりに時間がかかると見られることから、しばらくはコモディティ価格も上値が限定される相場展開が続くものと予想される。1にも、2にも、今後の各国政府の経済対策、金融危機対策に左右される展開が続くと予想される。日本は今月中に自民党総裁選、年内に衆院解散総選挙、といった政治的なイベントが予定されているがのんびりしている時間はないように思われる。危機は大きいものの、各国政府の対応は予想以上に速い。

(経済関連ニュース)
・8月独PPI 前年比+8.1%(前月改定+8.9%)、市場予想+8.3%。
・米ポールソン財務長官、FRBバーナンキ議長、信用市場逼迫の緩和に向けた立法を議会に求めるための提案を週末をかけて作成と発表。
信用市場の悪化をもたらしている不良債権をバランスシートから切り離す案が軸になると見られる(外科的処置。バブル期の日本の不良債権処理に似ている)。
IMF筆頭専務理事 ジョン・リプスキー「世界的名規模の混乱が世界的なリセッションにつながることはないだろう」

・ドルは対ユーロで小幅上昇。米政府が金融機関の不良債権をバランスシートから切り離す仕組作りに着手との報道を受けてドルが買い戻された。こうした発表を受けて株式市場に急速に安心感が広がったことから再び円が売られ、ドルは対円で3円に迫る大幅な円安となった。

日本株は大幅に反発。日米欧の中央銀行によるドル資金供与や、金融機関の不良債権を処理するための公的機関の設立といった報道が好感され、日本株は大幅に買い戻されることとなった。リーマン・AIG問題に始まり、激動の一週間であった。米株も大幅に続伸。公的機関による不良債権処理の加速の期待感から、売り込まれてきた金融機関株が買い戻されることとなった。また、金融機関株の空売り規制実施も相場を押し上げることになった。株価下落に歯止めを掛けるため、「できることは何でもする」モードに米国が入りつつあることが好感されている様子。

穀物市場サマリー)
・大豆価格は上昇。米公的不良債権処理機関設立構想の発表(詳細は不明)を受けて信用市場・株式市場が回復する中、エネルギー価格が上昇、エネルギー依存度の高い穀物価格も上昇することになった。これ以外の特段目立った材料はない。但し11?を下値として小動き、との印象である。イールドカーブは期先を中心に上昇している。

・トウモロコシ価格も上昇。不良債権処理進展期待に伴う株価の上昇、信用市場の落ち着きといった材料を受けてエネルギー価格が回復する過程でトウモロコシも物色された。イールドカーブは全ゾーン略パラレルに上昇している。
・小麦価格も上昇した。材料は同じく、株価の回復や不良債権処理の進展期待でコモディティ全般に買い戻しが入ったことである。この間のドル高進行は殆ど材料にされなかった。イールドカーブは全ゾーン小幅上昇。

非鉄金属関連ニュース)
・NY金は急落。リーマン・AIGの経営危機がその他の投資銀行にまで拡大する中ドルが急速に弱含んでいたが、米ポールソン財務長官、FRBバーナンキ議長の「不良債権公的処理機関の設立」構想発表を来週初に控え、ドルが急速に上昇したことから質への逃避で物色されていた金に手仕舞い売りが入った。しかしながら公的機関の詳細が未だ明らかになっておらず、引き続き下値では金が物色される流れに大きな変化はなく、引けに掛けては買い戻され下げ幅を削る展開となった。各国中央銀行も金の購入に関して前向きなコメントをしていることも下値を限定させている。
 足許、米国の金融危機が収束する気配がなく、ユーロ圏の景気が鈍化し始めていることによる極端なドル安が修正される動きがあったのだが、再びドル安が加速している。今後、不良債権処理に関わる公的機関の設立とその詳細に焦点が当たる中、引き続き不安定な推移が続くことになろうか。また同時に地政学的リスクの高まり、原油価格が依然高止まっていることなどから安全資産であり、市場規模のうちの半分近くが投機資金である金は質への逃避で物色され易く、下値は堅いと見ておきたい。
 NY銀も下落。こちらは30日移動平均線がとりあえず上値となり、ドル高の進行が相場を押し下げることとなった。"

・NYプラチナは上昇。不良債権処理を行う公的機関の設立構想でドルが強含んだが、プラチナの場合、この公的機関設立の動きが経済にとってプラスであり、工業品として用いられる比率の高いプラチナの需要が回復するのではとの期待感から買い戻しが入ったようだ。しかしながら10日移動平均線レジスタンスを上抜けするには至らず、依然として「様子見」気分が強いとの印象を受ける。今のところ下値は1,000?、上値は1,200?近辺が意識されている状態。
 中期的な見通しについてプラチナは、低い水準で安定すると考える。世界経済への影響が大きい米景気の悪化、GM、フォードといった自動車産業の景況感悪化に反映される自動車販売の減少に伴う触媒需要の減少観測を受け、このコラムで指摘してきた需要減少のリスク要因の影響が大きくなってきている状況であるためだ。しかしながら南アフリカの生産が安定しない環境下、環境に配慮した自動車の需要は堅調であることも鑑みれば大幅な調整にはなりにくいと考える。また、プラチナ価格が大きく下落したことから、代替品としてのパラジウム需要の増加が期待ほどには増加しないことが予想されることも、プラチナ価格の下支え要因となろう。
 NYパラジウムもは小幅安となった。
 今後パラジウムの価格は軟調に推移すると考える。プラチナ価格が自動車向け需要の減少観測とドル高の進行で下落しているため、代替品として需要が減少すると見られるためだ。また、非常に多い地上在庫(弊社見積もりではチューリッヒに8百万オンス、ロシアに10百万オンスの地上在庫があると見ている)が、価格の上限を押さえることとなろう。"

・2008年8月末 日本国内ステンレス在庫 前月比+1,556Mt(前月比+1.3%)の124.480KMt。ニッケル系ステンレス 前月比+112Mt(+0.2%)の67.149KMt、クロム系ステンレス +1,659Mt(+3.0%)の57.27KMt。

(エネルギー関連ニュース)
・メキシコ湾の稼動停止 1.16MBD(89.2%)が稼動停止。ガスは5.58BCF(75.4%)が生産停止に。グスタフ、アイクの影響で(9月19日現在)。
・ナイジェリア Shellは武装勢力の攻撃を受け、280KBDの生産が停止の状態に。

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は上昇した。LME在庫が米国で大幅に増加(倉庫会社の営業の影響もあるが、信用市場の収縮に伴うキャッシュ化の動きによるもの)の影響で一旦下落したが、米不良債権処理の公的機関設立構想が発表されたことにより、著しい信用収縮懸念が後退、株価の上昇と相俟って買い戻しが優勢となった。この結果10日移動平均線を再び回復、7,000?を上抜けたところから上げ幅が加速し一気に7,000?を回復して引けている。世界経済の縮小懸念が急速に台頭し始めていることが相場の地合いを悪化させていたが、公的機関設立構想を受けて一旦落ち着きを取り戻した。しかしこの動きが継続するかどうかは今後の政府の対応による。同時に、引き続きコンセントレートの供給懸念は根強く、中国の固定資産投資や鉱工業生産の水準の高さを鑑みれば下値は限定されるとの見方に変更はない。LME在庫は+5,650Mt増加、(FSCは4.0日)、(キャンセルワラント率は8.6%)。売買高は14,703枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期近を中心に大幅に上昇しブルスティープニング。C-3(Cash vs 3M Fwd)は25?バックとバック幅を拡大した。
 昨日の亜鉛価格は上昇した。不良債権の公的処理機関の設立構想発表を受けて株価が大幅に回復したことなどから、買い安心感が広がり亜鉛が買い戻された。とはいっても景気の先行きに不透明感が漂う中上昇余地も限られたとの印象であり、同時にコスト割れの生産者も増加していると考えられることから1,600?を下回る水準までの下落は現時点では考えにくく、しばらくは低い水準でのもみ合いが続きそうな相場展開である。LME在庫は▲100Mt減少、FSCは4.7日(キャンセルワラント率は4.2%)。売買高は3,969枚。イールドカーブは期近の上げ幅が大きい。C-3は28?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日の鉛価格は上昇した。LME在庫の減少が継続していることに加え、米政府による不良債権処理の公的機関設立構想の発表に伴い、信用市場の悪化懸念が急速に縮小、暴落していた各国株価が上昇する中、鉛にも買い戻しが入った。もちろん、LME在庫の減少やキャンセルワラント率の高さといったファンダメンタルズの買い材料も相場を押し上げることとなった。但し、景気の悪化はしばらく続くと見られ、今後も景気の悪化とともに自動車向け需要が減退すると予想されることからしばらくは軟調な推移となろう。LME在庫は▲1,350Mt減少、(FSCは2.9日、キャンセルワラント率は11.3%。)。売買高は1,538枚。イールドカーブは期近を中心に上昇し、ブルフラットニング。C-3は10?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日のアルミ価格は上昇した。LME指定倉庫への現物搬入の動き(キャッシュ化の動き)が米国で広がる中、足許の需給の緩和が急速に広がっていたが、米政府による不良債権処理の公的機関設立の報道を受けて急速に株式市場が回復、原油価格の上昇と相俟ってアルミ価格も上昇することとなった。これにより採算ラインの下限である2,500?ラインを回復するに至った。当面は景気悪化に焦点が当たり下値余地を探る展開が続く可能性が高まってきたが、将来の中国からのアウトフローの明確な減少懸念もあって、下落局面では安値拾いの買いも入りやすく一本調子の下落にはならないだろうとのスタンスである。しかしいずれにしても米金融不安が拡大する可能性が高い中、予断を許さない状況が続くことになろう。LME在庫は+3,025Mt増加、(FSCは11.7日)。(キャンセルワラント率は1.4%)。売買高は10,086枚。イールドカーブは期近の上げ幅が大きく、ブルフラットニング。C-3は52?コンタンゴと前日と変わらず。
 昨日のニッケル価格は上昇した。材料は他のコモディティと同様、米政府の公的不良債権処理機関の設立構想発表に伴う、信用市場・株式市場の悪化に歯止めが掛かったことである。但しニッケルはLME在庫の欧州での急増の影響もあって、小幅な反発に留まっている。LME在庫は+462Mt増加、(FSCは12.2日)、キャンセルワラント率は2.6%。売買高は1,160枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに上昇している。C-3は177?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日の錫価格は上昇した。LME在庫は変わらずであったが、米政府による不良債権の公的処理機関設立構想によって株式市場・信用市場の悪化に一定の歯止めが掛かり、価格が上昇する中錫も買い戻しが優勢となった。この間進行したドル高は殆ど材料とされなかったインドネシアや中国の生産輸出状況に改善が見られない中(インドネシアは悪化)、ファンダメンタルズを材料にしっかりとした推移が続くと考えているが、足許のセンチメントは完全にベア転している。LME在庫は前日比変わらず。(FSCは5.8日)、キャンセルワラント率は2.86%。売買高は244枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きく、ブルフラットニングしている。C-3は90?バックとバック幅を拡大した。

(エネルギー)
" 昨日のNY原油は上昇した。金融市場の混乱が拡大する1週間であったが、不良債権処理を行う公的機関の設立構想が急速に浮上しており、政府主導の不良債権処理が加速するとの期待感が信用市場の急速な縮小に歯止めをかけ、エネルギー市場にも流動性が回復、値ごろ感からの買い戻しが優勢になったためである。また、ナイジェリアの武装勢力によるShellのプラント攻撃も材料視されたようだ。この間、急速にドル高が進行したものの昨日に関してはドル高の進行は余り材料視されなかった、この結果7月中旬から下回り続けてきた10日移動平均線を上抜けし、WTIは上昇するに至っている。イールドカーブは期先・期近が上昇しブルフラットニング。クッシング在庫がハリケーンの影響等で大幅に減少していることがカーブのフラット化をもたらしたようだ。Brentも略全ゾーンパラレルに上昇しているが、こちらはコンタンゴを維持したままである。直近限月の騰落率はWTIは+6.0%、Brentは+4.5%。
 石油製品も上昇。RBOBも原油が買い戻される中大幅な上昇となった。そもそもハリケーンの相次ぐ襲来の影響で在庫の水準がFSCベースで著しく減少しており、域内需給がタイトなためである。この結果RBOBは大幅に上昇することとなるが、そもそもの需要減少速度が速く、50日移動平均線レジスタンスを上抜けてまで上昇するには至らなかった。イールドカーブは期近の上げが大きいが略全ゾーンパラレルに上昇している。直近限月の騰落率は+4.3%。ヒーティングオイルも上昇した。相場の展開は殆ど同じで原油に連れ高となった。FSCベースの在庫水準の低さからこの信用不安拡大の中でも下値は堅かった。しかしながら水曜日の統計で需要の大幅な減少(略、季節性を無視した需要の減少)が見られていることから、上値も限定さえr田との印象である。イールドカーブは略パラレルに上昇している。直近限月の騰落率は+3.8%。ICEガスオイルも上昇。イールドカーブは期近の上げ幅が大きい。イールドカーブは略シーズナルスプレッドがなくなっている状態。直近限月の騰落率は+3.4%。

(ひとりごと)
しかし、嵐のような1週間でありました。
破綻、不良債権処理の公的機関設立構想発表までわずか1週間。
米国発の金融危機ではありますが、その後の対応の速さはさすがアメリカ、と関心します。

チャーチル、だったと記憶しているが、彼が

アメリカは最終的には正しいことをする。但し、その前に必ず大きな過ちを犯すが」

といったのを思い出した。
って。何の本で読んだんだっけ、この言葉。

さて。

少し時間があったので、子供相談室のホームページをチェックしていた。
(最近、超お気に入り)
子供の質問は純粋でかつ、私たちが当たり前のように使っている言葉にも疑問を投げかけてくるのだが
いかに我々が何も意識しないで言葉を使っているか、思い知らされた。

「ピンからキリまで」

のピンキリって、どこから来てる言葉だか知ってます?
今まで語源まで考えたことなかったのだが、ピンキリのピンは「1」という意味らしい。
1人で頑張ってる芸人のことを、ピン芸人、と言ったりするがこの場合のピンは1を表し、ピンキリのピンと同じらしい。
ポルトガル語が語源、とのこと。
また、「ハナから信じていない」のハナも「1」を表すらしく、こちらは韓国語らしい。
うーん。要はカタカナ外来語ってことなんですな。

それでキリの方は歌舞伎に語源があるそうで、一段・一幕の最後の部分を「きり」ということに語源がある、とのこと。
つまり、ピンキリとは「初めから最後まで」という意味であり、我々が通常使っている「ピンキリ」とは大分意味合いが違うようだ。
現在の我々は「ピンキリ=玉石混合」といった使い方が多いが、改めないと。

勉強になるので、皆さんも時々子供電話相談室に電話してみたらいかがでしょうか?

あ、しないですかそうですか。