ハリケーンシステム-その2

(商品市況概況)
「政治主導で非常にボラタイルな展開に」
 昨日のコモディティ価格は大幅に反発した(在庫が増加した穀物と、ドルが強含んだ影響を受けた貴金属は下落)。米金融安定化法案の否決の影響によって各国株価が大暴落したことで、「さすがにこの影響の大きさを見た米議会は同法案を再可決するであろう」との味方が広がり、買い戻しが優勢となった。しかし一回否決したものを再度可決するには何らかの修正が強いられることになるため、その内容によっては再び市場にマイナスのインパクトを与えることになろう。再可決に時間がかかれば比較的サブプライムの被害が少ないと言われていた欧州・日本の金融機関にも実態経済の悪化を映じて悪影響が出てくると予想されるため、一刻も早く再可決して欲しいところである。また、今回の法案は「不良債権の買取」までであり、資本不足になった金融機関への対策は織り込まれていないため、この法案が可決した後、もう1ラウンドあることになると考えている。
 いずれにしても現在の商品相場は「政治リスク」「金融機関の業況悪化に伴う流動性の低下リスク」と「実態経済の悪化に伴う需要の減少リスク」と「金融機関の経営問題を背景とする通貨の大幅な変動リスク」の4種類のリスクに晒されており、その中でも現在は政治リスクの影響が大きいと考えている。

(経済関連ニュース)
・Q208英GDP確定 前年比+1.5%(改定値比+1.4%)、市場予想+1.4%。
・9月独失業者数 前月比▲29千人の318万人(前月改定▲40千人)、市場予想▲15千人。失業率7.6%。
・9月ユーロ圏CPI速報 前年比+3.6%(前月改定+3.8%)、市場予想+3.6%。
・7月米S&Pケース・シラー住宅価格指数 前年比▲16.3%(前月▲15.9%)、市場予想▲16.0%。
・9月米消費者信頼感指数 59.8(前月改定58.5(速報比+1.6))、市場予想55.0。
・世界の株の時価評価、ピークから2,000兆円目減り(日経新聞)。

(10月日銀短観
・大企業製造業業況判断DI ▲3(前回調査時比▲8)、市場予想▲2。見通し▲4、市場予想▲3。
・大企業非製造業業況判断DI +1(前回調査時比▲9)、市場予想+5。見通し▲1、市場予想+2。
・中小企業製造業業況判断DI ▲17(前回調査時比▲7)、市場予想▲16。見通し▲25、市場予想▲20。
・大企業非製造業業況判断DI ▲24(前回調査時比▲4)、市場予想▲26。見通し▲31、市場予想▲30。
・2008年設備投資 大企業全産業 前年比+1.7%(前回調査時+2.4%)、市場予想+2.4%。中小企業全産業 前年比▲12.9%(▲20.2%)、市場予想▲16.1%。

・ドルは対ユーロで大幅上昇。ベルギーの金融サービス大手デクシアがベルギー・フランス領政府により救済されたことや、フォルティスの救済といった金融不安が欧州まで拡大していることや、ユーロ圏景気の先行き悪化懸念も相俟って、ユーロは導入以来最大の下げとなった。対円でもドルは上昇。
日本株は大幅に下落。米金融安定化法案否決の影響で、金融不安が拡大、金融株や不動産、輸出関連株等幅広く売られた。米国株は急反発。米議会による金融安定化法案の否決から一転、市場の影響の大きさを見た米議会もさすがに法案を可決するであろうとのみ方から買い戻しが優勢となった。但し、引き続き政治がボールを握っている状態に変わりはない。

穀物市場サマリー)
・大豆価格は続落。USDAが発表した9月1日在庫水準が205.0百万Bu(市場予想145百万Bu)となったことから需給緩和観測が広がり、ドルの急騰と相俟って大幅な続落となった。イールドカーブは略全ゾーンパラレルに低下している。

・トウモロコシ価格も続落。大豆と同様、USDA発表の9月1日在庫が1,624百万Bu(市場予想1,541百万Bu)となったことやドル高の信仰が嫌気された。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下している。
・小麦価格は小幅上昇。USDA発表の在庫が1,860百万Bu(市場予想1,940百万Bu)となったことから買われた。但しドルの急騰やその他の穀物の下落もあり、上げ幅は限定された。イールドカーブは全ゾーン小幅上昇。

非鉄金属関連ニュース)
・NY金は下落。金融不安が欧州にまで拡大する中でドルが急騰したことから金は売られることとなった。しかし引き続き、金融安定化問題が片付いておらず、政治的な問題の解決に相場が左右され易いのはコメントしたとおりであるが、今回の法案否決によって次回の修正案がどの段階で提出され、どの段階で可決するかが不透明になってしまったため、ドル安と安全資産への逃避の動きから当面堅調な動きになろうか。
 NY銀も下落。ドルがユーロ開始以来最大の上げ幅となったことが嫌気された。

・NYプラチナは続落。ドルが対ユーロで強含んだことから大幅な続落となった。心理的な節目である1,000?をトライする展開に。世界景気の減速懸念の高まりから足許下押し圧力がかかり易い。本日も1,000?を挟む攻防が予想される。
 中期的な見通しについてプラチナは、低い水準で安定すると考える。世界経済への影響が大きい米景気の悪化、GM、フォードといった自動車産業の景況感悪化に反映される自動車販売の減少に伴う触媒需要の減少観測を受け、このコラムで指摘してきた需要減少のリスク要因の影響が大きくなってきている状況であるためだ。また、米金融安定化法案が否決されたことでさらに金融機関を中心に業況の悪化が予想される。南アフリカの生産が不安定なことはもはや材料にならなくなってきている。しばらくは経済の混乱が続くと見られることから軟調な推移gあ続こうか。
 NYパラジウムも下落した。ドルの対ユーロでの急騰が材料。今後パラジウムの価格は軟調に推移すると考える。プラチナ価格が自動車向け需要の減少観測とドル高の進行で下落しているため、代替品として需要が減少すると見られるためだ。また、非常に多い地上在庫(弊社見積もりではチューリッヒに8百万オンス、ロシアに10百万オンスの地上在庫があると見ている)が、価格の上限を押さえることとなろう。"

・Alcoa Rockdale精錬所(テキサス)の生産引き上げを先送り。電力価格の高止まりで。

(エネルギー関連ニュース)
・特になし。

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は下落した。昨日早朝の米金融安定化法案否決を価格に織り込んでいなかったことから取引序盤から売りが加速、ドルが対ユーロで大幅に上昇したことも合って大幅に水準を切り下げる動きとなった。ところがこの法案否決の影響が余りにも大きかったことから「米議会が金融安定化法案を再可決するのでは」との期待感から株価が上昇したこともあって買い戻しが優勢となり、下げ幅を削った。コンセントレートの継続的な不足や中国の需要が高い固定資産投資に見られるように堅調である等のファンダメンタルズの強さもあって下値は堅いと見ていたが、予想だにしない金融危機の広がりを受けてしばらくは下落圧力が強まることになろう。相場の先行きは短・中期的には政治にゆだねられている。LME在庫は▲325Mt減少、(FSCは3.8日)、(キャンセルワラント率は2.2%)。売買高は12,424枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期近を中心に全ゾーン低下している。C-3(Cash vs 3M Fwd)は28?バックとバック幅を拡大した。
 昨日の亜鉛価格は下落した。銅と同じく、昨日早朝の米金融安定化法案否決を価格に織り込んでいなかったことからアジア時間から売りが加速、ドル高の進行も相俟って下値を試す動きとなったが、同法案の再可決への期待から株に買い戻しが入ったことを切っ掛けに亜鉛も下げ幅を削る動きとなった。コスト割れの生産者が増加していると考えられることから1,600?を下回る水準までの下落を想定していなかったが、政治を巡って想定していなかった事態が発生しているため、この水準を割り込む可能性も短期的には視野に入れざるを得ない。LME在庫は▲250Mt減少、FSCは4.6日(キャンセルワラント率は3.4%)。売買高は6,118枚。イールドカーブは期近を中心に全ゾーンパラレルに低下している。C-3は27?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日の鉛価格は小幅上昇した。朝方は、米金融安定化法案否決の影響を織り込みながらドル高の影響もあって欧州時間に掛けて水準を切り下げる動きとなったが、同法案の再可決期待で株価が回復したことを手がかりに下げ幅を削り、結局前日比小幅プラスまで買い戻された。今後も景気の悪化とともに自動車向け需要が減退すると予想される一方で、在庫の減少が続いていることから現状水準での高止まりが続くことになると考えていたが、想定しない事態になっているため、しばらくは政治動向を睨みながら神経質な展開になりそうだ。LME在庫は▲275Mt減少、(FSCは2.7日、キャンセルワラント率は3.6%。)。売買高は2,706枚。イールドカーブは期近の下げ幅が大きく、ベアスティープニングしている。C-3は20?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日のアルミ価格は下落した。取引序盤は、米金融安定化法案否決を織り込む形で水準を切り下げ、昨年から割り込み切れない2,400?の攻防ラインを試す動きとなったが、同法案否決の影響の大きさを受けて米議会が再可決するのではないかとの期待感から株が買い戻されたことや、エネルギーが買い戻されたことが材料となり欧州時間からNY時間にかけて反発し、下げ幅を削る展開となった。将来は中国からのアウトフローが減少する懸念もあって、下落局面では安値拾いの買いも入りやすく一本調子の下落にはならないだろうとのスタンスであったが、今まで想定していなかった事態が政治主導で発生しているため、下落余地が広がっていると考えられる。当面、政治主導で予断を許さない状況が続くことになろう。LME在庫は+3,500Mt増加、(FSCは12.0日)。(キャンセルワラント率は1.4%)。売買高は13,587枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下している。C-3は49?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日のニッケル価格は大幅に下落した。昨日早朝の米金融安定化法案否決を織り込む形で寄り付きから16,000?ラインを割り込み軟調な推移となり、LME在庫の増加やドル急騰もあってさらに下値を試す動きとなったが、米議会の法案再可決期待から株が戻したことを受けて買い戻しが入り、寄り付き比ではプラスで引けた(但し前日比は大幅なマイナス)。LME在庫は+474Mt増加、(FSCは13.0日)、キャンセルワラント率は2.0%。売買高は1,533枚。イールドカーブは期近を中心に大幅に全ゾーン低下している。C-3は250?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の錫価格は下落した。米金融安定化法案否決の影響を織り込む形で早朝は下落したものの、米議会の法案再可決期待から株価が上昇したことなどを材料に反発、10日移動平均線をトライする動きとなったが、急速なドル高の進行もあって上げ幅を削り、結局行って来いの展開であった。そもそもインドネシアや中国の生産輸出状況に改善が見られない中(インドネシアは悪化)、ファンダメンタルズを材料にしっかりとした推移が続くと考えているものの、米金融安定化法案が否決されたことで下げ余地を探る展開にならざるを得ないだろう。LME在庫は▲185Mt減少、(FSCは5.7日)、キャンセルワラント率は9.6%。売買高は714枚。イールドカーブは全ゾーン略パラレルに低下している。C-3は72?バックとバック幅を縮小した。

(エネルギー)
 昨日のNY原油は大幅に反発した。そもそも下げ幅が大きかったことによる安値拾いの買いがアジア時間の早朝からみられたことや、金融市場の大暴落を見た米議会がその影響の大きさから米金融安定化法案を再可決するのではとの見方が再度広がり、買い戻しが優勢となった。好むと好まざると、現在の相場は政治決断に左右される相場となっており非常にボラタイルな状態が続いている。結果原油価格は100?を回復するに至った。この間急速にドルが対ユーロで史上最大の上げ幅となったのだが殆ど材料視されなかった。イールドカーブは略全ゾーンパラレルに大幅に上昇している。Brentもパラレルに上昇している。直近限月の騰落率はWTIは+4.1%、Brentは+4.1%。
 石油製品も大幅に上昇。RBOBも取引序盤から買い戻しが優勢となり、原油の上昇もあって10日移動平均線を目指して上昇した。イールドカーブは期先の上げ幅が大きい。直近限月の騰落率は+3.4%。ヒーティングオイルも上昇。こちらもRBOBと同様の相場展開で、10日移動平均線は上抜けできずに引けている。イールドカーブは期近の上げ幅が大きいが全ゾーン上昇している。直近限月の騰落率は+3.5%。ICEガスオイルは下落。イールドカーブはパラレルに低下。直近限月の騰落率は▲0.6%。

(ひとりごと)
今日は都民の日で、東京都の小学生はお休みのはずである。
皆、天気悪いけどどこかに行くんだろうか。

さて。

最近すごく気になることがある。
昨日もたまたま書いたが「台風」のことなんですけどね。
昔って、もっと太平洋の南東の方からやってきて

四国とか
九州とか
時々関東とか

を脅かすものだったと思っているんだけれど
最近の台風って、台湾を通過して中国に行くかと思ったら
殆ど90度右に曲がって、太平洋ベルト地帯を通過するんですよね...
あんまりこんな動きをする台風はあんまり見た記憶がない
まるで中国に上陸するのを嫌がっているかのように

ひょっとして....

中国、「アンチ・ハリケーンシステム」持ってるんじゃないの!?
鹿島建設や、大林組製の

って。

そんなことないですか、そうですか。