今年の漢字

(商品市況概況)
「下落後反発」
 昨日のコモディティ価格は大幅に下落した後、反発して引けた。米上院で自動車会社の救済策が合意に至らなかったことからパニック的に売り込まれ、為替も88円台に突入するなど、アジア〜欧州時間に掛けては混乱状態が続いたが、NY時間にはいってから、米下院ぺロシ議長がIT投資を柱とする経済対策を来年1月にも実施する見込みであるとコメントしたことや、米ブッシュ大統領がビッグ3救済に向けて別の対策を講じていることなどが材料視されて株価が反発したため、NY時間の引けに掛けては下げ幅を大幅に削る展開となった。
 このコラムで指摘させてもらっているが、「政治決断により相場の変動性が高まる、ボラティリティの高い状況に我々は置かれている」ことは強く認識しておく必要があろう。
 
 2009年は上期は価格が低い水準で推移するものの、生産者の生産抑制や政府の経済対策期待(しかし政治決断はゼロサムゲーム)からボラティリティの高い展開が予想され、下期以降は景気の底打ちにより価格が上昇することになると考える。特に景気回復局面で価格が上昇し易い銅は、来年末〜再来年初に急騰するリスクがあると考えている。一方、原油価格は2009年を通じて冴えない相場展開になる可能性が高いと考えている。過去のOPECのオペレーションを見るに、価格が減産によって落ち着くまでには「生産調整が終了してから大体3ヶ月程度」かかることが分かっており、OPEC減産は少なくとも来年のQ309まで続くと見られることから、原油価格は2009年の後半に掛けて上昇することになると考えている。

(経済関連ニュース)
・10月日本鉱工業生産確報 前月比▲3.1%(速報比変わらず)、前月改定+1.1%
・11月米小売売上高 前月比▲1.8%(前月改定▲2.9%(速報比▲0.1%))、市場予想▲2.0%。
・11月米PPI 前月比▲2.2%(前月改定▲2.8%)、市場予想▲2.0%。コア指数 前月比+0.1%(前月+0.4%)、市場予想+0.1%。
・12月米消費者マインド指数速報 59.1(前月改定55.3)、市場予想54.5。
・10月米企業在庫 前月比▲0.6%(前月改定▲0.4%(速報比▲0.2%))、市場予想▲0.2%。売上高在庫比率1.56ヶ月(前月改定1.51ヶ月)。

・ドルは対ユーロでもみ合い、略横ばいで推移した。期待されていた米自動車救済策が上院で否決されたことを受けてドルが全面安となる中、ユーロ圏の景気後退観測や米政府によるIT投資を柱とする経済対策への期待感からドルが買い戻され、結局行って来いであった。ドルは対円では大幅に下落。一時88円台に突入したが、米政府の自動車会社救済策への期待感が高まったことから下げ幅を削った。
日本株は急反落。米上院が自動車会社救済策を否決したことから自動車関連株に売りが殺到、円高の極端な進行の影響も手伝い、輸出関連株が売られたことから大幅な下落となった。米国株は反発。自動車救済策否決を材料に下落して始まったが、ぺロシ下院議長がIT投資の増加を柱とする景気刺激策を来年に採決する可能性が高いと述べたと報じられたことから買い戻しが優勢となり、前日比プラスで引けることとなった。

穀物市場サマリー)
・大豆価格は小幅下落。米自動車会社救済策の否決の影響で株価が暴落しセンチメントが悪化する中、一旦下値を探る動きとなったが、10日移動平均線でサポートされた上、米議会の経済対策期待や輸出統計がブルであったことなどがセンチメントを反転させ、引けに掛けて下げ幅を削る展開となった。イールドカーブは略パラレルに低下している。
・トウモロコシ価格は大幅に上昇。調査期間の発表で、2009年のトウモロコシの作付が2008年の85.9百万エーカーから82.3百万エーカーに大幅減になると見通しが示されたことや、夜間の株反発が材料となった。トウモロコシ価格は10日移動平均線でサポートされながら、30日移動平均線まで一気に水準を切り上げて引けている。イールドカーブは略パラレルに上昇。
・小麦価格も反発。米自動車救済策白紙撤回の影響で一時10日移動平均線を割り込んだが、NY時間の後場にかけて大幅に水準を切り上げて引けている。イールドカーブは期近の上げ幅が大きい。

非鉄金属関連ニュース)
・NY金は小幅下落。前2営業日の価格上昇が非常に大きかったことや、米自動車会社の救済策が上院で可決しなかったことから、利益確定の売りに押されることとなった。しかしながら景気の先行きの不安定さから100日移動平均線を割り込むには至っていない。
 今後については、ドル/ユーロ相場と金価格の一次回帰分析の結果、現在の価格はドル安に転じない限りは概ね120ドル程理論値から高い状態であることから、600ドル〜620ドルまで下落する可能性があると考えている。その一方で安全資産としての金の需要は堅調であることから、下値も限られると考えている。
 NY銀も下落。足許、10日移動平均線を下値に比較的堅調な推移となっている。

・NYプラチナは大幅に下落。米上院で自動車会社の救済策が合意に至らなかったことが失望売りを誘い、大幅な下落となった。有事に買われる金と異なり、プラチナは工業品としての需要が多いため株等の指標や自動車関連企業業績に価格が左右され易い。しかしながら800ドルラインは割り込まずに引けている。
 急速な実体経済の悪化を受けて、プラチナ価格は大幅な調整後、冴えない展開が続いている。中期的な見通しについてプラチナは、低い水準で安定すると考えているものの、現在の水準は売られすぎであると考えられる。プラチナ生産の70%を占める南アの電力問題は4-5年解決の目処が立っていない。一方でアジアを中心とした自動車需要は比較的堅調に推移すると見られ、環境面から米国もプラチナの消費を増やさねばならない(AngloPlatの見通しでは普及率が5-8%であればさらに300キロオンス〜500キロオンスの需要増が見込まれる。)。こうした環境下、2008年、2009年のプラチナ需給は各々181キロオンス、458キロオンスの供給不足の状態になると考えており、供給不足が地上在庫で相殺されると期待されるものの信用不安が高まる中供給途絶のリスクは高いと考えておくべきだろう。但しこのシナリオのリスクは自動車需要が予想を上回ってさらに悪化した場合であるが、政府の救済策が合意に至らない等、混迷の度合いを強めておりこのリスクシナリオの蓋然性が高まってきた。
 NYパラジウムは下落。自動車会社の救済策否決の影響が大きかった。今後パラジウムの価格は低位安定すると考える。環境規制の高まりから引き続きプラチナ・パラジウム需要が高まり需給の改善が期待されるものの、予想を上回る経済状態の悪化が需給を緩和させる可能性が出てきているためである。また、チューリッヒ、ロシア、その他の地区の地上在庫が各々8百万オンス、10百万オンス、2百万オンス程度あると見られることや、自動車会社の救済策が迷走していることが上値を重くしよう。

・11月日本国内アルミ在庫 271.5KMt(前月253.5KMt)。丸紅調べ。

(エネルギー関連ニュース)
・特になし。

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は下落した。米自動車会社の救済策が否決されたことで株が暴落、需要の減少観測と相俟って大幅な下落となった。しかしながら米政府がITを中心とする経済対策を来年1月にも発表するとしたことからNY時間の後場にかけて買い戻しが入り、下げ幅を削る展開となった。足許、3,000ドルを下値に、10日移動平均線を上値に、狭いレンジでのもみ合いが続いている。ファンダメンタルズは少なくとも短期的には大幅に悪化している。先々コンセントレートが継続的に不足する可能性が高い環境に変りはないものの、足許の中国の需要が鈍化し始めている可能性が高まってきているためだ。中期的には中国政府の経済対策や米政府の景気対策の影響で価格は上昇すると考えるが、主要企業の決算期である12月を越えるまでは厳しかろう。LME在庫は+3,975Mt増加、(FSCは6.1日)、(キャンセルワラント率は1.3%)。売買高は10,138枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期近の下げ幅が大きく、ベアスティープニングしている。C-3(Cash vs 3M Fwd)は32ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日の亜鉛価格は下落した。米自動車会社の救済策が白紙撤回されたことが嫌気され、亜鉛価格も下落した。但し、NY時間後場に掛けては、ぺロシ下院議長のIT投資を軸とする経済対策期待により株価が反発したこともあって、下げ幅を限定する展開となった。いずれにしても足許、生産者がコスト割れの状態になっていると考えられることから下値も限られる状態が継続している。LME在庫は+2,425Mt増加、FSCは7.0日(キャンセルワラント率は0.9%)。売買高は3,677枚。イールドカーブは期近を中心に低下し、ベアスティープニングしている。C-3は18ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の鉛価格は下落した。米自動車会社救済策が白紙撤回されたことで一時、10日移動平均線のサポートを割り込んで大幅に下落したが、その後NY時間に新たな経済対策が実施される可能性が示されたことで、買い戻しが入り、10日移動平均線を回復して引けた。景気が悪化したものの、電気自動車、電気オートバイ、電気自転車向けのバッテリー需要は旺盛であり、他の非鉄に比べて実際ファンダメンタルズは強相対的に強い。しかしながら、足許、中国が課してきた精錬鉛の輸出関税が撤廃されるのではとの憶測記事が市場参加者を疑心暗鬼にさせており、じりじりと値を下げる動きとなっている。LME在庫は▲200Mt減少、(FSCは1.9日、キャンセルワラント率は2.6%。)。売買高は1,230枚。イールドカーブは期先の下げ幅が大きく、ベアフラットニングしている。C-3は8ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日のアルミ価格は下落した。米自動車会社救済策が合意に至らなかったことや、株の下落、世界各地での在庫の増加、といったマイナス材料が重なり力なく水準を切り下げる動きとなった。しかしNY時間後場に入ってから株が、政府の経済対策期待で反転したことから下げ止まって引けている。今後は金融クライシスが一旦回避されたものの、実態経済の悪化に焦点があたるため引き続き低い水準で冴えない相場展開になると見る。ただし、コストベースで見た場合、限界レベル(1,750ドル程度)を大きく下回って価格が下落していることから下げ余地は限られるとか予想する。ただ、中国がアルミ製品の輸出税を引き下げる見通しであることが域内需給の緩和要因になること、12月の欧米企業決算を超えるまでは企業の資金繰り負担が重く、新たな買いが入りにくい環境にあることからしばらくは冴えない展開が続こう。LME在庫は+15,725Mt増加、(FSCは17.5日)。(キャンセルワラント率は0.7%)。売買高は12,020枚。イールドカーブは略全ゾーンパラレルに低下している。C-3は40ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日のニッケル価格は大幅に下落した。米自動車救済策の白紙撤回と、LME在庫の欧州での激増が地合いを悪化させ、一気に10,000ドルの節目を試す展開となった。その後、NY時間の株の反転を受けて買い戻しが優勢となり、30日移動平均線を回復して引けている。Valeの生産調整に代表される生産者の生産調整が下値余地を限らせる一方、実態経済の悪化に伴う需要の低迷で上値も限られている。LME在庫は+594Mt増加、(FSCは17.8日)、キャンセルワラント率は1.0%。売買高は1,287枚。イールドカーブは期先を中心に低下し、ベアフラットニングしている。C-3は120ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日の錫価格は下落した。自動社会社の救済策が白紙撤回されたことが失望売りを誘い、10日移動平均線を上値として冴えない相場展開となった。LME在庫がシンガポールで大幅に増加したことも地合いを悪化させた。インドネシアや中国の生産輸出状況が徐々に改善し始めているようであり、アジア域内の錫在庫は増加傾向にある。とはいえLME在庫の水準は低く、需給はタイトであり今後も下値は堅いと考えている。イールドカーブバックワーデーションの状態であることを見るに不況下においても需給が逼迫していることが伺える。LME在庫は+120Mt増加、(FSCは4.6日)、キャンセルワラント率は7.96%。売買高は307枚。イールドカーブは略パラレルに低下している。C-3は245ドルバックとバック幅を縮小した。

(エネルギー)
 昨日のNY原油は下落した。東京時間の午前中に報道された米自動車救済策の上院での否決の影響で株価が暴落、原油を始めとする商品全体が売り込まれる中、原油価格も大幅に水準を切り下げ10日移動平均線を割り込む展開となった。その後NY時間に入ってからぺロシ下院議長が来年1月にIT投資を軸とする経済対策を発表する見込みであることを示したことや、ブッシュ政権が問題債権購入計画資金を活用する方向で自動車会社の救済を検討していると報じられたことから地合いが反転、一斉に買い戻しが入り下げ幅を削り、10日移動平均線を回復して引けることとなった。また、OPECの大幅減産の可能性も相場の支援材料となった。WTIイールドカーブは期近の下げ幅大きくベアスティープニング。Brentは期近が下落、期先が上昇している。直近限月の騰落率はWTIは▲3.8%、Brentは▲2.2%。
 石油製品も下落。RBOBも米自動車会社救済策否決の報道を受けて下落したが、NY時間の政府の経済対策、米政権の自動車会社救済策への期待から急速に値を戻し、10日移動平均線を回復して引けた。イールドカーブは期近の下げ幅が小さいが、略全ゾーンパラレルに低下した。直近限月の騰落率は▲0.1%。ヒーティングオイルもNY時間に入ってから上昇したが、週半ばに発表された米在庫統計でFSC水準が過去5年の最高水準には居ついていることから、ピークシーズンを控えているにも関わらず価格の抑制要因となり、10日移動平均線レジスタンスラインは上回れずに引けている。イールドカーブは期近の下げ幅が大きくベアスティープニング。直近限月の騰落率は▲0.9%。ICEガスオイルも下落。イールドカーブは期近を除き、パラレルに低下している。直近限月の騰落率は▲1.8%。

(ひとりごと)
恒例の「今年の漢字」が発表された。

今年は「変」ということらしい

変は変革の変、おかしいの変。
毎年この漢字を見ていて思うのだが、皆、本当に上手く選ぶものだと思う。
清水寺のお坊さんが決めているのかと思ったら
日本漢字能力検定協会が、12月12日の漢字の日に公募の結果、最も応募数が多かった漢字を選んでいるんだそうだ。

知らなかった。

ちなみに今年の漢字の変遷を見てみると

1995年は震
1996年は食
1997年は倒
1998年は毒
1999年は末
2000年は金
2001年は戦
2002年は帰
2003年は虎
2004年は災
2005年は愛
2006年は命
2007年は偽
2008年は変

となっている。
日本人の国民性を示すのか、いわゆる「良い意味」の漢字の数が圧倒的に少ない。
過去14年やっていて、一応プラスに捉えられそうな都市は2000年と2005年くらいだ。

と、思うと
我々日本人って、この15年近く
いい思いをしてきていないんですね。

来年はどんな漢字が選ばれるんでしょうか。
世界同時不況で恐らくまたネガティブな漢字が選ばれるんでしょうが

とか

とかが選ばれるような年になると良いな、と心から思う。