謎の店

(商品市況概況)
「潮目が変ったか?」
 昨日のコモディティ価格はソフトコモディティ以外、軒並み上昇している(エネルギーは期近は下落したものの期先は上昇)。中国正月明けの中国勢の買いが入る中、多くの商品が上昇することになった。そもそも経済環境に大きな変化は見られず、各国の経済対策期待で上昇した部分も否めないが、それよりも昨秋から進んでいた企業の第一弾の在庫調整に目処が付いたと見られ、コストを下回って売買されているコモディティには(繰り返しコメントしているが)行き過ぎた価格下落が修正される形で買いが入り始めているようだ。もちろん。今後企業の売上が引き続き低迷し、更なる在庫調整を余儀なくされるような場合には再び価格は下落すると考えられるが、経済統計の著しい悪化に歯止めが掛かりつつある状況の中、その可能性は年初に比べて低下していると考えられる。
 昨日もコメントしたとおりであるが、現在は下落基調で下値を探る動きになっているものの、今や原油は147ドルまで、アルミは3,300ドルまで、銅は8,800ドルまでチャートが引ける、という事実は動かせない。

(経済関連ニュース)
・1月米自動車販売、GM前年比▲49%、フォード▲40%、クライスラー▲55%、トヨタ▲32%、ホンダ▲28%、日産▲30%。
・12月ユーロ圏小売売上高 前年比▲1.6%(前月改定▲2.6%(速報比▲1.1%))、市場予想▲1.4%。
・米MBA住宅ローン申請指数 前週比+8.6%の732.1、借換指数+16%の3,906.3、購入指数▲11%の261.4。
・1月米ADP民間雇用者 前月比▲525千人(前月改定▲659千人(速報比+34千人))、市場予想▲535千人。
・1月米ISM非製造業総合景況指数 42.9(前月改定40.1)、市場予想39。
オバマ米大統領 総額9,000億ドルの景気対策法案の迅速なとりまとめを議会に要請。

・ユーロは対ドルで下落。東欧を含む欧州経済の悪化懸念と、米経済統計の悪化に歯止めが掛かったように見えることなどがドルの買い戻しを誘った。ドルは対円でも上昇。
日本株は反発。米国株の反発や資源価格に底入れ感が出始めていることから輸出・素材関連が幅広く物色された。続落。米国株は下落。ディズニー、クラフト等の大手企業決算の悪化を受けて下落し、ダウは8,000ドルを再び下回った。

非鉄金属関連ニュース)
・NY金は反発。ドルが対ユーロで堅調に推移したため一旦下値を探る動きとなったが、基本安全資産としての金選好の流れに大きな変化はなく、ETF等を通じて資金が流入、10日移動平均線を下値に堅調な推移となった。現在のドル・ユーロの関係から見れば現状の水準はドルが大幅に下落しない限り正当化できる水準ではないが、ETFを通じて流入する資金がこれを正当化しているものと見られる。銀も上昇。金に連れる形でこちらも10日移動平均線でサポートされながら堅調な推移となった。

・NYプラチナ価格も上昇。10日移動平均線でサポートされながらジリ高の展開に。パラジウムも上昇。

(エネルギー関連ニュース)
・米在庫統計 原油+7.2MB(市場予想+2.8MB)、ガソリン+0.4MB(+1.0MB)、ディスティレート▲1.4MB(▲1.4MB)、稼働率+1.0%(▲0.5%)

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は上昇した。中国正月明けの中国勢の買いと、米経済統計の著しい悪化に歯止めが掛かりつつあることが好感され、終始堅調な推移となった。ファンダメンタルズについては先々コンセントレートが継続的に不足する可能性が高い環境に変りはないものの、企業や生産者の在庫調整圧力を受けてLME在庫が増加、短期的な需給がルーズになってきていることや中国政府や米国の経済対策が実体経済に影響を及ぼし始めるのは春先以降になると見られることから急速に上昇することは考えにくいが、チャート的には4,000ドルを見てもおかしくない環境になっている。LME在庫は+4,650Mt増加、(FSCは10.0日)、(キャンセルワラント率は1.7%)。売買高は10,119枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブはパラレルに上昇している。C-3(Cash vs 3M Fwd)は34ドルコンタンゴと前日と変わらず。
 昨日の亜鉛価格は上昇した。銅と同じく休み明けの中国勢の買いや、そもそもの価格水準の低さ、生産者の生産調整圧力もあって上昇することになった。チャート的には一目均衡表の雲の薄い部分を上抜けせんとしており、100日移動平均線近辺をトライしてもおかしくない環境(1,280ドル)である。ではこれからどんどん上昇するか、と問われればそういった感じもないのだが、徐々に下げ余地がなくなってきているとの印象である。LME在庫は+125Mt増加、FSCは11.1日(キャンセルワラント率は2.3%)。売買高は4,698枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きく、ブルフラットニングしている。C-3は22ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の鉛価格は上昇した。10日移動平均線を上回って寄り付いた後、銅や亜鉛の上昇も手伝って略終始一貫して水準を切り上げる展開であった。電気自動車、電気オートバイ、電気自転車向けのバッテリー需要はシーズン中でもあって旺盛であり、他の非鉄に比べて実際ファンダメンタルズは相対的に強く堅調な推移となっている。LME在庫は+50Mt増加、(FSCは2.3日、キャンセルワラント率は1.9%。)。売買高は1,769枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きく、ブルスティープニングしている。C-3は9ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日のアルミ価格は上昇した。10日移動平均線を上回って寄り付いた後、LME在庫が久方ぶりに減少に転じていることが好感され、他の非鉄金属同様積極的に物色された。そろそろ企業の在庫調整も一巡した可能性があり、値ごろ感から現物に買いが入り易いのは事実であろう。結局、コストベースを大きく下回って取引されているアルミには割安感がある、ということである。今後は実態経済の悪化を受けて低い水準での推移が続くと考えられるものの、コストベースで見た場合、限界レベル(1,750ドル程度)を大きく下回って価格が下落している状態が長く続くとは考えにくく、企業の在庫整理も進捗していると予想されることからそろそろ底入れするのではなかろうか。LME在庫は▲775Mt減少、(FSCは26.4日)。(キャンセルワラント率は0.6%)。売買高は16,886枚。イールドカーブは略パラレルに上昇している。C-3は37ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日のニッケル価格は上昇した。LME在庫の減少やその他の非鉄金属価格の上昇もあって100日移動平均線レジスタンスを試す動きとなった。ニッケルは他の非鉄金属に比べると生産者サイドの調整が進捗しており、11,000ドルのサポートラインを維持して堅調な推移となっている。LME在庫は▲114Mt減少、(FSCは23.0日)、キャンセルワラント率は0.3%。売買高は1,227枚。イールドカーブはパラレルに上昇している。C-3は64ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日の錫価格は上昇した。30日移動平均線を大きく下回っていることからこの水準を試す動きになると考えていたが寄り付きからこのラインを上回って寄り付き、非鉄金属セクターに買いが入る中、50日移動平均線レジスタンスを試す動きとなった。昨日はLME在庫が増加しているが、キャンセルワラント率が上昇していることが下値を堅くしているようだ。インドネシアや中国の生産輸出が増加しているものの需給がルーズになっている感じもない。イールドカーブバックワーデーションの状態が続いていることが、需給が逼迫していることを示しているが、アジア周りの在庫が増加を続けており以前程の力強さは感じられない。LME在庫は+90Mt増加、(FSCは8.7日)、キャンセルワラント率は5.01%。売買高は385枚。イールドカーブは期近の上げ幅が大きく、ブルスティープニングしている。C-3は55ドルバックとバック幅を拡大した。

(エネルギー)
 昨日のNY原油は期近のみ下落した。夜間に発表された米在庫統計はベアな内容であったことから統計発表後に下値を試したが、やはり40ドルラインが強く意識されこの水準を割り込み切れなかったことから引けに掛けて買い戻しが入り、一目均衡表の雲をトライ、上抜けできなかったことから結局前日比小幅安で引けている。イールドカーブは期近のみ下落し、第二限月以降は期先を中心に大きく上昇している。直近限月の騰落率は▲1.2%。Brentは上昇。在庫統計を受けてやはり下落したが、下値は堅く、小動きの結果前日比プラスとなった。以前テレビでも解説したが、現在のWTIの直近限月価格を原油の指標とすると、ミスリーディングになる可能性が高いため、Brentを指標としてチェックすることを推奨したい。イールドカーブは期先の上げ幅が大きく、ブルスティープニング。直近限月の騰落率は+0.2%。Brent/WTIのネガティブスプレッドは継続。
 石油製品は堅調に推移。RBOBは昨晩の在庫統計が市場予想を下回る在庫増加に留まったこと、直近需要(製油所からの持ち出し)が増加していることなどが注目され、10日移動平均線を下値に堅調な推移となった。但しガソリン在庫がFSCベースで非常に高い水準にまで増加している状態に変りはなく、売られすぎが修正される形で上昇した側面も否めない。イールドカーブはパラレルに上昇。直近限月の騰落率は+4.0%。ヒーティングオイルは小幅上昇。昨晩の統計でディスティレートがベアな内容であったことから小幅な上昇に留まった。イールドカーブは期近が小幅上昇、期先の上げ幅は大きくブルスティープニングしている。直近限月の騰落率は+0.1%。ICEガスオイルは直近限月のみ下落。イールドカーブは期近が上昇しブルスティープニング。直近限月の騰落率は▲0.1%。

(ひとりごと)
仕事が終ったときに飲みに行く店がある。
諸般の事情により、店の場所や名前を出すことはできないが、非常に不思議な店だ。

華やかな通りを一筋裏通りに入ったところにその店はあり
雑居ビルの、途中までしか上ってくれないエレベーターを登り
そこから階段を使わないとその店はある
誰かに言われなければ絶対に入りたくないような類の店なのだ
そう、子供の頃に読んだ江戸川乱歩の探偵小説に出てくるような店である。
なんだか、この店に来るだけで屋根裏の散歩者にでもなったような、非常に退廃した気持ちになる

そのせいもあってか、店に居る人はいつも同じ
他の人が居るのを見るのは5回に1回ぐらいである。
経営が成り立つのだろうか?というほど客の入りは乏しく

それにも関わらず、やたらとサービスが良い
無制限に食べ物が提供され
飲み物も提供され
値段は均一。安い。

本当に経営は大丈夫だろうか
時々店のママが、私に貴金属の価格を聞いてくることがある
きっと本当に金繰りが厳しいのだろう
自分のアクセサリーを売って糊口をしのごうとしているのだろうか

こんな危険な香りのする店に行っていて良いのだろうか
でも、魔法のように心が吸い取られ、何故か足がその店に向いてしまうのだ

嗚呼、今週も、来週も、どこかでこの店に行くんだろうか。