(商品市況概況)
「米雇用統計で下落」
昨日の商品価格は軒並み大幅に下落した。注目の米雇用統計の内容が予想を大きく下回る悪い内容であったことから、株や商品といったリスク資産に換金売りが相次いだため。この下落はこのコラムで指摘している「Buy Expectaion, Sell Fact」の流れに沿うものであり、景気が回復していない以上、極端な上がりすぎは調整されても不自然ではない。経済統計の悪化に歯止めが掛かることに伴う、将来への過度な景気改善期待で上昇していた可能性が高く、引き続き一本調子での価格上昇に関しては慎重な姿勢を崩したくない。引き続き、今後発表になる経済統計の内容を精査していく必要があるだろう。
(経済関連ニュース)
・6月米雇用統計 非農業部門雇用者数 前月比▲467千人(前月改定▲322千人(速報比+23千人))、市場予想▲367千人。失業率9.5%。
・米週間新規失業保険申請者数 614千人(前週改定630千人)。
・5月米製造業受注 前月比+1.2%(前月改定▲0.5%(速報比+0.2%))、市場予想+0.9%。
・世銀ぜーリック総裁「米不動産や保護主義が、世界景気回復のリスクとなる。米国はドルの基軸通貨の地位を当然のものと思うべきではない」
・IAEA、エルバラダイ事務局長の後任に、天野氏を選出。アジア人では初。
・ECB政策金利の短期買いオペ金利の最低応札価格を1.0%で据え置き。予想通り。
・トリシェ総裁「現在の政策金利水準が最低だとは決定していない。カバードボンド(3〜10年)の購入は7月6日に開始。」
NY Dow :8,280.74(▲223.32)
S&P500 :896.42(▲26.91)
NIKKEI225 :9,876.15(▲63.78)
JPY/USD :96.05(▲0.42)
USD/EUR :1.401(▲0.0149)
・ドルは対ユーロで上昇。米雇用統計の大幅悪化を受けて、基軸通貨であるドルが物色されることとなった。また、ECBトリシェ総裁のユーロ政策金利1%は適正であるとのコメントも、ドルの支援材料となった。円は対ドルで大幅に上昇。
・日本株は続落。米雇用統計を控えて前日の流れを受けて小動きとなった。米株は大幅に下落。夜間に発表された米雇用統計の大幅な悪化を受けて、景気回復に遅れが出るのではとの見方が強まった。
(穀物市場サマリー)
Cbot Wheat :500.25(▲6)
Cbot Corn :345.75(▲6)
CSCE Sugar :17.58(▲0.17)
(非鉄金属関連ニュース)
Comex Gold :931.00(▲10.3)
Nymex Platinum :1,186.6(▲9.9)
・NY金は下落。ECBが政策金利を据え置いたことで金利差に着目したドル高が進行、その後の米雇用統計の悪化を受けて更にドル高が進行したことから、金が売られることとなった。基本的には金は株と逆相関の関係にあり、株価が上昇(下落)する局面では売り(買い)が入り易いが、足許、ソブリンリスクの高まりや、ドル安懸念を背景として、金の保有比率を増加させる動きが見られること(中国等)が下げ余地を限定しつつある。7月以降の経済統計とこうした新規要素も加味するとしばらくは現状レベルでのもみ合いを想定しておいたほうがよさそうだ。昨日の引けは(東京時間0:00価格) 931.00(▲10.3)。
銀価格はドル高、株安を受けて大幅に下落、長らく維持してきた100日移動平均線を大きく割り込む展開となった。今後の経済統計にもよるが長らく維持してきた100日移動平均線を割り込んだことで、200日移動平均線(12ドル)が意識されることとなろう。昨日の引け(東京時間0:00価格)は 1,339.30(▲34.7)。"
"・NYプラチナ価格は下落。前日比マイナスで寄り付いた後、10日移動平均線近辺で小動きとなった。材料とするとドル高と株安であった。プラチナは比較的ドルユーロとの相関が高いが、今のところ一次回帰線上に価格が安定している。昨日の引け(東京時間0:00)は1,186.6(▲9.9)。
パラジウムもプラチナの下落を受けて水準を切り下げている。昨日の引け(東京時間0:00)は252.0(▲2.85)。"
(非鉄金属)
Copper 3M :5,035.00(▲52.5:15.75C)
昨日の銅価格は下落した。ECBの金利据え置きに伴いドルが買い戻され、かつ夜間に発表された米雇用統計の悪化を受けて株が調整、そもそも高値圏にあったことから銅は調整を余儀なくされた。しかしながらLME在庫の減少傾向は持続しており、30日移動平均線でサポートされて引けている。ファンダメンタルズについては先々コンセントレートが継続的に不足する可能性が高い環境に変りはなく、各国政府の相次ぐ景気対策の発表に伴い価格は底を打ったと考えられるが、実態経済の悪化速度が鈍化はしたものの引き続き回復しているわけではないことから、7月の統計を確認後一旦調整するものと見ている。但し、その下落幅は年初に見込んでいたような大幅なものではなく小幅なものに留まり、年後半以降の価格上昇の前の調整と見ておくべきだろう。LME在庫は▲1,500Mt減少、(FSCは56.1日)、(キャンセルワラント率は4.6%)。売買高は10,324枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期近の下げ幅が大きくベアフラットニング。C-3(Cash vs 3M Fwd)は16ドルコンタンゴとコンタンゴ幅を拡大した。昨日の引けは5,035.00(▲52.5:15.75C)。
Zinc 3M :1,572.00(▲23:27.25C)
昨日の亜鉛価格は下落した。ECBの金利据え置きを受けてドル高が進行したことに加え、夜間の米雇用統計の発表を受けて株が調整したことが市場のセンチメントを悪化させた。但し足許大幅な下げとはならず、50日移動平均線を大きなサポートとして比較的高値で落ち着いた推移となった。足許の需給はイールドカーブが示すようにタイトではなく、ここまでの価格上昇が許容できるような環境にはないと考えているが、株価が堅調に推移していることが投資マインドを好転させているようだ。但し、引き続き7月以降の経済統計を受けて上がりすぎの修正によって相場水準は低下すると見る。LME在庫は▲250Mt減少、FSCは11.9日(キャンセルワラント率は1.8%)。売買高は2,741枚。イールドカーブは略パラレルに低下している。C-3は27ドルコンタンゴとコンタンゴ幅を拡大した。昨日の引けは1,572.00(▲23:27.25C)。
Lead 3M :1,700.00(▲39:22.25C)
昨日の鉛価格は大幅に下落した。欧州時間のドル高進行、夜間の米雇用統計を受けた株の下落が材料となり、大幅な下落となった。しかしながら昨晩に関しては10日移動平均線でサポートされて引けている。大手生産者の生産再開やそもそも景気回復に至っていないこと、LME在庫の増加が続いていることなど、個別のファンダメンタルズはマイナスの材料が多く、現在の価格水準はファンダメンタルズのみでは説明できないレベルであるといえ、投機的な買いが相場を押し上げていると見る。とはいってもマイナス材料が多い中、今後は7月以降に発表される経済統計の内容を受けて、下値の落ち着きどころを探る展開となろう。LME在庫は+600Mt増加、(FSCは4.1日、キャンセルワラント率は0.1%。)。売買高は1,557枚。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。C-3は22ドルコンタンゴとコンタンゴ幅を拡大した。昨日の引けは1,700.00(▲39:22.25C)。
Aluminum 3M :1,640.00(▲23:30.35C)
昨日のアルミ価格は下落した。欧州時間のドル高進行を受けて調整していたが、NY時間に発表された雇用統計の悪化に伴う米株の大幅調整を受けて更に下落した。但し引けにかけては買い戻しが入り、10日移動平均線は辛うじて回復して引けている。LME在庫の大半を一部の業者が保有しているとの噂も流れており、在庫水準の高さにも関わらず現物市場ではタイト感が出ているようだ。景気底打ち期待感から多くの商品価格が上昇している環境下、コストベースとして一般に意識されている1,750ドル(弊社の2009年見通しは1,358ドル〜1,454ドル)までの価格上昇はあってもおかしくないと見ている。今後は7月以降に発表される経済統計の内容を受けて、一旦下値の落ち着きどころを探る展開となろう。LME在庫は+2,500Mt増加、(FSCは43.3日)。(キャンセルワラント率は3.0%)。売買高は9,281枚。イールドカーブは期先の下げ幅が大きくベアフラットニング。C-3は30ドルコンタンゴとコンタンゴ幅を縮小した。昨日の引けは1,640.00(▲23:30.35C)。
Nickel 3M :16,450.00(▲45:76C)
昨日のニッケル価格は下落した。前日の上げ幅があまりに大きかったことやドル高の進行、株安の進行を受けて調整したが、引けにかけては再び買いが入り、下げ幅を削る展開となった。LME在庫の水準やニッケルの主要用途であるステンレス需要が回復しているとのサインは出ておらず、ここまでの上昇は投機的な動きによるものと考えてよさそうである。ニッケルの今年の限界生産コストは7,000〜10,000ドル程度であると見込んでいるが、それを大きく上回るレベルまで水準が切り上がっており、下落サイドのリスクを意識せねばならない水準まで価格が上がっていることは指摘しておきたい。LME在庫は前日比変わらず。(FSCは29.4日)、キャンセルワラント率は0.7%。売買高は2,144枚。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。C-3は76ドルコンタンゴとコンタンゴ幅を縮小した。昨日の引けは16,450.00(▲45:76C)。
Tin 3M :14,300.00(▲200:70B)
昨日の錫価格は下落した。ドル高、株安の影響、LME在庫の増加といったマイナス材料が重なる中で、50日移動平均線でサポートされつつ軟調な推移となった。イールドカーブが示すように需給にタイト感があり、その中で経済統計などの悪化を受けて高値水準のまま調整した感じである。需給は引き続きタイトであり、当面堅調な推移が続くことになろう。LME在庫は+100Mt増加、(FSCは16.7日)、P596は3.28%。売買高は132枚。イールドカーブは期先の下げ幅が大きくベアフラットニングしている。C-3は70ドルバックとバック幅を拡大した。昨日の引けは14,300.00(▲200:70B)。
(エネルギー関連ニュース)
WTI :66.73(▲2.58)
Brent :66.65(▲2.14)
昨日のNY原油は大幅続落。ECBの政策金利据え置きに伴うドル高の進行、夜間の米雇用統計の大幅悪化に伴う株安更なるドル高の進行が嫌気され、30日移動平均線のサポートを大きく割り込み大幅な下落となった。目立った買い材料はなく、力弱い相場展開であった。イールドカーブは期近の下げ幅が大きくベアスティープニングしている。直近限月の騰落率は▲4.0%。昨日の引けは66.73(▲2.58)。 Brentも同様の相場展開で下落しており、同様に30日移動平均線を割り込んだ。直近限月の騰落率は▲3.3%。昨日の引けは66.65(▲2.14)。 WTI/Brentはポジティブスプレッドは縮小。
石油製品も下落。RBOBは大幅に下落。欧州時間からのドル高進行を受けた原油安で下落していたが、夜間の米雇用統計悪化に伴う株価の大幅調整で下落を余儀なくされた。そもそも価格の上昇ピッチが旧であったことに伴い、消費に悪影響が出ていたことから、昨晩の下げは大きなものとなった。結果50日移動平均線を割り込んでしまった。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。直近限月の騰落率は▲4.0%。昨日の引けは179.08(▲6.82)。 ヒーティングオイルも大幅に下落。但しヒーティングオイルは在庫水準が著しく高く、そもそも原油の上昇のみを材料としての上昇に留まっていたことから、大幅な下げ、という印象は受けない。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。直近限月の騰落率は▲3.9%。昨日の引けは170.16(▲6.41)。 ICEガスオイルも下落。イールドカーブは期近の下げ幅が大きくベアスティープニングしている。直近限月の騰落率は▲4.2%。昨日の引けは535.25(▲21.75)。
(ひとりごと)
子供が、「蚊にかまれた」という言葉を覚えた。
初夏なので、蚊が出てくるシーズン。
痒いのだろう、引っかいて掻き壊してしまっている。
昨晩家に帰ったら、子供が私のところに近づいてきて
蚊に刺された場所を指差し
我が子「パパ、蚊に刺されちゃったんだ。大丈夫?」
と、背中をさすってくれた。
可愛いものである
カミさんに話をしたところ、日中にも似たようなことがあり
カミさんと我が子がお散歩中、病院に行く途中の知り合いのおばさんに出会ったところ
我が子「おばさん、病院に行くんだって。蚊に刺されちゃったのかなぁ」
だって。
彼の中では「蚊に刺されること」が最大の健康上の問題であるようだ。