織田哲郎Night

(商品市況概況)
過剰流動性
 昨日の商品価格は軒並み買い戻しで上昇した。FOMCで低金利が維持される見通しとなったことや、欧州景気が底打ちした可能性が高まったことが買いを誘った。
 足許の価格の上昇に対する率直な印象は、「前月比でプラスであれば買う」「株が上がれば買う」「金利が低ければ買う」といった、またそれか、と思ってしまう内容で買われている状態である。しかし繰り返しになるが景気の「絶対水準」は決して良いとは言えず、「短期的な」回復トレンドに過剰流動性が加わり極端な上昇になっていると考えている。ちなみにであるが、今の原油価格の水準は、2007年の7〜8月頃のレベルであり「まだ景気は拡大する。原油需要が増加する中、供給が製油所のキャパシティ問題もあって不足するため、相場は上昇するだろう」といった議論がなされていた時期である。今の経済の状況はこの頃と同じほど、更なる拡大・回復が期待できる環境であるかと言われれば、それはNoではないだろうか。
 よって、中央銀行による超金融緩和政策が解除される、あるいは議論されるタイミングで、相場は調整すると考えるのが最も自然であると考えている。但し注意せねばならないのは「高いボラティリティを維持しながら相場は乱高下すると見られるが、経済対策の効果もあって徐々に下値は切りあがっていく」というシナリオがメインシナリオであり「大幅な下落」を期待するには難しいと考えている。


(経済関連ニュース)
・季毅中 中国工業情報相「今後3年間、製鋼所の事業拡大計画を承認しない方針」
・Q209独GDP速報 前期比+0.3%(前期改定前期比▲3.5%)、市場予想▲0.2%。「前月比」ではプラスに。
・Q209ユーロ圏GDP速報 前期比▲0.1%(前期改定▲2.5%)、市場予想▲0.5%。
・米週間新規失業保険申請者数 558千人(前週改定554千人(速報比+4千人))、市場予想545千人。
・7月米輸入物価指数 前月比▲0.7%(前月改定+2.6%(速報比▲0.6%))、市場予想▲0.5%。除く石油 前月比▲0.2%(前月+0.2%)。
・7月米小売売上高 前月比▲0.1%(前月改定+0.8%(速報比+0.2%))、市場予想+0.8%。除く自動車 ▲0.6%(前月改定+0.5%)、市場予想+0.1%。
・6月米企業在庫 前月比▲1.1%(前月改定▲1.2%(速報比▲0.2%))、市場予想▲0.9%。企業売上高 前月比+0.9%(前月改定±0.0%)。

NY Dow  :9,398.19(+36.58)
S&P500   :1,012.73(+6.92)
NIKKEI225 :10,517.19(+82.19)
JPY/USD :95.38(▲0.75)
USD/EUR :1.428(+0.0058)

・ドルは対ユーロで下落した。米国債の入札が順調であったことと、米小売売上高の減少で金利差に着目したユーロ買いに押された。円も同様に対ドルで上昇。
日本株は大幅に上昇。前日の米株高を受けて。米株は上昇。FRBの低金利政策がしばらく継続するとの見方から。


穀物市場サマリー)
Cbot Wheat :481.50(▲8.75)
Cbot Corn :324.50(▲6.25)
CSCE Sugar :22.21(▲0.76)



(金属関連ニュース)
Comex Gold :954.70(+4)
Nymex Platinum :1,272.7(+28.3)

・NY金は上昇。NY時間にかけてドル安が進行したことから上昇した。中期的にはソブリンリスクの高まりや、(週末はドル高が進んだものの)ドル安懸念を背景として、各国が金の保有比率を増加させる動きが見られることが、下値を限定させることになろう。昨日の引けは(東京時間0:00価格) 954.70(+4)。
 銀価格は大幅に上昇。株高とドル安の影響でアップサイドのバイアスが強くかかったものと見られる。昨日の引け(東京時間0:00価格)は 1,498.70(+40.2)。"
・NYプラチナ価格は大幅に上昇。ユーロ圏経済も底打ちの可能性が強まってきたことや株高、ドル安が材料となった。個別のファンダメンタルズからかけ離れ、いわゆるセンチメント材料が相場を後押ししている。昨日の引け(東京時間0:00)は1,272.7(+28.3)。
 パラジウムも上昇。昨日の引け(東京時間0:00)は278.15(+4.8)。"

・チリ Escondida鉱山労働者、今年12月の賃上げ交渉にBHPが応じない場合にはストに突入する可能性を示唆。

Copper 3M :6,381.00(+191:2B)
 昨日の銅価格は上昇した。前日のFOMCでの金利据え置きと、低金利状態の継続観測を受けて大幅な上昇となった。銅は中国の経済対策や在庫積み増し時期のずれ込みの影響もあってファンダメンタルズは強く上昇余地を試しているが、そもそも「前月比での統計の改善」を受け過剰流動性が市場に流入し、相場を極端に押し上げていると見られる。また、ファンダメンタルズについては引き続き中国の在庫積み増し意欲が旺盛であることや、コンセントレートが継続的に不足する環境になる可能性が高いことから、中長期的にも上昇トレンド入りしたと考えている。8月の米雇用統計では雇用環境の改善が確認されたが、「更なる価格の上昇」は株価にとってマイナスのインパクトをもたらすと見られることから、今後の価格は頭打ちになると考えている。今後は不況下におけるインフレの進行に対する金融当局の対応、いわゆる出口戦略に焦点が当たることになると見ている(景気回復がしっかりしたものにならない状況での金利引き上げは、各種金融商品にマイナスのインパクトをもたらす)。LME在庫は▲425Mt減少、(FSCは62.0日)、(キャンセルワラント率は3.1%)。売買高は12,392枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期近の上げ幅が大きくブルスティープニングしている。C-3(Cash vs 3M Fwd)は2ドルバックコンタンゴからバックに転じた。昨日の引けは6,381.00(+191:2B)。

Zinc 3M   :1,910.00(+59:26.75C)
 昨日の亜鉛価格は上昇した。前日のFOMCを受けた株価の急騰を受けて、大幅な上昇となった。正直、株高やドル安といった周辺材料による上げが続いており、ファンダメンタルズから乖離して上昇していると考えるべきである。8月の米雇用統計では雇用環境の改善が確認されたが、「更なる価格の上昇」は株価にとってマイナスのインパクトをもたらすと見られることから、今後の価格は頭打ちになると考えている。今後は不況下におけるインフレの進行に対する金融当局の対応、いわゆる出口戦略に焦点が当たることになると見ている(景気回復がしっかりしたものにならない状況での金利引き上げは、各種金融商品にマイナスのインパクトをもたらす)。LME在庫は▲275Mt減少、FSCは14.6日(キャンセルワラント率は1.4%)。売買高は4,583枚。イールドカーブは期近の上げ幅が大きくブルフラットニングしている。C-3は27ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。昨日の引けは1,910.00(+59:26.75C)。

Lead 3M   :1,935.00(+89:17.5C)
 昨日の鉛価格は上昇した。材料は前日のFOMCを受けた株価の上昇による、市場参加者のセンチメントの好転。加えて欧州経済も底打ちをした可能性が高いことが材料となったようだ。この結果10日移動平均線を回復している。8月の米雇用統計では雇用環境の改善が確認されたが、「更なる価格の上昇」は株価にとってマイナスのインパクトをもたらすと見られることから、今後の価格は頭打ちになると考えている。今後は不況下におけるインフレの進行に対する金融当局の対応、いわゆる出口戦略に焦点が当たることになると見ている(景気回復がしっかりしたものにならない状況での金利引き上げは、各種金融商品にマイナスのインパクトをもたらす)。LME在庫は+400Mt増加、(FSCは5.1日、キャンセルワラント率は0.1%。)。売買高は2,951枚。イールドカーブは略パラレルに上昇している。C-3は18ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。昨日の引けは1,935.00(+89:17.5C)。

Aluminum 3M :2,060.00(+75:32.75C)
 昨日のアルミ価格は上昇した。前日のFOMCを受けた株高の影響で、リスクマネーの買い意欲が回復、大幅な上昇となった。LME在庫の減少が続いていることも支援材料となったようだ。足許、欧州や米国でLME在庫が減少するなど、実質的に利用可能な在庫が少ないことから需給は在庫水準に関わらずタイトであり、高値での推移が続いている。価格上昇のタイミングはやや早いとは思うが、予想していた「1,750ドルクリア後の2,000ドル」を達成しており、過去のデータを鑑みると2,350ドル程度まで速やかに上昇してしまうケースは多く非常に注意せねばならない。8月の米雇用統計では雇用環境の改善が確認されたが、「価格が急上昇した場合、現在の経済環境では株価にとってマイナスのインパクトをもたらし、最終的に商品価格にマイナスのインパクトをもたらす」と見られることから、価格の上げピッチは緩やかなものになると考えている。今後は不況下におけるインフレの進行に対する金融当局の対応、いわゆる出口戦略に焦点が当たることになると見ている(景気回復がしっかりしたものにならない状況での金利引き上げは、各種金融商品にマイナスのインパクトをもたらす)。LME在庫は▲4,250Mt減少、(FSCは44.9日)。(キャンセルワラント率は3.6%)。売買高は16,063枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きくブルスティープニングしている。C-3は33ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。昨日の引けは2,060.00(+75:32.75C)。

Nickel 3M :20,605.00(+955:72C)
 昨日のニッケル価格は上昇した。LME在庫は大幅に増加しているものの、前日のFOMCを受けた株高の進行、欧州時間のGDPを受けた欧州景気の底打ち期待、といったプラス材料を受けて買い戻しが優勢となり、大幅な上昇となった。LME在庫の絶対水準やニッケルの主要用途であるステンレス需要が回復しているとのサインは出ていないが、株価の上昇に伴う投機的な買いと、昨年から年初にかけての極端な在庫調整の影響で在庫積み増しがQ3までずれ込んでいること、加生産者のストライキが継続していることによって高値圏での推移が続いている。8月の米雇用統計では雇用環境の改善が確認されたが、「更なる価格の上昇」は株価にとってマイナスのインパクトをもたらすと見られることから、今後の価格は頭打ちになると考えている。今後は不況下におけるインフレの進行に対する金融当局の対応、いわゆる出口戦略に焦点が当たることになると見ている(景気回復がしっかりしたものにならない状況での金利引き上げは、各種金融商品にマイナスのインパクトをもたらす)。また一方で在庫積み増しの動きはしばらく続くと見られることからいずれにしてもニッケル価格は比較的高い水準での推移を余儀なくされよう。LME在庫は+462Mt増加、(FSCは28.9日)、キャンセルワラント率は1.6%。売買高は3,701枚。イールドカーブは期近の上げ幅が大きくブルスティープニングしている。C-3は72ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。昨日の引けは20,605.00(+955:72C)。

Tin 3M   :15,150.00(+300:467B)
 昨日の錫価格は上昇した。他の非鉄金属と同様、株高の影響によるセンチメントの好転が相場を押し上げることとなった。8月の米雇用統計では雇用環境の改善が確認されたが、「更なる価格の上昇」は株価にとってマイナスのインパクトをもたらすと見られることから、今後の価格は頭打ちになると考えている。今後は不況下におけるインフレの進行に対する金融当局の対応、いわゆる出口戦略に焦点が当たることになると見ている(景気回復がしっかりしたものにならない状況での金利引き上げは、各種金融商品にマイナスのインパクトをもたらす)。LME在庫は+20Mt増加、(FSCは18.6日)、P596は4.45%。売買高は704枚。イールドカーブは期近の上げ幅が大きくブルスティープニングしている。C-3は467ドルバックとバック幅を拡大した。昨日の引けは15,150.00(+300:467B)。



(エネルギー関連ニュース)
WTI :70.52(+0.36)
Brent :73.48(+0.59)

 昨日のNY原油は上昇した。欧州時間に発表されたGDPが市場予想を上回る改善(or市場予想よりも悪くない)ことが確認されたことから上昇したが、米小売売上高の減少といったマイナス材料を受けて伸び悩んだ。イールドカーブは期近と期先が上昇している。直近限月の騰落率は+0.5%。昨日の引けは70.52(+0.36)。 Brentも上昇し、切りの良い75ドルをトライしたが、ここを上抜けする材料も少なく、引けにかけて売られ上げ幅を削った。NY時間の株の上昇により、リスクマネーによる買いが入ったと見られる。イールドカーブは期近の上げ幅が大きくブルフラットニング。直近限月の騰落率は+0.8%。昨日の引けは73.48(+0.59)。 WTI/Brentのネガティブスプレッドは拡大している。
 石油製品はまちまち。RBOBは期近が下落、期先が上昇。基本、原油価格が上昇していることから強地合いであるものの、ETF等の運用商品のポジションロールと思われる売りに押され、期近が下落した。週半ばの米在庫統計では需要の減少が確認されており、ファンダメンタルズは決して強いとはいえない状況。直近限月の騰落率は▲0.3%。昨日の引けは201.92(▲0.61)。 ヒーティングオイルは上昇。原油価格の上昇に連れ高となったが、米在庫統計での需要減少が嫌気されており、ガソリン同様ファンダメンタルズは引き続き弱い。イールドカーブは期近の上げ幅が大きくブルフラットニング。直近限月の騰落率は+0.6%。昨日の引けは190.28(+1.07)。 ICEガスオイルは上昇。イールドカーブは期近の上げ幅が大きくブルフラットニング。直近限月の騰落率は+2.2%。昨日の引けは608.00(+13.75)。


(ひとりごと)
今日は告知です。

再来週の金曜日、謎の店にて「織田哲郎Night」が開催されることになりました。
要はみんなで歌うのですが、織田哲郎縛り。
そもそも何人の人が来るか良く分からないので、人数によっては開催するかどうか分かりません。

参加ご希望の方は連絡下さい。