台風

【商品市況概況】
「消去法的に金が上昇」
 昨日の商品価格はまちまちであったが、金が大幅に上昇した。理由は明白であり、米低金利の長期化観測を背景とするドル安の恒常化懸念と、景気が回復する極めて足腰の弱い段階での商品価格の上昇は実需の減少を促す可能性が高く、原油非鉄金属が投資の対象となりにくい(年内は需要が本格的には回復しない可能性が高い)ことから、消去法的に「投資」されても余り批判の対象となりにくい金が物色されることとなっている。この流れは恐らく当分続くものと思われ、投機筋による金の物色は続くものと考えている。ただし毎度のことであるが、「買ったものは売らないと利益にならない」ことから、どこかのタイミングで金価格は下落することになろうが、材料とすると、(1)景気が回復し、原油やその他の非鉄金属価格の上昇が容認できる環境になること、(2)米低金利の終了、(3)中央銀行の金売却、といったものが挙げられるが、いずれも現時点で発生する可能性は低い。よって当面は金価格は上値を試す動きが続くと予想される。ヒストリカルハイを更新していることから上値の目処を立てることが難しいが、一部のテクニカルアナリストの指摘でも、1,400〜1,500ドルが上値の目処となるようだ。


【経済関連ニュース】
・8月独製造業受注 前月比+1.4%(前月改定+3.1%(速報比▲0.4%))。
・米MBA住宅ローン申請指数 前週比+16.0%の756.3、借換指数 前週比+18.0%の3,377.1、購入指数 前週比+13.0%の3061。
・8月米消費者信用残高 前月比▲120億ドル(前月改定▲190億ドル(速報比+26億ドル))。
アルカイダ幹部、中国新疆ウイグル地域ウイグル人に聖戦を呼びかけ。
・米下院フランク委員長「取引を規制当局に報告することにより、店頭デリバティブの現在の取引方法を変更しない方針」(やっぱりこうなった)。

NY Dow  :9,725.58(▲5.67)
S&P500   :1,057.58(+2.86)
NIKKEI225 :9,799.60(+107.8)
Dax :5,640.75(▲16.89)
FT250 :9,226.35(+25.12)
Sensex  :16,806.66(▲151.88)
Shanghai A :Close
Brazil Bovespa :62,638.2813(▲32.309)

JPY/USD :88.81(+0.01)
USD/EUR :1.467(▲0.0048)


・ドルは対ユーロで上昇。新興国や資源国の金利上昇(観測)に伴うドル売りが一服したことから。円は大幅に上昇後、下落している。藤井財務大臣の口先介入と急ピッチな円高進行に対する警戒から。

日本株は上昇。米株を含めた各国株式の上昇を受けて買い安心感が広がった。米株は小幅下落。今後、第三四半期決算発表に注目が集まる中アルコアの決算が発表されたが大方の市場予想に反し黒字を確保(コスト削減が柱)したことが好感された。


穀物
Cbot Wheat :463.25(+3)
Cbot Corn :359.75(+1.5)
CSCE Sugar :22.55(▲0.88)


【貴金属・非鉄金属
Comex Gold :1,043.30(+4.7)
Comex Silver :1,750.00(+20.5)
Nymex Platinum :1,320.5(+2.4)
Nymex Palladium :314.05(+3.75)

・NY金は大幅に上昇した。米低金利政策継続観測にともなうドル安の進行観測を受け、「通貨としての」金需要が高まっていることが背景。また、原油非鉄金属が実需の影響によって変動しやすい一方、金は投資商品としての色彩が強く、当局の規制対象ともなっていないことから消去法的に物色される動きが続いている。今後は金は高い水準での推移が続くと考えている、材料は、CFTCの規制により現物担保のETFニーズ特に規制の主要対象となっていない貴金属に買いが入り安いこと、中央銀行が準備通貨の分散を図ることに伴う現物需要が増加すると見られること、他国通貨比で見た場合のドル安継続の可能性が高いことである。昨日の引けは(東京時間0:00価格) 1,043.30(+4.7)。
 銀価格は上昇した。金価格を受けて。今後は銀生産の多くが亜鉛・鉛の鉱山からの生産であり、資本投資の不足から供給が限られると見られるため、銀価格は対金比でも高いパフォーマンスを維持することになろう。また,投機の動きも押し上げ材料だ。昨日の引け(東京時間0:00価格)は 1,750.00(+20.5)。

・NYプラチナ価格は上昇した。金価格の上昇=貴金属物色、の流れを受けて。ただし金以外の貴金属は工業品としての色彩が強いため、景気回復が緩慢な環境下の価格上昇は需要に冷や水を浴びせる可能性があることから引けにかけて売られた(ドル高も売り材料に)。昨日の引け(東京時間0:00)は1,320.5(+2.4)。
 パラジウムは上昇した。昨日の引け(東京時間0:00)は314.05(+3.75)。

・金は史上最高値を再び更新。
・アルコア クラインフェルトCEO「中国のアルミ需要は明らかに回復している」
・ジム・ロジャース「10年以内に金は2,000ドルに。私の金は売っていない。今後買いますかも知れない」(私この人好きじゃないんですが、またこんなポジショントークを...)。

・BHP Billiton Spence銅山労働者、会社側にストライキ開始期限の延期に合意。

Copper 3M :6,095.00(▲20:21.25C)
 昨日の銅価格は下落した。個別の新規材料はなかったが、ドル高の進行を受けて下落、その後米株が堅調に推移したことから50日移動平均線をトライしたが結局抜けきれなかった。正直、材料ない中小動き、というところだろう。今後は、経済対策の効果剥落に伴う需要減少で一旦下落する可能性はあるが、大手生産者の労使交渉の更新がこの四半期に訪れることや、(本格的ではないが)景気回復が持続すると見られることから中長期的にはポジティブなパフォーマンスを維持するものと見られる。LME在庫は+725Mt増加、(FSCは7.0日)、(キャンセルワラント率は2.6%)。売買高は9,505枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期近の下げ幅が大きくベアフラットニングしている。C-3(Cash vs 3M Fwd)は21ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。昨日の引けは6,095.00(▲20:21.25C)。

Zinc 3M   :1,936.00(+14:26.25C)
 昨日の亜鉛価格は上昇した。レジスタンスとなっていた10日移動平均線を上抜けて寄り付いたことから、上値を試す動きとなった。ただ、正直なところ個別材料に乏しい中小動きとの印象である。今後は、亜鉛価格は堅調な推移になると考えている。最大需要国である中国の鉄鉱石輸入の増加に伴う亜鉛需要の増加観測、同時に中国国内の環境面を意識した精錬キャパシティの縮小が、需給をタイトにさせると予想されるためである。LME在庫は▲400Mt減少、FSCは14.7日(キャンセルワラント率は3.4%)。売買高は3,774枚。イールドカーブは略パラレルに上昇している。C-3は26ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。昨日の引けは1,936.00(+14:26.25C)。

Lead 3M   :2,155.00(+5:28C)
 昨日の鉛価格は上昇した。銅等と同じく新規材料に乏しい中、株価が堅調に推移していることなどの周辺材料を受けて10日移動平均線レジスタンスを試した。今後は鉛需給は均衡すると考えられることから、在庫水準の高さを映じて徐々に水準を切り下げると見ている。足許の価格高騰は各国の自動車買い替えプログラムによるバッテリー特需と、中国政府の環境に配慮した生産減少(ここまで約400KMtの生産キャパシティが縮小)によるものであるが、これは徐々に緩和することになろう。LME在庫は+400Mt増加、(FSCは5.7日、キャンセルワラント率は1.6%。)。売買高は1,227枚。イールドカーブは略パラレルに上昇している。C-3は28ドルコンタンゴと前日と変わらず。昨日の引けは2,155.00(+5:28C)。

Aluminum 3M :1,843.00(+21:35.05C)
 昨日のアルミ価格は上昇した。LME在庫の減少等の支援材料もあり朝方から上昇していたが、アルコアの決算が市場予想を上回る決算内容であったことが材料となった。その後引け後に、アルコアCEOが「中国の需要は明らかに回復している」と発言しており本日以降の若干の買い支援材料となろう。結果的に1,800ドルが下値の目処として足許強く意識されており、今後予想される調整局面でこの水準を下回り、100日移動平均線のサポートライン(1,750ドル)を試す動きになるかどうかが調整時の下値の目処を見る上で大きなポイントとなる。その後、低金利コンタンゴを背景に現物需要が高まり、上昇すると考えている。広くアルミ市場が供給過剰であることが知られているが、こうしたファイナンス上の理由で相場は下支えされよう。大幅な下落のリスクは、来年の夏以降のファイナンスが継続せず使用可能な在庫が増えることであるが、経済環境を鑑みるとそれはもう少し先になると予想される。LME在庫は▲2,700Mt減少、(FSCは48.4日)。(キャンセルワラント率は2.4%)。売買高は9,952枚。イールドカーブは期近の上げ幅が大きくブルフラットニングしている。C-3は35ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。昨日の引けは1,843.00(+21:35.05C)。

Nickel 3M :18,650.00(+520:80C)
 昨日のニッケル価格は上昇した。材料ない中ジリ上がりの展開となり、50日移動平均線(18,250ドル)を超えた辺りから上げが加速し、一気に一目均衡表の雲の上限を試す動きとなった。LME在庫の3割強を特定業者が保有しており、実質利用可能在庫の減少懸念が台頭したことも支援材料となったが、テクニカルな買いであると考えている。足許、100日移動平均線をサポートラインとして堅調な推移が続いている。今後は徐々に水準を切り上げる動きになると考えている。中国の輸入が大幅に増加したが、これは民間レベルにまで及ぶ投機的な現物の買いによるものであることが指摘されており、今後もこの状態が継続するとは考えにくいが、中国以外の国々でも景気の底打ち感の強まりから在庫積み増しの動きが見られると予想されることから、需要は向こう1年半程度横ばいと見ている。一方で、大手生産者は引き続き生産を見送っており、トータルでニュートラルであると見られるためである。需給がニュートラルであるため、景気回復に伴い価格は上昇することになろう。LME在庫は+132Mt増加、(FSCは35.4日)、キャンセルワラント率は1.3%。売買高は2,801枚。イールドカーブはパラレルに上昇している。C-3は80ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。昨日の引けは18,650.00(+520:80C)。

Tin 3M   :14,675.00(+80:495B)
 昨日の錫価格は上昇した。10日移動平均線を上回って寄り付いたことからテクニカルな買いが入ったものと見られる。今後は最大生産国であるインドネシアの動向に大きく影響を受ける状況が続くと見られ、需給はタイトに推移することになろう。この夏、インドネシア政府は違法生産者の逮捕に踏み切っており、インドネシアからの精錬錫の輸出は激減することが予想されているためだ。中国需要の減少に伴う裁定取引機会の縮小が需中国の需要を減少させようが、供給の不安定さが引き続きイールドカーブの形状をバックワーデーションに維持することが予想される。LME在庫は前日比変わらず。(FSCは25.3日)、P596は0.98%。売買高は381枚。イールドカーブは昨日に続き、期先の上げ幅が大きくブルフラットニングしている。バックが継続する中期先が上昇し始めると期近の急速な上昇を促す可能性があるため、注意が必要だ。C-3は495ドルバックとバック幅を拡大した。昨日の引けは14,675.00(+80:495B)。



【エネルギー】
WTI :69.57(▲1.31)
Brent :67.20(▲1.36)

・米在庫統計 原油▲1.0MB、ガソリン+2.9MB、ディスティレート+0.7MB、稼働率+0.42%

 昨日のNY原油は下落した。急速に進んでいたドル安が一服したことと、夜間に発表された米在庫統計で石油製品在庫が大幅な増加となったことから。中期的にはIMFの見通し上方修正にあるように、景気回復に伴う需要増加観測から水準を切り上げる動きになると考えている。イールドカーブは期近の下げ幅が大きくベアスティープニングしている。直近限月の騰落率は▲1.9%。昨日の引けは69.57(▲1.31)。 Brentは下落した。直近限月の騰落率は▲2.1%昨日の引けは67.20(▲1.36)。 WTI/Brentは+2.37のポジティブスプレッドに。
 RBOBは下落した。米在庫統計でガソリン在庫が大幅な増加となったことが嫌気された。原油価格が調整していたことも材料となっている。需要(出荷)が増加しているが、どちらかといえばウィンターグレードへの入れ替えに伴う需要増加であり、総じて需要は緩慢であるとのスタンスは大きく変更する必要はないと考えている。イールドカーブはパラレルに低下。直近限月の騰落率は▲3.1%。昨日の引けは172.03(▲5.24)。 ヒーティングオイルは下落した。在庫統計で需要(出荷)の増加が見られたが、ガソリン同様ウィンターグレードへの交換時期でもあり、季節的な動きである。総じてFSCは高く(遂に50日に)、ファンダメンタルズは弱い。イールドカーブはパラレルに低下。直近限月の騰落率は▲1.9%。昨日の引けは178.11(▲3.31)。 ICEガスオイルは下落した。イールドカーブは期近の下げ幅が大きく、ベアスティープニングしている。直近限月の騰落率は▲1.3%。昨日の引けは561.50(▲7.0)。



【ひとりごと】
台風、東京地区は甚大な被害が出なかったようだが
各地で大きな被害が出ているとのこと
被災された方、心よりお見舞い申し上げます。

今回一連の台風報道を見ていて思ったが
いつから、


ヘクトパスカル


に単位が変更になったんでしょうか?
学生の頃の地学の時間はミリバール、使っていたような気がするが
物理の時間はパスカルを使っていたように思う


ちなみにヘクトパスカルは100パスカルと同じ
1ヘクトパスカルは1ミリバールと同じ
パスカルは圧力の単位で、1平方メートル当たり1ニュートンの力が働くときの圧力のことである
更にちなみに1ニュートンは、質量1キログラムの物体に、1m/s・sの加速度を生じさせる力のこと


語呂としてはミリバールの方が好きだったんだが
どうも調べてみると1990年代の前半にヘクトパスカルに統一したんだとか

個人的にはヘクトパスカルよりもミリバールの方が強そうで
警戒しなければならない気が満ち満ちてくるのだが
ハヒフヘホが入ると力弱い気がするんですよね...

ま、私だけだと思いますが。


なんて話を書いていたら、ハリケーンシステムの話を思い出した
(ご参照 → http://d.hatena.ne.jp/Aburauri/20080930 )