原料炭の価格

【商品市況概況】
「政治リスク」
 昨日の商品価格はまちまち。政治関連のイベントに降らされる1日であった。まずは最大の懸念のギリシャ問題であるが、朝方〜欧州時間にかけてはギリシャ支援に前向きなコメントが多く、ユーロは上昇していたが欧州時間に入ってからEUサミットでギリシャ支援が議論されないだろう等とのコメントが聞かれるようになり、ユーロは急落した。加えてバーナンキ議長の金利引き上げに関するコメントとを受けてドルはさらに上昇した。しかし、夜間に米政府がイランの革命関連企業の米国内口座の凍結を発表、毎度議論される「ホルムズ海峡封鎖リスク(輸送量14MBD)」が意識され、原油価格は上昇。以前であれば有事のドル買いが起きるが、米国はこのニュースの当事者国であることもあって、ドル下落に伴う有事の金買いで相場は上昇することとなった。非鉄金属はこのドル安→ドル高の動きを受けて結局行って来いであった。
 ギリシャ支援は市場のコンセンサスになりつつあるものの、いつどこで誰がどのように、といった工程が示されておらず、確実な決定がなされるまでは神経質な展開が続くことになる。昨日噴出したイラン問題は正直「またか」という印象ではあるが、口座凍結という物理的な手段を取ったこともあって市場の反応は敏感であった。イラン・米国とも戦争を犯すという愚行に出るほどの財政的ゆとりと政治的な安定があるわけではないことから、本件は早晩終結するとみられ、相場の押し上げ要因としてはなが続きしないと考えている。だが、もし、万一戦争が起きれば、現在の経済環境であっても100ドルは一時的に突破(各国の在庫水準が高いことから、戦争が起きても長続きしない。ただし戦争が長期化すれば別)する可能性は極めて高い。



【経済関連ニュース】
オバマ大統領「株式ボーナスはCEOを評価するより公正な方法。富は自由市場の一部」(なんだか激しくトーンダウンしてるんですが...)
・独ジョイプレ財務相ギリシャに対して検討し千恵る選択肢は、融資保証だけではない」
・米MBA住宅ローン申請指数 前週比▲1.2%の613.1、購入指数 前週比▲7.0%の221.2、借換指数 前週比+1.4%の2,893.9。
・英キング総裁「債券買い取りプログラムの終了は、時期の判断が非常に重要」
・ドイツ政府当局者「ギリシャ問題はEUサミットの議題にならないだろう」
バーナンキ議長「FRBは遠くない将来、公定歩合を引き上げる可能性がある」
・1月中国 不動産価格 前年比+9.5%。
・1月中国CPI 前年比+1.5%。
・1月中国新規融資 1億3,900億元。M2は前年比+26%。
・米政府、イラン革命防衛関連企業の米国内講座を凍結すると発表。
・BHP、テック、日本向け原料炭価格を4半期改定に変更を通達。



【為替(FX)・株】
NY Dow  :10,038.38(▲20.26)
S&P500   :1,068.13(▲2.39)
NIKKEI225 :9,963.99(+31.09)
JPY/USD :89.98(+0.45)
USD/EUR :1.374(▲0.0046)


・ドルは対ユーロで上昇。EUサミットでギリシャ支援の措置内容が議論されない見通しとなったこと、バーナンキ議長の金利引き上げに関するコメントを受けて、ドルが騰勢を強めた。円は対ドルで下落。
日本株は小幅反発。ギリシャ問題に進捗が見られたことから。米株は小幅下落。ギリシャ問題の解決が遅れていることや、バーナンキ議長の金利引き上げに関するkメント、企業決算が予想を下回ったことなどが嫌気された。


穀物市場サマリー】
Cbot Wheat :496.75(+14.5)
Cbot Corn :361.75(+3.25)
CSCE Sugar :26.64(▲0.43)




非鉄金属・貴金属】
Comex Gold :1,075.80(▲0.9)
Nymex Platinum :1,512.9(+10.5)



Copper 3M :6,535.00(▲55:22.5C)
 昨日の銅価格は下落した。LME在庫は+775Mt増加、(FSCは11.0日)、(キャンセルワラント率は0.7%)。売買高は15,682枚。
 先週のCFTCポジション報告によるNon-Commercialポジションは、銅はロングが40,438(前週比 ▲8,289)、ショートが22,166(前週比 +2,209)となったことから、ネットで18,272(前週比 ▲10,498)となった。
Zinc 3M   :2,114.00(+10:12.25C)
 昨日の亜鉛価格は上昇した。LME在庫は▲125Mt減少、FSCは16.9日(キャンセルワラント率は0.7%)。売買高は5,690枚。
Lead 3M   :2,045.00(+12.5:17.5C)
 昨日の鉛価格は上昇した。LME在庫は▲350Mt減少、(FSCは7.0日、キャンセルワラント率は9.1%。)。売買高は2,669枚。
Aluminum 3M :2,035.00(▲21:31.75C)
 昨日のアルミ価格は下落した。LME在庫は▲5,750Mt減少、(FSCは45.4日)。(キャンセルワラント率は5.7%)。売買高は10,284枚。
Nickel 3M :17,710.00(+160:76C)
 昨日のニッケル価格は上昇した。LME在庫は▲162Mt減少、(FSCは48.5日)、キャンセルワラント率は2.1%。売買高は3,204枚。
Tin 3M   :15,700.00(+245:63C)
 昨日の錫価格は上昇した。LME在庫は▲120Mt減少、(FSCは25.9日)、P596は8.21%。売買高は561枚。


【エネルギー関連ニュース】
WTI :74.52(+0.77)
Brent :72.54(+0.41)



【ひとりごと】
今朝、日経新聞の一面に、「原料炭価格を四半期ベースに改定」との記事が出ていた。
中国やインドがこの方式で購入をしていることから、日本もこれに倣え、というわけだ。
この類のニュースには「市場価格が上昇したときのメリットを取り易いように」といったコメントがつくことが多いが
実のところ、それだけが理由ではないと私は思っている。


というのは、話はチャイナ・アビエーションオイルの破綻時に遡る。
チャイナ・アビエーションオイルは在シンガポール中国籍企業で、中国のジェット燃料の最大輸入企業である
この会社の経営が悪化したが、本国の本社は救済をしなかった(黒木亮のエネルギーにもこの話は出てくる。はず。まだ読んでないんですが)。
また、リーマンショック以降、デリバティブ等の長期契約を政府の意向で強制的に解約してしまった。


といったことがやはり中国では起きるのである。
つまり、「契約を締結しても確実に履行されないリスクがある」訳で
販売する側からすれば、長期固定価格で契約をするリスクは極めて高いのだ。
となれば、売る側はスポットでの販売に傾斜せざるを得ず
結果的にこのような価格体系になってしまう。
また、中国は石炭や鉄鉱石の最大消費国であり
販売者からすればいわゆる「上客」だ。
彼らに対して販売しない、という選択肢はありえない。
となると、多くの取引が市場価格ベースの取引になるわけで
その他の国に対する販売価格も「右へならえ」になる可能性は高い


まあ、もちろんこれだけが理由ではなくて、プロバイダーとしてのシェアが高まったことにより
価格上昇時のメリットが取りやすくなったことも事実ではあるんですが。
市場価格ベースでの取引は、今後も増えることになるだろう。



ちょっと真面目なひとりごとでした。



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この問いかけに何名かの方が回答をしてきてくださっています。
私の予想も加え以下にコンセンサスを毎日掲載することにします。
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2010年末 ブログ・コンセンサス

原油 92.50
金 1,358
銅 7,250
アルミ 2,450
亜鉛 2,300
ニッケル 20,000
鉛 2,100
錫 15,000