食品価格の高騰

【商品市況概況】
「新規材料なく、安値拾いの買い優勢に」

昨日の商品相場は昨日に続き、堅調な推移となった。リビア情勢は現在の材料はとりあえず価格に織り込んだ形となり、さらにサウジ等が繰り返し増産の意向を示したことが原油の上昇圧力を弱めたこと、夜間発表の米経済統計が良好な内容となったことが材料。結果的に幅広いリスク資産に安値拾いの買いが入ることとなった。


エネルギーは中東情勢の緊迫が続いていることから高値圏を維持しているものの、昨晩は増産観測等を背景として小幅安となった。ベースメタルは上昇。中国の1月の貿易統計の内容を受けて、中国需要が旺盛であることが確認されたため、安値では買いが入る展開が続いている。貴金属は質への逃避と株価上昇に伴う工業金属の買いの両面から上昇。穀物も大豆を除き、上昇している。



「サウジの増産観測は相場にプラス?マイナス?」
リビア情勢は大きな進展はないものの、日増しにカダフィ大佐の包囲網が狭まってきているようであり、一応「解決に向けて進捗」しているようである。ただ本件は完全に終了するまではどう転ぶか分からない。今のところ完全に終了は、カダフィ大佐が失脚し、次期政権がきちんと民衆を束ねることができる状態になることであり、未だ時間を要するだろう。


こうした不透明感を払しょくするために一大産油国サウジアラビアが増産の意向を示している(一部増産を開始)が、この状態が続くと逆に原油価格の押し上げ要因になることは注意する必要があるだろう。市場の注目は、今回の問題がサウジに波及するか否か、というところに集まっているようだが、私の見解ではサウジでストが発生し、原油輸出停止・価格上昇につながる可能性は、「今回の問題が周辺産油国に波及し、サウジがその減産分を肩代わりしなければならなくなり、スペアキャパシティの減少による価格上昇」の可能性よりも低いと考えている。


2008年の価格高騰時は、製油所のスペアキャパシティが不足して価格が上昇した。これは「何かあった場合に現物が供給されなくなるかも知れない」リスクを懸念しての上昇である。今回は石油製品ではなく原油自体であるが、OPECの生産余力が低下すれば2008年に起きたことと同様のことが起きてもおかしくはない。また、OPEC諸国で十分なスペアキャパシティを持ち、信頼できる生産国はサウジアラビアしかないといっても言い過ぎではないが、もしサウジの生産余力が低下した場合、OPECの暴れん坊、イランとベネズエラが国際社会への交渉カードを握ってしまう可能性が高まることは、さらなる価格上昇のリスク要因として意識しておくべきだろう。


よって、そろそろサウジの増産が相場にプラスに働いてしまう可能性が出てきてもおかしくないと考えている(その前にリビア問題が片付いてくれればいいんですが...)。


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コモディティインデックス】
MRA CVIX(MRAコモディティ恐怖指数):27.19(▲0.27)
MRA RMI(MRAレアメタルインデックス):316.70(+1.88)



【雑感】
昨日テレビ出演するに当たり
アフリカ諸国のエンゲル係数がどれぐらいか、を調べてみた。
しかし残念ながら、アフリカ諸国は経済統計が整備されておらず
UNにも適当なデータがなかったので
結局分からず仕舞であった。



それで、公式なデータではないが
ジャーナリストやアナリストのコメントを探して調べたところ
先進国のエンゲル係数は10%をちょっと超えるぐらいが平均の様だが
アフリカは貧困の格差が大きく、貧困層では50%〜70%にも及ぶらしいことが分かった。



収入の7割が食費なのだ。
ちなみに食品価格は昨年から高騰している。
FAOの世界食品インデックスは、昨年夏ごろに170だった指数が
2011年の1月は230にハネ上がっている。
実に35%の上昇だ。



これに先ほどのエンゲル係数を掛け合わせると、エンゲル係数は95%になり
もはや食べるためだけに生きる状態になってしまう。
それは暴動もおきますよ。



「人間は食べるために仕事をしているんだ」


ということを数字の上でも実感してしまいました。
日本がそうなるとは思っていませんが


「賃金が下がり、食べ物も取れなくなり」ということになれば、ひょっとして...」
と、思ってしまったりします。