低流動資産の換金売り

【商品市況概況】

「続落。低流動性資産の換金売り」

昨日の商品市場は続落。G20で欧州危機への対応強化が打ち出されたものの、その直後にドイツ連銀はユーロ共同債に反対の姿勢を示すなど、共同声明がきちんと実行されるかどうかについては懸念が残り、買い戻しは限定的なものにとどまった。流動性の低い商品は需給緩和が見込まれるQ411にかけて調整色を強めることになるだろう。政府当局の危機回避への対応が具体化すれば第二のリーマンショックが回避され、商品価格は反発することになると考えているが、それもこれも政治の強力なリーダーシップが不可欠である。


エネルギー価格は下落。前日の下落が大きかったことから買い戻しが優勢となったが、大きな流れには変化がなく結局前日比マイナスで引けている。ベースメタルは大幅。中国PMIの悪化が嫌気され、実需・投機両面で調整色を強めている。ベースメタル価格の回復には中国の需要回復が不可欠であるが、今のところ中国政府はインフレに対する警戒感を緩めておらず、財政出動を伴う景気刺激の実施はあまり期待できない。貴金属は大幅に下落。危機が拡大する中で質への逃避を旗印に買われてきた貴金属は換金売りに押されている。このコラムで主張しているように、「金融システムが正常に機能してること」が質への逃避で金が物色される要件である。また質への逃避を材料とした値上がり益を期待した投機資金が、金ロングを積み上げていたことからこのような局面では利益確定売りが出やすい。
世界経済は新たな局面に移りつつある。可能性がゼロではない危機に備え、企業・市場参加者とも手元流動性を確保する動きが強まることになるだろう。この対策を慌てず着実に行うことで、パニック的な相場の下落は回避されるはずである。
尚、換金売りが強まったときの下値の目途は、昨日のメルマガをご参照いただきたい。



コモディティインデックス】
MRA CVIX(MRAコモディティ恐怖指数):33.12(+2.33)
MRA RMI(MRAレアメタルインデックス):293.79(+0.37)