年初のご挨拶

【商品市況概況】

「高安まちまち」

昨日の商品市場は高安まちまちとなった。欧州問題の悪化懸念と米国経済統計の好調、中東情勢不安等の売買材料が交錯する中、個別のファンダメンタルズに依拠した動きとなった。年が明けたが商品価格を巡る環境は欧州の景気悪化と中国を初めとする新興国需要の持ち直し、米国経済の緩やかな回復、日本の復興需要による押し上げ期待、といった年末に指摘した状況と然程変わりはない。唯一明確に変わったのが中東情勢不安に伴うエネルギー価格の上昇であろう。景気回復過程におけるエネルギー価格の上昇はコスト・プッシュインフレを誘発して景気にマイナスの影響をもたらす可能性がある。特に再び欧州原油価格が上昇し、欧州物価に上昇圧力がかかった場合には無視できない影響が出てくることになるだろう(幸い、域内消費者物価指数の前年比上昇率は鈍化している)。当面のリスクとしては中東情勢を背景としたエネルギー価格動向であると考えられ、十分注意したいところである。


エネルギー価格は上昇。EUがイラン産原油輸入禁止で合意するとの見方が強まっていることが材料となった。イラン産原油輸入禁止が実際に行われると、他欧州・中東原油が物色されることになるため、イランの制裁に対する対抗措置としてのホルムズ海峡封鎖懸念と併せてエネルギー価格のプラス材料となる。石油製品市場における冬場の中間留分不足の状況に大きな変化はないことから1月一杯は高値圏での推移が続くことになるだろう。


ベースメタルは下落。ドルの上昇と、民間設備投資の先行指標である米機械受注、非国防除航空受注が2ヶ月連続で前月比マイナスとなったことが材料となった。但し、Q112の中国経済に対して温家宝首相が厳しい見方をしたことから金融政策緩和への期待は根強いこと、月初発表の中国PMIも改善が見られたことから底堅い推移となっており、この状況はしばらく続くことになるだろう。


貴金属は小動きであったが金が上昇、その他が下落している。金は新年度入りしてから堅調な推移を続けている。欧州問題の深刻化や流動性供給策の継続観測を受けて消去法的に投機の買いが入っているためと見られる。但し、欧州問題の深刻化や米経済統計の好調を受けてドル高が進行しているため、総じて上値重い推移となっている。


年末にもコメントしたが、2012年の商品価格は年末水準から強含み推移すると見ている。但し各地で予定されている指導者の変更を伴う選挙動向が、大きな波乱要因として相場を下押しするリスクがあると予想している。"



「エネルギー価格には下ブレリスクが」

昨日の商品市場は高安まちまちであった。エネルギーと金価格が上昇しているが、その他、特に金属価格は軟調な推移となっている。ファンダメンタルズ面から見ても...


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コモディティインデックス】

MRA CVIX(MRAコモディティ恐怖指数):28.54(▲0.41)
MRA RMI(MRAレアメタルインデックス):269.04(+0.85)



【雑感】

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

しかし、昨年は本当にいろいろなことがありましたね。
エネルギーに関係する業務に携わっている人間からすると


アラブの春から始まった原油価格の高騰
震災による化石燃料の見直し
中国のインフレ抑制策による電力不足、ディーゼル需要の増加
WTI・Brentの価格逆転...


と、大きなニュースが目白押しでした。
メタルやその他の素材に目を移しても
震災や洪水など、従来想定していなかった出来事が発生し
本当の意味でのサプライチェーンの実態把握の必要性や
在庫保有の意味が問われる年だったと思います。


今年は各地で選挙が予定されています。
選挙は「想定内の想定外」を引き起こすイベント
と私は位置づけていますが
それが私たちの業務や生活に
ポジティブな意味で「想定外」になってくれることを期待しています。


昨年は1年、弊社をご愛顧頂き
ありがとうございました。
今年も一層努力して、良いレポートを作成していきたいと思います。

今年は、もっともっと良い年でありますように。


マーケット・リスク・アドバイザリー
共同代表 新村 直弘