リレー小説-第16話

【商品市況概況】

「海外主要市場休場で引き続き様子見」

昨日の商品価格は引き続き海外主要市場がイースターのため休場だったことから様子見気分が強く、総じて方向感に欠ける展開となった...



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【雑感】

【リレー小説-第16話】

今日はリレー小説の日ですね。

フランス? おふらんす
もう少しで「はぁ?」と声が漏れそうになった。

ちまちま小エビなんかでエビせんべいを作るのをやめ、
フランスのオマールやザリガニにしろとでも言うのか?
目が点になり固まっている龍太郎につかつかと近寄り

「田中です。よろしく」

右手を差し出してきた。普通は名刺交換ではないのか?
欧米か?田中に名刺を出そうとするそぶりは全くない。
神経質そうな風貌には似合わないスマートな振る舞いだ。
しかもよく通る低い良い声だ。
でも瞬間的に「吊るしのスーツのくせにちょっとキザだ」と思った。

「よろしくお願いします。」

龍太郎は、左手に持った名刺入れを思わず内ポケットに引っ込めて、
田中のペースに合わせてしまった。

「ところで、今日はどういう要件でしたっけ?」

右手で着席を促しつつ田中が切り出した。
その右手のシャツの袖口は擦り切れているが、気にするそぶりはない。

「本日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございます。
私どもの名古屋の子会社でエビせんべいを作っているのですが、
最近の養殖エビの高騰のあおり…」

「ところでリッチー君は元気ですか?」

深々とソファーに腰かけていた田中が身を乗り出し話を遮ってきた。

「はい?リッチーさんをご存知なんですか?」
「知っているも何も…
いやぁ懐かしいなぁ。彼はあれでもオールフランスだったんですよ。」

田中は万年質を玩びつつ、遠い目になっていた。
(続く)