米在庫統計速報(7月11日分)

(すみません、統計予想の数字が何だか間違えていたので、書き直します...)

 昨日の米在庫統計は原油ブル製品ベアな内容であった。原油は在庫の小幅減少、石油製品はとも在庫の積み増しが期待されていたが、稼働率の改善と輸入の増加で原油在庫は減少、石油製品は稼働率の増加で予想を上回る在庫積み増しとなった。ただし製油所の稼働率が改善したとは言え、引き続き90.2%と同じ週の過去5年の最低水準である93.1%に遠く及ばない水準で推移している以上、米国の製品供給は輸入に頼らざるを得ない状況が続くといえ、製品主導で原油価格も高止まりが予想される。個別に少し詳しく見てみたい。
 原油は、P1-P3の輸入が減少する一方、稼働率が改善した事から予想に反し▲1.5MBの減少となった。P1-P3の在庫減少は、北海油田からの生産減少に伴うBrent価格の上昇が継続していることも要因として挙げられよう。FSCは22.4日と先週から0.1日悪化している。イールドカーブの形状に大きな影響を与えると考えられるCushing在庫は22.8MB(▲882KB)と3週連続で減少している。繰り返しコメントしているが、Cushing在庫の減少はBrent/WTIのネガティブスプレッド解消のための必要条件である。少なくとも現状では期近期先のスプレッド縮小をもらたらす効果があると見ている。
 ガソリンも0.8MB程度の在庫増加が予想されていたが、生産の減少、需要の増加はあったものの+1.1MBの増加となった。生産減少は稼働率の低下したP2での減少が顕著である。また、得率が58.7%と先週から1.2%低下したことも生産減に影響した。一方で需要は極めて堅調であり、直近ベースで9.6MBD(前週比+44KBD)、4週平均ベースで9.7MB(前週比+106KBD)となっておりている同じ時期の過去5年の最高水準である9.5MBDを上回る水準となっている。一方で在庫水準は過去5年平均を下回っていることから、FSCは21.4日と引き続き過去5年の最低水準22.2日にも満たない。ピークシーズンに突入しているが依然として在庫水準は低いといわざるを得ない。
 ディスティレート在庫も予想を上回る在庫増加となった。稼働率が改善した一方で得率が変わらずであったことから生産量は前週比全く変わらずだったが、ULSDの輸入量増加により輸入が増加した事から総供給量は前週比+162KBDと増加に転じた。直近需要も前週比▲11KBDの4.1MBDとなったことから、在庫は増加している。しかしながら4,131KBDという需要の水準は過去5年の最高レベルである4,095KBDを上回る水準であり、FSCも29.6日と5年平均の29.6日を下回っている。こちらも素直に在庫が足りないと言って良いと考えている。