リレー小説-第70話

【商品市況概況】

「パリ同時多発テロの影響で高安まちまち」

昨日の商品価格は高安まちまちとなった。パリ同時多発テロの影響でリスク回避の動きが強まる一方、シリアに対する空爆実施で原油価格が上昇したことを切っ掛けに株価が戻し、リスク資産価格を押し上げたため。今のところテロの経済に与える影響はそれほど大きくないと見られている。


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【雑感】

【リレー小説-第70話】

リレー小説でございます。


キツネにつままれたような、とはこういうことだろうか。
全く訳の分からないまま私は外に出された。
得られた情報は誰かが私を守っている、
ということと黒づくめの男たちが私のことを何らかの理由で
監視していること。
レオタードのお姉さんたちはスーパー清掃員であること。
確かに、床に転がっていた死体はなくなっていた。


「とりあえず家に帰った方がいい。
ただし今日ここで逢ったことは他言しないように」


黒づくめの男は言った。ここであったことを話したとしても
誰も信じてはくれまい。
いくらなんでも話が支離滅裂すぎる。
謎はさらに深まったたが仕方なく家に帰った。
しかし意を決して新宿に来る前と違って不思議に気持ちは
落ち付いているのだった。
家に帰ると両親が心配しているかと思ったが、
全く心配してない様子である。不思議に思った茉実は母親に聞いた。

「お母さん」
「何?」
「なんで何も言わないの?」
「なんで、って...昨日今日は止まりの合宿だったんでしょ」
「え?」

思わぬ回答に母親は面食らった。
いくらなんでも丸一日不在で衣服もボロボロの状態で娘が
帰ってきたのだ。
しかも合宿なんて話は全く出ていない。
茉実はテレビを見ている父親のところにも行ってみる。

「パパ」
「おう、早かったな。合宿はどうだった?」

...こちらもある意味予想通りの奇妙な回答である。
しかし、二人が口裏を合わせて嘘を言っている感じはない。
そういえば黒づくめの男はとある国のエージェント、
と言っていた。
よくテレビドラマで出てくるような洗脳みたいなことを両親は
されてしまったのだろうか?
でも、そうとしか思えない。
しかし、今日の話を誰かにしたとしても、誰も信じないだろう。
茉実は考えるのを止めた。

「もう自分でできることはこれ以上ない。流れに従うだけだ。」

誰かが心のどこかでささやいたような気がした。
それは不思議と茉実心を落ち着かせた。
(続く)