商品先物取引

【商品市況概況】
「調整売り」
 昨日の商品価格は調整売りに押された。年末を控えたポジション調整に伴う利食い売りが発生したものと見られる。以前、このコラムで指摘したが、現在のマーケットが金融相場になっており、かつ、お互いがお互いの相場を睨みながらの展開となっていることから、下落するときは皆一緒、というのが最近の傾向である。CFTCのポジションからも分かるように投機筋は総じてロングポジションを多くの商品で抱えており、こうしたポジションの手仕舞いは入り易い。大幅な価格調整は一応の景気回復傾向の維持で難しいと見られるが、年内に小幅な調整はあると考えておいたほうが良いと見ている。
 年明け以降は経済対策の効果も継続し、景気が官製需要などによって維持される来年の夏までは堅調な推移が見込まれる。


【経済関連ニュース】
・9月インド鉱工業生産 前年比+9.1%。
・米MBA住宅ローン申請指数 前週比+3.2%の627.5、購入指数 前週比▲11.7%の220.9、借入指数 前週比+11.3%の2,998.2。
・米週間新規失業保険申請者数 502千人(前週改定514千人(速報比+2千人))。
・10月米財政収支赤字 1,764億ドル。13ヶ月連続の赤字。


NY Dow  :10,197.47(▲93.79)
S&P500   :1,087.24(▲11.27)
NIKKEI225 :9,804.49(▲67.19)
Dax :5,663.96(▲4.39)
FT250 :9,295.92(+69.34)
Sensex  :16,696.03(▲153.57)
Shanghai A :3,329.127(▲2.735)
Brazil Bovespa :64,447.9297(▲1,983.313)

JPY/USD :90.43(+0.54)
USD/EUR :1.487(▲0.0094)


・ドルは対ユーロで上昇。株式市場の大幅な調整に伴い、リスク資産からの資金シフトが起きた。円は対ドルで下落。日本の景気先行き不安から相対的に安全なドルへのシフトが起きた。
日本株は下落。日本政府の経済政策や対米政策等の不透明な要素が多いことが嫌気された。景気の底打ち感が強い他国株式の方が相対的に高く推移している。米国株は下落。目立った材料があったとは思えないが、11月末、週末を控えた利食い売りであると考えられる。



穀物
Cbot Wheat :531.75(UC)
Cbot Corn :390.50(▲3.5)
CSCE Sugar :22.09(▲0.01)



【貴金属・非鉄金属
Comex Gold :1,106.60(▲8)
Comex Silver :1,726.50(▲27.2)
Nymex Platinum :1,356.1(▲13.5)
Nymex Palladium :349.75(+4.35)


Copper 3M :6,501.50(▲38.5:21C)
 LME在庫は+4,800Mt増加、(FSCは8.2日)、(キャンセルワラント率は0.5%)。売買高は9,167枚。
Zinc 3M   :2,150.50(▲33.5:27C)
 LME在庫は▲475Mt減少、FSCは14.3日(キャンセルワラント率は2.5%)。売買高は2,894枚。
Lead 3M   :2,260.00(▲44.5:24.5C)
 LME在庫は+275Mt増加、(FSCは5.9日、キャンセルワラント率は0.6%。)。売買高は1,462枚。
Aluminum 3M :1,948.00(▲17:33C)
 LME在庫は▲3,150Mt減少、(FSCは48.0日)。(キャンセルワラント率は2.6%)。売買高は6,592枚。
Nickel 3M :16,190.00(▲660:60C)
 ME在庫は+90Mt増加、(FSCは38.5日)、キャンセルワラント率は0.9%。売買高は3,009枚。
Tin 3M   :14,700.00(▲20:62B)
 LME在庫は前日比変わらず。(FSCは26.1日)、キャンセルワラント率は0.67%。売買高は235枚。


【エネルギー】
WTI :76.94(▲2.34)
Brent :76.02(▲1.93)

・米在庫統計 原油▲3.9MB、ガソリン▲0.3MB、ディスティレート▲0.4MB、稼働率▲1.17%

 昨日のNY原油は下落した。ユーロ安が進行する中、夜間の在庫統計で原油在庫の増加が確認されたことから。しばらくは消費が耐えうる価格レベルを試す動きになると見るが、持続的に80ドルを上回る価格が維持できる経済環境にあるとは言えず、調整リスクをはらみながら上値余地を試す動きになろう。また短期的には11月末を控えたポジション調整の売り(利食い売り)が入りやすくなると予想されることから頭重い推移となろうか。中期的にはIMFの見通し上方修正にあるように、景気回復に伴う需要増加観測から水準を切り上げる動きになると考えている。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。直近限月の騰落率は▲3.1%。昨日の引けは76.94(▲2.34)。 Brentは下落した。直近限月の騰落率は▲2.6%昨日の引けは76.02(▲1.93)。 WTI/Brentは+0.92のポジティブスプレッドに。
 RBOBは下落した。原油価格の下落と米在庫統計での出荷減少で。需要はやはり回復しておらず(前年比プラスに回復しているが、昨年はリーマンショック後の目も当てられない状況なので、比較にならない)。イールドカーブは略パラレルに低下している。直近限月の騰落率は▲2.8%。昨日の引けは194.05(▲5.22)。 ヒーティングオイルも下落した。昨日の引けは199.10(▲6.48)。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。昨日の引けは199.10(▲6.48)。 ICEガスオイルは変わらずであった。イールドカーブはパラレルに低下。直近限月の騰落率は±0.0%。昨日の引けは624.75(UC)。



【ひとりごと】
コモディティの取引が外為証拠金取引張りに個人に広がりつつあるようだ
ちょっと前に商品先物取引が何で悪者扱いされるのか、ということを書いたが
そもそも世界最初の取引所は堂島の米会所であり、その後LMEやNYMEXに広がっていき
かつ、そのときに作られた仕組が金利の市場に応用されていったのだ。
商品取引所は、今の株や金利の取引所の基礎になった、由緒正しい市場なのである。


取引所を「賭場」と定義する人もいるが
私はリスクヘッジの場だと思っている。
堂島の米会所を利用していた人のアンケート結果では7割の人がヘッジ目的で使用していたとの報告もあり
あくまで取引所はヘッジ目的に使われるものなのである。

もちろん、投機目的で取引している人もいるが、それは否定されるべきものではない。
彼らは重要な流動性の担い手であるからだ。
投機資金なくして5年や10年といった取引の流動性供給は無理である。
この10年15年といった長期の取引の流動性供給が、安定した油田や鉱山の開発に資するのである
(この辺は議論が分かれますが...)


話はそれましたが
個人的には、個人に商品先物取引が広がるならば
リスクヘッジ目的で使う人が出てきて欲しいな、と思うのです、
町で毎月入れるガソリン価格のリスクヘッジが、商品先物取引で出来るなら面白いじゃぁないですか。



済みません。
今日も完全にどうでも良い独り言でしたね。