私は老けている-その2

【商品市況概況】
「インフレ政策続く」
 昨日の商品価格は軒並み上昇している。そもそも週初に発表された中国の経済統計の好転、特に中国の新規融資が堅調に増加していることが中国国内の投資促進を促すであろうとのみ方を強め、エネルギー価格の上昇に伴い生産調整が行われる可能性が出てきたことも相俟って、非鉄金属価格を大きく押し上げることとなった。エネルギーは低金利政策の継続期待に伴うドル安が続くとの見方から頭は重いものの比較的堅調な推移となっている。貴金属はギリシャ等の国の信用不安拡大を受けてドル高が進行したため「利食い手仕舞い売り」に押される格好となっている。ただし、基本的には信用不安の拡大は金の買い材料となるため、下げ幅は限定されているとの印象だ。
 今後に関しては、各国とも低金利政策を実質的に継続せざるを得ないことからインフレ政策が継続、商品価格を下支えすることとなろう。


【経済関連ニュース】
・Q309豪GDP 前期比+0.2%(前期改定+0.6%)。
・12月ユーロ圏景気総合指数速報 54.2(前月改定 53.7)。
・11月ユーロ圏消費者物価指数改定 前年比+0.5%(前月改定▲0.1%)。
・米MBA住宅ローン申請指数 前週比+0.3%の667.3、購入指数 前週比▲0.1%の241.2、借換指数 前週比+0.9%の3,214.0。
ノルウェー中銀 政策金利を25bp引き下げ1.75%。
・11月米消費者物価指数 前月比+0.4%(前月改定+0.3%)。コア指数 前月比±0.0%(前月改定+0.2%)
・11月米住宅着工件数 前月比+8.9%の57.4万戸(前週改定52.7万戸(速報比▲0.2万戸))。
FOMC政策金利のFFレートを0.0%〜0.25%の範囲に維持すると決定。家計の支出は緩やかに回復しているが、弱い労働市場と所得の伸び悩み、資産価値の減少、与信環境が引き続き厳しいことから、景気の回復は緩やかなものに。資産買取プログラムは継続」
・S&P、ギリシャ格付けをBBB+に引き下げ。


NY Dow  :10,441.12(▲10.88)
S&P500   :1,109.18(+1.25)
NIKKEI225 :10,177.41(+93.93)
Dax :5,903.43(+92.09)
FT250 :9,141.35(+114.48)
Sensex  :16,912.77(+35.61)
Shanghai A :3,414.288(▲20.199)
Brazil Bovespa :68,622.3984(▲688.414)

JPY/USD :89.7(▲0.15)
USD/EUR :1.454(+0.0017)


・ドルは対ユーロで上昇。FOMC金利据え置きが発表されたが、景気に対する若干前向きな見方が示されたことが買い材料となった。というよりは、米景気の回復が比較的早まる可能性が出てきたドルが物色される動きと、ギリシャ等欧州諸国の格下げに伴うリスク資産・通貨からの逃避の動きが重なったため。ギリシャの格下げ問題で、リスク資産からの資金シフト(ドル・キャリートレードの解消)が続いていたが、住宅関連統計の若干の改善等を材料に株価が反発したことなどからこの流れが変り、ドルが売られる展開となった。円は大幅に上昇している。
日本株は上昇。銀行の自己資本規制強化が延期されたことに伴う需給悪化観測の後退によって。米株は下落。FOMCは略予想通りの内容となり、手仕舞い売りが入った。



穀物
Cbot Wheat :537.25(+0.5)
Cbot Corn :410.25(+2.75)
CSCE Sugar :25.37(+1.12)



【貴金属・非鉄金属
Comex Gold :1,135.50(+13.1)
Comex Silver :1,767.90(+23.8)
Nymex Platinum :1,457.6(+5.1)
Nymex Palladium :371.05(+7.15)

・NY金は上昇した。FOMCを控えてポジション調整のドル売りによるドル安進行で上値を試す展開となった(ちなみにFOMC声明は昨晩の価格には織り込まれていない)。今後は米金融政策、ユーロ圏の金融政策と、欧州諸国の格付け引き下げ報道に伴うリスク回避の動きが金価格を堅調に推移させ、ターゲットプライスである1,400ドル程度まで上昇すると考えている。昨日の引けは(東京時間0:00価格) 1,135.50(+13.1)。
 銀価格は上昇した。金の上昇を受けて。昨日の引け(東京時間0:00価格)は 1,767.90(+23.8)。

・NYプラチナ価格は上昇した。緩やかなドル安と株の上昇を受けて引き続き、日米欧の自動車需要減少が、途上国の自動車需要、宝飾品需要がカバーするとみられること、当局規制の影響の少ない貴金属には投機の対象となりやすいことから高値での推移が続くことになろう。昨日の引け(東京時間0:00)は1,457.6(+5.1)。
 パラジウムは上昇した。昨日の引け(東京時間0:00)は371.05(+7.15)。

Copper 3M :7,039.00(+144:42C)
 昨日の銅価格は上昇した。ここ数日間、ドル高の進行を背景に30日移動平均線を試す動きが続いていたが、このラインを割り込まなかったこともあり、テクニカルに買い戻しが入った。特に10日移動平均線を上抜けしてからの上げ足が速く、再び7,000ドルの節目を上抜けすることとなった。基本、銅のファンダメンタルズは決して弱くなく高値で推移しやすい。ただし当コラムでは、投機筋の手仕舞い売りが年末から年始に掛けて入ると予想しており、更に上値をトライするような動きとはならないと考えている。中期的には景気回復が持続すると見られること、銅鉱山(Mine)からの供給には少なくとも5年程度掛かると見られることから、中長期的にはポジティブなパフォーマンスを維持するとの見方に変更はない。LME在庫は+2,475Mt増加、(FSCは9.6日)、(キャンセルワラント率は0.5%)。売買高は10,005枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期中の上げ幅が大きい。C-3(Cash vs 3M Fwd)は42ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。昨日の引けは7,039.00(+144:42C)。

Zinc 3M   :2,434.00(+99:36.6C)
 昨日の亜鉛価格は上昇した。銅と同じく、欧州各国の財政状況悪化に伴うドル高の進行を受けて下値余地を試していたが、緩やかにドル安が進行したことや欧州経済統計の好転等もあり、欧州時間から上層氏、2,400ドルのレジスタンスを上抜けすることとなった。今後も亜鉛価格は最大需要国、中国の鉄鋼需要が堅調に推移すると見られることから、高値での推移が続こう。ただし、来年初に予定されているコモディティインデックスの比率見直しの影響で、年末〜年始に掛けて一旦下値を探る動きが見られるものと考えている。その後、価格は上昇すると見ているが来年の夏ごろにかけて経済対策が息切れすると見られるため、年後半は一旦調整することになろう。LME在庫は▲250Mt減少、FSCは15.4日(キャンセルワラント率は0.9%)。売買高は4,592枚。イールドカーブは期近の上げ幅が大きくブルフラットニングしている。C-3は37ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。昨日の引けは2,434.00(+99:36.6C)。

Lead 3M   :2,410.00(+50:32.5C)
 昨日の鉛価格は上昇した。週初めの中国経済統計の好転に伴う需要増加観測に加え、昨日に関しては緩やかにドル安が進行したことから、大幅な上昇となった。今後は自動車の買い替えプログラムの終了に伴う需要減少と、在庫水準の高さから価格水準を切り下げると見ている。中期的には中国、インドといった新興国の需要が増加すると見られることからやはり他の非鉄金属同様堅調な推移になろう。LME在庫は+650Mt増加、(FSCは6.3日、キャンセルワラント率は0.1%。)。売買高は1,838枚。イールドカーブはほぼパラレルに上昇している。C-3は33ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。昨日の引けは2,410.00(+50:32.5C)。

Aluminum 3M :2,276.00(+42:36.25C)
 昨日のアルミ価格は大幅に上昇した。LME在庫の急増等、需給面ではマイナスの材料が多かったものの、欧州時間に発表された景気指数の好転等を受けて買い戻しが優勢となり、大幅な上昇となった。足許10日移動平均線を固める動きが続いている。また、原材料価格、特にエネルギー価格の上昇が生産コストの上昇(年初比+200ドル/Mt程度)を引き起こしつつあることや、景気回復の足取りが重い中同時に生産調整が進捗すると考えられることが、相場の上昇を促しているようだ。今後も2,000ドルラインを維持できるか否かがポイントとなるが、景気悪化に伴いむしろ生産調整圧力の影響でこの水準を下回っての下落は難しくなったと考えている。LME在庫は+19,775Mt増加、(FSCは48.9日)。(キャンセルワラント率は4.4%)。売買高は10,240枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きく、ブルスティープニングしている。C-3は36ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。昨日の引けは2,276.00(+42:36.25C)。

Nickel 3M :17,500.00(+500:66C)
 昨日のニッケル価格は上昇した。100日移動平均線を下抜けしてから下値余地を探る展開が続いていたニッケルであるが、中国の経済統計の好転等を材料に16,000ドルを下値として買いが入り、昨日のドル安進行(小幅ですが)を受けて上値余地を探る動きとなった。中国の在庫積み増し需要は減退しているものの、中国以外のOECD諸国での在庫積み増しの動きが見られると予想されることから世界需要は向こう1年半程度横ばいと見ている。一方で、大手生産者は引き続き増産に慎重でありトータルでニュートラルであると見られ、需給は均衡する中景気回復に伴い価格は上昇することになると考えている。LME在庫は+930Mt増加、(FSCは42.9日)、キャンセルワラント率は0.6%。売買高は2,371枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きくブルスティープニングしている。C-3は66ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。昨日の引けは17,500.00(+500:66C)。

Tin 3M   :15,475.00(+150:65C)
 昨日の錫価格は上昇した。昨晩は夜間にドル安が進行したことから、10日移動平均線をサポートラインに堅調な推移となった。インドネシア政府が違法生産者の逮捕に踏み切る等、インドネシアの錫生産は減少を続けており、供給環境が安定していないことから現物をめぐる需給環境は不安定で、当面堅調な推移が続くと考えている。イールドカーブは期先の上げ幅が大きくブルスティープニングしている。LME在庫は▲10Mt減少、(FSCは25.5日)、キャンセルワラント率は1.64%。売買高は429枚。C-3は65ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。昨日の引けは15,475.00(+150:65C)。



【エネルギー】
WTI :72.66(+1.97)
Brent :73.55(+1.5)

・米在庫統計市場 原油▲3.7MB、ガソリン+0.8MB、ディスティレート▲3.0MB、稼働率▲1.10%

 昨日のNY原油は上昇した。70ドルの心理的節目を若干割り込んだものの結局この水準では割安と見た消費者の買い(2010年度のヘッジ買い等)が入り、水準を切り上げる動きとなる中、夜間に発表された米在庫統計が「売りの材料となりにくい」内容であったことから買いが優勢となり、100日移動平均線を試したあと、この水準を下回って引けた。今後は引き続き年末を控え、「高い水準まで投機の買いによって上昇した商品への手仕舞い売り」によって頭重い推移になると考えている。尚、「経済状態が変らない」とした場合の現時点の需給均衡価格は66ドル〜75ドル程度であると考えている。中期的には景気回復(GDPプラス成長への回復)に伴う需要増加観測から水準を切り上げる動きになると考えている。経済成長率と原油の需要の増加率は略1:1の関係(GDP-2%が石油需要の増加率と見積もられる)であり、来年以降は相場は水準を切り上げる動きになるだろう。イールドカーブはほぼパラレルに上昇している。直近限月の騰落率は+2.6%。昨日の引けは72.66(+1.97)。 Brentは上昇した。直近限月の騰落率は+2.0%昨日の引けは73.55(+1.5)。 WTI/Brentは+-0.89のポジティブスプレッドに。
 RBOBは上昇した。そもそもユーロ高で原油が戻りを試しつつある中、在庫統計を確認した後に原油が上昇したことから連れ高となった。しかしガソリンを巡る需給環境の悪さは引き続き変らず、クラックを縮小させている。イールドカーブはパラレルに上昇している。直近限月の騰落率は+1.5%。昨日の引けは187.39(+2.88)。 ヒーティングオイルは上昇した。原油の上昇と、寒波の襲来が材料となった。但しそもそも在庫水準は高く、中間留分の洋上在庫も1億バレル程度に達していることもあってクラックが拡大するような上昇は続かないと考えている。昨日の引けは196.58(+6.25)。イールドカーブはパラレルに上昇。昨日の引けは196.58(+6.25)。 ICEガスオイルは上昇した。イールドカーブは期近の上げ幅が大きくブルフラットニング。直近限月の騰落率は+2.1%。昨日の引けは603.25(+13.0)。



【ひとりごと】
静岡支店では金融法人営業を担当していた時期がある。
地元の金融機関からお金を集める仕事である。
窓口の仕事も資金調達なので、仕事の種類は大きくは変わらない。
でも。
会社入って2年目で、1人で地銀さんや信金さんに行って楽しく会話、っていうよりも提案しなきゃならないのが大変だった。
それこそ今では懐かしい野村の赤本とか、証券投資論を読んで日々勉強の日々であった(今もあんまり変わらないけど)。
その時期、米国金利の動向と為替の見通しを自分で作ったので、お客さんのところに持って行って自分で説明していたことがある。
で。
とある地元の会社に資料をもって意気揚揚と説明に行った。
ところが、である。
説明をしていたところ、突然先方の部長さんが怒り始めた。


客「おいお前ッ!!何なんだッ!!」


え?え?え?
俺、なんか悪いことしたっけ!?
アメリカの金利の説明しちゃいけなかたのかしら!?


私「何、と申しますと...?」
客「何、じゃないだろう!何なんだこの資料は!!」
私「え?米国金利の見通し資料ですが...」
客「そうじゃないッ!!こんな適当な資料を持ってきやがって。もう少しちゃんとしたものが作れないのか!!」


しまった。何か間違えたのか。でも、そんなに変なこと書いてないんだけどな...


客「内容はともかく、もう少しキチンと作ってこい。」
私「ハイ。すみません...」
客「お前、課長にもなってこの程度の資料じゃ、使い物にならないぞ!!!」
私「え?」
客「これぐらいの資料は会社に入って3、4年のやつが作るような資料だ。お前、今何歳になった!」
私「あの、25歳です...」
客「ええッ!!」


3分ほどの沈黙。
相当気まずい。その気まずさに耐えかねて部長が口を開いた。


客「まぁ...うん。改めてよく見てみると、なかなかいい資料...だね。」
私「はぁ、ありがとうございます...」
客「この調子で精進するように」


...精進、っていうか、何ていうか。
先週おれの上司の課長と一緒に来たじゃん。
そんなに老けているかしら、俺。
あ、ひょっとして私の上司のことを私の部下だと思っていたのかも。
まぁ、そのあと少しだけ仕事をもらいました。
前の窓口の時のように、お客さんに合わせていたら仕事はもらえなかっただろう。


教訓。
流れに逆らってはいけない。
こうしてまた、少しオトナの世界を学んでしまいました。