リレー小説-第38話

【商品市況概況】

「再びドル上昇で総じて軟調

昨日の商品市場は総じて軟調な推移となった。先週は雇用統計を受けてドルが売り戻されたが、FRB発表の労働統計の改善や相対的な経済格差を意識したドル高が再び進行し、広くドル建て資産価格の下落要因となった。


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【雑感】

【リレー小説-第38話】

1週間空きましたが、リレー小説です。
お待たせいたしました。

龍太郎が新神戸の駅に着いたのは朝9時過ぎだった。
久しぶりに茉実に会うというのに、朝早く熱海を出たせいか、
土産らしい土産も用意できないまま来てしまったことを少し悔やんだ。

新幹線の改札を出ると手を振って待っていてくれた。
昨日の電話ではかなり思いつめた様子だったが、思いのほか元気そうだ。

「ブランチ食べに行かない?朝ごはん、どうせ食べてないんでしょ?」
「あぁ、昨夜飲み過ぎたせいか一応腹は減ってるんだけど」
「熱海に出張だったんだっけ?」
「いや、出張は名古屋だったんだけど、その後、
急に熱海で降りることになっちゃってさ」
「じゃあ、魚料理以外が良いわよね」
「そうだね、気をつかってくれてありがとう」

平穏な様子を装ってくれているが、
これから一体どんな話を切り出されるのだろうかと思うと、
龍太郎は内心、気が気ではなかった。

駐車場に向かい、彼女の車の助手席に乗り込むと
ダッシュボードから白い封筒がはみ出しているのが目についた。
龍太郎は我が目を疑った。今朝、温泉宿で受け取った封筒と
まったく同じものではないか。

「こ、この封筒どうしたの?」
「昨日、私の会社のデスクに届いたのよ。差出人も書いてないし、
ちょっと気味が悪いからまだ開けてないわ。」
「実は俺も今朝、熱海で同じ封筒を受け取ったんだよ」
「ええっ?!中はなんて書かれていたの?」
「いや、実は俺もまだ怖くて開けられないんだ」

「じゃあ、ここで今、私と一緒に開けてみる?」

思いがけない展開だった。
(続く)