リレー小説-第55話

【商品市況概況】

原油は上昇も、その他はドル高で下落」

昨日の商品市場は原油は上昇したが、その他の商品は概ね下落した。原油OPECの減産観測報道を受けて急騰したが、その他の商品はギリシャ問題を背景としてリスク回避のドル高が進行したことが重石となった。



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【雑感】

【リレー小説-第55話】

どうやって終わるのか、やや頭が痛くなってきました...

「Xデーは近い」

リッチーは極秘資料を閉じた。

その瞬間、見計らっていたかのようにスマホの着信音が鳴った。
電話の主は美紅の父親、つまり狸屋五代目主人の新太郎だった。

「もしもし」
「あぁ、私だが」

老舗和菓子屋の親父らしい、頑固そうな口調である。
昨夜の報告を待ちわびていたのだろう。
いつもよりも声が前のめりになっている様子が伝わってくる。

「例のサンプルとやらは手に入ったかね?」
「完全なものとは行きませんが、
ごく微量のエビのひげとタコの吸盤とイナゴの足を採取することは
出来ました。」
「そうか。まぁ、それでも何か良いアイディアが出るかもしれん」
「こんなはずではなかったのですが、力不足で申し訳ありません」
「いやいや、君が頑張ってくれているのは
十分に理解しているつもりだよ」
「完全な実物をまだ押さえていませんが、
必ず近日中に手に入れてお持ちします」
「心強い、楽しみだね」

サンプルとは言え、今の新太郎にとっては喉から手が出るほど
欲しい代物であった。
これが入手できるかどうかに狸屋の未来がかかっている。
新生狸屋として何としてでも飛躍させ、六代目にバトンタッチ
しなければならない。

「とりあえず、今回手に入ったものだけでも見たい。
明日、うちへ来てくれ」

そう言うと電話が切れた。
明日と言わずに一刻でも早く持って行くべきだが、
しかし黒い服の男が次にどう動くか分からない状況下では
行動が慎重にならざるを得ない。

それと同時に、狸屋に行くということは、
もしも美紅に会った場合の対策も考えておく必要があるだろう。

リッチーは思考を整理すべく、
ル・コルビジェのシェーズロングにもたれ掛りながら瞼を閉じた。
(続く)