エスカレーター-その2

(経済関連ニュース)
・5月小売売上高 前月比+3.5%(前月改定▲0.3%(速報比▲0.1%))、市場予想▲0.1%。
・米週間新規失業保険申請者数 前週比▲5千人の381千人(前週改定386千人(+2千人))、市場予想375千人。
・6月米フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ▲17.1(前月▲15.6)、市場予想▲10.0。
・5月米景気先行指数 前月比+0.1%(前月改定+0.1%(速報比変わらず))、市場予想±0.0。
・(総合ニュースではないですが、重要なのでこちらに書きます)中国国家発展改革委員会 ガソリン価格とディーゼルオイル価格を各々17%、18%引き上げ。
・米MBIA(モノライン会社)の保険財務格付けをA2に引き下げ(Moody's)

・ドルは対ユーロで上昇。米小売売上高の上昇を受けてポンド買いを目的とするドル買い・ユーロ売りが出たため。対円でもドルは上昇。

日本株は大幅下落。前日の米国株大幅下落を受けて幅広く売りが入った。アジア株も下落。自動車やハイテク関連等、米国の需要の減少の影響を受けやすい業種が売られた。金融株も米金融不安のあおりを受けて軟調。米国株は反発。中国の石油製品値上げ(実質的には補助金削減)を受けたエネルギー価格の大幅下落で運輸や消費関連株が買われた。
穀物市場サマリー)
・大豆価格は下落。原油の下落や米中西部の機構好転、中国の旧穀成約キャンセル、ドル高の進行といったマイナス材料を受けて、アルゼンチンのストの問題はあるものの下落した。但し10日移動平均線は引き続き割り込まず、このラインでサポートされて引けている。

・トウモロコシ価格は下落。米生産地の洪水やミシシッピ川の増水の影響で農地に影響が出るとの見方から上昇していたが、昨晩は原油価格の下落や生産地の乾燥予報といったマイナス材料に加え、ドルが上昇したことから下落に転じた。こちらも大豆同様、10日移動平均線でサポートされて引けている。

・小麦価格も下落。時間外は小高く推移していたものの、原油価格の下落を受けて略一本調子に水準を切り下げた。ドル高の進行も売りを誘ったようである。こちらも10日移動平均線のサポートはとりあえずは維持している。

非鉄金属関連ニュース)
・金は上昇。前日の原油高やドル安といった材料を受けて上昇し、前日高値を上抜けたところから上げが加速した。その後ドル高が進行したことや原油の下落を受けて下落に転じている。上昇はややテクニカルなものであることは否めない。結果、30日移動平均線のサポートを上抜け900?台をとうとう回復するに至った。
 著しい金価格の上昇が宝飾品需要を落ち込ませたようだ。WGCの発表によればQ108の宝飾需要は前年比▲21.5%の454.4Mtに、世界最大の金消費国であるインドの需要は前年比▲50%の102.1Mtに落ち込んでいる。このことは価格上昇が需要を減少させることの証左であり、著しい価格上昇に伴う需要減少の可能性は視野に入れておくべきであろう。このことは宝飾品に用いられるプラチナ等の貴金属でも同様である。足許、著しいドル安の進行に対し、米政府も警戒感を強めている。このことはドルが個々しばらく続いたベアなトレンドから転換する可能性があることを示唆している。しかしながら、米国の実質金利はマイナスの状態に突入していること、構造的なバランスがドルにとってはマイナスに働き易いことからこのドル高→金安のシナリオは長期間続かないと考えている。尚、今のところ一次回帰分析の結果では現在のドル価格は比較すると引き続き割安なレベルにあるため、テクニカルな買いは入り易い(金価格=1,265.5×ドル・ユーロ-1,038)。
 銀価格も上昇。こちらも今週何回かトライしている17.5?のレジスタンスを上抜けした所から上げが加速、大幅に上昇したがその後の原油安やドル高といったマイナス材料を受けて上げ幅を削り、17.5?を再び下回って引けた。

・プラチナ価格は下落。2,100?ラインをトライしながら上昇していたが、ドル高の進行や原油の急落といったマイナス材料を受けて水準をジリジリと切り下げる展開となった。チャート的には一目均衡表の雲の上限でサポートされて引けいてる。南ア労働者のスト懸念やESKOMの電力料金引き上げといった足許のプラス材料もあり、大幅な下落とはなっていない。
 中期的な見通しについてプラチナは、為替・ファンダメンタルズの両要因で堅調な推移になると考えている。2008年の需給は711キロオンスの、2009年に関しても458キロオンスの供給不足になると考えられ、年内については米金利低下を背景としてドル安傾向が持続すると見られるためである。価格上昇に対するリスクシナリオは、プラチナ価格が上昇し、代替品としてパラジウムが代用品として利用されるリスクであろう。今のところディーゼル車向けに用いられているパラジウムは全体の10%程度であり、これは将来的には25%程度まで上昇すると考えている。
 パラジウム価格は続伸。ロシアの戦略備蓄枯渇懸念を受けて先週から値を飛ばしている。

・4月南ア金生産指数 前年比▲10.1%の102.8、2-4月は前年比▲17.0%。

(エネルギー関連ニュース)
・米在庫統計 原油▲1.2MB、ガソリン▲1.2MB、ディスティレート+2.6MB、稼働率+0.7%
・中国政府は国内ガソリン、ディーゼルオイル価格を引き上げ。
ベネズエラ ラミレスエネルギー相「原油の増産の必要はない。産油・消費国会議には出席しない」
・米ブッシュ大統領サウジアラビアのジッタでの産油国との会議で増産が打ち出されることはないだろう」

(商品市況概況)
「中国の力」
 昨日のコモディティ市場は概ね下落した。材料は端的に「中国の国内石油製品価格引き上げ」である。そもそも高い海外原油を購入し、低い価格で国内販売している中国は実質的に石油製品に対して国の補助金が出ている状態となっている。この補助金による価格の「歪みの発生」が2001年から続いていることがここまでの需要増加、価格増加の最大要因の1つであるが(ちなみに中国は段階的に国内石油製品価格を引き上げ、内外価格差の是正に努めているが、昨日の下げはここ数年では最大の上げ幅)、昨日の発表は明らかに需要の減少を引き起こすと見られ、「デマンドショック」で上昇してきたエネルギー市場に冷や水を浴びせかけることとなった。但し、週末の産油国・消費国会議を控えて極端なポジションクローズは見送られたものと見られ、未だ、比較的に価格は高値で安定しているとの印象である。
 この動きは続くか否か。

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は上昇した。ペルーのスト懸念が押し上げ材料となり、50日移動平均線レジスタンスラインを上回って寄り付いていたこともあって略一本調子で水準を切り上げる動きとなった。その後原油価格の急落やドル高の進行を受けて水準を切り下げる動きとなった。結果的に一目均衡表の雲の上限で頭を抑えられた格好となった。基本、株が調整色を強めていることから相関性の高い非鉄金属はベアに推移しやすいのだが、ここ数日はややテクニカルに上昇している。LME在庫は+325Mt増加、(FSCは2.4日)、(キャンセルワラント率は8.4%)。売買高は9,060枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期近を中心に小幅上昇。C-3(Cash vs 3M Fwd)は166?バックとバック幅を縮小した。
 昨日の亜鉛価格は下落した。亜鉛の生産コストと考えられる1,800?に近づくレベルで安値拾いの買いが入る中、寄り付きは小幅な上昇となったがその後LME在庫の大幅増加(マレーシア8,575Mt)やドル高の進行、原油の急落を受けて一昨日の上げを吐き出し大幅な下落となった。しかしながら10日移動平均線でサポートされて引け入る。コストイーブンプライスに近づくレベルでは安値拾いの買いが入り易いことの証左であろう。LME在庫は+8,350Mt増加、FSCは4.6日(キャンセルワラント率は4.3%)。売買高は4,302枚。イールドカーブは全ゾーン大幅に低下。C-3は313?バックとバック幅を拡大した。
 昨日の鉛価格は下落した。取引序盤は10日移動平均線近辺でのもみ合いとなっていたが、LME在庫の増加やドル高の進行といったマイナス材料を受けて下落、その後の原油価格の下落を受けて商品相場自体のセンチメントが悪化する中水準を切り下げる動きとなった。ダウンサイドは1,800?が意識されているが、ここを下回った場合には目立ったチャートポイントがなく、強いて上げるなら2007年3月9日の安値1,771?が挙げられよう。LME在庫は+450Mt増加、(FSCは4.1日、キャンセルワラント率は3.9%ここ数週間でキャンセルワラント率は上昇している。)。売買高は2,108枚。イールドカーブは期近を中心に大幅に下落、ベアスティープニング。C-3は21?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日のアルミ価格は下落した。寄り付きから前日比レベルでのもみ合いとなっていたが、LME在庫の増加やドル高の進行を受けて徐々に水準を切り下げる動きとなった。その後、エネルギー価格が中国の石油製品価格引き上げ報道を受けて下落に転じたことから地合いが悪化し、アルミも水準を切り下げる動きとなった。流動性の高い銅・アルミはドル安等の周辺材料で変動し易い。特にアルミ生産コストに直結するエネルギー価格の下落は売り材料視されよう。また、株が調整色を強めていることから、(基本アルミは高値で推移する、という我々の見通しに変更はないものの)ここまでの高騰は長く続かないと見る。LME在庫は+1,025Mt増加、(FSCは9.4日)。(キャンセルワラント率は4.1%)。売買高は11,640枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下している。C-3は46?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日のニッケル価格は下落した。取引序盤は10日移動平均線でもみ合っていたものの、ドル高の進行や原油価格の急落による地合いの悪化を受けてニッケルも22,000?のコストレベルまで大幅に水準を切り下げる動きとなった。BHPの豪鉱山の停止報道を受けて今年度の需給逼迫の可能性が出てきていることや、Pig Ironとの比較感で意識される22,000?を割り込めなかったことが相場の転換点になり堅調な推移が続いていたが、上値も同様に重いことが確認された格好。やはり当面はレンジワークが継続する見込みである。LME在庫は▲42Mt減少、(FSCは10.9日)、キャンセルワラント率は1.6%。売買高は1,316枚。イールドカーブは期近を中心に全ゾーン低下。C-3は130?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の錫価格は下落した。とは言っても高値でのもみ合い、との印象である。取引序盤から前日引けレベルで推移し、その後50日移動平均線ラインをトライしたものの、ドル高の進行や原油価格の下落といったマイナス材料もあって引けにかけては地合いを悪化させた。結局、100日移動平均線〜50日移動平均線の新しいレンジでのレンジワークが継続しているが、そもそも生産国の生産動向が不安定な中LME在庫の減少傾向に歯止めが掛からず地合いは堅調である。LME在庫は+30Mt増加、(FSCは0.0日)、キャンセルワラント率は15.34%。売買高は124枚。イールドカーブは期先を中心に低下しベアフラットニング。C-3は20?バックとバック幅を拡大した。

(エネルギー)
 昨日の原油価格は上昇後、大幅に下落した。材料は端的に「中国の国内石油製品価格の大幅引き上げ」である(実質的に補助金削減)。このコラムや週次の詳細版レポートでもコメントしているように、この8年間の需要増加は補助金を受けている新興国の需要増加に因るところが大きく、その最大国である中国の国内価格引き上げはこうした新興国の「補助金継続の困難さ」の象徴でもあり、素直に原油相場は反応することとなった。また、同時にドル高が進行したことも売りを誘ったようだ。この結果10日移動平均線のサポートラインを割り込んで下落することとなった。イールドカーブは略全ゾーンパラレルに低下している。Brentも同様に全ゾーンパラレルに低下している。直近限月の騰落率はWTIが▲3.7%、Brentが▲3.5%。とは言うものの、ここまでの上昇幅が大きかったこと、週末に産油国・生産国会議が控えていること(実効性の有る価格上昇対策が打たれるとは思えないが...)から手仕舞い売りが入りやすかったこともあって、比較的下げ幅は限定されたな、という印象である。
 石油製品も下落。RBOBは中国の当該ニュースを受けて大幅に水準を切り下げ、10日移動平均線を割り込み30日移動平均線でサポートされて引けた。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。直近限月の騰落率は▲3.5%。ヒーティングオイルも大幅な下落に。こちらは10日移動平均線のサポートをすでに割り込んでいたことからガソリン比でも下げ幅が大きく、米在庫統計での在庫増加の影響もあって一気に30日移動平均線を割り込む大幅な下落となった。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。直近限月の騰落率は▲4.1%。ICEガスオイルは上昇後、中国のニュースを受けて下落した。この結果30日移動平均線を割り込むが、切りの良い1,200?ラインでサポートされ、結果的に前日比プラスで引けている。イールドカーブの形状は略全ゾーンパラレルに上昇。直近限月の騰落率は+0.8%。

(ひとりごと)
昨日の雑感には、非常に多くの返信をいただいた。
結構多かったのが、「ロンドンは右側に立つ」というもの。

確かに、エスカレーターの効率化のために、ロンドンには「Stand Right」といったような表示があるらしい。
そこまで書いてあれば、左側に立つ人はあるまい。
合理的な欧米人らしく、こうした考えを恐らく始めに導入したのはイギリスなんだろうな。

で。

返信があった中で非常に貴重な情報があったがそれは以下のようなものであった。

大阪は右
神戸は右
京都は左

というもの。
そうなのだ。はっきりしたことは分からないが、関西地区にあって「京都だけ左説」が持ち上がってきたのだ。
京都は実は関西ではない疑惑と略同義である。

それと一部情報で、名古屋は左であった、という情報や
実は九州にいったら左に戻るんじゃないか?といった意見も。

謎が深まってきた。
このレポート、北は北海道から南は沖縄まで送られている(多分)ので、皆さんの情報を結集すれば
「正しいエスカレーター地図」
の作成がきっと可能である。

気になって眠れない。

ちょっとだけ、メールに「うちの県は右側」ですとか「ウチの県は右も左もありません」といった返信をくれるだけで良いのです。
是非、「エスカレーター地図作り」にご協力下さい。