(商品市況概況)
「どこもかしこもエネルギー。でも結局はファンダメンタルズなのです」
週末のコモディティ市場はエネルギー価格は下げが継続、非鉄金属も高安まちまちという展開で商品ごとまちまちの相場展開であった。
足許のマーケットの材料は引き続きエネルギーで、最大の関心事は「いつまで下落するのか」ということである。2008年初からここまでのメインテーマは「高まる需要」であったのだが、ここに来て急に「低下する需要」に突如マーケットの判断が変ってしまった。正直、米国の石油製品需要の減少は前からいわれていたことであり、「ここに来て」という印象である。皆、夏場はハリケーンシーズンであり、かつ現在の在庫水準は低いのだ、ということをすっかり忘れてしまっている上、「CFTCの監視強化」報道が「切っ掛け」になって始まった下落であるが、こうした下落の仕方をすると、産油国側が「やはり相場は投機の影響で上がっていたのだ」といい始め、下期の減産の可能性もゼロではなくなっている、ということも忘れてしまっているようだ。年金資金が相場を押し上げる、との指摘があるが実際にエネルギー市場に流入している年金資金が「世界の需要に換算した場合、どれぐらいのインパクトなのか」を計算してみると、約200兆円の資金がインデックス商品を通じて商品市場に流入していたとした場合、その数量は世界需要のわずか0.4%に過ぎない(350KBD程度、油田1個分程度)。この数字を見ても分かるように、実際のところエネルギー市場へ与えるインパクトは軽微なのである。この程度では2000年の初頭から2008年までの間に原油が20?から150?まで上昇させる力はないだろう。
よって、引き続きエネルギーはファンダメンタルズに注目する必要があると考えているが、上記の通りの夏場のリスクを加味すれば、夏場に上昇、冬場の増産観測で下落、来年以降は景気の最悪期を脱し、上昇、という展開になろうか。
(経済関連ニュース)
・Q208英GDP速報 前期比+0.2%(前期改定+0.2%)、市場予想+0.2%。
・6月米製造業耐久財受注 前月比+0.8%(前月改定+0.1%(速報比+0.1%))、市場予想▲0.3%。
・6月米新築住宅販売 前月比▲0.6%の53万戸(前月改定53.3万戸(速報比+2.1万戸))、市場予想50.3万戸。在庫比率は10ヶ月に低下(前月10.4ヶ月)。
・7月米ミシガン大学消費者マインド指数確定 61.2(速報比+4.64)、市場予想56.4。
・米S&P、ファニーメイとフレディマックの劣後債、優先株の格付けを引き下げ方向。
・ドルは対ユーロで小幅下落。英GDPの悪化、米経済統計が市場予想を上回ったことからドル高の地合いであったが、週末を控えて一旦ポジション整理のドル売りが入ったと見られる。ドルは対円で上昇。素直に米経済指標の好転が好感されたようである。
・日本株は大幅に下落。前日のNYで米株が大幅に調整したことから、金融、不動産、輸出関連株が売られた。アジア株は、上海A株は反落、インドSensex、ブラジルBovespaといった新興国株、Dax、FT250は軒並み続落。米国株は小幅反発。米新築住宅販売、製造業受注が市場予想を上回ったことから素直に買いが入った。
(穀物市場サマリー)
・大豆価格は上昇。ドル高の進行や原油価格の下落といったマイナス材料を受けて終始軟調に推移していたが、引けに掛けてのドル安の進行等もあって、値ごろ感から買いが入り結局前日比プラスで引けている。特段材料がなかったため、テクニカルな買い戻しの側面が強い。イールドカーブは期近の上昇幅が大きい。
CFTC Non-Commercial ポジションは、ロングポジションが大幅に縮小したことから、ネット買い越し幅は▲11,673枚の104,162枚、インデックスファンドも買い越し幅を▲10,175枚とし、150,109枚の買い越しとなった。"
・トウモロコシ価格も上昇。エネルギー価格の下落やドル高の進行、生産地の天候好転といった売り材料を受け下落しているが、6月末の高値から30以上下落していることや、引けに掛けてドル安に再び振れたこと等が好感され、買い戻しが入った。結果的に5月29日の安値である573?が意識されているようである。イールドカーブは全ゾーン略パラレルに上昇している。
CFTC Non-Commercialポジションは、ロングポジションが大幅に縮小したことから、ネット買い越し幅は前週比▲33,168枚の246,068枚に、インデックスファンドも買い越し幅を▲10,175枚の150,109枚とした。"
・小麦価格は続伸。トウモロコシ・大豆の相場展開と略同じであるが、引けに掛けてドルが安くなったことから買い戻しが優勢となった。但し値幅はそれほど大きくなく、小職は下落が続いていたことに伴う週末を控えたテクニカルな買戻しであると考えている。イールドカーブの形状は全ゾーン小幅上昇。
CFTC Non-Commercialポジションは、ロングポジションが拡大、ショートポジションが縮小し、ネット買い越し幅は+8,345枚の3,000枚と、ネット買い越しに転じた。インデックスファンドは▲3,912枚の176,061枚の買い越しとなっている。
(非鉄金属関連ニュース)
"・金は小幅上昇。原油価格の下落とドル高の進行を受けて下値を探る動きとなっていたが、50日移動平均線となる913?を割り込めなかったことから買い戻しが優勢となった。CFTCの金ポジションもドル安の長期化もあって大幅な買い持ちとなっているが、足元はドルが上昇していることから手仕舞い売りが優勢になっている。
短期的に金価格は堅調に推移すると考えている。地政学的リスクの高まりや、米景気の後退懸念に伴う恒常的なドル安傾向、株式市場のパフォーマンスの悪化、といった材料を受けて安全資産であり、市場規模のうちの半分近くが投機資金である金は、質への逃避で物色されると見ておくべきである。但し今のところ一次回帰分析の結果では現在の金価格はほぼ一次回帰直線状に位置し、テクニカルな売買が行われるような環境にはない(金価格=1,188.3×ドル・ユーロ-924.75。これはもしユーロが1.6?まで下落して場合には977ドルに相当)。但しまた同時に金価格の上昇が宝飾品需要を落ち込ませている可能性が高く(WGCの発表によればQ108の宝飾需要は前年比▲21.5%の454.4Mtに、世界最大の金消費国であるインドの需要は前年比▲50%の102.1Mtに落ち込んでいる)。価格上昇局面での下押し圧力となりえるため、金価格は当面高値で安定推移すると見ておくのが妥当であるといえよう。
NY銀は小幅反発。ドル高、原油安、といったマイナス材料はあったものの一目均衡表の雲でサポートされて小幅高となった。
・NYプラチナ価格は大幅に上昇。原油価格の下落やドル高の進行、米大手自動車企業決算の悪化といったマイナス材料を受けて大幅な調整が続いていたが、値ごろ感から安値拾いの買いが入ったものと考えられる。足許の自動車向け触媒需要の減少観測、エネルギー相場下落が相場の下押し材料となっている。下値の目処は目立ったチャートポイントがない中、強いて挙げるなら1月30日の1,682?、ということになろうか。
中期的な見通しについてプラチナは、堅調な推移になると考えていたが、自動車向け需要が一時的にでも減退すると見られることから依然程の強気姿勢は維持できないと考えている。このコラムで指摘してきた需要減少のリスク要因の影響が大きくなりつつある状況である。
価格上昇に対するその他のリスクシナリオは、プラチナ価格が上昇し代替品としてパラジウムが代用品として利用されるリスクであろう。今のところディーゼル車向けに用いられているパラジウムは全体の10%程度であり、これは将来的には25%程度まで上昇すると考えている。また地上在庫の多さがこうした不足分を補うと見られることから、結局のところ生産不足分は相殺されニュートラルになる可能性があることも相場の下押し材料となりえよう。しかしながらやはり南アの生産状態が電力価格の上昇やその他のコストの上昇等で不安定であることから当面、高い水準で堅調な推移が続くことになると考えている。
NYパラジウム価格は続落。
今後パラジウムの価格は上昇すると考えている。プラチナ価格の高騰に伴う代用品需要の高まりが期待されるためだ。プラチナのところでもコメントしているように、プラチナ触媒がパラジウム触媒に置き換わることによる需要増加や、宝飾品にパラジウムが用いられる可能性がある。しかしながら非常に多い地上在庫(弊社見積もりではチューリッヒに8百万オンス、ロシアに10百万オンスの地上在庫があると見ている)が、価格の上限を押さえることとなろう。
(エネルギー関連ニュース)
・イスラエル軍首脳、外交努力が奏功しなければイラン核開発計画を阻止するために軍事力が行使される可能氏がある、と発言。
(非鉄金属)
週末の銅価格は上昇した。前日比プラスで寄り付いた後、上海在庫の減少等を受けて小幅高となったが、LME在庫の大幅増加やドル高の進行といった材料と米機械受注や新築住宅販売といった統計の好転を受けて方向感が出にくくなり、もみ合い推移した。結局、節目である8,000?は回復せずに引けている。今後は、中国の固定資産投資や鉱工業生産の水準の高さを鑑みれば需要に大きな変更はなく堅調であるといえ、コンセントレートの供給不足もあって大幅な調整の可能性は低いとの見方は変更しない。LME在庫は+2,600Mt増加、(FSCは2.6日)、(キャンセルワラント率は9.5%)。売買高は5,142枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは略パラレルに全ゾーン上昇している。C-3(Cash vs 3M Fwd)は228?バックとバック幅を拡大した。
週末の亜鉛価格は下落した。取引序盤は前日引けレベルでもみ合い推移していたが、上海在庫の増加やNY時間のドル高進行を受けて地合いが悪化、1,800?のコストラインをトライする展開となった。需要が強いというわけではないが、大生産国であるはずの中国の輸入が増加傾向を辿っており(亜鉛、鉛はオリンピック期間中は10%の生産量削減)、LME在庫も減少傾向となっていること、1,800?のコストラインに近づくレベルでは生産減少の可能性が根強いことから下値も堅いようだ。LME在庫は前日比変わらず。FSCは4.5日(キャンセルワラント率は5.9%)。売買高は3,173枚。イールドカーブは期近の下げ幅が大きく、ベアスティープニングしている。C-3は12?コンタンゴとコンタンゴ幅を拡大した。
週末の鉛価格は下落した。夏場を控えたバッテリー需要の高まりやLME在庫が減少トレンド入りしたことから総じてしっかりの展開であるが、米経済統計の好転を受けたドル高の進行がより材料として強く意識され、総じて軟調な推移となった。LME在庫は+150Mt増加、(FSCは3.8日、キャンセルワラント率は6.9%ここ数週間でキャンセルワラント率は上昇している。)。売買高は1,570枚。イールドカーブは全ゾーン略パラレルに低下している。C-3は13?バックとバック幅を縮小した。
週末のアルミ価格は上昇した。原油価格が続落しているものの、LME在庫、上海在庫が減少したこと、米経済統計が好調な内容であったことから前日比小幅上昇して引けている。週末に関してはこの2週間のエネルギー価格の下落に連れる形で大幅に調整してきた反動で、買い戻しが若干入ったことに伴う上昇であると考えており、エネルギーの下げトレンドが持続していることから下値探りの動きに大きな変化はないと考えている。LME在庫は▲2,100Mt減少、(FSCは9.7日)。(キャンセルワラント率は1.8%)。売買高は9,967枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きく、ブルスティープニングしている。C-3は49?コンタンゴと前日と変わらず。
週末のニッケル価格は大幅に下落した。材料は大きく変らず、ドル高の進行や欧米経済統計の悪化、アルミの大幅調整、オリンピック期間中の中国の需要減少、といったマイナス材料を受けて大幅な調整が続いている。エネルギー価格が下落している以上、殆どの非鉄金属に下げ圧力がかかるものと見られる。この後目立ったチャートポイントは存在せず、強いて挙げれば2006年6月14日につけた17,050?が意識されようか。LME在庫は+12Mt増加、(FSCは10.1日)、キャンセルワラント率は3.2%。売買高は1,879枚。イールドカーブは期近を中心に下落し、フラットニングが進行している。C-3は152?コンタンゴとコンタンゴ幅を縮小した。
週末の錫価格は前日比変わらずであった。原油価格の低下が継続していることや夜間の米経済統計の好転に伴うドル高の進行が材料視され、100日移動平均線のサポートラインを試す展開となった。一応、一目均衡表と100日移動平均線となる22,000?近辺ではサポートされている。供給環境に大きな改善が見られない中、下値も限定されると考えるものの、もし今年1月から維持し続けている100日移動平均線を割り込んだ場合には、まずは20,000?、次は200日移動平均線となる19,400?が意識されることになると考えている。LME在庫は▲20Mt減少、(FSCは5.4日)、キャンセルワラント率は6.01%。売買高は351枚。イールドカーブは全ゾーン略パラレルに上昇している。C-3は15?バックと前日と変わらず。
(エネルギー)
週末の原油価格は下落した。取引序盤はイスラエル軍のイラン攻撃(核開発問題が外交で成功しなかった場合)示唆の発言を受けてジリ高の展開となっていたが、NY時間に発表された新築住宅販売等の統計が市場予想を上回ったことからドル高が進行、原油も急速に地合いを悪化させ、100日移動平均線のサポートラインをトライする展開となり、結局このレベルは割り込まずに引けている。現在のレベルは5月にドル高が進行した際につけたレベルと略同じであり、そろそろ下落も一服するのではなかろうか。WTIのイールドカーブは期近よりも期先の下げ幅が大きい。Brentも期先の下げ幅が大きく、バックが復活しつつある状態。期先の下げは先々の需要減少や価格が高値では維持できないであろうと考える生産者や市場参加者が増加したことを意味し、期先の価格の動向に今後はより注目する必要があると考えている。かつての価格上昇は、「期近上昇→期先上昇し、フラットニング→期近上昇・・・」の繰り返しであったが足許はこれと逆のことが起こりつつある。とにかく期先の下げは絶対水準の変更をもたらす可能性があるので注目している。直近限月の騰落率はWTIは▲1.8%、Brentは▲1.6%。
石油製品も下落。RBOBはアジア時間は原油の上昇等もあってジリ高の展開であったが、NY時間の原油下落を受けて連れ安となり、300?の節目を目指して水準を切り下げる動きとなった。結局この区切りの300?でサポートされ前日比小幅マイナスで引けている。イールドカーブは原油価格の期先の下げが大きいこともあって、期先の下落幅が大きい。尚、ガソリン需給の緩和を背景としてRBOBのイールドカーブはシーズナルを除けば緩やかなコンタンゴとなっている点は注目に値しよう。直近限月の騰落率は▲0.9%。ヒーティングオイルも同様に下落。材料は原油・RBOBと変らず、地政学的リスクの高まりで上昇した後、米統計の好調を受けたドル高の進行による原油の下落を受けて水準を切り下げた。しかし、100日移動平均線を割り込むほどの材料は乏しく、このラインは割り込まずに引けている。イールドカーブは冬場の下げが大きい。直近限月の騰落率は▲1.3%。ICEガスオイルも下落。アジア時間で上昇し、その後米国時間に下落、100日移動平均線でサポートされるという全く同じ相場展開であった。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。直近限月の騰落率は▲0.7%。
(ひとりごと)
私の同僚の女性が、彼女をネタにして何か書いてくれという。
彼女はいろいろと話してみるとなかなかNiceな感性の持ち主なので、話していると非常に面白い。
だが。
改めて思うのだが、キャラが一本立ちしている人のことをネタにして文章を書くってのは結構難しい。
キャラが一本立ちしてるってのは、褒めるポイント、けなすポイントが殆どの人の間で一致しており。
「おお、そういう発見があったか」
という意外感が少ないものなのである。
よって、何かとんでもなく面白いことをやらかしてくれないと、ネタとしては難しいのだ。
なので、こうしたエッセーのネタにするには結構地味目の人の方が使い易いのである。実際。
って。
何を書こうと思ったんだっけ。
ああ、そうだ。彼女のネタでした。
ええと、あれと、これと...
何だ結構面白いことやってるじゃない。
...でも残念ながらちょっとここでは書けないですね。
個別にお会いさしたときにこっそり教えます。
さぁ、今日は隅田川の花火なので、もう帰らせてもらいます。
落ちがないけどスマンです。
※火曜日・水曜日は筆者取材のため休刊とします。ご了承下さい。