いい子、いい子

(商品市況概況)
「売られすぎの修正で買い戻しが優勢に」
 昨日のコモディティ価格はまちまち。株価と連動性の高い非鉄金属はアジア株の上昇を受けて大幅に上昇、エネルギーや穀物、貴金属価格は小幅下落している。昨日このコラムで指摘したように「さすがに割安感が強まっているため買い戻しを入れたい」とする向きが増えると予想していたが、日銀の金利引下げ観測などを切っ掛けとして割安感の強い日本株が物色されたため、総じて買い戻しが優勢となった。
 現在のコモディティ市場は、「限界生産コストを下回っている商品は割安であり、これより価格が下がるのは難しい」といった議論が展開されているが、限界生産コスト自体は物価や経済動向を受けて市場価格をフォローする形で上昇・低下を繰り返すためこのトレンドが継続すれば限界生産コストも先々低下する可能性がある。しかし亜鉛やアルミ等が限界生産コストを下回って推移している可能性は「現時点において」高く、株価の上昇というセンチメントの好転材料があれば短期的であっても上昇しておかしくないと考える。景気の悪化が鮮明になりつつある中、短期的な価格の上昇余地は大きな物ではないだろうが、株価が安定している限りは行き過ぎた価格下落が修正される形で価格が上昇すると考えておくべきだろう。
 欧米のアナリストは「極度に景気に対して悲観的」な見方をしているが、我々日本人は過去の15年の長きにわたる不況を乗り越えてきた経験がある。その経験則に照らし合わせば「世界経済の崩壊」の可能性は低いと考え、信じるべきであると思うし、経済崩壊後の新しい秩序を期待して行動を起こすことは「将来の不確実性」に賭けることと同義であるため、現時点で何をすべきか一旦冷静に考えるべきときであると思う。
 ただし、欧米の多くの人々が極端に悲観的な見方をし始めており、そう考える人が極端に増加することで強いマイナスのバイアスがかかる可能性はあるため、常に海外関連のニュースには目を光らせておく必要がある。

(経済関連ニュース)
・米S&Pケース・シラー住宅価格指数 前年比▲16.6%(前月改定▲16.3%)、市場予想▲16.6%。
・9月米新築住宅販売 前月比+2.7%(前月改定45.2万戸(速報比▲0.8万戸))、市場予想45万戸。
・10月米消費者信頼感指数 38.0(前月改定61.4(速報比+1.6))、市場予想52.0。
・バルチックドライ指数が6年ぶりに1,000ポイントを割り込む。

・ドルは対ユーロで続伸。継続的なドル資金不足を背景にドルの強含みが止まらない状態。ドルは対円では1974年以来の最大の上昇に。景気悪化に伴い日銀が利さぐぉ検討していることが伝えられたことから円売りが殺到した。グローバルキャリートレードアンワインドや比較相対感で買われていた円は急速に手仕舞い売りに押された。
日本株は大幅に反発。取引序盤に7,000円を割り込む等地合いは良くなかったが、後場に入ってから輸出関連株を中心に上昇し、大幅な上昇となった。日銀が利下げを検討していることなども材料視されたようである。米国株は大幅に上昇し、ダウは9,000?を回復した。今までの急ろくな売られすぎが明らかに材料視され、割安感からの買い戻しが優勢となった。
穀物市場サマリー)
・大豆価格は下落した。アジア株が好調であったことから10日移動平均線を試す展開となっていたが、米国時間の前場、経済統計の悪化を受けて株価が調整したことから地合いが悪化したことや、そもそも10日移動平均線レジスタンスが強く意識されていることから結局下落することとなった。イールドカーブは期近を中心に低下している。
・トウモロコシ価格は続伸。USDA発表による米国のトウモロコシの収穫が120.33億ブッシェルと、10月見通しよりも1.4%減少したことが好感されたようだ。また、作付面積も1.3%、8月末時点の在庫も10.88億ブッシェル(当初見通し比▲5.7%)も材料視された。この結果10日移動平均線を一時上回る水準まで上昇した。イールドカーブはパラレルに上昇している。
・小麦価格は下落。USDAの報告によれば冬小麦の作柄状況が65%が良以上(前年55%)であったことから、小幅下落となった。イールドカーブはパラレルに低下。

非鉄金属関連ニュース)
・NY金は小幅下落。ドルが対ユーロで上昇が続いていることと、昨日に関しては株価が大幅に回復したことから安全資産への逃避マインドが若干低下した。
 今後については、1990年台以降、最も急速な速度で進行するドル高が金価格の下押し材料になることが予想される。欧州景気も悪化し、同時にドル需給の経常的な逼迫がドル高をもたらしており、このままの水準で行くと金は600〜620?まで低下してもおかしくない地合いである。同時にETFの残高も減少しており、相場の下押し材料となると予想される。当面はリスク資産からの撤退の動きを受けて下値を探る動きが続くことになろう。
 NY銀は大幅に下落後、上昇。株価下落を受けて工業品としての色彩の強い銀は一旦調整し、その後の株価上昇で上昇して引けた。依然として10日移動平均線レジスタンスとして意識されている(9.40?)。
 先週のCFTCポジション報告によるNon-Commercialポジションは、金はロングが125,951(前週比 ▲5,142)、ショートが26,749(前週比 +2,481)となったことから、ネットで99,202(前週比 ▲7,623)となった。銀はロングが27,104(前週比 ▲5,142)、ショートが13,463(前週比 +2,481)となったことから、ネットで15,945(前週比 +140)となった。

・NYプラチナは小幅上昇。取引序盤はNY株の下落を受けて調整したが、その後の株価上昇を受けて前日比プラスで引けた。
 急速に進行するドル高と経済状況の悪化を受けて、プラチナ価格は大幅な低下が続いている。中期的な見通しについてプラチナは、低い水準で安定すると考える。世界経済への影響が大きい米景気の悪化、自動車産業の景況感悪化に反映される自動車販売の減少に伴う触媒需要の減少観測を受け、このコラムで指摘してきた需要減少のリスク要因の影響が極めて大きくなってきている状況であるためだ。引き続き、2008年、2009年のプラチナ需給は各々181キロオンス、458キロオンスの供給不足の状態になると考えているが、供給不足は地上在庫で相殺されることとなろう。長期的な観点に立った場合、米当局が環境面に配慮しディーゼル車の使用を推進、普及率を引き上げる見通しであり、AngloPlatの見通しでは普及率が5-8%であればさらに300キロオンス〜500キロオンスの需要増が見込まれる。
 NYパラジウムも小幅高。株価の反発が端的に材料視されたようだ。今後パラジウムの価格は低い水準で安定すると考えているが、中期的には地合いは改善すると見ている。環境規制の高まりから引き続きプラチナ・パラジウムの需要は堅調に推移すると見られるためである。しかしながら、チューリッヒ、ロシア、その他の地区の地上在庫が各々8百万オンス、10百万オンス、2百万オンス程度あると見られることや、ドルが上昇サイクルに入っていることが価格の上昇を抑えることになろうか。

(エネルギー関連ニュース)
・米在庫統計市場予想 原油+1.6MB、ガソリン+1.2MB、ディスティレート+1.0MB、稼働率+2.5%
ベネズエラ チャベス大統領「OPECは1MBDの追加減産を実施する可能性がある。価格が安定するまで減産を続けるだろう。価格を押し上げるためロシアと協力」
OPEC バドリ事務局長「原油安が一段と進めば、12月よりも早く総会を開催する可能性がある」

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は上昇した。日本株を中心としたアジア株の上昇を受けて大幅に上昇、NY時間の株価下落で一時弱含む局面もあったが総じて買い戻しが優勢となった。銅価格は大幅な調整が続いてたものの久しぶりの同時株高を受けて買い戻しが優勢となった。ファンダメンタルズに立ち返れば、コンセントレートの継続的な不足や中国の需要が高い固定資産投資に見られるように堅調であること(世に言われているほど、中国の経済指標が悪いとは思わない)から需給は中長期的にはタイトになると予想されるものの、景気の先行きの不透明感が強まっていることから上げ幅が限定される展開となっている。LME在庫は+2,175Mt増加、(FSCは4.3日)、(キャンセルワラント率は1.8%)。売買高は11,889枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期近を中心に上昇。C-3(Cash vs 3M Fwd)は6?バックとバック幅を縮小した。
 昨日の亜鉛価格は下落した。銅と同じく、各国株高を受けてアジア〜欧州時間に掛けて買い戻しが続いたのだが、10日移動平均線を上抜けできなかったこととLME在庫の著しい増加、米国時間の株価下落を受けて反落し上げ幅を削り結局前日比マイナスで引けた。詳細版でもコメントしているように亜鉛は現状売られすぎであり、買いが入り易い地合いにあるのだが、10日移動平均線を上回って上昇するほどの力強さはまだないようだ。今後に関しては、足許の価格下落で多数の生産者がコスト割れになっていると予想されることから、一定の価格下支え効果が期待されるものの、実態経済の悪化観測を受けて株価が暴落、加えてドルが需給要因などで上昇している環境下センチメントは良いとは言えず、しばらくは低位安定するものと考えている。亜鉛は供給不足に陥るのは2010年頃からと予想している。LME在庫は+5,475Mt増加、FSCは5.5日(キャンセルワラント率は2.6%)。売買高は5,433枚。イールドカーブは期先の方が下げ幅が大きくフラットニングしている。C-3は30?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日の鉛価格は上昇した。アジア各国株価の大幅上昇を好感した買いが入り、10日移動平均線レジスタンスを上抜けた。その後、LME在庫が高いキャンセルワラント率を維持しながら大幅に減少したことが好感され、さらに上昇。NY時間の株下落を受けて一時弱含んだがその後株価がもどしたことから結局前日比大幅高で引けることとなった。景気悪化の影響で鉛も調整しているが、LME在庫の減少が顕著であること、キャンセルワラント率も上昇していること、車の保有台数が増加していることや、電気自動車、電気オートバイ、電気自転車向けのバッテリー需要が旺盛であり、他の非鉄に比べて実際ファンダメンタルズが強く、比較的堅調な推移となっている。LME在庫は▲1,125Mt減少、(FSCは2.2日、キャンセルワラント率は18.9%。)。売買高は3,929枚。イールドカーブはパラレルに大きく上昇している。C-3は7?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日のアルミ価格は上昇した。材料は他の非鉄金属と同様で、アジア株の高騰を受けたセンチメントの改善から買いが進み、大幅な上昇となった。その後NY時間に株価が前場弱含んだため一時下値を探ったが、NY時間の午後以降は買いが進み10日移動平均線を回復するに至った。今後は金融クライシスは一旦回避されたものの、実態経済の悪化に焦点があたるため引き続き低い水準で冴えない相場展開になると見る。ただし、コストベースで見た場合、限界レベルを下回るレベルまで価格が下がっていると見られることから買い戻しが入り易い地合いであったのも事実だろう。LME在庫は+200Mt増加、(FSCは13.4日)。(キャンセルワラント率は1.1%)。売買高は13,880枚。イールドカーブは期先を中心に上昇している。C-3は56?コンタンゴと前日と変わらず。
 昨日のニッケル価格は上昇した。限界コストベースを下回ってニッケル価格は下落していたため、亜鉛やアルミと並んで買い戻し圧力が強まると見ていたが、世界同時株高の影響でセンチメントが一時的に好転、10日移動平均線を上回って上昇することとなった。LME在庫は+228Mt増加、(FSCは14.7日)、キャンセルワラント率は2.2%。売買高は2,086枚。イールドカーブは期近の上げ幅が大きい。C-3は190?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の錫価格は急激に上昇した。アジア各国株価が堅調に推移し、「反転する切っ掛け」を探っていた商品相場にも買い戻しが入った。加えて高いキャンセルワラント率を維持しながら錫在庫が減少していることも地合いを好転させ、大幅な続伸となった。錫は非鉄金属の中でも鉛と並んでファンダメンタルズが強い非鉄金属であるだけに、市場規模からして上昇時の上げ幅は特に大きくなり易い。LME在庫の減少傾向は継続しており、キャンセルワラント率も約25%まで上昇しており、インドネシアや中国の生産輸出状況に改善が見られない中需給はタイトであるといえ、一本調子の価格下落になりにくい非鉄金属である。しかし、こうした価格上昇も不安定な株価動向に左右され易い地合いであることから、神経質な推移になる易いことは認識しておくべきだろう。LME在庫は▲250Mt減少、(FSCは3.7日)、キャンセルワラント率は24.28%。売買高は776枚。イールドカーブは期先を中心に全ゾーン上昇している。C-3は270?バックとバック幅を縮小した。

(エネルギー)
 昨日のNY原油は小幅下落した。日銀の利下げ観測などを背景として大幅な割安水準まで売り込まれた日本株が大幅に上昇、アジア株もこれに追随したことからNYでも株価の上昇が期待されていたが、夜間に発表された経済統計が悪化したことからNY株は前場下落したため、原油価格も調整した。その後後場にかけて急速に株価が上昇したため原油価格も連れ高となったが、結局前日比マイナスで引けることとなった。その後NY株価は大幅な上昇を続けているため、現在東京時間では前日比大幅プラスで推移している。直近限月の騰落率はWTIは▲0.8%、Brentは▲1.9%。
 石油製品も小幅下落。RBOBはアジア〜欧州時間の株価上昇を受けて上昇、その後のNY株下落で下落し、その後の株価上昇を受けて上昇するという株頼みの相場展開となった。イールドカーブは期近の下げ幅が大きいが、略パラレルに全ゾーン小幅低下している。直近限月の騰落率は▲1.5%。ヒーティングオイルも下落。イールドカーブは期先の下げ幅が大きい。直近限月の騰落率は▲1.5%。ICEガスオイルも小幅低下。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。直近限月の騰落率は▲1.3%。

(ひとりごと)
昨日、嫁の実家から有機栽培の野菜が届いた。
義父がネットで販売している美味しそうな野菜を見つけたので、ためしに買ってみたとのこと。

私の息子はカボチャが大好きである(どうも1〜2歳児の殆どがそうであるらしいが)。
なので、義父も抜かりなくカボチャを買って、送ってくれていた。
それを開けた瞬間、我が子は大喜び。

取るものも取りあえずカボチャを抱えて

「いい子、いい子」

と、カボチャをなでることからスタート。
それでは自分の熱い気持ちがカボチャに伝わらないと思ったのか
迷った挙句、居間のソファーの上に運搬。
相当、丁重な扱いである。

椅子にカボチャを座らせた後、満足げに眺め

「おっきい」

を連発。
よほど感動したんだろう。
その後、おもちゃの包丁でカボチャを半分に切る「マネ」をした後、
感極まったのかカボチャを再度持ち上げ、台所に運搬。
グリルに放り込んで焼こうとしていた。らしい。


あれだけ、「いい子」といってなぜていたのに、結局食べるのか...。
ほほえましい、と喜んでいたカミさんの思いとは裏腹に、人間の業を何故か感じてしまった...