飛行機ビュンビュン

(商品市況概況)
「上昇しかし本日以降は暴落の恐れ」
 昨日のコモディティ価格は上昇した。景気対策期待と自動車会社の救済策が合意に近いと伝えられたことが好感され、夏場からの急落による割安感から買い戻しが入り、軒並み大幅な上昇となった。同時にドル安が進行したことも、相場の支援材料となったようだ。
 しかし、である。今日はやや業務繁忙であったためにレポートを書くのが相当遅くなってしまったのだが、このレポート執筆中に米自動車法案が合意しなかったことを受けて株が暴落している。これにより、商品価格も暴落することが予想される。政治決断により相場の変動性が高まる、ボラティリティの高い状況に、我々は置かれていることを再認識することとなった。

 米議会はリーマンブラザーズの破綻から何も学ばなかったのだろうか?

(経済関連ニュース)
・11月中国CPI 前年比+2.4%(前月+4%)、市場予想+3.3%。
・11月豪失業率 4.4%(前月改定4.3%)。
・11月米輸入物価指数 前月比▲6.7%(前月改定▲5.4%(速報比▲0.7%))、市場予想▲4.9%。
・米週間失業保険申請者数 前週比+58千人の573千人(前週改定515千人(速報比+2千人))
・10月米貿易収支赤字 572億ドル(前月改定566億ドル(速報比+1億ドル))、市場予想535億ドル。
・1-10月中国住宅販売 前年比▲20.6%。

・米自動車会社の救済策、合意に至らず。日本時間の午前中に報道される。

・ドルは対ユーロで続落した。米貿易収支赤字の悪化や、ECB幹部の利下げに関する慎重な発言を受けて、対ドルで優勢となった。ドルは対円でも下落し、円は91円台に突入している。
日本株は小幅上昇。大幅上昇。米景気対策への期待やビッグ3向けの法案進捗が期待された。と、いっても小幅な修正に留まっている。米国株は反落。米週間失業保険が悪化し、1982年来の水準に達したことが嫌気された。日本では買い材料となった自動車会社の救済策が、実は難航していることが示されたことも地合いを悪化させたようだ。

非鉄金属関連ニュース)
・NY金は大幅に上昇。米経済統計の悪化を受けたドル安の進行が相場を押し上げた。前日レジスタンスラインとして意識された100日移動平均線を上回ったところから上げが加速し、大幅な上昇となっている。原油価格等の商品価格が「極端な売られすぎ」から回復していることも支援材料となったようだ。
 今後については、ドル/ユーロ相場と金価格の一次回帰分析の結果、現在の価格はドル安に転じない限りは概ね120ドル程理論値から高い状態であることから、600ドル〜620ドルまで下落する可能性があると考えている。その一方で安全資産としての金の需要は堅調であることから、下値も限られると考えている。
 NY銀も大幅に続伸。50日移動平均線を上回って寄り付いた後、ドル安を受けた金上昇に連れる形で上昇することとなった。

・NYプラチナは小幅上昇。ドル安の進行や商品価格全般の上昇を受けて地合いを強めた。しかしながら米自動車会社の救済策の合意が再び難航し始めたことから株価の下落と相俟って引けにかけては上げ幅を削る動きとなった。
 急速な実体経済の悪化を受けて、プラチナ価格は大幅な調整後、冴えない展開が続いている。中期的な見通しについてプラチナは、低い水準で安定すると考えているものの、現在の水準は売られすぎであると考えられる。プラチナ生産の70%を占める南アの電力問題は4-5年解決の目処が立っていない。一方でアジアを中心とした自動車需要は比較的堅調に推移すると見られ、環境面から米国もプラチナの消費を増やさねばならない(AngloPlatの見通しでは普及率が5-8%であればさらに300キロオンス〜500キロオンスの需要増が見込まれる。)。こうした環境下、2008年、2009年のプラチナ需給は各々181キロオンス、458キロオンスの供給不足の状態になると考えており、供給不足が地上在庫で相殺されると期待されるものの信用不安が高まる中供給途絶のリスクは高いと考えておくべきだろう。但しこのシナリオのリスクは自動車需要が予想を上回ってさらに悪化した場合であるが、政策の遅れなども手伝いその可能性が出てきた。
 NYパラジウムは小幅下落。前日の上昇幅が大きかったことから、前日比マイナスで寄り付いた後、小幅上昇して引けた。今後パラジウムの価格は低位安定すると考える。環境規制の高まりから引き続きプラチナ・パラジウム需要が高まり需給の改善が期待されるものの、予想を上回る経済状態の悪化が需給を緩和させる可能性が出てきているためである。また、チューリッヒ、ロシア、その他の地区の地上在庫が各々8百万オンス、10百万オンス、2百万オンス程度あると見られることや、ドルが上昇サイクルに入っていることが価格の上昇を抑えることになろうか。

(エネルギー関連ニュース)
リビア国営石油会社 ガネム会長「OPECが先に合意した減産幅は十分ではない」
OPECヘリル議長「サウジアラビアも原産を指示。総会では原油市場の安定化を目指した大幅な減産を決定する。ロシアも減産を支持している」
・IEA月報
 2008年世界石油需要 85.8MBD(前回調査時比▲0.2MBD)。1983年以降初めて前年比マイナスに。
 2009年世界石油需要 86.3MBD(IMFの2009年後半に世界経済は回復に向かうとの見通しをベースに作成)
 11月の供給は86.5MBD(前月比▲165KBD)、OPECサプライは31.3MBD(前月比▲760KBD)、12月の供給はOPECの減産によって大幅に減少する見込み。
 2009年のCall on OPECは30.7MBD(前年比▲0.8MBD)の見込み。
 2008年Non-OPECサプライは49.6MBD(前回調査時比▲85KBD)。2009年は50.1MBD(+480KBD)。2009年は欧州とFSUで▲200KBD、OPEC NGLsで+300KBD。
 Q408の製油所の処理量は72.6MBD(前回調査時比▲800KBD)。需要の減少とクラックマージンの悪化で。Q109は73.5MBD(前期比▲400KBD)の見込み。
 10月のOECD在庫は2,697MB(+45.6MB)、FSCは56.8日。
・ロシア メドベージェフ大統領、価格防衛のためOPEC参加を示唆。

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は上昇した。経済対策への期待と、米自動車会社の救済策が合意に近づいていることが好感され、折からの価格下落で割安感も出始めていることから大幅な上昇となった。LME在庫が久しぶりに韓国で大幅に減少したことやドル安の進行も支援材料となった。足許、3,000ドルを下値に、10日移動平均線を上値に、狭いレンジでのもみ合いが続いている。ファンダメンタルズは少なくとも短期的には大幅に悪化している。先々コンセントレートが継続的に不足する可能性が高い環境に変りはないものの、足許の中国の需要が鈍化し始めている可能性が高まってきているためだ。中期的には中国政府の経済対策や米政府の景気対策の影響で価格は上昇すると考えるが、主要企業の決算期である12月を越えるまでは厳しかろう。LME在庫は▲750Mt減少、(FSCは6.0日)、(キャンセルワラント率は1.5%)。売買高は6,269枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期近が上昇、期先が低下しツイストする形でフラットニングしている。C-3(Cash vs 3M Fwd)は34ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の亜鉛価格は上昇した。経済対策や米自動車会社の救済策が合意に近づいていることから「行き過ぎた下落」が修正される形で上昇した。しかし10日移動平均線レジスタンスが意識された上、LME在庫がマレーシアで増加(恐らく中国からの出物と見られる)が継続しており、上げ幅も限定されている。足許、生産者がコスト割れの状態になっていると考えられることから下値も限られる状態が継続している。LME在庫は+3,300Mt増加、FSCは6.9日(キャンセルワラント率は1.0%)。売買高は3,510枚。イールドカーブの形状は殆ど変わらず。C-3は16ドルコンタンゴと前日と変わらず。
 昨日の鉛価格は上昇した。経済対策期待と米自動車会社の救済策が合意に近いことからその期待感から上昇した。そもそもの在庫の低さや需要期であることから下値も限られ、比較的狭いレンジで堅調な推移が続いている。景気が悪化したものの、電気自動車、電気オートバイ、電気自転車向けのバッテリー需要は旺盛であると見られ、他の非鉄に比べて実際ファンダメンタルズは強相対的に強い。しかしながら、足許、中国が課してきた精錬鉛の輸出関税が撤廃されるのではとの憶測記事が市場参加者を疑心暗鬼にさせており、じりじりと値を下げる動きとなっている。LME在庫は+225Mt増加、(FSCは1.9日、キャンセルワラント率は3.0%。)。売買高は1,555枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きいが全ゾーン上昇している。C-3は9ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日のアルミ価格は上昇した。景気対策への期待感、自動車会社救済策の合意期待、ドル安の進行、原油価格の上昇が材料視された。但し10日移動平均線を上回るまでの上昇とはなっていない。今後は金融クライシスが一旦回避されたものの、実態経済の悪化に焦点があたるため引き続き低い水準で冴えない相場展開になると見る。ただし、コストベースで見た場合、限界レベル(1,750ドル程度)を大きく下回って価格が下落していることから下げ余地は限られるとか予想する。ただ、中国がアルミ製品の輸出税を引き下げる見通しであることが域内需給の緩和要因になること、12月の欧米企業決算を超えるまでは企業の資金繰り負担が重く、新たな買いが入りにくい環境にあることからしばらくは冴えない展開が続こう。LME在庫は+7,600Mt増加、(FSCは17.3日)。(キャンセルワラント率は0.6%)。売買高は9,475枚。イールドカーブは期近が上昇しブルフラットニングしている。C-3は41ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日のニッケル価格は大幅に上昇した。LME在庫が欧州で激増したものの、景気対策期待や自動車会社の救済策合意期待、そもそもの割安感から、限界コスト価格と見られる11,000ドルを回復するに至った。Valeの生産調整に代表される生産者の生産調整が下値余地を限らせる一方、実態経済の悪化に伴う需要の低迷で上値も限られている。LME在庫は+2,424Mt増加、(FSCは17.6日)、キャンセルワラント率は1.2%。売買高は1,805枚。イールドカーブは期近を中心にパラレルに上昇している。C-3は120ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の錫価格は上昇した。景気対策期待と自動車会社の救済策が合意に近いことが好感され、上昇。10日移動平均線を回復するに至った。インドネシアや中国の生産輸出状況が徐々に改善し始めているようであり、アジア域内の錫在庫は増加傾向にある。とはいえLME在庫の水準は低く、需給はタイトであり今後も下値は堅いと考えている。イールドカーブバックワーデーションの状態であることを見るに不況下においても需給が逼迫していることが伺える。LME在庫は▲10Mt減少、(FSCは4.5日)、キャンセルワラント率は7.73%。売買高は225枚。イールドカーブは略パラレルに上昇している。C-3は265ドルバックとバック幅を拡大した。

(エネルギー)
 昨日のNY原油は上昇した。各国経済対策や自動車産業の救済策の進行を期待した買いで。夏場までの上昇と同様に夏場以降の下落幅とその速度が極端であったことから底打ち感も強く、大幅な上昇となった。この上昇で10日移動平均線レジスタンスラインを上回った。また、OPECの大幅減産の可能性も相場野支援材料となった。WTIイールドカーブは期近の上げ幅大きくブルスティープニング。Brentも期近の上げ幅が大きい。直近限月の騰落率はWTIは+8.5%、Brentは+9.5%。
 石油製品も大幅に上昇。RBOBも略一貫して上昇し、10日移動平均線を回復して引けている。イールドカーブは期近が上昇している。直近限月の騰落率は+9.2%。ヒーティングオイルもNY時間にかけて上昇したが、FSC水準が過去5年を上回っていることがピークシーズンを控えているにも関わらず価格の抑制要因となり、10日移動平均線レジスタンスラインは上回れずに引けている。イールドカーブは期近の上げ幅が大きくブルスティープニング。直近限月の騰落率は+6.5%。ICEガスオイルは変わらず。イールドカーブは期近を除き、パラレルに上昇している。直近限月の騰落率は±0.0%。

(ひとりごと)
我が家では
子どもを足の上に乗せて飛行機をやってあげるのを、飛行機ビュンビュンと呼び
高い高いを「それッ」という掛け声をかけてやるので、「それ」と呼んでいる。

私が会社に行っているときの家内と子どもの会話

子ども「パパ、何やってるかな、会社かな」
カミさん「そうねぇ。会社でパソコンかな、相談かな」
子ども「パパ、飛行機ビュンビュンかな、それッ、かな」

そんな会社だったら楽しいのに。

それッ!!