謎の店-その3

(商品市況概況)
「再び始まった金融不安」
 週末のコモディティ価格は下落後、上昇した。米シティグループが実質的に政府の管理下に置かれたことから金融不安が台頭したため一旦水準を切り下げたが、中長期的には金融機関の経営維持は商品市場にプラスの影響を与えると見られることから、引けに掛けては買い戻されるという動きとなったわけだ。但しこの金融不安の拡大が続くようであると、昨年秋から年初に掛けて見られた「現金化できるものの現金化」の流れが加速し、商品価格も下落圧力がかかる可能性がある。また同時に殆どのコモディティがドル建で取引されていることから、再びドル需給が逼迫してドル高になる可能性もゼロではない。
 いずれにしても商品価格が上昇するためには金融市場が安定していること(特に株式市場)が重要であり、今後も各国政府の金融機関への対応を受けた株価動向からは目を離せない展開が続くことになろう。

(経済関連ニュース)
・インドQ408GDP 前年比+5.3%。
・2月独消費者物価指数 前年比+1.0%(前月改定+0.9%)、市場予想+0.7%。
・1月ユーロ圏失業者数 8.2%(前月改定8.1%(速報比+0.1%))、市場予想8.1%。
・Q408米GDP改定 前期比年率▲6.2%(速報比▲2.4%)、市場予想▲5.4%。
・2月ミシガン大学消費者マインド指数確定 56.3(速報比+0.1%)、市場予想56.0。
・2月シカゴ購買部協会製造業景況指数 34.2(前月改定33.3)、市場予想33.0。
・米政府、政府保有シティグループ株の比率を最大36%まで引き上げ、実質管理下に。
・元FRB理事 フレドリック・ミシュキン氏、日本の経済政策に対し「彼らは大馬鹿野郎だ」。

・ドルは対ユーロで上昇。米シティグループの政府救済案発表に伴い、再び金融不安が高まった(更なる国有化があるのでは、ということ)。これに伴いドル需給逼迫観測が台頭、ドルが上昇した。ドルは対円では下落している。
日本株は上昇。大幅な円安の進行を受けて買い戻しが優勢となった。米国株は下落。米政府によるシティグループ普通株持分を引き上げたことが嫌気された。金融不安が払拭しきれていないことを意味し、米国株は金融株を中心に下げた。

穀物市場サマリー)
・大豆価格は小幅上昇した。米国産の割高な大豆の輸出が減少し下値を探る動きが続いていたが、週末を控えたテクニカルな買い戻しが入り期近は小幅上昇して引けている。期先は概ね低下しており、イールドカーブフラットニングしている。
・トウモロコシ価格は下落。景気悪化が持続していることから、需要が減少するとの見方が強まったため。輸出統計でも米国からの輸出減少が米国内での需給を緩ませるとの見方から、軟調な推移を余儀なくされた。とはいえ、米国のエネルギー需要が徐々に回復していると見られることが下値は限定されよう。イールドカーブはパラレルに小幅低下している。
・小麦価格は下落。輸出統計がベアな内容であったことや株安の進行、ドル高の進行を受けて、10日移動平均線を上値に非常に冴えない推移となった。イールドカーブは全ゾーン小幅低下。

非鉄金属関連ニュース)
・NY金は続落。シティグループの政府による3回目の救済案発表を受けて、金融不安が再燃するとの見方からドル需給の逼迫懸念を映じてドルが強含んだため、金は手仕舞い売りに押されることとなった。但し、30日移動平均線でサポートされたため、引けにかけては買い戻しが優勢となった。そもそも各国の景気悪化は足許の金のプラス材料となりえる。銀は小幅上昇。シティ報道を受けて金と同じく大幅に下落したが、30日移動平均線でサポートされたことから引けに掛けて買い戻しが入った。200日移動平均線が上値として意識されている。

・NYプラチナ価格は上昇。シティの報道を受けて小幅弱含む局面もあったが、総じて金融・経済不安時の安全資産への逃避は継続しており、引けに掛けて大幅に上昇、10日移動平均線を回復して引けた。パラジウムは小幅安。

(エネルギー関連ニュース)
新日本石油新日鉱ホールディングス経営統合を当初予定の2009年10月から2010年4月まで延期。中核事業会社の設立は2010年4月から7月に延期。

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は下落した。日本時間の夜間、米政府によるシティグループの救済策が発表され実質管理下におかれたことが嫌気された。ただし30日移動平均線でサポートされたこともあって引けにかけては買い戻しが入り、小幅安で引けている。ファンダメンタルズについては先々コンセントレートが継続的に不足する可能性が高い環境に変りはなく、中国政府や米国の経済対策の「効果期待」が強まっていることからチャート的には100日移動平均線となる3,650ドルを見てもおかしくない環境になっている。但し、景気が回復しているわけではないこともあって、頭重い推移になると考えている。LME在庫は▲3,175Mt減少、(FSCは10.9日)、(キャンセルワラント率は6.9%)。売買高は10,120枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期近の下げ幅が大きく、ベアスティープニングしている。C-3(Cash vs 3M Fwd)は28ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日の亜鉛価格は下落した。シティグループが実質的に公的管理下に置かれたことを嫌気して株の下落を受け、亜鉛価格も調整することとなった。但し、10日移動平均線を下回るレベルでは、割安感から買いも入りやすく、引けに掛けては下げ幅を削る動きとなった。チャート的には各種移動平均線が全て現在の亜鉛価格を上回っており、アップサイドに行きにくい展開となっている。LME在庫は▲2,175Mt減少、FSCは11.5日(キャンセルワラント率は7.7%)。売買高は3,552枚。イールドカーブはパラレルに低下している。C-3は25ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の鉛価格は上昇した。特段プラスの個別材料があったわけではなく、週末を控えたテクニカルな買い戻しで上昇したものと考えている。LME在庫は+1,100Mt増加、(FSCは2.6日、キャンセルワラント率は4.3%。)。売買高は1,774枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きく、ブルスティープニングしている。C-3は10ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日のアルミ価格は下落した。米シティグループの実質公的管理下入りを受けて金融不安を背景に下落したものの、10日移動平均線のサポートラインを割り込まなかったことから引けに掛けては買い戻しが入った。結果、10日移動平均線〜30日移動平均線の極めて狭いレンジでのもみ合いとなった。今後は実態経済の悪化を受けて低い水準での推移が続くと考えられるものの、コストベースで見た場合、限界レベル(1,750ドル程度)を大きく下回って価格が下落している状態が長く続くとは考えにくく、企業の在庫整理も進捗していると予想されることからそろそろ底入れすると考えている。期先は引き続き高い水準での推移が続いている。LME在庫は+7,500Mt増加、(FSCは29.9日)。(キャンセルワラント率は0.7%)。売買高は8,495枚。イールドカーブは期近の下げ幅が大きく、ベアスティープニングしている。C-3は34ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日のニッケル価格は下落した。夜間の米GDPやシティの政府救済報道を受けて10日移動平均線を割り込んで水準を切り下げたが、引けに掛けては買い戻しが入って10日移動平均線を維持して引けた。ニッケル価格はそもそも限界コスト近辺まで水準が低下しており(弊社は2009年のニッケルの限界生産コスト水準を7,289〜9,729ドルと想定)、この水準が下値として意識されよう。LME在庫は+654Mt増加、(FSCは27.0日)、キャンセルワラント率は1.4%。売買高は899枚。イールドカーブは期先の下げ幅が大きく、ベアフラットニングしている。C-3は74ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日の錫価格は下落した。LME在庫の減少はあったものの夜間に発表された米シティの公的管理下入り報道や、米GDPの悪化を受けて下値を探る動きとなった。しかしLME在庫の減少やキャンセルワラント率の高止まりも会って、引けに掛けては買い戻しが入り、結果的に比較的狭いレンジでのもみ合いとなった。イールドカーブバックワーデーションの状態が続いていることが、需給が逼迫していることを示している。LME在庫は▲5Mt減少、(FSCは8.6日)、キャンセルワラント率は7.07%。売買高は264枚。イールドカーブはパラレルに小幅低下している。C-3は205ドルバックとバック幅を拡大した。

(エネルギー)
 昨日のNY原油は小幅下落した。取引序盤は比較的堅調な推移となっていたが、日本時間の夜間に発表された米GDPが悪化したことや、米シティグループが米政府によって実質的に公的管理下に置かれることが報じられると、株安等の影響もあって大幅に下落。しかし前日比安値を下回らなかったことから引けにかけては買い戻しが優勢となり、前日比小幅安で引けた。イールドカーブは期先の下げ幅が大きく、ベアフラットニング。直近限月の騰落率は▲1.0%。Brentも下落。シティ報道を受けて下落したが、50日移動平均線でサポートされたことから引けにかけては買い戻しが入った。イールドカーブは期先の下げ幅が大きくベアフラットニングしている。直近限月の騰落率は▲0.3%。Brent/WTIのネガティブスプレッドは小幅拡大している。
 石油製品も下落。RBOBは前日引けレベルで寄り付いた後、シティ報道を受けて下落、100日移動平均線のサポートを試す動きとなったが引けに掛けて殆どのコモディティが買い戻される中買い戻しが入り、結局100日移動平均線を固める動きとなった。イールドカーブは期近の下げ幅が大きくベアスティープニング。直近限月の騰落率は▲1.6%。ヒーティングオイルも下落。シティ報道を受けて金融商品全般に手仕舞い売りが入る中、10日移動平均線のサポートを確認する動きとなり、この水準を割り込まなかったことから引けに掛けては買い戻しが入り、下げ幅を削る展開となった。ガソリンと異なり、ディスティレート需要が再び前年比マイナスに転じていることやFSCベース在庫の高さを受けて上値も重い。イールドカーブは期近の下げ幅が大きく、ベアスティープニングしている。直近限月の騰落率は▲2.3%。ICEガスオイルも下落。イールドカーブは期近の下げ幅が大きくベアスティープニングしている。直近限月の騰落率は▲3.7%。

(ひとりごと)
祇園精舎の金の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を顕はす

奢れるもの久しからず、ただ春の世の夢の如し
猛き人も遂には滅びぬ
偏に風の前の塵に同じ


深い。


このコラムでも何回かこのフレーズを使ってきたが
今も昔も、何も変わっていない、ということなのだろう。


さて。


また怪しい店に行ってしまった
魂を抜かれるので、絶対行くつもりはなかったのだが
とある若者に「どうしても連れて行って欲しい」と懇願され
結局連れて行ってしまった。

その店に入るまでは、彼の目は希望に燃え
今後、将来の日本を背負って立つ気概が感じられたのだが
その店に数時間いる間に
目がうつろになり、完全に店の虜になってしまった
多分魂を抜かれてしまったのだ

済まぬ...


前途ある若者を、誤った道に引き入れてしまった可能性が高い。
水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」に
魂を抜き取る妖怪がいくつか出てくるが
ひょっとしたらあの店に居る誰かは、妖怪なのではなかろうか
と、すら思う。

嗚呼

なんと危険な店であろうか。
挙句、私もお店に来ているほかのお客さんの配膳を手伝ってしまった。
私もルビコン川を渡ってしまったかも知れない。