(商品市況概況)
「雇用統計を控え」
昨日の商品価格は大幅に上昇後、下落した。米銀ストレステストの結果がほぼ明らかになる中、日本時間早朝の正式発表を控えて一旦手仕舞い売りに押される形で米株が下落したため、商品にも調整売りが入った。朝方結果が発表されたが、事前の報道を追認する内容で市場予想の範囲内であった。この結果、株式市場は上昇しており、本日の商品価格は上値を試す「地合い」が整ったといえる。
さらに株価が上昇、商品価格も上昇するか否かに関しては今晩の米雇用統計の内容に寄ると考えている。尚、雇用統計の市場予想は前月比▲600千人となっている。
(経済関連ニュース)
・4月豪失業者数 前月比+27.3千人、市場予想▲25千人。失業率5.4%(前月改定5.7%)。
・3月独製造業受注 前月比+3.3%、前年比▲26.7%(市場予想 前月比▲1.0%、前年比+35.8%)。
・英中銀、政策金利のレポ金利を0.5%に据え置き。資産買取規模を750億ボンドから1,250億ポンドに拡大。
・米失業保険申請者数 前週比▲34千人の601千人(前週改定635千人(速報比+4千人))、市場予想635千人。
・Q109米労働生産性 前期比年率+0.8%(前期改定▲0.6%)、市場予想+0.6%。単位労働コスト指数 前期比年率+3.3%(前期改定+5.7%)。
・FRB、米銀ストレステストの結果、10社に合計746億ドルの資本増強が必要であることが略明らかに。BOAの不足額が339億ドルで最大となる見込み。
・ECB、政策金利を0.25%引き下げ、過去最低の1.0%に。また、600億ユーロの債券購入で合意に。
・ドイツ銀行、為替取引ランキング5年連続首位に。シェアは21%。
・ドルは対ユーロで下落。ECBの利下げ実施を見込んでユーロが売られていたが、昨晩の金融政策会合で市場予想どおり利下げと債券買取案が示されたことから材料出尽くしで一旦ドルが売られた格好。円は対ドルでは大幅に下落。米銀ストレステストの結果(前日に一部情報は市場に流れていたが)が市場予想の範囲に留まったことからドルが対円で買われた。
・日本株は大幅に上昇し日経平均は9,000円を回復。GW期間中に発表された米統計や米銀ストレステストの結果が市場予想の範囲に留まる可能性が高まったことから金融株を中心に買い戻された。米国株は下落。米銀ストレステストの結果が略明らかになったことに伴い、一旦手仕舞い売りが入った模様。ここまでの価格上昇が米銀ストレステストの結果を前取りして上昇していたことからある意味Healthy Correctionであった。
(非鉄金属関連ニュース)
・NY金は上昇。欧州圏の金融緩和を受けて久しぶりにドル安が進行したことが背景。金価格の上昇が継続するか否かは今後株価動向にかかっているが、総じて足許の株価は堅調に推移している。過剰な質への逃避への動きが終了した後に、ドルユーロとの従来の関係が回復したとすると800ドル程度までの下落はあってもおかしくない。但しQ209の間は金価格の急落は想定していない。銀価格は暴騰。ドル安の進行と恐らくオプション取引等に絡む買いにより一気に14ドルを回復するに至った。
・NYプラチナ価格は続伸。ドル安の進行や米銀ストレステストの結果が然程悪い内容ではないと見られることが買い安心感に繋がった。パラジウムは大幅に上昇。前日中期的なレジスタンスラインであった200日移動平均線を上抜けしていたことやドル安の進行で買いが優勢となった。そもそも脱硫触媒としてプラチナの代替物であるパラジウムは需給がタイトでないこともあり、プラチナ比で割安感が出ているのも事実である。
(非鉄金属)
昨日の銅価格は下落した。但し下落したといっても、LME在庫の減少とECBの利下げを受けて逆にドル安が進行したことからNY時間にかけて堅調な推移となり、とうとう200日移動平均線を上回るに至った。その後、米銀ストレステストの結果が明らかになる中、日本時間早朝の正式発表を控えて一旦手仕舞い売りで株価が下落したことから銅も同様の展開となった。結果、200日移動平均線でサポートされて引けている。ファンダメンタルズについては先々コンセントレートが継続的に不足する可能性が高い環境に変りはなく、各国政府の追加経済対策への期待や中国政府による市中在庫買い上げへの期待が高まっていることや相次ぐ景気対策の発表に伴い、市場参加者のセンチメントも好転しており価格は底を打った可能性が高い。但し、景気が回復しているわけではないこともあって、上値は限定されよう。目先は200日移動平均線を挟む攻防になると考える。この水準が維持できれば5,000ドルが視野に入ることになると考える。LME在庫は▲8,250Mt減少、(FSCは83.6日)、(キャンセルワラント率は19.0%)。売買高は12,036枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期近の下げ幅が大きく、ベアフラットニング。C-3(Cash vs 3M Fwd)は10ドルコンタンゴとコンタンゴ幅を拡大した。
昨日の亜鉛価格は下落した。銅と同じくドル安の進行を受けて更に上値をトライしたが、NY時間の株の下落を受けて上げ幅を削る展開となった。但し各国政府の経済対策や、中国政府による市中余剰在庫の買い上げの動きを受けて下値は確実に切り上がってきており、結果的に200日移動平均線が下値として強く意識され始めている。当面は1,400ドルを大きく下回る材料は見当たらない状況。需給はイールドカーブが示すようにタイトではないのだが、生産調整の進捗の効果もあって価格の行き過ぎた下落が修正される形で上昇していると言える。LME在庫は+1,100Mt増加、FSCは11.0日(キャンセルワラント率は4.8%)。売買高は6,751枚。イールドカーブは期近の下げ幅が大きくベアスティープニング。C-3は27ドルコンタンゴとコンタンゴ幅を拡大した。
昨日の鉛価格は上昇した。ECBの利下げ発表で逆にドル安が進行したこともあり上値余地を試しが、米銀ストレステストの正式発表を控えて一旦株価が調整したことから鉛もNY時間にかけて売られた。中国の貿易統計を見るに、国内の環境基準に配慮して輸入が増加しており、鉛価格の下支え要因となっている。但し、大手生産者の生産再開やそもそも景気回復に至っていないことから、上値は限られるとの見方は変更していない。LME在庫は+150Mt増加、(FSCは3.2日、キャンセルワラント率は1.2%。)。売買高は1,856枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きく、期先はブルフラットニングしている(手前はコンタンゴ)。C-3は13ドルコンタンゴとコンタンゴ幅を拡大した。
昨日のアルミ価格は下落した。ECB利下げで逆にドル安が進行したこともあって欧州時間にかけて上昇したが、LME在庫の増加やNY時間の株価の調整もあり、引けにかけては売られた。1,600ドルが心理的な上値となっている。今後はFOMCや米政府による金融システム対策、信用不安対策が進捗していることで相場の雰囲気が好転しており、実際発表される経済統計も最悪期を脱した可能性を示唆する内容のものが多く、コストベースで見た場合、限界レベル(弊社の2009年見通しは1,358ドル〜1,454ドル)を固める動きになると考えている。また、コストベースとして一般に意識されている1,750ドルまでの価格修正があってもおかしくない状況。尚、GM問題はクライスラーよりも規模がはるかに大きく、実際に結果が出ればマイナスのインパクトが予想されるが、時間をかけて市場が織り込んでいることもあり、影響は然程大きくないと考えている。LME在庫は+5,000Mt増加、(FSCは37.8日)。(キャンセルワラント率は1.3%)。売買高は12,467枚。イールドカーブは期先の下げ幅が大きく、ベアフラットニングしている。C-3は36ドルコンタンゴとコンタンゴ幅を縮小した。
昨日のニッケル価格は上昇した。LME在庫が大幅に減少したことや、ドル安の進行でとうとう200日移動平均線を上抜け。その後上げ足を速め、大幅な上昇となった。但し、ステンレス需要は回復しておらず上値余地は限られるとする従来の見通しに大きな変更はない。足許、コストベース(2009年のニッケルの限界生産コスト予想は7,289〜9,729ドル)を下回って下落するのは難しいと考えており、金融市場の安定化とともに下値は切り上がってきている。LME在庫は▲714Mt減少、(FSCは30.1日)、キャンセルワラント率は3.6%。売買高は3,062枚。イールドカーブは期近の上げ幅が大きく、ブルフラットニングしている。C-3は73ドルコンタンゴとコンタンゴ幅を拡大した。
昨日の錫価格は大幅に上昇した。ECBの利下げに伴い逆にドル安が進行したことから買いが入り、200日移動平均線をトライする動きとなった。結果この水準をあっさりと上抜けするものの、米株が米銀ストレステストの「正式発表」を控えて一旦下落する中、引けにかけては上げ幅を削った。錫価格は需給がタイトな中堅調な推移が続いており、堅調な推移が続いている。LME在庫は+165Mt増加、(FSCは12.0日)、P596は1.18%。売買高は699枚。イールドカーブは略パラレルに上昇している。C-3は220ドルバックとバック幅を縮小した。
(エネルギー関連ニュース)
・東京電力 柏崎原発7号機、稼動再開へ。
(エネルギー)
昨日のNY原油は上昇。米銀ストレステストの結果を先取りして株式市場が上昇していたことに伴い、原油価格も上昇していたがその内容が略明らかになると(正式発表は日本時間の今日早朝)、今晩の米雇用統計を控えポジション整理の売りに押された。そもそも週半ばの米在庫統計では原油に関しては若干ブルな内容であったものの、石油製品関連需要が著しく後退していることから上値も追いにくい状況。イールドカーブは期近が上昇、期先が低下しツイストする形でフラットニングしている。直近限月の騰落率は+0.6%。Brentも上昇。WTIと同様、欧州時間からNY時間にかけて上昇したが、株の下落を受けて上げ幅を削った。イールドカーブは期中の上げ幅が大きく、上に凸度合いを強めた。直近限月の騰落率は+0.6%。WTI/Brentはポジティブスプレッドが小幅拡大。
石油製品も上昇。RBOBもNYオープンまでは上昇していたが、ストレステストの結果を受けて米株が下落したことに伴い、上げ幅を削った。200日移動平均線の中期的なレジスタンスラインが目前に迫っていることもあり、さすがに上値も重い。イールドカーブは期近が上昇、期先が低下しツイストする形でフラットニングしている。直近限月の騰落率は+2.2。ヒーティングオイルも上昇。NY時間までの原油価格上昇を受けて連れ高となったが、株の下落によって結果的に上げ幅を削った。直近3ヶ月で2回目のトライと成る150セントが意識されたようだ。イールドカーブはRBOBと同じくツイストする形でフラットニングしている。直近限月の騰落率は+0.9%。ICEガスオイルも上昇。イールドカーブは期近の上げ幅が大きい。直近限月の騰落率は+3.1%。
(ひとりごと)
済みません
今日もお好み焼きの話はまた中断させてください。
来週から再開する予定です。
さて。
GW期間中、できる限り自分の大好きな漫画を読んでやろうと
アマゾンで中古漫画を大量に買った。
購入したのは「栄光なき天才たち」という漫画。
私が中学生の頃にヤングジャンプに連載されていた漫画であるが
「天才で実績を残したにも関わらず、最後は不幸で終る」
という内容(ノンフィクション)。
まぁ、NHKのプロジェクトXみたいなものです。
実績と実力があったのに、誰も知らないあるいは忘れられてしまった、というような。
その中に、今、新聞やテレビでさんざ取り挙げられているGMの話が出ていた。
GMの創業者はウィリアム・C・デュラント、という人らしいのだが
会社に創業者の名前を入れていないので、知らない人が多い。
読んでみると、彼は創業者なのだが経営危機で1回社長の座を明け渡している。
当時の金融王、モルガンとの戦いの末、会社を追い出される(正式には取締役として会社に残るのだが、実質経営に携われず)のだが
その後シボレーを買収、小型車の製造販売で成功し、シボレー株を上昇させてGM株を交換で取得
後にGMの社長に返り咲く、という話。
(でも、その後拡大路線を突き進みすぎて結局最後は退任)。
この話って、今の企業買収に使われる手法のさきがけなんですよね。
株式交換でキャッシュを使わずに買収したり
でも、まさにアメリカンドリームを地で行く会社だったことがここに来て良く分かった。
なんといいますか、子供の頃には全くピンと来なかった経済や証券の話と
今のGMの状況や経済環境等、ばらばらだったパズルのピースがぴたりとはまるような
ある意味やはり、GMは米国の象徴なんだな、って言うことを改めて認識することになった。
しかし、会社追い出されて略無一文なのに、もう一回会社を興して再度その会社を買収、って普通の人間にはできないことですよねぇ。
初期の設備投資負担が比較的軽いIT企業ならまだしも、大規模な設備投資が必要な製造業なのに。
もし自分が同じような立場になったときにそういったことができるか?といわれれば絶対NOである。
昔はチャンスもたくさんあったんだろうが、実際にそれをモノにすることの大変さは今も昔も変らないだろう。
さ、私も頑張って営業しなくては...