(商品市況概況)
「本格的な価格上昇に備えて」
週末の商品価格は軒並み下落した。注目の雇用統計は市場予想を下回る雇用者の減少に留まり、これを株式市場は好感、株価の上昇とともに一時商品価格は上値余地を試す動きとなったが、失業率は悪化し、引き続き雇用者数が「増加しているわけではないこと」などが材料となって売られることとなった。しかし今回の価格下落はどちらかといえばドル高の進行が材料になった可能性が高いように思える。
ここ数ヶ月、商品価格が変動した場合の材料に「ドル安(高)が進行したため」というコメントをあまり聞いたことがない。私も使うことはあるが、支援材料になった、程度の使い方に留めている。ところが足許ドルの変動が商品相場に影響を与えるようになってきた。これはどうしてか。様々な要因が考えられるが、「生産者の生産調整に伴い、需給が均衡しはじめていること」が最大の要因ではないかと考えている。分かり易い例を挙げれば、「極端に供給量が多い状態」の時にドル安が進んだとしてもドル建商品価格が上昇する可能性は低く、逆に「著しく需要が旺盛な状態」の時にドル高が進んだとしてもドル建商品の価格は下がらないだろう。つまり、需給が均衡している状態でなければ通貨価値の変動は積極的な売買材料とはなりにくい、言い換えれば需給が均衡している状態でなければ通貨の変動は商品相場のトレンドを形成する材料にはなりにくい、ということだろう。
足許の景気回復(底割れ回避)の可能性は高いと考えられるが、極端な商品価格の上昇が消費に水を挿し、需給バランスが悪化(供給超)の状態になった場合、商品価格は下落することが予想される。今回の価格上昇はそのピッチが早すぎることから夏ごろまでに一旦調整売りで下落すると見ている。但しメインシナリオはこの下落の後には景気回復と相俟って商品価格は本格的に上昇になる可能性があるため、そろそろ来るべき価格上昇に備えておくべきであると考えている。"
(経済関連ニュース)
・ロシアメドベージェフ大統領 「ドルの機軸通貨としての役割に懸念。」
・5月米非農業部門雇用者数 前月比▲345千人(前月改定▲504千人(速報比+35千人))、市場予想▲520千人。
・5月米失業率 9.4%(前月改定8.9%)。
・米CFTC ゲーリー委員長「すべてのデリバティブディーラーは、資本やイニシャルマージン、オペレーション、レポーティング、取引管理等を義務付けられるべき」
・ドルは対ユーロで上昇。夜間に発表された米雇用統計の非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回る水準であったことが素直に好感された。ドルは対円でも大幅に上昇しており、円は2円近い円安となっている。
・日本株は大幅に上昇し、年初来高値を更新。円安の進行や資源高で資源関連株が買われた。米株はダウは上昇その他は下落。雇用統計は市場予想を上回る内容であったものの、国債増発に伴う財政悪化や、足許の経済統計の好転を受けて株価が上昇する中で金利が上昇していることから総じて一服となった。
(穀物市場サマリー)
・大豆価格は下落した。前日、米生産地での嵐・洪水といった予報が発表されたことや商品相場全体のセンチメントが転換したことで大幅に上昇したことから、ドル高の進行もあって週末は一旦売られることとなった。結果的に12ドルが今度は下値として意識されている。イールドカーブは期先の下げ幅が大きい。 先週のCFTC Non-Commercialポジションは、ロングが307,286(前週比 +26,879)、ショートが100,580(前週比 +14,353)となったことから、ネットで206,706(前週比 +12,526)となった。インデックスファンドのポジションは290,168(前週比 +14,095)となっている。
・トウモロコシ価格も下落。前日のエネルギー価格上昇を受けてトウモロコシも大幅に上昇していたが、目先のシーリングである4.5ドルを上抜けしなかったことから週末に関してはドル高・株安の影響もあってさすがに調整して引けている。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。 先週のCFTC Non-Commercialポジションは、ロングが151,772(前週比 +973)、ショートが26,362(前週比 +1,030)となったことから、ネットで125,410(前週比 ▲57)となった。インデックスファンドのポジションは130,904(前週比 +1,449)となっている。
・小麦価格も下落。ドル高・株安が材料となったようだ。イールドカーブはパラレルに低下している。 先週のCFTC Non-Commercialポジションは、ロングが100,134(前週比 +12,339)、ショートが84,588(前週比 +6,464)となったことから、ネットで15,546(前週比 +5,875)となった。インデックスファンドのポジションは142,831(前週比 +5,934)となっている。
(非鉄金属関連ニュース)
・NY金は大幅に下落した。注目の雇用統計は失業率こそ上昇しているものの、雇用者数は市場予想を下回る減少に留まったことから株が堅調に推移(後に金利上昇を材料に下落するが)、ドル高も進行したことから金は調整売りに押された。この下落で10日移動平均線を下回って水準を切り下げることとなった。金は株と逆相関の関係にあり、株価が上昇(下落)する局面では売り(買い)が入り易い。但し過剰な質への逃避への動きが終了した後に、ドルユーロとの従来の関係が回復したとすると800ドル程度までの下落はあってもおかしくない。但しQ209の間は金価格の急落は想定していない。昨日の引けは(東京時間0:00価格) 961.70(▲19.5)。
銀価格は金と同様、大幅に下落した。但し10日移動平均線ではサポートされている。ユーロドルとの相関を見ても徐々に回帰線から上離れしつつある状態で、現在の金のように理論値から乖離して上昇する可能性が出てきた。昨日の引け(東京時間0:00価格)は 1,538.80(▲50.7)。
・NYプラチナ価格は下落した。ドル安の進行や株高を材料に大幅に上昇した一昨日から一点、ドル高と若干株が軟調に推移したことからさすがに調整売りに押された。大手自動車メーカーの経営問題が一旦終息したことから自動車向け脱硫触媒として用いられるプラチナには買い安心感が広がり、堅調な推移となっている。プラチナは比較的ドルユーロとの相関が高いが、今のところ一次回帰線上に価格が安定しており、投機的な買い、との印象はあまり受けない。昨日の引け(東京時間0:00)は1,286.2(▲7.1)。
パラジウムは上昇。昨日の引け(東京時間0:00)は259.05(+4.65)。
(非鉄金属)
昨日の銅価格は下落した。LME在庫は減少したものの、上海在庫が増加するなどのマイナス材料を受け、夜間の米雇用統計が好調な内容であったものの、株価が週末を控えて調整売りに押されたことから引けにかけて売られた。結果的に10日移動平均線でサポートされて引けている。ファンダメンタルズについては先々コンセントレートが継続的に不足する可能性が高い環境に変りはなく、各国政府の相次ぐ景気対策の発表に伴い、市場参加者のセンチメントも好転しており価格は底を打ったと考えられ、当面5,000ドルを挟んで高い水準での推移となろう。但し、景気が回復しているわけではないこともあって、夏場に掛けて一旦調整で下落すると見ている(但しそこまでの大きな下落にはならないだろう)。LME在庫は▲3,225Mt減少、(FSCは63.7日)、(キャンセルワラント率は11.6%)。売買高は11,872枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期先の下げ幅が大きく、ベアスティープニング。C-3(Cash vs 3M Fwd)は20ドルコンタンゴとコンタンゴ幅を拡大した。昨日の引けは4,980.00(▲45:20C)。
昨日の亜鉛価格は下落した。LME・上海両在庫が増加していることから軟調な地合いの中、夜間の雇用統計発表で株価が強含む局面があり亜鉛も強含んだが、金利上昇等を背景にして株価が下落したことから週末を控えて亜鉛にも手仕舞い売りが入ったようだ。但し、10日移動平均線を下回ることはなかった。需給はイールドカーブが示すようにタイトではなく、更なる上昇にはやや材料不足の感は否めないものの、当面は現状の高い水準でのもみ合いが継続しそうだ。LME在庫は+900Mt増加、FSCは11.0日(キャンセルワラント率は3.3%)。売買高は4,991枚。イールドカーブは略パラレルに低下している。C-3は25ドルコンタンゴとコンタンゴ幅を拡大した。昨日の引けは1,565.00(▲10:25C)。
昨日の鉛価格は上昇した。目立った新規材料のない中、前日引けレベルで寄り付き高値でのもみ合いとなった。そもそもLME在庫の水準は決して低くなく現在の価格水準はファンダメンタルズ的観点からは正当化できないレベルであるが、商品市場の上げトレンドをフォローしての上昇となっている。尚、この状況においても大手生産者の生産再開やそもそも景気回復に至っていないことから、上値は限られるとの見方は変更したくはないのだが、相場がオーバーシュートする中で大幅に上昇することは多く、1,700ドル程度まで上昇することは否定できない。LME在庫は前日比変わらず。(FSCは3.6日、キャンセルワラント率は0.5%。)。売買高は2,111枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きい。C-3は21ドルコンタンゴとコンタンゴ幅を拡大した。昨日の引けは1,675.00(+9:21C)。
昨日のアルミ価格は上昇した。前日の下げ幅が大きかったことからさすがに売りに押されたが、上海在庫の減少もあって堅調な推移となった。結果5月7日の高値である1,605ドルを一時上抜けするが、株価が若干軟調な推移となったことが嫌気され、引けにかけて売られた。今後はGMのChapter11申請後の関連業種への影響、大手生産者の生産動向を見極めながら神経質な動きが予想される。しかしながらアルミの主要用途である輸送機器や住宅セクターの戻りが緩慢な中、急速に価格が上昇する可能性は低いと考えている。とはいえ、景気底打ち期待感から多くの商品価格が上昇している環境下、コストベースとして一般に意識されている1,750ドル(弊社の2009年見通しは1,358ドル〜1,454ドル)までの価格上昇は、金融市場の安定もあってその可能性はあると考えている。LME在庫は+2,875Mt増加、(FSCは41.7日)。(キャンセルワラント率は1.9%)。売買高は18,775枚。イールドカーブは期近が上昇、期先が低下しフラットニングしている。C-3は31ドルコンタンゴとコンタンゴ幅を縮小した。昨日の引けは1,572.00(+7.5:30.5C)。
昨日のニッケル価格は下落した。季節要因でLME在庫の減少が継続しているが、節目の15,000ドルが意識されたことや、夜間の株価の軟調推移やドル高の進行を背景に引けにかけて水準を切り下げた。但し10日移動平均線を割り込むことはなかった。LME在庫は▲36Mt減少、(FSCは29.2日)、キャンセルワラント率は4.4%。売買高は2,471枚。イールドカーブは期近の下げ幅が大きくベアスティープニングしている。C-3は81ドルコンタンゴとコンタンゴ幅を拡大した。昨日の引けは14,600.00(▲100:81C)。
昨日の錫価格は上昇した。株価上昇に伴うセンチメントの好転を受けて一時15,000ドルの節目を上抜けすることとなったが、雇用統計後に株価が週末を控えて軟調に推移したことから引けにかけては売られた。錫は流動性の観点から投機資金が入りにくく比較的現在の純粋な需給を反映した価格で取引されやすいのだが、足許のバック形状が示唆する需給のタイトさを反映して堅調な推移となっている。LME在庫は+255Mt増加、(FSCは15.3日)、P596は7.18%。売買高は428枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きくブルフラットニングしている。C-3は130ドルバックとバック幅を縮小した。昨日の引けは14,775.00(+75:130B)。
(エネルギー関連ニュース)
・特になし。
(エネルギー)
昨日のNY原油は小幅下落した。夜間に発表された米雇用統計は市場予想よりも良い内容であったことから一時70ドルを上回る上昇となったが、その後のドル高の進行を受けて後場にかけては水準を切り下げる動きとなった。イールドカーブは期近が下落、期先が上昇しスティープニングしている。直近限月の騰落率は▲0.5%。昨日の引けは68.44(▲.37)。 Brentも同様の相場展開で上昇後、下落した。イールドカーブは期近の下げ幅が大きくベアスティープニングしている。直近限月の騰落率は▲0.5%。昨日の引けは68.34(▲.37)。 WTI/Brentはポジティブスプレッドは変わらず。
石油製品も下落。RBOBも雇用統計を受けて上昇し200セントの節目を試したが、ドル高の進行等で原油価格が下落したことから引けにかけては水準を切り下げた。しかしながら10日移動平均線を下回って下落はしておらず、FSC水準が低いことを背景にドライブシーズンであることもあって、総じて堅調に推移しているといえるだろう。イールドカーブは略パラレルに低下している。直近限月の騰落率は▲0.4%。昨日の引けは195.46(▲.75)。 ヒーティングオイルも下落。雇用統計を好感して一時200日移動平均線を上回ったが、ドル高を材料に原油が下落したため、ヒーティングオイルもうられた。そもそもヒーティングオイル在庫の水準は極めて高い状態が続いており、原油価格の上昇がないと積極的に上値を狙える環境にない。イールドカーブは期近の下げ幅が大きくベアスティープニング。直近限月の騰落率は▲0.8%。昨日の引けは177.01(▲1.39)。 ICEガスオイルも下落。イールドカーブは期近が下落、期先が上昇しスティープニング。直近限月の騰落率は▲0.9%。昨日の引けは549.25(▲5.)。
(ひとりごと)
相場の上昇とともに、私が書いた本が売れてるらしい。
少なくとも紀伊国屋では。
まだお求めになっていない方は、引き続き宜しくお願いします。
さて。
個人的に殆ど興味がないのでちゃんと見ていなかったのだが
北京のフェンシング銀メダリストの太田選手、世界ランキングが1位になったんだそうだ。
これって、すごいことですよね。
1位ですよ1位。
水泳の入江選手が(未公認ながら)、とんでもない水準で世界記録を更新したり
最近の日本のスポーツ界はなんだかすごいことになってますよね。
しかし不思議である。
いろいろな調査によれば、「子供の体力」とか「学力」が落ちてきていて深刻な問題になっている
って、言われているのに
なんでスポーツは急に世界レベルになってきたんだろうか、ってことが。
やっぱり精神的なものなのだろうか?
「病は気から」じゃないけど
気合と根性があれば何とかなるものなのだろうか?
そう考えると、昔の日本人の方がはるかに精神的に強かったと思うんですよね
となると、実は結構昔の人たちは、すごい記録を出したりしてるんじゃないだろうか
と、思って軽く調べてみたら、すごい人たちがいましたよ柔道以外で
有名なフジヤマの飛魚、古橋廣之進。
なんと、世界記録を33回も出している(国際水泳連盟に所属していなかったので、公式記録になっていない)
最近、錦織選手が出てきてまた注目されてますが、テニスの佐藤次郎。
テニスの4大大会で5回もベスト4に進出、世界ランキングは3位だったらしい(伊達公子は4位)
どうもその後重圧に耐え切れず、投身自殺してしまうみたいですが...
つまり、ちゃんと記録が残っていれば、昔も今も、日本人は世界レベルの活躍ができていたんだ、ってことだ。
さ、今週も頑張ろうっと。