国債格下げ

【商品市況概況】
ギリシャショック再来」
 昨日の商品価格は大暴落。S&Pがギリシャの長期債務格付けをジャンクまで引き下げたこと、同時にポルトガルの格付けも引き下げられたことが嫌気され、殆どすべての市場でリクイデーション(キャッシュポジション化)、レパトリ(自国通貨回帰)の動きが見られた。国の信用がなくなる、ということはその国に属する企業との取引は基本的にはできなくなることと同義であり、まさに取引が「信用」を前提に成り立っていることが強く意識された相場であった。ただし市場は比較的冷静で、景気が回復基調にあること(ファンダメンタルズはさほど悪くないこと)も同時に事実であり、同国の破綻を回避するために各国が協調するであろうとの見方もあり、本日の相場を見るに一方的な下落にはなっていない。しかし今回の問題はこのコラムでも指摘しているように、「同様の事態が起きた時のユーロ圏でのセーフティネットが如何に構築されるか」が最大の論点である。今回ギリシャの「長期債務」格付けが引き下げられたということは、同国の財政改善策が機能しない可能性があると判断されたことを意味し、金融政策一律、財政政策は各国の裁量に任せるというユーロの仕組み継続に市場が疑問を突き付けたともいえる(と、書いておきながら引き続き私はユーロの先行きに関してはそこまで悲観はしていないが)。
 いずれにせよ、市場参加者は保有資産の変動性の高さを嫌気し、保有するポジションのキャッシュ化、ないし安全資産へのシフトを鮮明にしている。金価格が昨晩上昇したのは非常に分かりやすい例である(プラチナや銀は安全資産というよりは工業品の色彩が強く、ETFを通じて流入した資金は株式市場動向に影響を受けやすいため、下落している。)。もうひとつは投機筋のポジションが大幅なショートとなっている穀物の価格が上昇していることが、ポジションのクロージングが起きていることの証左である。しばらくはこうした動きが続く可能性が高く、相場はボラタイルな展開になるだろう。


【経済関連ニュース】
・米S&P・ケースシラー住宅価格指数 前年比+0.6%(前月改定▲0.7%)。
・4月米消費者信頼感指数 57.9(前月改定52.3(速報比▲0.2))。
・米S&Pギリシャ長期債務格付けを大幅に引き下げ、投資不適格に。同時にポルトガルの格付けも引き下げた。



【為替(FX)・株】
NY Dow  :10,991.99(▲213.04)
S&P500   :1,183.71(▲28.34)
NIKKEI225 :11,212.66(+46.87)
JPY/USD :93.26(▲0.7)
USD/EUR :1.318(▲0.0208)


・ドルは対ユーロで大幅に上昇。米S&Pがギリシャの長期債務格付けを大幅に引き下げ、ジャンク債級に引き下げたことがソブリンリスク、信用リスクの拡大懸念を増幅させたため。円は対ドル、ユーロで上昇。景気回復とギリシャ問題の解決を背景に高金利、高リスク資産へのシフトが鮮明となっていたが、その取引のアンワインドが円を押し上げた。
日本株は小幅上昇。材料はなかったが安値銘柄が拾われたようだ。米株を含む海外株は大暴落。米S&Pがギリシャの長期債務格付けを大幅に引き下げ、ジャンク債級まで引き下げたことが嫌気された。同時にポルトガルの格付けも引き下げられたことが決定的となった。


穀物市場サマリー】
Cbot Soybean :982.75(▲16)
Cbot Wheat :478.25(+2.25)
Cbot Corn :347.50(▲4.75)
CSCE Sugar :15.12(▲0.57)




非鉄金属・貴金属】
Comex Gold :1,161.70(+8.2)
Nymex Platinum :1,718.7(▲24.1)
Baltic Dry Inex :3,203.00(+183)
Iron Ore :182.1(UC)



Copper 3M :7,490.00(▲320:37.75C)
 昨日の銅価格は下落した。LME在庫は▲775Mt減少、(FSCは10.2日)、(キャンセルワラント率は6.0%)。売買高は21,531枚。
Zinc 3M   :2,361.00(▲80:34C)
 昨日の亜鉛価格は下落した。LME在庫は▲650Mt減少、FSCは18.3日(キャンセルワラント率は1.9%)。売買高は6,495枚。
Lead 3M   :2,300.00(▲59:27.5C)
 昨日の鉛価格は下落した。LME在庫は+200Mt増加、(FSCは8.0日、キャンセルワラント率は0.4%。)。売買高は3,529枚。
Aluminum 3M :2,150.00(▲166:32.75C)
 昨日のアルミ価格は下落した。LME在庫は▲6,175Mt減少、(FSCは45.3日)。(キャンセルワラント率は5.9%)。売買高は34,262枚。
Nickel 3M :25,925.00(▲1230:60C)
 昨日のニッケル価格は下落した。LME在庫は▲264Mt減少、(FSCは42.5日)、キャンセルワラント率は2.9%。売買高は3,542枚。
Tin 3M   :18,550.00(▲595:70C)
 昨日の錫価格は下落した。LME在庫は▲515Mt減少、(FSCは20.5日)、キャンセルワラント率は2.84%。売買高は683枚。


【エネルギー関連ニュース】
WTI :82.44(▲1.76)
Brent :85.78(▲1.05)


【ひとりごと】
今日は用事があるのでこのレポート書くまい、って思ってたんですが
大体、というか必ず
そういう日の前日って「大事件」が起きるんですよね。

怨むぜ、S&P。

日本では小沢さんの事件が採り上げられているが
それよりも何よりも、他の国の長期債務が引き下げられて大変なことになってる、ってことの方が大事なんじゃないだろうか
先進国中、GDP対比での国債発行残高は最悪の水準なのは、今は金融に携わっていない人でも知っている事実。
これで国債の格付けが引き下げられて、金利が上昇したらどうするんだろうか。
まぁ、日本国債保有してるのはほとんどが国内の投資家(金融機関)なので、金利急騰、ってことはないだろうけど
もし現在の状況で金利が上がったりしたら大変である。

国民の不安をいたずらにあおる必要はないと思うが
今回のニュースは一般のテレビでも、新聞でももっと取り扱って欲しいところである。
以前も書いたが、BNPパリバの河野さんの意見に私は賛同します。