リスク回避の動きが一巡し、買い戻し

【商品市況概況】

「リスク回避の動きが一巡し、買い戻し」

昨日の商品相場は軒並み上昇。震災の影響で一斉に発生したリスク回避の動きは1週間を経てとりあえず終了。政府の原発対応もゆっくりとであるが進捗しており、売られ過ぎに伴う買い戻しが相場を押し上げた。


エネルギー相場は総じて上昇。アフリカ3位の産油国リビアに対し多国籍軍が攻撃を開始。しかし、カダフィ大佐は徹底抗戦の姿勢を示していることから、供給障害が長引く恐れが強まっており、エネルギーの買い材料となっている。


非鉄金属相場は小反落。2月の中国の非鉄金属輸入が3年ぶりに低い水準となり、需要減速への懸念が強まったことが売り材料となった。しかし、2月は中国正月で営業日数が少なかったことによるところが大きく、正月要因を含めて考えれば大きな需要の減速ではないと見られる。


貴金属相場は総じて上昇。多国籍軍リビア空爆したことを受け、逃避先としての需要が続いた。


穀物は小反落。独自材料が不足している中、ドル安が進んでいることから利益確定の売りが進んでいると思われる。




「国内事情とは関係なく決定する国際商品価格」

商品価格は軒並み反転上昇している。G7の協調介入に象徴される、各国政府当局の「金融市場安定化への決意」が評価されたことによるものだ。金融市場が安定化すれば、市場参加者はファンダメンタルズに立ちかえった行動を取る。今回の震災が日本経済に与える影響は大きいと見られるが、世界経済に与える影響は然程大きくないとの見方が大勢を占めている(アジア諸国への日本からのハイテク部品の供給が滞る可能性が指摘されているが、現時点においてはその影響は不明)。むしろ、中国を初めとする東南アジア諸国の国内インフラ投資のための需要が世界経済を引き続き牽引していくと考えるのが妥当だろう。


このことは、日本が震災の影響によって困難な状況に直面しているにも関わらず、世界の市場、特に商品市場はこの状況とは関係のない動きをする可能性が高いということを意味している。原発事故の影響から依然として首都圏の電力不足が続いているものの、首都機能は失われておらず、西日本の企業は健全な状態のままだ。しかし、今回の震災で影響を受けなかった企業は、価格リスクという震災とは別の困難さに立ち向かっていく必要があるだろう。

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コモディティインデックス】
MRA CVIX(MRAコモディティ恐怖指数):34.43(▲0.24)
MRA RMI(MRAレアメタルインデックス):322.45(+0.00)