買戻し継続

【商品市況概況】

「買い戻し継続」

昨日の商品相場は総じて小幅上昇。日本の原発事故に対する過度の懸念が薄れたことから、ファンダメンタルズに回帰し、昨日に引き続き買い戻しが入る動きとなった。


エネルギー相場は小幅上昇。リビアの政情不安がサウジに波及するとの懸念や、海上輸送の不安定さが高まることが買い材料視された。ただ、昨日はアイルランドの2年債利回りが一時10.18%にまで上昇。3〜5月に大量償還を迎えるPIIGS財政問題が再び取りざたされており、今後、リスク資産としてのエネルギー価格の上値を抑える可能性がある。


非鉄金属相場も総じて堅調。原発問題が進捗を見せていることからリスクマネーが商品市場に回帰し、相場を押し上げる要因となった。中国の都市部固定資産投資は前年比+24.9%と鈍化したとはいえ高い水準を維持しており、中国を初めとする新興国のインフラ向け需要は旺盛であると考えられる。


貴金属相場は上昇。中東情勢の問題が長期化するとの懸念が強まってることから、金融市場の昨日回復を受けて投資資金を安全資産に逃避させる動きが続いている。


穀物相場は横ばい。来週31日に作付意向面積が発表されることから、積極的にポジションを取る動きが控えられた。



「200ドルコール」
リビアの情勢不安が伝わってから、原油価格は上昇している。今のところリビアからの原油供給は略ゼロになる見通しであり、他OPEC諸国はリビアの減産分を賄う形で増産を行っていることから、供給に懸念は生じていない(但し、海上輸送に懸念が生じた場合にはこの限りではないが)。


リビア情勢の激化を受けて、WTIの200ドルを行使価格とする「コールオプション」の取引が増加している。増加していると言っても現在、直近限月を対象とするコールオプションの建て玉が834枚(834,000バレル相当)程度なので、120ドルコールが26,916枚であることに比べれば随分小さいレベルではあるのだが。


オプションに詳しくない方のために改めて説明すると、コールオプションは「買う権利」である。200ドルコールオプションを購入している、ということは原油を200ドルで買う権利を有している、ということを意味する。ではコールオプションをどのように使うかというと、「現物を購入しなければならないが、この価格(行使価格と言います)を上回る水準では現物を購入したくない。場合によってはその水準よりも低い価格で買いたい」という人が、オプション料を支払ってその「価格が急上昇したときに、行使価格で原油を購入できる権利」を予め購入しておく、という使い方が一般的である。あくまで「権利」なので、価格が予想に反して下落した場合には権利行使をせず、その時の時価原油を購入すればよい。言葉を変えると、原油価格の上昇保険、といったところだろうか。


では、今回の200ドルを権利行使価格とするコールオプション、本当に200ドルを上回ると考えている人がいるのだろうか?実は必ずしもそうではない。市場ではこのオプション自体を売ったり買ったりすることが出来るため、オプションの評価額が上がったときの売却益を期待した取引も可能であるためだ。オプションの価値は原油価格の水準自体と、価格の変動性によって決定されるので、原油価格が上昇したり、価格変動性が上昇したりする場合には、その価値が上昇する。原油価格が90ドル程度であれば、200ドルコールオプションの価値は無価値であるが、足元の原油価格の上昇でこのオプションには価値が出ることになる。つまり、価値が出たところで売却すれば利益を得ることが出来るのだ(もちろん、200ドルコールオプションを買ってくれる人がいてくれればの話ですが)。


個人的には現時点において原油価格が200ドルを超えることはないと考えているが、市場では200ドルを対象とした取引が成立しているということは、非常に興味深い事象として意識しておいた方がよいだろう。"


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コモディティインデックス】
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