リレー小説-第27話

【商品市況概況】

「高安まちまち」

昨日の商品価格は高安まちまちとなった。ウクライナでのマレーシア航空機撃墜問題を受けて、ロシアが強硬な姿勢を緩和せざるを得なくなるのではとの期待感による地政学的リスクの一時的な鎮静化に加え、米住宅関連統計、企業決算等が良好だったことがリスクテイク意欲を高める一方、ドル高が進行したことが背景。


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【雑感】

【リレー小説-第27話】

子供の夏休みの一発目です。

その時、店の扉がガラリと開き、一人の男が入って来た。
「あっ、来た来た。こっちよー」
美紅が笑顔で手を振った。見るとそこには見たことがある顔が。

「リッチーさん?」
「こんなとこで女の子と飲んでるとは、ずいぶん楽しそうだな。
エビせんの話はどうなったの?」
「え、あ、いやそれはですね」

エビ研ではリッチーさんの知り合いである田中研究員から
「狸屋」を紹介され、そこに行こうと思ったら美紅にたまたま
名古屋で出会い、そしていま熱海でリッチーさんに会う。
いったいどういうめぐりあわせなんだろうか。何かのドッキリか?

「何、ハトが豆鉄砲をくらったような顔してるんだよ」
「いや、ここでリッチーさんが出てくるとは
思っていなかったので」
「仕事もしないで若い女の子と熱海なんて...
ずいぶん良い身分だな」

リッチーは笑いながら龍太郎の頭を小突いた。
本来、エビせんの話はリッチーさんには関係ないので、
今は美紅と一緒にいることを純粋に茶化されている訳だが、
仕事の問題が解決していないのに、
こんなシチュエーションでからかわれると何とも気まずい。
何かしゃべらなければ...と思ったら美紅が口を開いた。

「まあまあ。でもさ、ハトが豆鉄砲くらったって、
その顔見たことある人いるのかしらね?」
「確かに」
「どんな顔よ。ってこんな顔?」

美紅はおどけて見せる。リッチーは笑った。

「さあ、俺も混ぜてくれよ。久しぶりの『きぬた』なんだから、
海のものをたくさん食べないと」

リッチーはいきなり運ばれてきたジョッキを一気に飲み干すと、
日本酒をじゃんじゃん注文し始めた。

「明日地球が終わるかもしれないから、
飲めるときには飲んどかないと」

龍太郎はリッチーと美紅と、他愛のないテレビ番組の話や、
職場の恋愛事情等を酒の肴に盛り上がった。
もうかれこれ2時間くらい飲んでいるだろうか。
相当いい感じによってきたときに、
龍太郎は肝心なことを聞くのを忘れていた。

「そういえば、リッチーさんは
田中研究員と同級生なんですってね」

リッチーが酒を飲む手が一瞬止まったように見えた。
しかし何事もなかったかのようにリッチーは

「そう。学生のころにね。
バイアスロンのチームで一緒だったんだよね」
「なんでフランスで就職しないで、日本に来たんですか?」

リッチーの動きが止まった。

「このお店の名前をひっくり返すと、『たぬき』になりますね」

リッチーと美紅がほぼ同時に龍太郎を振り返った。

「え...?」

「宿に行く前に、よるところがある」

リッチーは言った。
その時カウンターの奥に立っている女将の目が、
鈍く光ったような気がしたのは気のせいだろうか。
(続く)