統計速報(遅報?)7月18日分

 昨日の米在庫統計は原油ニュートラル製品ブルな内容であった。原油は輸入の大幅増加により小幅な在庫減少で済んだ。石油製品は在庫の増加が期待されていたが、稼働率の改善ペースが緩慢であることと輸入の減少、需要が堅調であることから予想に反して大幅な在庫減少となった。稼働率は徐々に回復し、ようやく過去5年の最低レベルである90.5%を上回る91.0%となった。しかしながら過去5年平均の94.4%にまで達しておらず、現在の石油製品在庫水準が低い事を鑑みれば引き続き米国の製品供給は輸入に頼らざるを得ない状況が続くといえ、製品主導で原油価格も高止まりが予想される。個別に少し詳しく見てみよう。
 原油は、稼働率が先週に引き続き改善したが、P1-P3の輸入が増加したため▲0.4MBの小幅な在庫減少に留まった。FSCは22.2日と先週から0.2日悪化している。イールドカーブの形状に大きな影響を与えると考えられるCushing在庫は22.6MB(▲192KB)と4週連続で減少している。これに伴いWTIイールドカーブはとうとう全ゾーンバックとなった。Cushing在庫の減少はBrent/WTIのネガティブスプレッド解消のための必要条件である(十分条件ではない)。現在のWTIとBrentのネガティブスプレッドには著しいユーロ高が背景にあると考えている。また、全ゾーンバックになった事に伴い、在庫積み増しのインセンティブが薄れている事も今後重要なポイントとなろう。
 ガソリンは大幅な在庫増加が予想されていたが、生産の減少、輸入の減少の一方で需要が堅調に推移していることから▲2.2MBの大幅な在庫減少となった。在庫減少は稼働率の低下したP3での減少が顕著であった。また、得率が57.7%と先週から1.0%低下したことも生産減に影響した。一方で需要は極めて堅調であり、直近ベースで9.7MBD(前週比+47KBD)、4週平均ベースで9.6MB(前週比+30KBD)となっており、4週平均ベースでは同じ時期の過去5年の最高水準である9.55MBDを引き続き上回る水準となっている。一方で在庫は過去5年の最低水準平均を下回っていることから、FSCは21.1日と引き続き過去5年の最低水準22.2日にも満たない。稼動再開を好感してガソリン価格は低下していたわけであるが、やはりドライブシーズンである事が実感される内容であった。やはりP3の稼動回復状況が今後の価格動向を占う上で重要であるといえる。
 ディスティレート在庫も予想に反し在庫減少となった。稼働率が悪化したため生産が小幅減少、ULSDの輸入量減少により輸入が減少した事から総供給量は前週比▲57KBDと再び減少に転じた。直近需要も前週比+73KBDの4.1MBDとなったことから、在庫減少となった。4,137KBDという需要の水準は、同じ週の過去5年の最高レベルである4,121KBDを上回るレベルであり、FSCも29.5日と5年平均の30.8日を下回っている。ピークシーズンではないが、こちらも在庫が足りないといえるだろう。