リスク回避の動きで下落

【商品市況概況】

「リスク回避の動きで続落」

昨日の商品相場はリスク回避の動きで大幅に続落した。津波の影響もさることながら、福島の原子力発電所問題を受け、保険会社を中心に日本の投資家が資金を国内に還流させるとの見方がつよまり、世界市場が一気にリスク回避モードとなったため。エネルギーは大幅安。中東情勢の悪化を受けたショートポジションのクロージング、さらには中東問題の長期化を見越した投機の買いも入っていたことから、大幅な下げとなった。Brentの下げ幅がWTIよりも大きいのはそのためである。しかしながらリビア情勢は政府軍が猛攻を加え、状況が悪化しており(もしこのままカダフィが勝つと、西側諸国は反カダフィに舵を切っているため軋轢は強まる)、さらにバーレーンが3カ月の非常事態宣言を発令するなど、決して情勢は良くないことから、原油底堅い推移になるとみられる。ベースメタルも下落。リスク回避の動きと、株安に誘発される景気悪化懸念から在庫圧縮や資産売却の流れに乗った。しかしながら中国の需要は旺盛であること、復興需要が期待されることから底堅い推移となっている。貴金属は原発問題の深刻化を受けて質への逃避を超えた換金売りに押された。プラチナ、パラジウムは大幅安。穀物もドル高進行や投機筋の手仕舞い売りの影響で下落している。



「日本経済の底力」
今回の大震災による津波の被害は、想像を絶する規模となった。特にテレビでも繰り返し報じられている福島の原子力発電所の状況は予断を許さない状況が続いており、避難生活を余儀なくされている方々の心中は察して余りある。
現在の市場は、特に原発が落ち着くか否かに焦点が当てられているようだ。こうした心理的な不安が市場参加者のリスク回避志向を強める要因となっている。しかし幸いなことに首都機能は維持されており、産業施設がより集積している関東以西の生産設備には大きな被害が出ていないことから、原発問題が解決すれば、逆に復興需要で日本経済は力強く回復するのではないかと考えている。ただし、日本と多くの部材を輸出入している、世界景気回復のエンジンの1つであるアジア諸国は、今回の震災の影響を受けることになると考えている。その世界経済への影響は、現時点では何とも言い難い。

非常に厳しい環境ですが、被災地救済と原発対応のほかに、経済活動の維持も非常に重要だと思っております。経済活動が継続していれば、被災地への物資の供給や支援も円滑に行えるためです。今回の震災の影響を大きく受けなかった西日本の企業の皆様には、ぜひ頑張って日本経済を引っ張って行ってほしいと思います(私は相場の見通しや考え方を皆様にお伝えするぐらいしか今、できることがありませんが...)。"

※商品市況概況、雑感ののアップデートは1日遅れとなります。最新情報をご希望の方は、以下のリンクからメルマガ(無料)にご登録をお願いします。
※会社のセキュリティの問題などで登録が出来ない場合は、 ask@marketrisk.co.jp までお問い合わせください(個人の方の代理登録はしかねますので、ご了承下さい)。
http://www.marketrisk.co.jp/contact/



コモディティインデックス】
MRA CVIX(MRAコモディティ恐怖指数):32.75(+2.30)
MRA RMI(MRAレアメタルインデックス):323.40(+0.00)