リレー小説-第23話

【商品市況概況】

「中国・欧州統計は強弱混在、商品価格は高安まちまち」

昨日の商品価格は高安まちまちとなった。中国の製造業PMIが改善、欧州PMIが小幅悪化したことから、消費シェアに応じて価格に反応があった。また基本的にはドル安が進行していたことから地合いは堅調だった...

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ツィッターも始めました NaohiroNiimura


【雑感】

【リレー小説-第23話】

ホームに向けて歩く途中、龍太郎はふと、
明日狸屋に行かなければいけないことを思い出した。
しかし、ラッキーなことに隣には美紅がいる。
彼女の実家は狸屋なのだから、
彼女も何か知っているのではないか。胸に微かな期待が膨らんだ。

熱海行きのこだまに乗り込み、
さっきキオスクで買った缶ビールで乾杯すると、
龍太郎はさっそく美紅に狸屋の話を振った。

「君の実家って、あの有名な狸屋なんだって?」
「あら、いつの間に調べたの?」
「山中先輩が教えてくれたんだよ」
「今度、遊びに来て。出来立てのどら焼きでおもてなしするわ」
「本当に?それは嬉しいなぁ。
実は狸屋のどら焼きってまだ一度も食べたことがないんだ」
「あら?嬉しいのはどら焼きだけ?」
「えっ?!あっ、いや…」

いちいち美紅の発言に振り回されている自分が情けない。
見た目が美人なだけに、
思わせぶりな態度が2割増しで魅力的に見えてしまう。
こんな調子で熱海まで約2時間。
自分の平常心は保たれるのだろうかと不安になる。

幸いなことに美紅は何食わぬ顔である。
とにかく話を切り出さなければ。

「実は今日、東海エビ研究所ってところに行って来たんだけど」
「もしかして田中さんのところ?」
「ええっ、彼を知ってるの?!」
「うん、ちょっと前から知り合いなの」
「彼に狸屋に行ってみてくれって言われたんだ」
「今、あなたの会社、エビのことで困ってるんでしょう?」
「そんなことまで聞いてるの?」

「まぁ、熱海に着いたらゆっくりその話をしましょ。」

もはや主導権は美紅にあるようだ。
(続く)