ハンカチ王子再び

(経済関連ニュース)
・1-7月期中国固定資産投資 前年同期比+26.6%(1-6月期+26.7%)、市場予想+26.8%。
・7月独CPI確報 前年比+2.0%。
・7月ユーロ圏CPI確定値 前年比+1.8%(速報比変わらず)、前月は+1.9%。11ヶ月連続で政策金利変更の目標となる2.0%を下回る。
・7月英小売売上高 前月比+0.7%(6月改定+0.4%)、市場予想+0.1%。
・7月米CPI+0.1%(6月+0.2%)、市場予想+0.1%。コア+0.2%(6月+0.2%)、市場予想+0.2%。インフレの動向は落ち着いていると見られる。
・7月米住宅着工 前月比▲6.1%の138.1万戸(6月改定 147万戸(速報比+0.3万戸))、市場予想140万戸。10年ぶりの低水準。
・7月米住宅着工許可件数 前月比▲2.8%の137.3万戸(6月改定141.3万戸(速報比+0.7万戸))、市場予想140万戸。10年ぶりの低水準。
・8月米フィラデルフィア連銀指数 ±0.0(前月9.2)、市場予想8.6。大幅な悪化。
・米週間新規失業保険申請者数 前週比+6千人の322千人、市場予想315千人。雇用は未だ健全な水準にある。
・円がとうとう112円台に。

(エネルギー関連ニュース)
・ディーンは本日カテゴリー2のハリケーンとなり、勢力を強めながらカリブ海に進行。
・エリンは勢力を弱めながらヒューストンに進行。

(商品市況概況)
「下落」
 昨日の商品価格は下落した。日々、サブプライムローンに端を発する信用収縮の問題が拡大かつ深刻化していることに伴う運用資金の商品市場からの退場が継続しているためである。かつ、昨日米連銀プール総裁が現時点における利下げに慎重な姿勢を見せたことも下げを誘った。また、円キャリートレードの巻き戻しに伴う流動性の大幅な低下も相場の下げ要因となった。
 昨日もコメントしたが、グリーンスパンは以前、ITバブル崩壊時に完全にバブルが消滅するまで安直に利下げを行っておらず(バブルが消滅する前に利下げを行えば、しぼみかけたバブルがまた膨らんでしまうため)、今回もバーナンキ議長はグリーンスパン議長と同様の手法を取るものと考えられ、今年一杯はこういった状態が続く事になるのではなかろうか。
但しこうした状況が年内一杯続くとなると、この相場下落局面においても変化していなかった商品のファンダメンタルが大きく転換する可能性がある。即ち、どこのシンクタンクも「世界経済の成長が継続し、GDPのプラス成長が続く事」から価格の上昇見通しを立てていたわけであるが、その根本が崩れてしまうという事である。具体的に言えば株価の下落に伴う個人消費の低迷を背景として、商品需要が減少する「悪い意味」での価格下落が発生する可能性がある、という事である。

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は大幅に下落した。米国発の信用収縮の動きが加速しており、加えて昨晩発表された米経済統計も米経済の特に住宅セクターの状況悪化が継続していることを示唆する内容であったことから、商いを伴いながら水準を大幅に切り下げる展開となった。また、LME在庫の大幅増加も売り材料となったようである。LME在庫は+3,300Mt増加、(FSCは2.4日)、(キャンセルワラント率は2.7%)。売買高は18,358枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブはパラレルに全ゾーンが大幅に低下。C-3は110?バックとバック幅を縮小した。 今後については引き続き下落余地を探る展開になると考えている。基本的に足元の下落はファンダメンタルに変化がない中、ファンド等の運用資金が当該市場から退場している事に伴う下げが続くと見られ、こうしたファンドが更に幾つかデフォルトを起こす可能性も高いためである。各国中央銀行が資金供給をなどの対策を行っているが、信用収縮の動きに歯止めは掛かっていない。予想以上にこの問題は深刻なものであるといえる。但し、需給面は依然としてタイトであり、下値も限られると見ておいたほうがよいだろう。売買材料を整理すると以下の通りである。1つ目は、主要消費国中国の需要が高水準なGDPや固定資産投資、鉱工業生産を背景として需要サイドが堅調に推移する見込みである事、2つ目は生産国のストライキ懸念が継続していること、3つ目はLME在庫水準の低さ・キャンセルワラント率の高止まりである。このように供給サイドに関する問題は根本的に解決していない。但し足元は上記の通り下値を探る動きのほうが優勢になると考えている。理由の1つ目は繰り返しになるが、信用収縮の動きが加速し低流動性市場における投機筋の手仕舞い売りが継続すると見られることである。もし株価の低迷が長期化し、景気が減速した場合に「悪い形での」価格下落を引き起こす可能性があるため予断を許さない。2つ目は短期的に中国国内の供給が需要を上回っている可能性があること(7月の輸入統計では精錬銅・銅製品の輸入量が再び前月から減少しているが、前年比では引き続きプラスが継続しており、経済成長に裏打ちされた長期的な需要の増加トレンドは維持しているものの、短期的には供給不足が解消されている可能性があることを示している)、3つ目は、中国当局が更なる利上げに動く可能性があることである。但し、利上げが実際に需要減少を促すまでには時間がかかると考えている。尚、9月オプションの建玉は8,000?コールが1,189枚、7,800?コールが970枚、7,700?プットが230枚、7600?プットが455枚、7,500?プットが705枚となっている。

 昨日の亜鉛価格は大幅に下落した。LME在庫の減少はあったが、信用収縮問題を受けた銅価格の大幅な下落を受けて連れ安となった。結果、3,000?の心理的な節目をとうとう下回る事となった。この水準は実に昨年6月28日の水準である。LME在庫は▲225Mt減少、FSCは2.0日(キャンセルワラント率は9.6%)。売買高は7,601枚。イールドカーブは期近を中心に低下し、フラットニング。C-3は2?コンタンゴとバックからコンタンゴに転じた。 今後については引き続き信用収縮の動きが予想以上に深刻であることから、下値を探る展開になると見ている。以前このコラムで指摘した通り、株価低迷が長期化した場合の影響が大きく出始めている(実際に景気が低迷して実需が減少)。その観点からすれば今週のCPI/PPIを受けた中国の利上げ観測の影響は大きいといえる。ファンダメンタルの売買材料を整理してみると、中期的には買い材料が多い。1つは中国のQ207のGDPが予想を上回る大きな伸びとなった事から引き続き中国国内の亜鉛需要は車の防蝕向けに旺盛であると見られること、2つ目はこの旺盛な需要を背景として中国政府が亜鉛輸出の増加に歯止めをかけるべくリベート撤廃に加え、6月1日から亜鉛の輸出関税の引き上げを実施したこと、3つ目は亜鉛の在庫水準が低く有事のバッファが少ないこと、である。しかしながら株価動向が不安定であるため、このマイナス材料がファンダメンタルの強材料を凌駕すると見られることから上値ではしっかりと売りが入らざるを得ない。尚、長期的には大半のメタルと同じく年後半に向けての下落を予想している(3,000?を切る水準までの下落の可能性は現時点では低いと考えている。下値の目途は3月21日にマークした3,119.75?)。まとめれば、短期的には下落、中期的には上昇、長期的には低下、ということである。但し、今回の株価低迷が長期化した場合、実需の減速を伴って価格が下落する可能性があるため、価格低下が長期化する恐れもあるため要注意である。目先の上値は10日移動平均線となる3,300?、一目均衡表の雲の下限、3,500?、下値の目途は昨年6月20日にマークした2,810?を挙げておきたい。尚、価格の目途となりやすい9月オプションは3,500?コールが535枚、3,400?コールが600枚、3,500?プットが1,225枚、3,400?プットが1,030枚、3,000?プットが874枚となっており、下落への警戒感が強いようだ。

 昨日の鉛価格は大幅に下落した。やはり信用収縮の動きに歯止めが掛からず大幅な下げとなった。しかし、鉛は極めて需給がタイトなため、下げ幅は銅や亜鉛に比べると限定されている。この下落により短期的な下値の目途であった50日移動平均線を下回る事となった。LME在庫は▲400Mt減少、(FSCは1.3日)在庫水準の低さやキャンセルワラント率の高さ(キャンセルワラント率は13.6%)を背景に、ファンダメンタルは非常に強い。売買高は2,334枚。イールドカーブは期近を中心に低下し、フラットニング。C-3は46?バックとバック幅を縮小した。 今後については信用収縮の動きが継続していることから、(他の非鉄金属よりも影響は小さいとは言え)下値を探る展開になると考えている。また、株価低迷が長期化の様相を呈してきているため、実需の減少を通じて価格に下押し圧力がかかる可能性が出てきた。ファンダメンタルは、中国が鉛の輸出関税を引き上げたことに伴い、中国からの輸出が7月以降も、豪を初めとする大手生産者の生産障害になんら進展が見られないこと、自動車バッテリー向けに使用される中国での需要が引き続き旺盛であると考えられる事(7月までの中国の商用車・自家用車販売は引き続き堅調)、LME在庫水準が依然として低いこと(FSCはとうとう1.3日に)こと、カーバッテリー向けに使用される鉛は代替品が存在しないことなどから、極めて強い。但し、繰り返しになるが、株価が不安定な状況が続いている事や中国の利上げ観測等(中国の利上げは中国国内実需のマイナス要因となり得る)のマイナスもあり、著しい高値を維持することが難しい環境になっている事も注意すべきであろう。本日は一目均衡表の雲をトライし、下落する展開になろう。

 昨日のアルミ価格は大幅に下落した。信用収縮の動きが加速する中、運用商品の運用対象となり易いアルミ・銅には積極的な売りが入り、このコラムで指摘していた2,500?ラインをとうとう下抜けしてしまった。LME在庫は▲1,000Mt減少、(FSCは8.3日)しているが、需給は他非鉄金属と比べてタイトとは言えない。(キャンセルワラント率は2.3%)。売買高は13,968枚。イールドカーブは期近が低下。C-3は62?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。 今後については、アルミは銅と同様投機筋の投資対象となり易い非鉄金属であることから、信用収縮の動きに歯止めが掛からない以上、下値を探る展開になると見る(この水準まで相場を押し上げていた要因のひとつが運用資金であったことから)。ファンダメンタル的にも、比較的ベアな要素が多い。1つ目は最大消費国中国が投資抑制を目的として利上げを検討していることである。銅と並んでアルミは政策金利引き上げの影響を受け易い非鉄(インフラ整備の初期段階で使われる非鉄金属であるため)であることから、利上げは即効性はないが徐々に上値を重くする効果が予想されること、2つ目は中国国内の企業在庫水準が以前に比して増加している可能性が高く、LME在庫の水準もFSCベースでは他メタル比で低くないこと、3つ目は原材料であるアルミナ価格が欧州・中国で低下を始めたことが挙げられる。一方で買い材料は、1つ目は中国の固定資産投資や鉱工業生産等が引き続き堅調であること、2つ目はエネルギー価格が需要期を迎えて堅調に推移していること、が挙げられる(但し現時点において低流動性市場からの資金退避の動きが継続しているため、エネルギー価格は低下している)。このほかの売買材料としては、生産量回復後の価格支配力維持の観点から大手生産社の大型合併が始まっている事を挙げておきたい。期先で売りヘッジをしていない企業と、している企業が合併した場合、通常はヘッジをしない方針に変更されるケースが多いからだ。こうした合併の動きも期先での売りヘッジの動きを鈍化させ、イールドカーブコンタンゴ化させる可能性がある(かつて原油市場で見られたように、高い価格水準で全ゾーンコンタンゴになる可能性はある)。
 本日も株動向次第であるが、月次チャートでは今年6月にやや潮目が変わった可能性が高く、明確なサポートラインもない中、昨年9月にマークした2,405?が次の下値の目途となろう。上値の目途は10日移動平均線となる2,600?を挙げておきたい。価格の節目となりやすい9月オプションの状況は、2,750?コールが3,153枚、2,700?コールが625枚、2,700?プットが1,200枚、2,650?プットが4,450枚、2,450?プットが930枚となっており、下落への警戒感が強い。

 昨日のニッケル価格は下落した。LME在庫が再び増加に転じた事、信用収縮の動きが継続していることが材料である。米株価が大幅に調整していることが材料である。但しニッケルは今年5月頃から運用資金の退場が既に始まっており、この下げ局面でもそれほど大きな影響を受けていない、との印象である(毎日少しずつ下落しているので、混乱している感がない)。LME在庫は+294Mt増加、(FSCは5.0日)、キャンセルワラント率は3.1%。売買高は1,260枚。イールドカーブは全ゾーン低下しているが、期近の下げが大きかった。C-3は215?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。 今後については、LME在庫の増加基調が継続していることからファンダメンタルを背景として暫くは下値を試す動きが継続すると見ている。また、過剰流動性の市場からの一時退場の動きが続くと見られること、中国当局の利上げ観測も売り材料になろう。ニッケル在庫は少ない、と考えていたがFSCも5日を回復しており危機的状態は脱したといってよい。一時期の相場の主役から転落した感がある。また、中国国内での銑鉄使用増加や、クロム系ステンレス(ニッケルを必要としないステンレス鋼)への移行といったマイナス材料もあり、下値を探り易い地合いになっていると考えるべきである。
 小職が目標に挙げていた昨年8月の25,350?もとうとう下回ってしまった。ここ先週ぐらいからこのコラムでコメントしている通り、価格が今の水準以上に下落するかどうかは、信用収縮関連の問題がどうなるか、LME在庫の状況に拠ると考える。信用収縮関連の問題の根本的な解決には時間を要すると見られるため少なくとも年末までは下げ材料になり続けると考えている。LME在庫動向は通常、LMEニッケル在庫は春先から12月末まで増加の傾向をたどりやすいため、やはり同様に下げ材料となろう。よって、更に下落する可能性は高いといえる。一応、次の下値の目途は昨年7月にマークした21,800?を挙げておきたい。一方で、銑鉄への移行やクロム形ステンレスへの移行も、ニッケル価格が低下するまでの繋ぎの色彩も強く、ニッケル価格が低下すれば再びニッケルが消費される可能性は高いと考えていることから下値も限られ、中期的には価格は回復するものと見ておいたほうが良い、という見方をしていたが、株価低迷が長期化した場合、本当に実需にマイナスのインパクトを与える可能性が高いためこの見方は現時点では今回のクレジットクランチが落ち着くまで一旦凍結したい。

 昨日の錫価格は下落した。信用収縮問題を受けて手仕舞い売りの動きが継続していることが材料である。錫は一目均衡表の雲をとうとう下抜けして引けることとなった。信用収縮問題は、資金繰り悪化に伴うファンドの手仕舞い売りを加速させるため、ワラント保有者が少数に偏っている非鉄金属程、マイナスのインパクトが大きいと考えられる。LME在庫は+205Mt増加、(FSCは14.7日)、キャンセルワラント率は3.6%。売買高は700枚。イールドカーブは期近を中心に全ゾーン低下している。C-3は80?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。 今後については、錫も信用不安の拡大を受けて下落余地を探る展開が継続すると見ている。但し、インドネシア生産者からの輸出体制が完全に復帰しているわけではないこと(小規模生産者の生産回復にはまだ時間を要する見込み)や、インドネシア政府の金属関連商品の輸出関税強化の可能性から思惑的な買いを誘いやすく、基本、下値は限られると考えている。とにかく他非鉄金属と同様、米国株式の調整に伴うセンチメントの悪化、中国当局の連続利上げが実際に行われた場合の実需減速の可能性に注意すべき時期にきたといえる。ここ数日の価格下落で主要なチャートポイントを全て下にブレイクしている事から、暫くはロスカットの売りが継続する可能性が高く、4月27日にマークしている12,600?程度までの調整はあると考えている。

(エネルギー)
 昨日のNY原油は大幅に下落した。米国発の信用収縮の動きが加速しており、商品市場での手仕舞いの動きが加速したためである。「ディーン」に加えて「エリン」がユカタン半島沖で発生した事を受けて相場が上昇していたこともあって、手仕舞い売りを入れ易い環境にあったともいえる。この下落により一目均衡表の雲の上限をトライする動きとなった。イールドカーブは全ゾーン低下。Brentも同様の相場展開で、一目均衡表の雲の下限をとうとう下抜けしてしまった。イールドカーブは期近を中心に全ゾーン低下、フラットニング
 石油製品も下落。RBOBは取引序盤から水準を切り下げる動きであったが、在庫水準の低さといったファンダメンタルが意識され引けに掛けて買い戻しが優勢となった。結果、10日移動平均線のサポートラインを維持してひけている。イールドカーブは全ゾーン低下。ヒーティングオイルも下落。RBOBと同様、取引中盤まで水準を大きく切り下げ、引けに掛けて買い戻しが優勢となった。結果、一目均衡表の雲の中、10日移動平均線を維持して引けている。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下。ICEガスオイルも下落。イールドカーブ全ゾーンパラレルに低下している。

 本日の原油相場は下落するものと見ている。昨日の米住宅関連統計にも見られるように米国住宅市場は予想以上に減速しており、こうした住宅セクターの環境悪化が継続することに伴う信用収縮の動きは継続せざるを得ないと考えられるためだ。但し、このコラムで繰り返している通り石油を巡るファンダメンタルは強く、今の所下値は限られると見ておくほうが賢明であろう。尚、石油製品在庫水準が低く、製品供給に懸念の生じる可能性が高いハリケーンの発生は素直に買い材料となるためこのピークシーズンは要注意である。但し例年と環境が違うのは、景気が後退局面入りしている段階で巨大なハリケーンがメキシコ湾岸を脅かした場合、逆に大きなマイナスのインパクトをもたらす可能性があることである。エネルギーマーケットは大きな転換点に差し掛かっているのかもしれない。
 ファンダメンタル的には、北海油田からの生産減少、OPECが増産について否定的な見解を示している事、ナイジェリアの情勢不安から供給は十分でないこと、石油製品在庫の水準は極めて低い事から需給は引き続きタイトである。ガソリン在庫水準はFSCベースでは依然として過去5年の最低水準を下回るレベルであり、十分な在庫があるとは決していえない。
 イールドカーブが全ゾーンバックになった事から投機資金が投資し易い環境にあるものの、CFTCの統計に見られるように投機筋は概ねロングポジションを手仕舞い始めている。暫くは債券や金等の安全資産のほうが物色されやすい環境が続く事になるといえる。
 WTIはCushing在庫の減少を受けて全ゾーンバックが復活しており、ようやくWTIが「原油の需給の状態を考える」上で有効な指標になってきたといえる。以前から提唱していたWTI/Brentのネガティブスプレッドの解消は、期近のみ解消される事となった。しかしながら北海油田からの生産減少と、著しいユーロ高の影響もあって完全なネガティブスプレッドの解消にはもう少し時間がかかると考えている。
 短期的な在庫水準の指標となる米国のガソリンのサプライカバーは過去5年の最低水準を下回っている状態で、石油製品市場の需給はタイトな状況が続いているといえる。また、ここ暫く横這っていた原油FSCは、昨日の稼働率の上昇により減少に転じている。OPECに増産の意向が今のところない以上、今後、稼働率が改善してもピークシーズン入りしている石油製品の需要を満たすだけの生産をしつつ在庫を積み増す事が難しいといえる。また、IEAの月報ではQ207の在庫水準が過去5年平均に満たない事が示されており、FSCの悪化も確認された。つまり最近高い価格に慣れてしまっているため忘れているが、ファンダメンタルの厳しい状況にはなんら変化がないのである。こうした在庫水準の低さは以前から指摘している通り有事へのバッファが少ないことを意味し、同時にアップサイドへのセンシティビティが高いことを意味する。ガソリンのFSCは21.0日しか存在せず、ドライブシーズンを耐えうる在庫は確保できていない(過去5年最低の水準は21.6日)。ガソリンの得率が限界的な水準(60%近辺)まで上昇していることを鑑みれば、ガソリンの供給は輸入に頼らざるを得ず、今後も非常にボラタイルな展開が予想される。
 供給サイドに関しては、Non-OPECサプライの減少(北海地区からの産油量減少)の影響が効いてきており、安泰ではない。OPECは9月11日にウィーンで開催される総会まで増産の意向はなく、夏場のピークシーズンは冷夏とならない限り、供給が不足する状況が続く事となろう(日本は異常気象のため、夏入りが遅れている)。尚、需要増加の顕著な中国であるが、中国の農村部の都市化に起因する石油需要の増加は当面継続する可能性が高く(世銀等の見通しでも2007年の中国のGDP成長見通しは9%台を維持)、大幅な税制の変更等がなければ急速に需要が減少することはないと見ている。
 尚、価格の目途となりやすいWTIオプションの建玉状況は、80?コールが15,645枚、75?コールが23,857枚、70?コールが13,280枚、75?プットが14,576枚、72?プットが7,117枚、70?プットが13,025枚となっている

(ひとりごと)
何でお年寄りって、ちり紙のことを

「ちりし」

っていって、ハンカチのことを

「ハンケチ」

って言うんだろうか。
私は我が家でわざとちり紙と、ハンカチのことを、ちりし・ハンケチと呼んでいるが
怖い事にだんだんそれが自分にとって普通になってきている。
きっと日本のお年寄りもわざとそういう風に言っていたら自然とそれが普通になってしまったのだ。
そういった人々が恐らく20年ぐらい前にオープンしたディズニーランドの事を

「デズニーランド」

って言い出したに違いない。つまり、ちりしのおじさんがデズニーランドの命名者なのだ。
恐らく推定年齢70歳前後と見た。
待てよ、と、いうことは、こういったお年寄りはハンカチ王子のことを

「ハンケチ王子」

って呼んでいるんだろうか?