思い出をたずねて(下のほうにアルミの分析あります)

(経済関連ニュース)
・8月ユーロ圏製造業とサービス業の景気指数速報は各々 54.2, 57.9(前月54.9, 58.3)、市場予想54.5, 58.0。
・Q207英GDP改定値 前期比+0.8%(前期+0.7%)、市場予想+0.8%。
・7月米製造業耐久財受注 前月比+5.9%(前月改定+1.9%(速報比+0.5%))、市場予想+1.0%。除輸送用機器 前月比+3.7%。
・7月米新築住宅販売 前月比+2.8%の87万戸(前月改定84.6万戸(速報比+1.2万戸))。市場予想82万戸。

非鉄金属関連ニュース)
・Alcoaのジャマイカ精錬所、ハリケーンディーンの影響で稼動停止となっていたが、電力供給が再開される。

(エネルギー関連ニュース)
・Chevron Pascagoula製油所(330KBD、ミシシッピ、P3)、火災の影響から稼働率50%に回復。
・Alon USA Big Spring製油所(70KBD、テキサス、P3)の稼動を停止。メンテナンスは9月9日まで掛かる見通し。

(商品市況概況)
「上昇。ソフトは下落」
 週末の商品価格は概ね上昇した。NY時間に発表された米経済統計が予想を上回る好調な内容であったことから株価が大幅に上昇、株式以外の商品市場にも買戻しが入った。特にCFTCの建玉を見るに、先々週から先週の前半に掛けて商品市場ではロングポジションが縮小、ショートポジションが増加しており、ベアに張っている投機筋が多かったわけであるが、週末の株式市場の安定をみて、買戻しを入れざるを得なくなったのであろう。但し、であるが、サブプライムローン問題は解決しておらず、週末発表された米経済統計もサブプライムローン問題発生前の統計であり、来月以降の機械受注や住宅販売は悪化する可能性の方が高い。よって、高値ではそれなりの利食い売りや既存ロングポジションの整理売りが入ると思われ、どちらかといえば上値は限られると考えておいたほうがよいといえる。一部報道でも言われているが、サブプライムローン金利更改の山が10月、来年半ばにある模様であり、そのタイミングで幾つかのファンドの破綻や信用不安拡大が起きてもおかしくない状況であることは決して忘れてはならない。
 先週、セクター別で最もパフォーマンスが良かったのがエネルギー、次いでソフト、株式の順で、最も悪かったのが貴金属であった(尚、全てマイナスのパフォーマンス)。商品別ではRBOB、米天然ガス、ヒーティングオイルの順で、最も悪かったのが、LME錫であった。

(非鉄金属)
 週末の銅価格は上昇した。米国の経済統計が予想以上に良い内容であったことから素直に買戻しが優勢となったようだ。チャート的には10日移動平均線を上回って寄り付いた後、7,400?を越えたが、さすがに週末ということもあって引けに掛けて売られた。LME在庫は+1,750Mt増加、(FSCは2.5日)、(キャンセルワラント率は5.4%)。売買高は13,340枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブはパラレルに上昇。C-3は88?バックとバック幅を縮小した。 今後については引き続き株や債券といった主要金融市場動向に振らされる展開が継続し、不安定な相場展開になると考えている。FRB公定歩合引き下げを契機とする各国中央銀行の対策もあり、市場の激しい混乱は一時的にでも回避された。そうなると基本的にファンダメンタルは変わりなく強いことから、一旦、買い戻しが優勢になるといえる。しかしながらサブプライムローン問題はその更新時期のコブがまだ訪れていない事からこれからが本番であるといえ、もしファンドや金融機関がそのタイミングで破綻するようなことがあれば、株価下落を背景に需要が減少する「悪い意味での価格下落」の可能性があるため要注意である。売買材料を整理すると以下の通りである。1つ目は、主要消費国中国の需要が高水準なGDPや固定資産投資、鉱工業生産を背景として需要サイドが堅調に推移する見込みである事、2つ目は生産国のストライキ懸念が継続していること、3つ目はLME在庫水準の低さ・キャンセルワラント率の高止まりである。このように供給サイドに関する問題は根本的に解決していない。売り材料を整理すると、1つ目は繰り返しになるが、株価動向が不安定な事から投機筋も積極的に商品市場に手を出しにくい環境にあることである。また株価の低迷が長期化し、景気が減速した場合に「悪い形での」価格下落を引き起こす可能性があるため予断を許さない。2つ目は短期的に中国国内の供給が需要を上回っている可能性があること(7月の輸入統計では精錬銅・銅製品の輸入量が再び前月から減少しているが、前年比では引き続きプラスが継続しており、経済成長に裏打ちされた長期的な需要の増加トレンドは維持しているものの、短期的には供給不足が解消されている可能性があることを示している)、3つ目は、中国当局の利上げ姿勢が持続している事である。但し預金の上げ幅を大きく、貸し出し金利の上げ幅を小さくした事から、景気をゆっくりと冷ましたいとの中国当局の意向が伺われ、実際に需要減少を促すまでには暫く時間を要しよう。尚、9月オプションの建玉は8,000?コールが1,189枚、7,800?コールが895枚、7,500?プットが740枚、7,400?プットが558枚となっている。

 週末の亜鉛価格は下落した。米統計が好調な内容であったことから大幅に水準を切り上げる瞬間もあったものの、やはり週末を控えたポジション整理の売りに押され、10日移動平均線レジスタンスを下回り、前日比マイナスで引けた。LME在庫は▲225Mt減少、FSCは2.0日(キャンセルワラント率は12.0%)。売買高は5,011枚。イールドカーブは期先を中心に全ゾーン低下。C-3は3?コンタンゴと前日と変わらず。 今後については引き続き株・債券といった主要金融市場の動向に振らされ、不安定な相場展開が続くと考えている。但し一時的にサブプライム問題が落ち着いた事から安値拾いの買いが入り易い状況にあると言える。ファンダメンタルの売買材料を整理してみると、中期的には買い材料が多い。1つは中国のQ207のGDPが予想を上回る大きな伸びとなった事から引き続き中国国内の亜鉛需要は車の防蝕向けに旺盛であると見られること、2つ目はこの旺盛な需要を背景として中国政府が亜鉛輸出の増加に歯止めをかけるべくリベート撤廃に加え、6月1日から亜鉛の輸出関税の引き上げを実施したこと、3つ目は亜鉛の在庫水準が低く有事のバッファが少ないこと、である。しかしながらサブプライムローン問題は実はこれからが本番であり、このマイナス材料が存在する以上は上値ではしっかりと売りが入らざるを得ない。また、中国当局が加熱する経済を冷やす目的で金利上げを行ったことも、中長期的な需要の減少を引き起こす可能性がある。尚、長期的には大半のメタルと同じく年後半に向けての下落を予想している(3,000?を切る水準までの下落の可能性は低いと見ていたが一連の価格下落の過程でこの水準は一旦下回ってしまった。しかしながらこのタイミングでFRBの金融政策の変更があったため、当面は2,990?が下値の目途となろう)。まとめれば、短期的には下落、中期的には上昇、長期的には低下、ということである。但し、今回の連鎖株安が長期化した場合、実需の減速を伴って価格が下落する可能性があるため、価格低下が長期化する恐れもあるため要注意である。目先の上値は節目の3,200?、下値の目途は上記の通り2,990?、セカンドサポートは昨年6月20日にマークした2,810?を挙げておきたい。尚、価格の目途となりやすい9月オプションは3,500?コールが535枚、3,400?コールが600枚、3,500?プットが1,225枚、3,400?プットが1,030枚、3,000?プットが869枚となっており、依然として下落への警戒感が強い。

 週末の鉛価格は上昇した。米国経済統計が予想を上回る内容であったことや、各国株価の回復を背景に一時の超悲観論が後退する中、LME在庫の大幅な減少に素直に反応する展開となった。大手生産者の生産障害が殆ど改善されていない事も材料視された。チャート的には30日移動平均線を上回って寄り付いた後、略一貫して水準を切り上げて引けている。LME在庫は▲375Mt減少、(FSCは1.1日)在庫水準の低さやキャンセルワラント率の高さ(キャンセルワラント率は8.2%)を背景に、ファンダメンタルは非常に強い。売買高は3,302枚。イールドカーブは期近を中心に全ゾーン上昇し、スティープニング。C-3は76?バックとバック幅を拡大した。 今後については引き続き主要金融市場の動向に振らされ、不安定な展開が継続すると考えている。但し一時的に金融危機は回避された事から、ファンダメンタルの強さを材料に買い戻しが優勢になるとみる。とはいえ、今回のサブプライムローン問題は実はこれからが本番であり、この材料がある限りは上値ではそれなりに売りが入ると見られる。もし、株価が長期的に安定しない場合、実需の減少を通じて価格に下押し圧力がかかる可能性も依然、否定できない。但しファンダメンタルは繰り返しになるが、非常に強い。中国が鉛の輸出関税を引き上げたことに伴い、中国からの輸出が7月以降も、豪を初めとする大手生産者の生産障害になんら進展が見られないことや、自動車バッテリー向けに使用される中国での需要が引き続き旺盛であると考えられる事(7月までの中国の商用車・自家用車販売は引き続き堅調)、LME在庫水準が依然として低いこと(FSCはとうとう1.1日に)こと、カーバッテリー向けに使用される鉛は代替品が存在しないことなど、極めて強い買い材料が目白押しである。よって金融市場の混乱、という波乱材料がなければ基本は上値を試し易い環境にあることは忘れてはならない。本日も株価次第であるが、週末の米国株式市場が予想以上に上昇したことから、再び上値を試す動きとなろう。価格の節目となりやすい9月オプションの状況は、3,500?コールが300枚、3,000?コールが650枚、3,200?プットが518枚、3,000?プットが500枚となっており、上昇への警戒感が強い。

 週末のアルミ価格は上昇した。主要金融市場が落ち着きを取り戻しつつある中、10日移動平均線レジスタンスラインを上抜けて寄り付いた後、NY時間に入って発表された米国経済統計が極めて好調な内容であったことから大幅に上昇して引けた。但しこの統計はサブプライムローン問題が発生する以前の統計であり、先々が安泰か、といわれるとそういうわけでもなかろう。LME在庫は+175Mt増加、(FSCは8.3日)しているが、需給は他非鉄金属と比べてタイトではない。(キャンセルワラント率は2.4%)。売買高は14,489枚。イールドカーブは期近を中心に上昇。C-3は58?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。 今後については、他メタルと同様、主要金融市場動向に一喜一憂の展開が予想され、引き続き不安定な状態が続く事になると見る。小職としてはサブプライムローン問題が解決したわけではなく、金融当局の対応によってクライシスが回避されただけであると考えている(週末の統計もサブプライム問題が噴出する前の統計である)。また、ファンダメンタル的にはベアな要素が多い。1つ目は最大消費国中国が投資抑制を目的として利上げを検討していることである(今回の信用収縮問題とはやや趣が異なる)、2つ目は中国国内の企業在庫水準が以前に比して増加している可能性が高く、LME在庫の水準もFSCベースでは低くなく、3つ目は原材料であるアルミナ価格が低下を始めたことが挙げられる。尚、7月の中国の輸出入統計では、前月比ベースではネット輸入が増加、前年比ベースでは減少しており、短期的にはブル、中長期的にはベアな状態であるといえる(銅と反対)。一方で買い材料は、1つ目は中国の固定資産投資や鉱工業生産等が引き続き堅調であること、2つ目はエネルギー価格が需要期を迎えて堅調に推移していること、が挙げられる。このほかの売買材料としては、生産量回復後の価格支配力維持の観点から大手生産社の大型合併が始まっている事を挙げておきたい。期先で売りヘッジをしていない企業と、している企業が合併した場合、通常はヘッジをしない方針に変更されるケースが多いからだ。こうした合併の動きも期先での売りヘッジの動きを鈍化させ、イールドカーブコンタンゴ化させる可能性がある(かつて原油市場で見られたように、高い価格水準で全ゾーンコンタンゴになる可能性はある)。
 本日も株価次第であるが、先週の木・金曜日の上げ幅が大きかったことから、一旦10日移動平均線のサポートをトライする展開になると考えている。尚、下値の目途は昨年9月にマークした2,405?を挙げておきたい。価格の節目となりやすい9月オプションの状況は、2,750?コールが3,153枚、2,700?コールが725枚、2,700?プットが1,200枚、2,650?プットが4,450枚、2,450?プットが930枚となっており、依然として下落への警戒感が強い。

 週末のニッケル価格は小幅下落した。主要金融市場の落ち着きを受けて安値拾いの買いが入る中水準を切り上げてきたが、週末ということもあってポジション調整の売りに押された格好。下値は10日移動平均線でサポートされている。LME在庫は+48Mt増加、(FSCは5.3日)、キャンセルワラント率は4.1%。売買高は1,271枚。イールドカーブは期近を中心に全ゾーン小幅低下している。C-3は230?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。 今後については、サブプライムローン問題が解決しない中、不安定な状態が続くと考えている。但し株式市場が安定を取り戻しつつあるため安値拾いの買いで上昇する可能性があるが、ニッケルは現在、どちらかといえばLME在庫の増加基調が継続していることに象徴されるファンダメンタルが売買材料とされている可能性が高く、上昇幅は限定されると考える(ニッケル在庫は少ない、と考えていたがFSCも5日を回復しており危機的状態は脱している)。また、中国国内での銑鉄使用増加や、クロム系ステンレス(ニッケルを必要としないステンレス鋼)への移行といったマイナス材料もあり、下値を探り易い地合いになっていると考えるべきである。
 小職が目標に挙げていた昨年8月の25,350?を一旦割り込み、株価の安定とともにニッケル価格は短期的には下値を固めた感がある。サブプライムローンに端を発する信用収縮の問題が完全に解決したわけではないため予断を許さない状況が続くと見るが、当面は8月16日につけた24,800?が下値の目途となろう。中期的にはLME在庫が春先から12月末まで増加の傾向をたどりやすいことを考えると、年末に掛けて再び下値を探る動きになると考えられる。次の下値の目途は昨年7月にマークした21,800?を挙げておきたい。一方で、銑鉄への移行やクロム形ステンレスへの移行も、ニッケル価格が低下するまでの繋ぎの色彩も強く、ニッケル価格が低下すれば再びニッケルが消費される可能性は高いと考えていることから下値も限られ、中〜長期的には価格は回復するものと見ておいたほうが良い。但し、クレジットクランチ問題が再燃した場合には、本当に実需の減少を伴う下落となる可能性があるため注意を要しよう。

 週末の錫価格は下落した。LME在庫の増加などもあり、50日移動平均線の上値として頭重く、週末を控えたポジション調整の売りもあり、結局水準を大きく下げる展開となった。LME在庫は+105Mt増加、(FSCは15.6日)、キャンセルワラント率は14.41%。売買高は309枚。イールドカーブは期先を中心に全ゾーン低下。C-3は110?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。 今後については、各国金融政策とそれを受けた株価動向を受けて不安定な相場展開が続くと考えている。錫は特に流動性が低い事から値を飛ばし易い。但し、インドネシア生産者からの輸出体制が完全に復帰しているわけではないこと(小規模生産者の生産回復にはまだ時間を要する見込み)、インドネシア政府の金属関連商品の輸出関税強化の可能性から基本的には需給はタイトになりやすく、何もなければ上値を試し易い地合いにあると考えておくべきである。しかし、他非鉄金属に比べるとまだFSCの水準も高く、サブプライムローン問題が解決しない中、特殊な材料が出ない限りは上値も限られると見る。


(エネルギー)
 週末のNY原油は上昇した。そもそもファンダメンタルの強さに大きな変化はない中、米国時間に発表された米経済統計が予想を上回る好調な内容であったことから株価が大幅に上昇。サブプライムローン問題を受けたショート筋が週末を控えてポジション整理の買戻しを入れたためと見られる。尚、CFTCのNon-Commercial建玉は、大幅なロングポジションの減少と、ショートポジションの拡大を示しているが、これは週半ばまでのポジション状況であり、木・金曜日はどちらかといえばこうしたポジションの買戻しが優勢になったと見ている。イールドカーブは期近を中心に上昇し、バック幅を拡大している。Brentも同様に上昇。NY時間に発表された経済統計が好調であったことを受けて買戻しが優勢となった。これによりBrentは10日移動平均線を回復している。イールドカーブは期近が大幅に上昇している。
 石油製品も上昇。各国金融市場が落ち着きを取り戻しつつある中、週半ばの米在庫統計で確認されたように石油製品在庫水準が著しく低い事から買戻しが優勢となった。RBOBは原油と同様、投機筋(Non-Commercialを便宜上投機筋としている)はロングポジションを縮小、ショートポジションを拡大していたが、木金の株価上昇もあって、買戻しが優勢となった。結局この上昇によって10日移動平均線レジスタンスラインを上抜けした。イールドカーブは全ゾーンパラレルに上昇。ヒーティングオイルも上昇。金融市場の落ち着きを受けた買戻しが優勢になった。これにより10日移動平均線を回復している。尚、ヒーティングオイルはカーブ形状が冬場までコンタンゴであるため、在庫の積み増しがし易くなっている。イールドカーブは期近を中心に全ゾーン上昇。ICEガスオイルも上昇。イールドカーブも全ゾーンパラレルに上昇している。

 本日の原油相場は引き続き経済統計や金融当局の対応次第であるが、週末の上げ幅が大きかったことから一旦利食い売りに押されて下落すると見ている。主要金融市場の混乱が一時的に落ち着きを取り戻しつつある中、週末発表された米統計は非常に好調な内容であったが、これらの統計はサブプライムローン問題が発生する以前の統計であり、サブプライムローン問題が完全に解決したわけではない。よって、ファンダメンタルの強さや一時的な信用収縮問題の回避を受けて買戻しが入り易い地合いにあるのも事実であるが、高値では利益確定の売りが入り、不安定な相場展開になると予想される。
 ファンダメンタル的には、北海油田からの生産減少、OPECが増産について否定的な見解を示している事、ナイジェリアの情勢不安から供給は十分でないこと、石油製品在庫の水準は極めて低い事から需給は引き続きタイトである。ガソリン在庫水準はFSCベースでは依然として過去5年の最低水準を下回るレベルであり、十分な在庫があるとは決していえない。また、暫くコメントしていないので忘れ去られているが、イラン問題はまだ解決していない(もうすぐ2年になりますよ...)。
 イールドカーブが全ゾーンバックになった事から投機資金が投資し易い環境にあるものの、CFTCの統計に見られるように投機筋は概ねロングポジションを手仕舞い始めている。概ね信用収縮に伴う手仕舞い売りは終了したと見られるが、新たに投機資金がエネルギー市場に資金を積極的に振り向ける可能性は低く、暫くは債券や金等の安全資産のほうが物色されやすい環境が続く事になると見る。
 WTIはCushing在庫の減少を受けて全ゾーンバックが復活しており、ようやくWTIが「原油の需給の状態を考える」上で有効な指標になってきたといえる。以前から提唱していたWTI/Brentのネガティブスプレッドの解消は、期近のみ解消される事となった。しかしながら北海油田からの生産減少と、著しいユーロ高の影響もあって完全なネガティブスプレッドの解消にはもう少し時間がかかると考えている。
 短期的な在庫水準の指標となる米国のガソリンのサプライカバーは過去5年の最低水準を下回っている状態で、石油製品市場の需給はタイトな状況が続いているといえる。また、ここ暫く横這っていた原油FSCは、輸入の状況に振らされる形で非常に不安定に推移している。OPECに増産の意向が今のところない以上、今後、稼働率が改善してもピークシーズン入りしている石油製品の需要を満たすだけの生産をしつつ在庫を積み増す事が難しいといえる。また、IEAの月報ではQ207の在庫水準が過去5年平均に満たない事が示されており、FSCの悪化も確認された。つまり最近高い価格に慣れてしまっているため忘れているが、ファンダメンタルの厳しい状況にはなんら変化がないのである。こうした在庫水準の低さは以前から指摘している通り有事へのバッファが少ないことを意味し、同時にアップサイドへのセンシティビティが高いことを意味する。ガソリンのFSCは20.4日しか存在せず、ドライブシーズンを耐えうる在庫は確保できていない(過去5年最低の水準は21.2日)。ガソリンの得率が限界的な水準(60%近辺)まで上昇していることを鑑みれば、ガソリンの供給は輸入に頼らざるを得ず、今後も非常にボラタイルな展開が予想される。
 供給サイドに関しては、Non-OPECサプライの減少(北海地区からの産油量減少)の影響が効いてきており、安泰ではない。OPECは9月11日にウィーンで開催される総会まで増産の意向はなく、夏場のピークシーズンは冷夏とならない限り、供給が不足する状況が続く事となろう(日本は異常気象のため、夏入りが遅れている)。尚、需要増加の顕著な中国であるが、中国の農村部の都市化に起因する石油需要の増加は当面継続する可能性が高く(世銀等の見通しでも2007年の中国のGDP成長見通しは9%台を維持)、大幅な税制の変更等がなければ急速に需要が減少することはないと見ている。
 尚、価格の目途となりやすいWTI10月オプションの建玉状況は、80?コールが25,401枚、75?コールが17,794枚、70?コールが11,603枚、75?プットが5,013枚、73?プットが7,211枚、70?プットが12,938枚、65?プットが21,159枚となっている。

(ひとりごと)
週末、子供とカミさんを置いて夜中にゴルフの練習に行ってみた。
最近そもそもゴルフの練習をしていないのと、この前久し振りにやったゴルフに相当納得がいかなかったためである。

で。

行ったのは、足立区にある東京ジャンボ、というところ。
朝5時までやっていて、都内では珍しく200ヤード近くあるのだ。
本当に久し振りである。実に15年ぶりぐらい。
なくなってしまっているのではないだろうか、と思いながら行ったが、夜中にやっている広い練習場が少ないせいか、大賑わいであった。
しかも建物がリニューアルされているし。
久し振りに昔行っていた練習場に行くと、忘れていたことを結構思い出すものである。
アドレスのスタンスとか、その向きとか、手と体の距離とか。
ナツメロを聞くと、その時に何をやっていて、どんな事を思っていたか瞬時に思い出したりするのと似ている。
今、全く気にしていなかったチェックポイントを幾つか思い出した。
やはり、時々は昔行っていた練習場には行くべきである。

と、思いながらいつもより多めに打って帰路に。
ふと気付いたが、今日はいつもと車の感じが違う。

そうか。
カミさんも、子供も乗せていない状態で、こんな夜中に車に乗ることなんてここ暫くなかったものな。
と、思ったら、急に学生の頃の感覚に戻った。
今だったら練習したら寄り道もせずに自宅に帰るのだが、今日は無性に寄り道がしたくなった。
ま、寄り道といってもコンビにによって、その後ラーメン屋に行くぐらいなんですけどね。

まずは練習場からちょっといったところにあるロイヤルホストに行ってみた。
ところが、ないんですよね。ロイヤルホスト
昔はこのロイヤルホストで、後輩とゴルフ談義に花を咲かせたものなんですけど。まぁ、15年も経ってるから仕方ないか...
それならばと、学生の頃に大変お世話になった白山にある、「白山ラーメン」に行ってみる事にした。

ところが、ですよ。
ないんですね。白山ラーメンも。
目印の焼肉屋はまだあるのに、見当たらないんですよね。
美味しかったんだけどな。
こってりの醤油ラーメンのはしりの店だったんですけどね。
自分の思い出の店が、結構なくなっているんですね。普段の生活では全く気付かなかったけど。

こうして時々、昔住んでいた町とか、行っていた練習場やお店に行ってみるのもいいものだ、と思った週末。
同時に、自分は気付いていなかったが確実に時は流れているんだ、とも思った週末であった。

今日もただの雑感でした。すまぬ。