(商品市況概況)
「エネルギーは一服、非鉄金属は下落」
昨日のコモディティ市場はエネルギー価格は下げが一服、非鉄金属は大幅に下落した。基本、非鉄金属の方が経済統計(特に製造関連の統計)に敏感に反応し易いのだが、昨晩は欧州時間の独Ifo指数の悪化→ドル高→米中古住宅販売悪化・フォード決算悪化→株安→非鉄金属安、といったこれ以上ないほどのマイナス材料が重なったため非鉄金属は大幅な調整となったわけである。エネルギーは弊社が繰り返しコメントしてきた「需要家がショックと考える価格レベル、150?が視野に入ったため需要減少観測の高まりが意識された」ため水準を切り下げているが、同時に指摘され続けている新興国の需要が急速に落ち込むことは考えにくいことからやはり下値では買いが入ってくるな、という印象である。但し足許の景気減速に伴う需要減少、価格下落への過剰反応はしばらく続くと考えている。
(経済関連ニュース)
・7月独Ifo企業景況感指数 97.5(前月改定101.2(速報比▲0.1))、市場予想100.1。
・7月ユーロ圏サービス業景気指数速報 48.3(前月改定49.1、市場予想48.8)、製造業景気指数 47.5(49.2、48.7)、総合指数 47.8(49.3、49.0)。
・米週間新規失業保険申請者数 前週比+34千人の406千人(前月改定372千人(速報比+6千人))、市場予想380千人。
・6月米中古住宅販売 前月比▲2.6%の486万戸(前月改定499万戸(速報比変らず))、市場予想494万戸。
・Q208韓国GDP速報 前期比+0.8%(前期+0.8%)。
・6月日本全国CPI 前年比+1.9%(前月+1.5%)、市場予想+1.9%。
・ドルは対ユーロで続伸。独Ifo指数の予想を上回る悪化を受けて先々のECBの利上げ懸念が後退。但しNY時間に発表された中古住宅販売等の統計が悪化したこともあってNY時間にはもみ合った。円は対ドルで小幅上昇。
・日本株は続伸。米フレディマック・ファニーメイの救済法案が下院で可決、上位にでも可決される見通しとなったことから輸出関連株や金融株を中心に上昇した。アジア株は、上海A株は小幅続伸。インドSensex、ブラジルBovespa、Dax、FT250は米中古住宅販売悪化を受けて軒並み下落。米国株は大幅に下落。米中古住宅販売の悪化を受けて再び住宅市場の環境悪化を嫌気した売りが相場を下押し。加えて金融機関株も下落した。
(穀物市場サマリー)
・大豆価格は小幅下落。米国の天候好転が続く中、単収が改善するとの見方、ドル高が継続が相場を下押しした。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下している。
・トウモロコシ価格は小幅上昇。エネルギー価格の下落やドル高の進行、生産地の天候好転といった売り材料を受け下落しているが、6月末の高値から30以上下落していることや、原油価格が安値拾いの買いで反発したことから引けに掛けては下げ幅を削る展開となった。5月29日の安値である573?が意識されているようである。イールドカーブは期近小幅上昇、期先が低下している。
・小麦価格は小幅反発。トウモロコシ・大豆に価格の大幅な下落に伴う安値拾いの買いが見られ、下値が固まりつつあることから小麦も物色された。但し反発、といっても極めて狭いレンジでの取り日引きとなっている。イールドカーブの形状は全ゾーン小幅上昇。
(非鉄金属関連ニュース)
・金は小幅下落。原油価格の上昇を受けて買い戻しが入る局面もあったが、ユーロ統計の悪化を受けたドル高の進行もあって、結局前日比マイナスで引けた。50日移動平均線でサポートされる形となった。
短期的に金価格は堅調に推移すると考えている。地政学的リスクの高まりや、米景気の後退懸念に伴う恒常的なドル安傾向、株式市場のパフォーマンスの悪化、といった材料を受けて安全資産であり、市場規模のうちの半分近くが投機資金である金は、質への逃避で物色されると見ておくべきである。但し今のところ一次回帰分析の結果では現在の金価格はほぼ一次回帰直線状に位置し、テクニカルな売買が行われるような環境にはない(金価格=1,188.3×ドル・ユーロ-924.75。これはもしユーロが1.6?まで下落して場合には977ドルに相当)。但しまた同時に金価格の上昇が宝飾品需要を落ち込ませている可能性が高く(WGCの発表によればQ108の宝飾需要は前年比▲21.5%の454.4Mtに、世界最大の金消費国であるインドの需要は前年比▲50%の102.1Mtに落ち込んでいる)。価格上昇局面での下押し圧力となりえるため、金価格は当面高値で安定推移すると見ておくのが妥当であるといえよう。
NY銀は大幅に続落。特段個別の新規材料がない中、水準を切り下げる動きとなった。"
・NYプラチナ価格は大幅に続落。金下落やドル高の進行が貴金属セクターを弱含ませる材料となっているが、フォードのQ208決算の大幅な悪化(87億?の赤字)を受けた自動車向け触媒需要の減少観測も相場の下押し材料となっている。相場のセンチメントが足許ベア転換してしまっているようだ。下値の目処は目立ったチャートポイントがない中、強いて挙げるなら1月30日の1,682?、ということになろうか。
中期的な見通しについてプラチナは、堅調な推移になると考えていたが、自動車向け需要が一時的にでも減退すると見られることから依然程の強気姿勢は維持できないと考えている。このコラムで指摘してきた需要減少のリスク要因の影響が大きくなりつつある状況である。
価格上昇に対するその他のリスクシナリオは、プラチナ価格が上昇し代替品としてパラジウムが代用品として利用されるリスクであろう。今のところディーゼル車向けに用いられているパラジウムは全体の10%程度であり、これは将来的には25%程度まで上昇すると考えている。また地上在庫の多さがこうした不足分を補うと見られることから、結局のところ生産不足分は相殺されニュートラルになる可能性があることも相場の下押し材料となりえよう。しかしながらやはり南アの生産状態が電力価格の上昇やその他のコストの上昇等で不安定であることから当面、高い水準で堅調な推移が続くことになると考えている。
NYパラジウム価格も続落。但し400セントの節目を大幅に下回ったことから今度は逆に400?の節目をトライする動きとなり、引けに掛けて下げ幅を削る展開となった。
今後パラジウムの価格は上昇すると考えている。プラチナ価格の高騰に伴う代用品需要の高まりが期待されるためだ。プラチナのところでもコメントしているように、プラチナ触媒がパラジウム触媒に置き換わることによる需要増加や、宝飾品にパラジウムが用いられる可能性がある。しかしながら非常に多い地上在庫(弊社見積もりではチューリッヒに8百万オンス、ロシアに10百万オンスの地上在庫があると見ている)が、価格の上限を押さえることとなろう。
(エネルギー関連ニュース)
・米CFTC オランダの取引会社を相場操縦の疑いで摘発。
(非鉄金属)
昨日の銅価格は下落した。取引序盤は強含む局面も見られたが、LME在庫が大幅な増加となったことや独経済統計の悪化から地合いが反転、さらにドル高も進行したこと、夜間の中古住宅販売の悪化といったマイナス材料を受けて大幅な下落となった。この結果一目均衡表の雲を下抜けし、8,000?の節目を大幅に下回ることとなった。引き続き、中国の固定資産投資や鉱工業生産の水準の高さを鑑みれば、需要は堅調であるといえ、コンセントレートの供給不足もあって大幅な調整の可能性は低いとの見方は変更しない。LME在庫は+1,425Mt増加、(FSCは2.5日)、(キャンセルワラント率は7.6%)。売買高は10,581枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期先を中心に低下し、ベアフラットニング。C-3(Cash vs 3M Fwd)は227?バックとバック幅を拡大した。
昨日の亜鉛価格は下落した。取引序盤は銅の上昇もあって強含み推移したが、欧米経済統計の悪化とドル高の進行を受けて下落した。需要が強いというわけではないが、大生産国であるはずの中国の輸入が増加傾向を辿っており(亜鉛、鉛はオリンピック期間中は10%の生産量削減)、LME在庫も減少傾向となっていること、1,800?のコストラインに近づくレベルでは生産減少の可能性が根強いことから下値も堅いようだ。LME在庫は▲450Mt減少、FSCは4.5日(キャンセルワラント率は6.5%)。売買高は4,804枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下している。C-3は8?コンタンゴとコンタンゴ幅を縮小した。
昨日の鉛価格は下落した。バッテリー需要の高まりやLME在庫が減少トレンド入りしたことから総じてしっかりの展開であるが、フォードの決算悪化やドル高進行、欧米経済統計の悪化等の悪い材料が重なり、さすがに相場全体のセンチメントには逆らえず、下落して引けている。但し、中国がオリンピック期間中の鉛生産量を10%削減する見通しであり、中国向けの鉛流入が継続している状況だ。チャート的に10日移動平均線が50日移動平均線を下から上に抜けるゴールデンクロスとなっており、テクニカルに買いが入り易い地合いとなっていることもCTA等の買いを誘っていると見る。LME在庫は▲125Mt減少、(FSCは3.8日、キャンセルワラント率は7.5%ここ数週間でキャンセルワラント率は上昇している。)。売買高は3,004枚。イールドカーブは全ゾーン略パラレルに低下している。C-3は15?バックとバック幅を縮小した。
昨日のアルミ価格は大幅に下落した。原油価格が反発したものの、欧州経済統計の悪化を受けたドル高の進行や、NY時間に発表された中古住宅販売の悪化、フォードの決算悪化、といったマイナス材料が山積しており、堅いと思われた3,000?ラインをとうとう割り込むに至った。特に3,000?を割り込んでからの下げが大きかった。足許エネルギー価格の下落に伴い、生産コストも2,600?前後まで低下している可能性が高く(あくまでエネルギー価格の下落率を元に算定した推計)、以前に比して下げ余地が広がってきている状況である。LME在庫は▲975Mt減少、(FSCは9.8日)。(キャンセルワラント率は1.9%)。売買高は15,124枚。イールドカーブは期近の下げ幅が大きく、ベアスティープニングしている。C-3は49?コンタンゴとコンタンゴ幅を縮小した。
昨日のニッケル価格は大幅に下落した。材料は大きく変らず、ドル高の進行や欧米経済統計の悪化、アルミの大幅調整、オリンピック期間中の中国の需要減少、といったマイナス材料を受けて大幅な調整となった。昨日に関してはLME在庫が欧州で増加したことも地合いを悪化させたようである。エネルギー価格が下落している以上、殆どの非鉄金属に下げ圧力がかかるものと見られる。この後目立ったチャートポイントは存在せず、強いて挙げれば2006年6月14日につけた17,050?が意識されようか。LME在庫は+180Mt増加、(FSCは10.1日)、キャンセルワラント率は2.7%。売買高は1,614枚。イールドカーブは期近を中心に下落し、フラットニングが進行している。C-3は156?コンタンゴとコンタンゴ幅を縮小した。
昨日の錫価格は大幅に下落した。原油価格の低下(昨日は反発)、ドル高の進行、欧米の経済統計の悪化、非鉄金属セクター全体が売り込まれていることから錫も下落した。昨晩はNY時間に入ってからの米統計悪化に伴う下落が大きかった。一応、一目均衡表と100日移動平均線となる22,000?近辺ではサポートされている。しかし供給環境に大きな改善が見られない中、下値も限定されると考えるものの、もし今年1月から維持し続けている100日移動平均線を割り込んだ場合には、まずは20,000?、次は200日移動平均線となる19,400?が意識されることになると考えている。LME在庫は▲50Mt減少、(FSCは5.4日)、キャンセルワラント率は9.3%。売買高は519枚。イールドカーブは全ゾーン略パラレルに低下している。C-3は15?バックとバック幅を縮小した。
(エネルギー)
昨日の原油価格は小幅反発した。ここ数日間の下げ幅が大きく安値広いの買いが入ったためと考えられる。またチャート的にも一目均衡表の雲の下限でサポートされた。イスラエルとイランの緊張の高まりも若干は材料視されたようだ。先進国での需要は減少しているものの、中国やインド、ロシアといった新興国の需要が急速に減少する可能性は低いことから、下値ではしっかり買いが入ると見ておりハリケーンシーズンを控えていることもあって更なる調整には追加材料が必要だろう。現在のレベルは5月にドル高が進行した際につけたレベルと略同じである。WTIのイールドカーブは期近が上昇、期先が大幅に低下している。Brentも期先の下げ幅が大きい。期先の大幅な下げは先々の需要減少や価格が高値では維持できないであろうと考える生産者や市場参加者が増加したことを意味し、期先の価格の動向に今後はより注目する必要があると考えている。直近限月の騰落率はWTIは+0.8%、Brentは+0.9%。
石油製品も上昇。RBOBは区切りの300?でサポートされ、比較的堅調な推移となった。イールドカーブは期近の上げが大きい。直近限月の騰落率は+0.8%。ヒーティングオイルも小幅反発。新規材料は目立ったものがなかったが、一目均衡表の雲の下限でサポートされる形となった。米国内のディスティレート需要は季節性を無視して堅調であり、需要が減少したという感じは見られていない。イールドカーブは期近が上昇、期先が低下。直近限月の騰落率は+0.5%。ICEガスオイルは下落。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。直近限月の騰落率は▲0.6%。
(ひとりごと)
最近、子供が私に似てきた。
基本、ママ、ママ、と母親を追い掛け回し
最終的には抱っこをせがむ(あ、ここのところが似てる、って言ってるんじゃないですからね)
で。
彼の言葉を覚えるスピードは相当速くなっており
いろいろな言葉を喋るようになったのだが
「全ての道はローマに通ずる」
いや、
「新しく覚えた言葉は抱っこに通ずる」
である。
どこで覚えたんだが昨晩は、
「抱っこ〜。ギュッ、ギュッ、ギュッ」
だったらしい。
俺、そんな言葉使ってないんだけどな。
家の外でしていることを、どこかで見ているんだろうか。
そう。
私も。
何でもかんでもデリバティブに結びつけないようにしないと...
でも、オリンピックですら売買材料になっちゃう世の中ですからね。