謎の店-その4

(商品市況概況)
「下値余地が徐々に限定される」
 週末のコモディティ価格は軒並み上昇した。注目の雇用統計は悪い内容であったものの、略市場予想通りであったことからある意味サプライズはなく、むしろこの統計を受けても下げ幅が限定されたことが市場に買い安心感を広げる結果となった。良かれ悪しかれ、在庫の大幅調整(第一弾)が中国政府の買取などの政府支援や、各国の自動車の買い替えキャンペーンを受けて進捗してきているものと見られ、下げ余地が徐々に限定されつつある情況である。今後もこうした景気対策への「期待」で上昇することはあると思うが、実際に景気対策が「事実」であった場合には、相場が反転する大きな切っ掛けになると考えている。
 日本にいると実感しにくいが、そろそろアップサイドへのリスクを警戒(というよりも安いコストでリスク回避ができるタイミングを活かす)する時期にさしかかりつつあるようだ。

(経済関連ニュース)
・2月米雇用統計 前月比▲651千人(前月改定▲655千人(速報比▲57千人))、市場予想▲650千人。失業率8.1%(前月改定7.6%)、市場予想7.9%。
・野球日本代表 韓国に大勝。

・ドルは対ユーロで下落。欧州夜間からドルは弱含んでいたが、夜間に発表された米雇用統計の悪化を受けて軟調な推移となった。ドルは対円でも下落。さすがに雇用統計の数値が悪かったこともあり、円が買い戻された。
日本株は下落。欧米市場における金融機関の経営懸念の定常化や、為替の円高進行を受けて輸出関連株が売られた。米国株はまちまち。注目の雇用統計は略市場予想通りなるも悪い内容であったが、エネルギー価格の反発(というよりも下がらないことを好感)してエネルギー関連株が買われた。

非鉄金属関連ニュース)
・NY金は続伸し、10日移動平均線を試す動きに。中国の追加景気対策見送りを受けて上昇した前営業日に続き、夜間の米雇用統計が市場予想の範囲内とはいえ大幅な悪化になったことから、安全資産として金が引き続き物色された。金の安全資産としての需要が落ちたわけではなく比較的底堅い推移が続くことになると考える。銀も安全資産として物色され、上昇している。(余り好きではないが)ジム・ロジャースが銀を買い推奨していることも一部の投資家の買いを誘ったようである。

・NYプラチナ価格も上昇。雇用統計の悪化といったマイナス材料はあったものの、金価格の上昇もあって10日移動平均線を下値に堅調な推移となった。パラジウムも小幅高。

(エネルギー関連ニュース)
ベネズエラ ロドリゲス財務相原油価格はいずれ上昇するだろう。価格の下落は需要の落ち込みよりも大幅だ」
OPECバドリ事務局長「価格下落で新規の石油資産への投資が採算に合わないため、2013年ごろから需給が逼迫する恐れがある」

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は上昇した。上海在庫の増加はあったものの、LME在庫が増加したことやドル安が進んだことで買いが入り上昇。夜間の米雇用統計は悪い内容であったものの略市場の予想通りであったことから銅価格には大きな影響が出なかった。中国政府による市中在庫の買いオペレーションを受けて在庫は減少が続いている。ファンダメンタルズについては先々コンセントレートが継続的に不足する可能性が高い環境に変りはなく、各国政府の追加経済対策への期待が高まっていることからしばらく上値を探る動きになってもおかしくない。4,000ドルラインがまずは意識されることになろう。但し、景気が回復しているわけではないこともあって、現時点での大幅な上昇は想定していない。LME在庫は▲3,175Mt減少、(FSCは10.5日)、(キャンセルワラント率は10.3%)。売買高は8,225枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期先の上げ幅が大きく、ブルスティープニングしている。C-3(Cash vs 3M Fwd)は24ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の亜鉛価格は下落した。中国政府による在庫買い上げオペレーションへの期待と、LME在庫が実際減少していることから小高く推移したが、夜間の雇用統計の悪化を受けてジリ安の展開となった。コスト割れ水準まで価格が下落していた亜鉛はこの3営業日の価格上昇が大きかったことから、やや頭重い推移となった。チャート的には各種移動平均線を上抜け、上値としては1月12日の高値1,322ドルが次のシーリングとして意識されることになりそうだ。LME在庫は▲2,925Mt減少、FSCは11.2日(キャンセルワラント率は12.7%)。売買高は4,507枚。イールドカーブは期近の下げ幅が大きく、ベアスティープニングしている。C-3は25ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の鉛価格は上昇した。100にch移動平均線を上回って寄り付いたことから、欧州時間の大幅なドル安進行を受けて買い戻しが入りジリ高の展開となった。その後、米雇用統計の悪化はあったものの略織り込み済みであり、大きく反応することはなかった。LME在庫は+525Mt増加、(FSCは2.6日、キャンセルワラント率は3.9%。)。売買高は1,705枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きく、ブルスティープニングしている。C-3は9ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日のアルミ価格は下落した。欧州時間のドル安の進行を受けて30日移動平均線を試す動きとなったものの、夜間の雇用統計が市場予想どおりであったとは言え悪かったこともあり、LME在庫の増加と相俟って水準を切り下げる動きとなった。しかし原油価格も上昇しており、下げ余地も同様に小さいことが確認された一日であった。今後は実態経済の悪化を受けて低い水準での推移が続くと考えられるものの、コストベースで見た場合、限界レベル(1,750ドル程度)を大きく下回って価格が下落している状態が長く続くとは考えにくく(といってもう2ヶ月経ちますが...)、企業の在庫整理も進捗していると予想されることから底入れは近いと見るる。期先は引き続き高い水準での推移が続いている。LME在庫は+6,300Mt増加、(FSCは30.4日)。(キャンセルワラント率は1.3%)。売買高は7,413枚。イールドカーブの形状は略変わらず。C-3は33ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日のニッケル価格は上昇した。欧州時間のドル安の進行とLME在庫の減少を受けてコストベース近辺までニッケル価格が下落していたこともあって買い戻しが入り、小幅高となった。しかしながら引き続き10,000ドルは心理的上値として強く意識されていることから、小幅高に留まった。足許、ニッケル価格は限界コスト近辺まで水準が低下しており(弊社は2009年のニッケルの限界生産コスト水準を7,289〜9,729ドルと想定)、下げ余地は限定されている。LME在庫は▲54Mt減少、(FSCは27.2日)、キャンセルワラント率は1.2%。売買高は710枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きく、ブルスティープニングしている。C-3は74ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の錫価格は上昇した。欧州時間のドル安侵攻や、LME在庫の大幅減少(マレーシア、シンガポール)を受けて堅調な推移となり、とうとう50日移動平均線レジスタンスを上抜けするに至った。LME在庫は▲360Mt減少、(FSCは8.8日)、キャンセルワラント率は4.64%。売買高は708枚。イールドカーブの形状は殆期先の上げ幅が大きく、ブルフラットニングしている。C-3は223ドルバックとバック幅を縮小した。

(エネルギー)
 昨日のNY原油は上昇した。欧州時間のドル安の大幅進行を受けてジリ高の展開となったが、夜間に発表された米雇用統計が市場予想どおりの悪い内容であったことから下落、しかし10日移動平均線のサポートラインを割り込まなかったことから逆に買い安心感が広がり、引けにかけては大幅に水準を切り上げる動きとなった。イールドカーブは期近の上げ幅が大きく、ブルフラットニングしている。直近限月の騰落率は+4.0%。Brentも上昇。材料はWTIと同じであり、夜間の下げ幅が限定されたことから買い戻しが優勢となった、イールドカーブは期近の上げ幅が大きく、ブルスティープニングしている。直近限月の騰落率は+2.6%。
 石油製品上昇。RBOBは小幅高。ユーロ高を受けてジリ高となったが、夜間の雇用統計の悪化を受けて出口の消費に近いガソリン価格は急落、しかしながら下げ幅がきわめて限定されたこともあって引けに掛けては買い戻しが入り、結局前日比プラスとなった。引き続き需要が回復しつつあることや、FSCベース在庫の水準が低いこともあって、地合いは堅調。イールドカーブは期先の上げ幅が大きく、ブルスティープニングしている。直近限月の騰落率は+1.4%。ヒーティングオイルも上昇。欧州時間から堅調な推移となり、夜間の在庫統計を受けても下げ幅が限定されたことから略一貫して買いが入り、10日移動平均線レジスタンスを上回って引けた。イールドカーブは期近の上げ幅が大きくブルフラットニング。直近限月の騰落率は▲4.9%。ICEガスオイルは下落。イールドカーブは期先の下げ幅が大きくベアフラットニングしている。直近限月の騰落率は▲0.3%。

(ひとりごと)
今日は2つ連絡が

1つ目は来週末ごろに、私が書いた本がきんざいから出版されます。
題名は「コモディティデリバティブのすべて」
です。
「すべて」シリーズは「実際はすべてではない」ので、余りタイトルに使いたくなかったんですが
それしか思いつかなかったのでそのタイトルになりました。
是非、書店で見かけたら手にとって、もしよろしければお買い求め下さい。
ファンダメンタルズを中心に、デリバティブの活用の仕方までを解説してあります。

それと

2つ目は、一部から反響のある「謎の店」、であるが
この前行ったら

「本当に潰れるから、紹介してくれ」

と、懇願された。
とは言っても名前と場所を開示するのは、引き続き抵抗があるので
なんとなく、の場所だけ
場所はミッドタウンの出光のガソリンスタンドの近く
微妙なオーラを発している地区があるので、恐らく分かるはずだ。
ピンク色の看板が目印だ。

嗚呼、言っちゃったよ...