長生きクラブ-その2

(商品市況概況)
GDPの低迷によるセンチメントの悪化」
 昨日のコモディティ市場は概ね下落した。最大の材料は注目のQ208米GDPが市場予想を下回ったことである。正直な印象を言えば米国はどうにかこうにか経済を維持している、との印象である。が、このコラムでも何回か指摘したが、米国経済が完全に回復するには現在金融機関が保有しているサブプライム関連債権を完全にバランスシートから切り離す必要があり(かつての日本と同じ)、それにはまだ時間を要すると見られることから本格的な景気回復はどんなに早くても来年以降であろう。
 米経済の悪化は市場のセンチメントに大きな影響を与えるため非常に重要である。コモディティに関して言えば、消費量とGDPは略相関しているため、GDPの悪化は需要の減少を意味し、価格の下落要因となりえる。しかしながらあくまでこのGDPの悪化は先進国内での話であり、この10年間の需要を牽引してきたのは中国を始めとする新興国であることを忘れてはならないだろう。コモディティの価格が下落してもその幅は限られるであろうとの議論の背景はここにある。
 しかし少なくとも現時点において市場がフォーカスしているのは景気悪化に伴う需要減少観測であるのは略間違いがない。いずれ反転上昇すると考えてはいるが、一旦相場は下値を探らざるを得ないだろう。

(経済関連ニュース)
・7月日本新設住宅着工 前年比▲16.7%の年率113万戸、市場予想▲17.8%。改正建築基準法の影響で、一時期に比べれば落ち着いたものの大幅なマイナス続く。
・7月独失業者数 ▲2万人の325万人、市場予想▲2万人。失業率7.8%。
・7月ユーロ消費者物価指数 前年比+4.1%(前月改定+4.0%)、市場予想+4.1%。
・米週間新規失業保険申請者数 前週比+44千人の448千人(前週改定404千人(速報比▲2千人))、市場予想393千人。
・Q208米実質GDP速報 前期比年率+1.9%(前期改定+0.9%(曽k費▲0.1%)、市場予想+2.3%。
・Q208米雇用コスト指数 前期比+0.7%(前月改定+0.7%)、市場予想+0.7%。
・7月シカゴ製造業景況指数50.8(前月改定49.6)、市場予想49.0。雇用指数は45.9(前月改定46.7)に悪化。
NASA火星に水を確認(ついに!!)
グリーンスパンFRB前議長「米住宅価格の下落底入れには程遠い。市場が安定するにはしばらく時間がかかる」
・ドルは対ユーロで行って来いで略変わらず。米GDPが市場予想を下回ったことや米失業保険の悪化等でNY時間の取引序盤はドルが売られたが、その後原油相場がGDP等の指数悪化を材料にして下落に転じたことから今度はドルが買われた。円は対ドルで上昇。
日本株は小幅高。夜間の米統計を控えて積極的な売買は手控えられた様子。アジア株は上海A株は続落、インドSensexは続伸。ブラジルBovespaは米株の下落もあって下落した。米国株は大幅下落。注目の米GDPが予想を下回る内容であったことから大幅な下落となった。週間失業者数の悪化も売りを誘った。

穀物市場サマリー)
・大豆価格は小幅高。個別の新規材料がない中、10日移動平均線を上値として小幅な値動きに留まった。米GDPが市場予想を下回ったことは大豆相場には余り影響を与えなかったようである。イールドカーブの形状は殆ど変らない。
・トウモロコシ価格は下落。米GDPが市場予想を下回ったことを受けてエネルギー価格が下落したことから。但し10日移動平均線ではサポートされて引けている。5月29日の安値である573?が意識されこの水準を下値として堅調な推移となっている。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下。
・小麦価格は下落。小麦の世界在庫がこの5月に113.1百万Mtに達する見通しであることがUSDAから発表されているように、在庫の増加に伴う需給緩和観測が根強い。昨日もInternational Grains Councilが世界の小麦生産が今年は8.9%増加する見通しであることを発表したことなどがマイナス材料視されたようだ。イールドカーブは略変わらず。

非鉄金属関連ニュース)
・金は上昇。注目の米雇用統計は市場予想を上回る内容であったことからドルが売られ、金は上昇した。ドルが下落した際に油や金が買われるといわれるが、今回はドル安に伴う質への逃避の色彩が強いと見られる。上値は10日移動平均線で抑えられている。
 短期的に金価格は堅調に推移すると考えている。地政学的リスクの高まりや、米景気の後退懸念に伴う恒常的なドル安傾向、株式市場のパフォーマンスの悪化、といった材料を受けて安全資産であり、市場規模のうちの半分近くが投機資金である金は、質への逃避で物色されると見ておくべきである。但し今のところ一次回帰分析の結果では現在の金価格はほぼ一次回帰直線状に位置し、テクニカルな売買が行われるような環境にはない(金価格=1,188.3×ドル・ユーロ-924.75。これはもしユーロが1.6?まで下落して場合には977ドルに相当)。但しまた同時に金価格の上昇が宝飾品需要を落ち込ませている可能性が高く(WGCの発表によればQ108の宝飾需要は前年比▲21.5%の454.4Mtに、世界最大の金消費国であるインドの需要は前年比▲50%の102.1Mtに落ち込んでいる)。価格上昇局面での下押し圧力となりえるため、金価格は当面高値で安定推移すると見ておくのが妥当であるといえよう。
 NY銀は続伸。中国が輸出リベートを削減したことや、米GDPが市場予想を下回ったことから株が下落、ドルが下落したことから銀も物色されることとなった。

・NYプラチナ価格は小幅反発。米GDPが市場予想を下回ったことから買いが入り上昇したが、10日移動平均線を上抜けできなかったことや、GDPの悪化が先々の自動車需要の減少を想起させたことから上値も重く、金等に比して小幅な上昇に留まった。結果的に10日移動平均線が上値として、下値としては1月30日の1,682?が意識される状況となっている。
 中期的な見通しについてプラチナは、堅調な推移になると考えていたが、自動車向け需要が一時的にでも減退すると見られることから依然程の強気姿勢は維持できないと考えている。このコラムで指摘してきた需要減少のリスク要因の影響が大きくなりつつある状況である。
 価格上昇に対するその他のリスクシナリオは、プラチナ価格が上昇し代替品としてパラジウムが代用品として利用されるリスクであろう。今のところディーゼル車向けに用いられているパラジウムは全体の10%程度であり、これは将来的には25%程度まで上昇すると考えている。また地上在庫の多さがこうした不足分を補うと見られることから、結局のところ生産不足分は相殺されニュートラルになる可能性があることも相場の下押し材料となりえよう。しかしながらやはり南アの生産状態が電力価格の上昇やその他のコストの上昇等で不安定であることから当面、高い水準で堅調な推移が続くことになると考えている。
 NYパラジウム価格は上昇。米GDPを受けたドルの下落が相場を押し上げることとなった。
 今後パラジウムの価格は高値で安定推移すると見る。プラチナ価格の高騰に伴う代用品需要の高まりが期待されるためだ。プラチナのところでもコメントしているように、プラチナ触媒がパラジウム触媒に置き換わることによる需要増加や、宝飾品にパラジウムが用いられる可能性がある。しかしながら非常に多い地上在庫(弊社見積もりではチューリッヒに8百万オンス、ロシアに10百万オンスの地上在庫があると見ている)が、価格の上限を押さえることとなろう。
・中国、8月1日から亜鉛の輸出リベートを5%削減。同様に銀のリベートも削減。

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は上昇した。アジア時間は10日移動平均線を上回って寄り付いたことから堅調な推移となったのだが、LME在庫が欧州で大幅な増加になったことから地合いが悪化、50日移動平均線を抜け切れなかったこともあって水準を切り下げる動きに。その後米GDPが発表されドルが下落したことから買いが入り持ち直す局面もあったが、米GDP自体が市場予想を下回ったことから下げに転じ結局寄り付き対比でマイナス、前日比ではプラスで引けることとなった。今後は、中国の固定資産投資や鉱工業生産の水準の高さを鑑みれば需要に大きな変更はなく堅調であるといえ、コンセントレートの供給不足もあって大幅な調整の可能性は低いとの見方は変更しない。LME在庫は+4,450Mt増加、(FSCは2.7日)、(キャンセルワラント率は10.5%)。売買高は6,472枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期先の上げ幅が大きいようだ。C-3(Cash vs 3M Fwd)は190?バックとバック幅を縮小した。
 昨日の亜鉛価格は上昇した。中国政府が亜鉛に関わる輸出リベートを5%削減したことから、中国からの輸出が減少するであろうとのみ方から大幅な上昇となった。これは弊社が予想していた通りの電力使用量の多い非鉄金属への輸出抑制の一環である。しかしながらその後、LME在庫が大幅に増加したことや米GDPが市場予想を下回ったことなどから地合いが悪化、結局前日比小幅高で引けている。亜鉛は需要が強いというわけではないが、大生産国であるはずの中国の輸入が増加傾向を辿っており(亜鉛、鉛はオリンピック期間中は10%の生産量削減)、中国の輸出に関わるリベートが削減されたこと、1,800?のコストラインに近づくレベルでは生産減少の可能性が根強いことから下値が堅いのも事実であろう。LME在庫は+3,000Mt増加、FSCは4.7日(キャンセルワラント率は8.6%)。売買高は5,064枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに上昇している。C-3は5?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日の鉛価格は上昇した。鉛固有の目立った新規材料がない中、夏場を控えた中国のバッテリー需要の高まりを受けて高値で推移した。中国のオリンピック期間中の生産減少を受けて中国からの精錬鉛のアウトフローは明確に減少し始めており、早晩中国が精錬鉛の輸入国に転じる可能性が高くなってきた(といっても、輸入できる国は豪州が安定していない以上、限られることにはなりますが...)。LME在庫は+275Mt増加、(FSCは3.8日、キャンセルワラント率は9.1%ここ数週間でキャンセルワラント率は上昇している。)。売買高は2,555枚。イールドカーブは全ゾーン略パラレルに上昇している。C-3は24?バックとバック幅を拡大した。
 昨日のアルミ価格は上昇した。取引序盤は10日移動平均線をトライする動きとなっていたのだが、LME在庫の大幅増加を受けて下落、その後米GDPの発表を受けてドル安が進行したことから買いが入るものの、米景気の悪化懸念の方がこれを上回り、原油価格も下落に転じたことからアルミも地合いを悪化させ上げ幅を削る展開となった。LME在庫は+2,025Mt増加、(FSCは9.8日)。(キャンセルワラント率は2.0%)。売買高は7,720枚。イールドカーブは小幅上昇している。C-3は50?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日のニッケル価格は下落した。ステンレス需要の頭打ちが指摘されLME在庫が再び増加に転じている中、夜間に発表された米GDPの内容が悪化したことから地合いが悪化、一昨日の上げ分を吐き出す形で水準を切り下げることとなった。今のところ結果的に18,000?が下値として意識されているが、このまま軟調な推移が続き、10日移動平均線が18,000?を下回ると更に下を見ざるを得ないだろう(2006年6月14日につけた17,050?が意識されようか)。ニッケルに関しては引き続き堅調に推移するであろうとの弊社見通しを小職は支持するが、少なくとも現時点においてはニッケルに関して相場が反転するような材料が出てきていないのが実情である。LME在庫は▲96Mt減少、(FSCは10.4日)、キャンセルワラント率は2.4%。売買高は1,118枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに上昇している。C-3は125?コンタンゴと前日と変わらず。
 昨日の錫価格は下落した。錫固有の新規材料がない中、100日移動平均線と50日移動平均線を挟む小幅なレンジでの推移となっていたが、米GDPの悪化を受けてコモディティ全体の地合いが悪化、錫もLME在庫の減少はあったものの結局100日移動平均線を割り込んで下落する展開となった。これにより今年1月から維持し続けている100日移動平均線を割り込むこととなり、まずは20,000?、次は200日移動平均線となる19,400?が意識されることになると考えている。LME在庫は▲35Mt減少、(FSCは5.2日)、キャンセルワラント率は5.23%。売買高は189枚。イールドカーブは全ゾーン略パラレルに低下している。C-3は13?バックとバック幅を拡大した。

(エネルギー)
 昨日の原油価格は下落した。注目の米GDPは市場予想を下回る内容ながらプラスを維持できていることや、ドル安が進行したことから統計直後、原油価格は上昇したのだが、米景気の悪化の可能性に伴う需要の減少観測が台頭、ドル安の進行はあったものの原油価格は下落することとなった。ここ数週間、急速に原油の需要の減少に市場がフォーカスしている。マイナス材料には敏感に反応し易い地合いだ。但し原油価格は一昨日回復した100日移動平均線を一時は割り込んだものの、結局このレベルは維持して引けている。WTIイールドカーブは略パラレルに低下している。Brentも同様の相場展開で、同様に100日移動平均線でサポートされて引けている。イールドカーブは期先の下げ幅が大きい。直近限月の騰落率はWTIは▲2.2%、Brentは▲2.6%。
 石油製品も下落。RBOBは統計発表直後に一時上昇し、100日移動平均線を上回る瞬間もあったが全く長く続かず、原油価格の下落にあわせて力なく水準を切り下げた。イールドカーブは略パラレルに低下している。直近限月の騰落率は▲2.9%。ヒーティングオイルも同様に下落。取引序盤は100日移動平均線を上回って推移していたものの米GDP発表後から地合いが悪化し、100日移動平均線を割り込んだところから下げが加速、きりの良い340?を目指して水準を切り下げる動きとなった。クラックスプレッドの縮小が示すように、一時期の需要増加が落ち着き、減少し始めている可能性を示唆している。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。直近限月の騰落率は▲2.4%。ICEガスオイルも下落。イールドカーブは期近が下落、期先が上昇している。直近限月の騰落率は▲0.4%。



(ひとりごと)
とある読者の方から言われた「作っているでしょう」と。
しかし、ここに書いてある話は実話ですので。そこんとこヨロシク。



「あいつは若いぞ!!」
「先に乗る必要があるのかッ!!」



だから、そんなに元気ならもうちょっと待ちなさいっての。
と、思っていたら分別のある老人がこういった。



「あれは、俺たちよりも高いお金を払っている人だから先に乗るんだよ」
「ああ、そうかなるほど」



うーん。1人ぐらいそういうことを言ってくれる人がいないとね。
と、思っていたら老人の1人が



「何だッそれはッ!!小僧のくせに生意気に」
「そうだッ!!結局、金・金・金の世の中なんだ」



...いや、ずいぶん論点がズレて来てると思うんですが。。。
とほんの数分の間に老人ズがエキサイト。
やっと彼らの乗る順番になった。



もぅ。教育によろしくないから皆さんきちんとしてくださいよ。
と、思ったら大勢の老人が改札に殺到。



「割り込むな!!」
「俺の順番だ!!」
「俺は老人だッ!!」



あああああッ!!もうッ!!
キチンと並んでくださいよ。 孫が見たらなんというか。
小学生じゃないんだから。



入り口でもめはしたが、順番にチケットを機械に通し始める。
そしたら1人のオバちゃんが



「あら、通らないわ。これ壊れているんじゃないの?」



と、グランドホステスに軽く嫌味。
グランドホステスはひるまず



「お客様、これは帰りのチケットですので行きの分を入れてください」



しかし、オバちゃんもひるまず



「もっと分かりやすく、『行き』『帰り』って書いてくれないと、分からないでしょッ!!」



いや、そんなこと言われても。ちゃんとチケットに羽田発、って書いてありますからッ!!
と、言いたそうな顔をしているグランドホステス。
哀れ。と、思いながら見ていたら



「あら、通らないわ。これ壊れているんじゃないの?」
「お客様、逸れは帰りのチケットですので行きの分を入れてください」



デジャヴか。全く同じ光景が複数回繰り返される。
もぅ。君たち。いつになったら俺、乗れるの。
(続く)