上下OK

(商品市況概況)
「金融システムの崩壊は回避できたが」
 昨日のコモディティ価格はまちまち。金融安定化策が具体的に実行に移されたことを好感した株価の上昇を受けて、アジア〜欧州時間に掛けてはエネルギー、非鉄金属の買い戻しが優勢となったが、NY時間に入ってから米政府による金融機関への資本注入が実施されると「目先の株価のプラス材料出尽くし」感が台頭、株価が下落に転じたことから多くのコモディティが売り込まれることとなった。一時売り込まれた金がさほど下落しなかったものそのためと思われる。
 足許、「金融クライシスが回避されたこと」でほっと一息であるが、一息ついたところで今度は冷静に経済状況を考えるゆとりが市場参加者にはでき始めている。今後は金融機関の不良債権処理と、それに伴う追加的な資本注入動向と、事業法人の業況に注意せねばならない。その観点から、個人消費関連指標や、機械受注統計といった経済統計により注目していく必要が出てくるだろう。

(経済関連ニュース)
・9月仏消費者物価指数 前年比+3.3%(前月改定+3.5%)、市場予想+3.4%。
・10月独ZEW指数 ▲63(前月改定▲41.1)、市場予想▲51.1。
・2008年度米財政収支(2007年10月〜2008年9月) 4,550億?の赤字(前年度1,620億?の赤字)。
メルケル独首相「ECBの利下げと各国の連携は経済を正しい軌道に戻すのを助けた」
バーナンキ議長「政府による資金注入によって、金融市場が信認を回復、健全な経済成長を促すこととなる。」
・トリシェECB総裁「インフレリスクは後退した。危機対策には構造計画や中期計画が含まれ、危機対策には世界規模の協調が必要だ。ECBは流動性供給を継続」

リア・ディゾンが結婚。

・ドルは対ユーロで続落。各国が金融安定化策に取り組み、中央銀行がドルを無制限に供給することを決定している事から著しいドル不足が解消する過程で、ドルが売られることとなった。ドルは対円では上昇。週末のG7を受けて金融機関株が回復、金融システムの「回復期待」を材料に海外株価が上昇したことから、折からの円高も相俟ってキャリートレードが復活したためと見られる(今後も継続するかどうかは懐疑的であるが)。
日本株は過去最大の上昇率。G7を受けた各国株価の上昇を受けて、週明け月曜日が祝日だった日本は買い戻しが殺到した。ただし、プライスブックレシオ割れの企業に対して買いが入った側面も否めず、更なる上昇に懐疑的な見方も。米株は下落。朝方、金融機関への資本注入などを好感する買いで小高く推移したものの、金融システムが落ち着いてくると今度は企業の決算に注目が集まり、消費関連、ハイテク関連株が売られた。

穀物市場サマリー)
・大豆価格は下落。中国の輸入が減少するとの見方から、輸出減少観測が台頭し下落した。9月の中国の大豆輸入は前月比+8%の4.1百万Mtとなっており、2004年以来の水準となった。これは中国の輸入関税が1%から3%に引き上げられる前の駆け込み需要によるものであり、先々輸入は関税の影響で減少する可能性が高い。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下。
・トウモロコシ価格は小幅下落。米金融機関への資本注入の影響で小高く推移していたが、株やエネルギー価格が下落に転じたことや生産の増加観測から引けに掛けて軟調な推移となり結局前日比小幅マイナスで引けた。イールドカーブの形状は略変わらず。
・小麦価格も下落。取引序盤は米銀への公的資金注入を材料に株価が上昇したことから小高く推移していたが、買いが続かず結局前日比マイナスで引けた。イールドカーブの形状はパラレルに低下。

非鉄金属関連ニュース)
・NY金は小幅続落。米金融機関に対し2,500億?の資本注入が行われたことで、質への逃避で買われていた金は小幅安となった。引き続き予断は許さない環境が続いている。
 今後については、1990年台以降、最も急速な速度で進行するドル高が金価格の下押し材料になることが予想されるが、米景気の悪化と金利の引き下げ観測の強まりもあってこのままドルが一本調子で強含むことは考えにくく、一定の下支え効果をもたらすと予想する。当面は上にも、下にも行きにくい相場展開になるのではなかろうか。
 NY銀は小幅上昇。金は下落したが、工業用品としての色彩の強い銀は銀行への資本注入や金融システムの安定化策が好感されて上昇している。"
 先週のCFTCポジション報告によるNon-Commercialポジションは、金はロングが137,672(前週比 ▲3,354)、ショートが26,059(前週比 +2,819)となったことから、ネットで111,613(前週比 ▲6,173)となった。銀はロングが28,882(前週比 ▲3,354)、ショートが11,783(前週比 +2,819)となったことから、ネットで18,595(前週比 +113)となった。

・NYプラチナは大幅反発。米金融機関への2,500億?の資本注入が好感され、株価が大きく回復する過程で企業に対する貸し渋りの鈍化期待に伴う需要増加観測から買い戻しが入った様子。1,000?を下回っていたことも値ごろ感からの買いを誘ったようだ。
 急速に進行するドル高と経済状況の悪化を受けて、プラチナ価格を前回見通しから修正した。中期的な見通しについてプラチナは、低い水準で安定すると考える。世界経済への影響が大きい米景気の悪化、GM、フォードといった自動車産業の景況感悪化に反映される自動車販売の減少に伴う触媒需要の減少観測を受け、このコラムで指摘してきた需要減少のリスク要因の影響が大きくなってきている状況であるためだ。引き続き、2008年、2009年のプラチナ需給は各々181キロオンス、458キロオンスの供給不足の状態になると考えているが、供給不足は地上在庫で相殺されることとなろう。長期的な観点に立った場合、米当局が環境面に配慮しディーゼル車の使用を推進、普及率を引き上げる見通しであり、AngloPlatの見通しでは普及率が5-8%であればさらに300キロオンス〜500キロオンスの需要増が見込まれる。
 NYパラジウムも小幅上昇。今後パラジウムの価格は軟調に推移すると考えているが、中期的には地合いは改善すると見ている。環境規制の高まりから引き続きプラチナ・パラジウムの需要は堅調に推移すると見られるためである。しかしながら、チューリッヒ、ロシア、その他の地区の地上在庫が各々8百万オンス、10百万オンス、2百万オンス程度あると見られることや、ドルが上昇サイクルに入っていることが価格の上昇を抑えることになろうか。

・チリCodelco、銅は2009年は供給過剰に。2003年以来の供給増加になる見通しであるが、過去最高水準の鉱山向け投資は継続。

(エネルギー関連ニュース)
・米在庫統計市場予想 原油+2.6MB、ガソリン+3.0MB、ディスティレート+0.5MB、稼働率+2.9%
・熱帯暴風雨「オマー」、プエルトリコを通過中。今週中にはバージン諸島に到達の見込み。

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は上昇した。欧米の金融安定化策を材料に株価が大幅に回復したことから「下げすぎ」感の強い銅にも買い戻しが優勢となったため。しかしながらNY時間、米金融機関への資本注入で目先の買い材料が出尽くしたため、引けにかけては再び売りに押され上げ幅を削る展開となった。今後は事業法人の悪化懸念で公的資金の使用が取り沙汰されることになろう。引き続き、政治要因が相場を撹乱することになると考える。ファンダメンタルズに立ち返れば、コンセントレートの継続的な不足や中国の需要が高い固定資産投資に見られるように堅調であること、価格の下落と景気の悪化に伴う供給者の供給不足発生の可能性など、需給がタイトなままである可能性が高いことは忘れてはなるまい。LME在庫は+2,475Mt増加、(FSCは4.0日)、(キャンセルワラント率は5.0%)。売買高は16,707枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは全ゾーンパラレルに上昇している。C-3(Cash vs 3M Fwd)は78?バックとバック幅を縮小した。
 昨日の亜鉛価格は下落した。取引序盤は欧米の金融安定化策実行を材料にした株価の上昇を受けて小高く推移していたが、NY時間に米金融機関への資本注入実施で「目先の株の買い材料」が一巡したことから株価が下落したため、再び亜鉛も売られることとなり1,400?台前半まで水準を切り下げてひけることとなった。今後に関しては、金融危機が一旦回避はされたものの、足許の価格下落で多数の生産者がコスト割れになっていると見られ、一定の価格下支え効果が期待される。しかしながら亜鉛が供給不足に陥るのは2010年頃からと予想している。LME在庫は▲300Mt減少、FSCは5.0日(キャンセルワラント率は3.1%)。売買高は5,180枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下している。C-3は40?コンタンゴと前日と変わらず。
 昨日の鉛価格は上昇した。各国の金融安定化策を好感した株の上昇を受けてコモディティが買い戻される中、鉛も上昇することとなった。そもそもこのコラムで指摘しているが、車の保有台数が増加していることや、電気自動車、電気オートバイ、電気自転車向けのバッテリー需要が旺盛であり、他の非鉄に比べて実際ファンダメンタルズが強く、株等の周辺材料が落ち着けば買いが入り易い非鉄であるのも事実である。引けに掛けて株価の調整を受けて軒並みコモディティ価格が水準を切り下げたが、鉛は微動だにしなかった。LME在庫は▲150Mt減少、(FSCは2.6日、キャンセルワラント率は12.4%。)。売買高は2,005枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに大幅に上昇している。C-3は3?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日のアルミ価格は上昇した。各国の金融安定化策実行を好感した株価の戻りを受けて、アルミにも買い戻しが入った。原油価格もこの株価の上昇を好感し、アジア〜欧州時間に掛けては上昇していたため、アルミも大幅に上昇、一時久しぶりに10日移動平均線を上抜けて上昇したのだが、NY時間にはいってから、資本注入実行で目先の株の買い材料が出尽くしたことから株価が下落に転じたため、アルミも水準を切り下げる動きとなった。結局、株価に振らされている状況に大きな変化はないようだ。今後は金融クライシスは一旦回避されたものの、実態経済の悪化に焦点があたるため引き続き低い水準で冴えない相場展開になると見る。また、生産者の価格下落リスクヘッジのための期先の売りが予想されるため、カーブはフラットニングすると考えている。引き続き、政治・金融当局対応を巡って神経質な相場展開にならざるを得ない。LME在庫は+6,750Mt増加、(FSCは12.2日)。(キャンセルワラント率は1.1%)。売買高は15,376枚。イールドカーブは略パラレルに上昇。C-3は61?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日のニッケル価格は前日比変わらずであった。取引序盤はほかのコモディティと同様に株価上昇を好感した買いで上昇していたのだが、NY時間の株の調整を受けて再びセンチメントが悪化、水準を切り下げた。結局10日移動平均線を上抜けできずに引けている。LME在庫は▲24Mt減少、(FSCは13.1日)、キャンセルワラント率は2.5%。売買高は1,410枚。イールドカーブは期近が小幅上昇している。C-3は245?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の錫価格は上昇した。各国の金融安定化策が具体的に実行に移される中、株価が上昇したため、錫にも買い戻しが入り大幅な上昇となった。インドネシアや中国の生産輸出状況に改善が見られない中、需給はタイトであり、株価の著しい下落に歯止めが掛かれば価格は上昇し易い。しかしながら世界景気が悪化しているのは一つ事実であるため、戻りは弱くなろう。LME在庫は▲130Mt減少、(FSCは5.2日)、キャンセルワラント率は10.48%。売買高は240枚。イールドカーブはパラレルに上昇している。C-3は40?バックとバック幅を縮小した。

(エネルギー)
 昨日のNY原油は下落した。金融機関への資本注入が実施され、欧州金融機関にも資本注入を実行、金融システムにセーフティネットが張られる中、今度は実態経済の先行きに注目した売りが相場を押し下げることとなった。但し原油市場は引き続き、株価動向を睨みながらの推移となっており、公的資金注入に伴い目先の材料で尽くし感から株価が調整したことを受けて下落したと見ておいたほうがよさそうである。原油価格の上昇には株価の上昇が必要条件となる。尚、先週〜今週初に掛けてはファンダメンタルズ材料は殆ど材料視されていない。イールドカーブは期近を中心に低下している。Brentも下落している。直近限月の騰落率はWTIは▲3.4%、Brentは▲4.1%。
 石油製品も下落。RBOBはNY時間に入ってからの原油価格の下落を受けて下落した。しかしながら在庫水準の低さに伴う(需要減少にも関わらず発生している)需給のタイトさが価格を下支えした。直近限月の騰落率は▲1.8%。ヒーティングオイルも下落。アジア〜欧州時間に掛けては強含み推移していたものの、米金融機関への資本注入実行に伴う材料出尽くしで株価が調整したことから、ヒーティングオイルも調整した。イールドカーブは期近の下げが大きく、ベアスティープニング。直近限月の騰落率は▲3.7%。ICEガスオイルも下落。イールドカーブはまちまち。直近限月の騰落率は▲0.3%。

(ひとりごと)
朝早く起きて、今日はブルームバーグテレビに出たのだが
会社について上着を脱いだら、スーツの上下、全く違うのを着ているのを発見。

会社にくる道々、女性の熱い視線を感じていたので
俺、ひょっとして今日はなんだか知らないけどイケてるのかも
と思っていたが、ただの勘違いであった。
挙句、チャックが全開であることも発覚。

そもそもスーツの上下を間違えるのはこれで2回目である。
しかもこの1年間で。
何でこんなに間違えるのか分からないが
本当に良くやってしまう。

最近、近いものを見るときに眼鏡を外して見ることがときど〜き、あり
老眼とともに早くもボケが始まったかと
こんな俺が相場の見通し資料を作って良いのかと
時々不安になることがある。

嗚呼。

あ、このコラムしか読んでいない皆様、時々は仕事のお電話くださいね...