一斉置換

(商品市況概況)
「中国の政策期待で上昇」
 週末のコモディティ価格は概ね上昇した。中国、温家宝首相が追加経済対策の必要があればそれを実施する用意がある、とコメントしたことやこれまで悪い材料しかなかった各国金融機関に回復の兆しが見え始めていることに伴う株価の上昇が、投資家のセンチメントを改善させたためと考えられる。但しここまでの「Buy rumor sell fact」の動きを見ると「期待」で買われるのには限界であるため、本格的な上昇になるか否かに関しては懐疑的である。とはいえ、行き過ぎた価格低下の継続が経済に与える悪影響は大きく、多少の上昇は経済活性化のためには必要であるのも事実であり、「上に上がりたいが上がれない」というはっきりしない相場展開が続くものと見ている。

(経済関連ニュース)
G20閉幕、財政・金融強調を継続で一致。GDP2%の財政出動に関しては声明に盛り込まなかった。
・1月ユーロ圏 小売売上高指数 前年比▲2.2%(前月改定▲2.4%)、市場予想▲2.3%。
・2月米輸入物価指数 前月比▲0.2%(前月改定▲1.2%(速報比▲0.1%))、市場予想▲0.7%。
・1月米貿易赤字 360億ドルの赤字(前月399億ドルの赤字)、市場予想380億ドルの赤字。
・3月米消費者マインド指数 56.6(前月改定56.3)、市場予想55.0。

・ドルは対ユーロで下落。株価が引き続き堅調に推移したことから、解約などに伴うドル需給逼迫懸念が薄らいだため。ドルは対円では上昇。株価が堅調に推移していることから逃避先としての円の需要が低下したため。
日本株は大幅に上昇。米国の経済指標の下げ止まりと、金融不安や経済不安払拭に向けた各国の景気刺激策への期待が高まったため。米国株は上昇。株価水準が低すぎることもあり、買い戻しが優勢となっている。金融機関の業績見通しが徐々に明るいものになりつつあることが地合いを好転させている。

穀物市場サマリー)
・大豆価格は下落した。調査会社のレポートで2009年の大豆の作付が81.5百万エーカー(前年比+4.8百万エーカー)になったことから売られ、水準を大きく切り下げる展開となった。イールドカーブは期先の下げ幅が大きいようだ。
・トウモロコシ価格は小幅下落。USDAの統計で輸出成約高・検証高とも大幅な増加となったことが好感され、折からの株価の上昇もあって50日移動平均線を回復するまで上昇していたが、大豆価格が急落したこともあって小幅下落し、50日移動平均線でサポートされて引けた。イールドカーブの形状は略変わらず。
・小麦価格は下落。水曜日に発表されたUSDAの統計で小麦在庫が6百万Mtの増加になったことが嫌気された。イールドカーブは全ゾーン小幅低下。

非鉄金属関連ニュース)
・NY金は上昇。株の上昇等のプラス材料はあるが、ドル安が進行していることや、そもそも経済危機を脱しているわけではないことから金の需要は大きく、10日移動平均線を上回って寄り付いていたことから上げが加速した。しかしながらやはり株価が堅調であったことから引けに掛けては上げ幅を削る動きとなった。ETFのSPDRの金在庫は過去最高の1,041.53Mtまで積み上がっている。もし景気の底割れが回避されればこのコラムでも指摘しているが「株売り→ETFを通じての金買い」が中断し、昔の需給均衡価格に収斂するならば金は700ドル程度まで下落してもおかしくない。しかしながら本当に金融危機が終焉を迎えたわけではなく、少なくともこの上半期は安全資産としての金物色の動きに大きな変化はないと考えている。銀も上昇し、200日移動平均線を回復した。株の上昇もあって工業品である銀は金に比べて割安であったと考えられる。

・NYプラチナ価格は小幅上昇。株価の上昇や金の上昇に連れる形となった。パラジウムも小幅高。


(エネルギー関連ニュース)
・IEA月報
 2月の石油供給は83.9MBD(前月比▲1.0MBD)、OPEC供給は28.0MBD(前月比▲1.1MBD)。
 2009年のNon−OPEC供給は前年比+380KBDからゼロに変更。アゼルバイジャンのACG地区の問題で。
 2009年の石油需要は84.4MBD(前年比▲1.2MBD)
 1月のOECD在庫は2,712MB(前回調査時比+9.0MB)、FSCは58.7日(前年比+4.6日)


(非鉄金属)
 昨日の銅価格は上昇した。中国、温家宝首相が「いつでも追加経済対策を行うことができる、とコメントしたことが好感された。また中国政府の買いと思われるの市中在庫の減少も相場を支える材料となっている。また、金融機関株を中心に株が上昇していることも地合いを好転させているようだ。ファンダメンタルズについては先々コンセントレートが継続的に不足する可能性が高い環境に変りはなく、各国政府の追加経済対策への期待が高まっていることから堅調な推移が続くと見られる。但し、景気が回復しているわけではないこともあって、現時点での大幅な上昇は想定していない。LME在庫は▲6,700Mt減少、(FSCは10.0日)、(キャンセルワラント率は6.0%)。売買高は7,366枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期近が上昇し、ブルフラットニングしている。C-3(Cash vs 3M Fwd)は30ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日の亜鉛価格は下落した。中国の追加経済対策に関するコメントを受けた期待感と、LME在庫の減少を受けて上昇したが、週末を控えたポジション調整の売りに押されて水準を切り下げ結果的に前日比マイナスで引けた。コスト割れの状態が続く中、生産調整が進捗し、加えて中国政府による市中余剰在庫の買い上げの動きを受けて、需給が改善しつつある。チャート的には各種移動平均線を上抜け、上値としては1月12日の高値1,322ドルが次のシーリングとして意識されることになりそうだ。LME在庫は▲2,850Mt減少、FSCは11.0日(キャンセルワラント率は9.1%)。売買高は2,485枚。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。C-3は25ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の鉛価格は上昇した。中国の追加経済対策への期待感で上昇し、先週の高値である1,305ドルをトライする動きとなったが、週末であることもあって手仕舞い売りに押され上げ幅を削る展開となった。LME在庫は▲75Mt減少、(FSCは2.5日、キャンセルワラント率は5.8%。)。売買高は1,513枚。イールドカーブは期近の上げ幅が大きく、ブルフラットニングしている。C-3は6ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日のアルミ価格は上昇した。米金融機関の業績好転見通しや、中国政府による追加経済対策への期待感が高まっていることから買いが入ったが、30日移動平均線を上抜けできなかったこともあって、引けに掛けてはポジション調整で売られたようだ。今後は実態経済の悪化を受けて低い水準での推移が続くと考えられるものの、コストベースで見た場合、限界レベル(1,750ドル程度)を大きく下回って価格が下落している状態が長く続くとは考えにくく(といってもう3ヶ月経ちますが...)、企業の在庫整理も進捗していると予想されることから底入れは近いと見る(第二四半期)。期先は引き続き高い水準での推移が続いている。LME在庫は+74,925Mt増加、(FSCは31.3日)。(キャンセルワラント率は1.7%)。売買高は11,242枚。イールドカーブの形状は期近が上昇、期先が低下しツイストする形でフラットニングしている。C-3は33ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日のニッケル価格は上昇した。LME在庫の減少、中国の追加経済対策への期待感、株価の上昇といったプラス材料が重なったことから若干買い戻しが入ったようだ。足許、ニッケル価格は限界コスト近辺まで水準が低下しており(弊社は2009年のニッケルの限界生産コスト水準を7,289〜9,729ドルと想定)、下げ余地は限定されている。LME在庫は▲84Mt減少、(FSCは27.4日)、キャンセルワラント率は1.7%。売買高は543枚。イールドカーブは期近の上げ幅が大きく、ブルフラットニングしている。C-3は78ドルコンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日の錫価格は上昇した。前日の下げ幅が大きかったことから、株価の上昇や中国政府の追加景気対策への期待感から買い戻しが入った。LME在庫は+290Mt増加、(FSCは9.3日)、キャンセルワラント率は6.37%。売買高は170枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きい。C-3は240ドルバックとバック幅を縮小した。

(エネルギー)
 昨日のNY原油は下落した。IEAの月報で、世界石油需要が大幅な減少になる見通しが示されたことから、引けに掛けてジリ安の展開となった。但し米金融機関の強気な業績見通しや中国政府の追加景気対策への期待感から下げ幅は限定された。イールドカーブは期近と期先が低下し、イールドカーブの上へ凸の度合いが増した。直近限月の騰落率は▲1.7%。Brentも下落。材料はWTIと同様、IEAの見通しの下方修正。イールドカーブWTI同様、上に凸の状態となっている。直近限月の騰落率は▲0.4%。WTI/Brentのネガティブスプレッドは水曜日の統計でクッシング在庫が減少していることもあって解消している。
 石油製品はまちまち。RBOBは週半ばの統計で、FSC水準が引き続き低いことが確認されたことから上昇していたが、原油価格の下落に連れる形で引けに掛けては上げ幅を削った。イールドカーブは期近のみ上昇、期先は低下しツイストする形でフラットニングしている。直近限月の騰落率は+0.5%。ヒーティングオイルは下落。取引序盤は中国の経済対策期待や株の上昇を受けて水準を切り上げたが、水曜日の統計での需要の減少とFSCの水準の高さから積極的に上値を追う展開でもなく、引けに掛けては上げ幅を削り、結局前日比マイナスで引けた。イールドカーブは略パラレルに低下している。直近限月の騰落率は▲2.5。ICEガスオイルは上昇。イールドカーブは期近の上げ幅大きく、ブルフラットニングしている。直近限月の騰落率は+6.4%。

(ひとりごと)
昔、銀行で働いていたときに

大豆の提案資料を作らねばならないときがあって
銀の提案資料を使って作ったことがある
それも面倒臭いので、一斉置換で銀を大豆に変更した

それを欲しがっていた後輩に渡すと
彼がすぐさま

「これって、一斉置換したんですよね」

と、0.1秒で看破されてしまった。
どうして分かったのか!?

「『〇〇銀行』のところが『〇〇大豆行』になってますよ....」


...失礼しました。。。。