飛行機に乗るとツイてない-そのB

(商品市況概況)
「期近が続落」
 昨日のコモディティ価格は期近が大幅に下落することとなった。上昇したのは穀物と貴金属のみである。リーマンブラザーズの破綻に伴う金融危機に翻弄された2008年後半であったが、金融危機がとりあえず一段落した後、特に裾野の広い自動車産業の業績悪化が相場の大きな重石となってきている。スポット価格(期近価格)の低迷は1月まで続くと見ておくべきであろう。
 一方で多くのコモディティで期先と期近のスプレッドの拡大が続いている。いろいろな要因が挙げられるが、流動性の著しい低下に伴いアービトラージの機能が低下していることや、来年以降の経済対策の効果による需要の回復期待、足許の価格下落に伴う減産によって将来の需給が逼迫する可能性があること、等が挙げられる。いずれにしてもこの「スーパーコンタンゴ」の状態が継続するとは考えにくく、スポットの上昇ないしは期先の下落によってカーブはフラットニングする可能性の方が高いと予想している。

(経済関連ニュース)
・Q308英GDP確定 前期比▲0.6%(改定値比▲0.1%)、市場予想▲0.5%。
・Q308米GDP確定 前期比年率▲0.5%(改定値比変わらず、Q208+2.8%)、市場予想▲0.5%。
・12月米消費者マインド指数確定値 60.1(速報比+1、前月確定55.3)、市場予想58.8。
・11月米新築住宅販売 前月比▲2.9%の40.7万戸(前月改定41.9万戸(速報比▲1.4万戸))、市場予想41.5万戸。
・11月米中古住宅販売 前月比▲8.6%の449万戸(前月改定491万戸(速報比▲7万戸))、市場予想493万戸。
・11月米個人消費 前月比▲0.6%(前月改定▲1.0%)、市場予想▲0.7%。PCE価格指数 前年比+1.4%(前月改定+3.2%)、コア指数は前月比変わらず。
・米週間新規失業保険申請者数 前週比+30千人の586千人(前週改定556千人(速報比+2千人))、市場予想558千人。
・11月米製造業耐久財受注 前月比▲1.0%(前月改定▲8.4%(速報比+2.2%))、市場予想▲3.0%。除く輸送機器+1.2%(市場予想▲3.0%)。
・米MBA住宅ローン申請指数 前週比+48%の841.4、借換指数+63%の6,758.6、購入指数+11%の316.5。金利の大幅低下の影響で。
トヨタ自動車1,500億円の営業赤字に。北米の自動車販売の減少の影響で。

・ドルは対ユーロで下落。米ゼロ金利政策の継続と、週間新規失業保険申請者数の大幅悪化の影響でクリスマスの薄商いの中総じてユーロが堅調に推移することとなった。ドルは対円でも下落。失業者数の大幅増加でレパトリの動きが加速。
日本株は反落。トヨタ自動車の営業赤字といったマイナス材料を受けて、自動車関連株が売られた。また景気悪化懸念を受けて景気敏感株である金融セクターも売られた。米国株は小幅反発。失業率の悪化はあったもののその他の経済統計がさほど悪くなかったことから買い戻しが入った。といっても小幅なレンジでのもみ合いが続いている感は否めない。

非鉄金属関連ニュース)
・NY金は上昇。ドルが対ユーロで弱含み推移したことから再び金が物色されることとなった。そもそも景気悪化懸念が根強い中、市場参加者の金志向は強まっている。
 今後については、ドル/ユーロ相場と金価格の一次回帰分析の結果、現在の価格はドル安に転じない限りは概ね120ドル程理論値から高い状態であることから、730ドル近辺まで下落する可能性があると考えているが、安全資産としての金の需要は高まっており下げ幅は限定されることとなろう。100日移動平均線である810ドルが目安になると考える。
 NY銀は小幅上昇。株価の上昇やドル安の進行、金上昇が支援材料となった。一昨日の下げ幅が大きかったものの一目均衡表の雲の中でのもみ合いが続いている。

・NYプラチナは小幅上昇。ドル安の進行と、米耐久財受注がさほど悪くなかったことや、株価の反発が材料となった。とはいっても、30日移動平均線一目均衡表の雲の間での極めて狭いレンジでのもみ合いが継続している。
 急速な実体経済の悪化を受けて、プラチナ価格は大幅な調整後、冴えない展開が続いている。中期的な見通しについてプラチナは、低い水準で安定すると考えているものの、現在の水準は売られすぎであると考えられる。プラチナ生産の70%を占める南アの電力問題は4-5年解決の目処が立っていない。一方でアジアを中心とした自動車需要は比較的堅調に推移すると見られ、環境面から米国もプラチナの消費を増やさねばならない(AngloPlatの見通しでは普及率が5-8%であればさらに300キロオンス〜500キロオンスの需要増が見込まれる。)。こうした環境下、2008年、2009年のプラチナ需給は各々181キロオンス、458キロオンスの供給不足の状態になると考えており、供給不足が地上在庫で相殺されると期待されるものの信用不安が高まる中供給途絶のリスクは高いと考えておくべきだろう。但しこのシナリオのリスクは自動車需要が予想を上回ってさらに悪化した場合であるが、政府の救済策が合意に至らない等、混迷の度合いを強めておりこのリスクシナリオの蓋然性が高まってきた。
 NYパラジウムは小幅上昇。今後パラジウムの価格は低位安定すると考える。環境規制の高まりから引き続きプラチナ・パラジウム需要が高まり需給の改善が期待されるものの、予想を上回る経済状態の悪化が需給を緩和させる可能性が出てきているためである。また、チューリッヒ、ロシア、その他の地区の地上在庫が各々8百万オンス、10百万オンス、2百万オンス程度あると見られることや、自動車会社の救済策が迷走していることが上値を重くしよう。

・11月中国精錬銅輸入 前月比+10%の141,728Mt、10月128,929トン。
・11月中国精錬鉛輸入 前年比+4000%の4,640トン(前月比▲9%)。国際鉛価格の急落で。

(エネルギー関連ニュース)
OPEC バドリ事務局長「来年3月に追加減産を検討する。一部の産油国は2.5MBDの減産を望んでいた。米国がガソリン増税をすれば大きな間違いに」
カタール石油相「OPECは予定の3月以前に会合を開く計画はない。相場下落には驚いていない。石油の下落は世界経済と連動。」
・サウジ ヌアイミ石油相「OPEC各国は原油市場の安定を図る強い決意を持っており、全ての産油国がその目標を共有している」
OPEC バドリ事務局長「原油価格は2010年には75ドルに上昇する可能性」 
・米在庫統計 原油▲3.1MB(市場予想+0.5MB)、ガソリン+3.3MB(+0.8MB)、ディスティレート+1.8MB(+0.7MB)、稼働率+0.6%(±0.0)

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は下落した。LME在庫の増加、アジア株の不冴えを受けて総じて軟調な推移となった。取引序盤は価格下落に伴う中国の輸入増加などを受けて上昇していたが、LME在庫が大幅に増加した辺りから地合いが悪化、NY時間にかけて大きく水準を切り下げることとなった。結果、3,000ドルのサポートラインを割り込み10日移動平均線も3,000ドルを割り込まんとしている状態である。ファンダメンタルズは大幅に悪化している。先々コンセントレートが継続的に不足する可能性が高い環境に変りはないものの、足許の中国の需要が鈍化している可能性が高いためだ。中期的には中国政府の経済対策や米政府の景気対策の影響で価格は上昇すると考えるが、主要企業の決算期である12月を越えるまでは厳しかろう。LME在庫は+3,250Mt増加、(FSCは6.6日)、(キャンセルワラント率は1.6%)。売買高は3,811枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは略パラレルに低下している。C-3(Cash vs 3M Fwd)は36ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の亜鉛価格は下落した。株の下落やLME在庫のドバイ、マレーシアでの激増、といったマイナス材料を受けてジリ安の展開となったものの、繰り返しコメントしているようにコスト割れの生産者の減産圧力も強く、下値では相応に買いが入り10日移動平均線は維持して引けている。景気悪化に伴う需要の減少観測は根強く上値は限られてしまっている状態。LME在庫は+18,900Mt増加、FSCは7.8日(キャンセルワラント率は1.6%)。売買高は1,474枚。イールドカーブは期近の下げ幅大きく、ベアスティープニング。C-3は24ドルコンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の鉛価格は下落した。銅や亜鉛の下落もあって総じて市場のセンチメントは悪く、NY時間にかけてジリ下がりの展開であった。但し下落幅が限定されたのは期近のみであり、期先は大幅に水準を切り下げている景気が悪化したものの、電気自動車、電気オートバイ、電気自転車向けのバッテリー需要は旺盛であり、他の非鉄に比べて実際ファンダメンタルズは相対的に強いのだが景気低迷が長期化する可能性が高まったことや、自動車メーカーの決算悪化といったマイナス材料を受けて総じて軟調な相場展開となっている。LME在庫は+50Mt増加、(FSCは1.9日、キャンセルワラント率は2.1%。)。売買高は578枚。イールドカーブは期近の下げ幅は限定されたが、期先は大幅に低下している。C-3は27ドルバックとバック幅を拡大した。
 昨日のアルミ価格は下落した。欧州時間までは比較的堅調な推移であったものの、LME在庫が世界中で大幅減少したことから地合いが悪化、原油価格が軟調に推移(NY時間前場後場前半には下げすぎで小幅反発)舌ことが地合いを悪化させたようだ。しかし10日移動平均線は辛うじて維持して引けている。今後は金融クライシスが一旦回避されたものの、実態経済の悪化に焦点があたるため引き続き低い水準で冴えない相場展開になると見る。ただし、コストベースで見た場合、限界レベル(1,750ドル程度)を大きく下回って価格が下落していることからそろそろ下げ止まると考えたい。但し、12月の欧米企業決算を超えるまでは企業の資金繰り負担が重く、新たな買いが入りにくい環境にあることからしばらくは冴えない展開が続こう。LME在庫は+17,400Mt増加、(FSCは20.5日)。(キャンセルワラント率は0.5%)。売買高は3,519枚。イールドカーブは期近の下げ幅が大きく、ブルスティープニングしている。C-3は34ドルコンタンゴと前日と変わらず。
 昨日のニッケル価格は下落した。ドル安の進行といったプラス材料はあったが、LME在庫が欧州で大幅に増加する状態が継続していることから地合いは悪く、総じて軟調な推移となっている。コスト割れ生産者の生産調整が下値余地を限らせているものの、実態経済の悪化に伴う需要の著しい減少観測で上値も限られている。LME在庫は+1,164Mt増加、(FSCは20.0日)、キャンセルワラント率は0.5%。売買高は307枚。イールドカーブはパラレルに低下している。C-3は109ドルコンタンゴと前日と変わらず。
 昨日の錫価格は下落した。各種経済統計の悪化が継続していることや、懸念であったLME在庫が日々増加を続けていることが地合いを悪化させており、需給が大幅に改善したわけではないもののジリ下がりの展開が続いている。インドネシアや中国の生産輸出状況が徐々に改善していると見られ、アジア域内の錫在庫は増加が続いている。依然としてイールドカーブバックワーデーションの状態であることを見るに不況下においても需給が逼迫していることが伺えるが、アジア周りの在庫増加はイールドカーブのフラット化を進行させる可能性があるため、引き続きLME在庫には注目したい。LME在庫は+145Mt増加、(FSCは7.7日)、キャンセルワラント率は7.89%。売買高は63枚。イールドカーブはパラレルに低下している。C-3は235ドルバックとバック幅を拡大した。

(エネルギー)
 昨日のNY原油は大幅に下落した。OPECの減産による価格下支え効果は足元殆ど見込めず(将来的には価格を大きく押し上げることになると見ているが)、経済統計の悪化が持続する中、年度末決算を意識した恐らくファンド筋と見られる換金売りによって相場は大きく水準を切り下げることとなった。昨晩発表された米在庫統計は原油ブル、石油製品ベアな内容であったが在庫統計の悪化に関しては「そもそも悪いもの」と見る向きが多かったようで、むしろ統計発表後には小幅上昇している。昨晩の下げは後場寄りからの下げであり、こうした下落は通常であればファンドの解約や運用商品の解約の際に発生しやすく、詳細は分からないものの昨晩の下落はむしろこちらの要因であったのではないかと推察される。WTIイールドカーブは期近の下げ幅が大きくベアスティープニング。通常であればこれぐらいのコンタンゴ幅になれば期先に売りが入ってもおかしくないのだが金融市場の流動性の著しい低下の影響で、こうした裁定取引が機能しにくくなっているようだ。少なくともこの状態は12月末の決算越えまでは続く可能性が高い。Brentも期近の下げ幅が大きい。直近限月の騰落率はWTIは▲11.4%、Brentは▲11.4%。
 石油製品も下落。RBOBもNY後場以降、水準を切り下げる展開となった。そもそも米在庫統計で在庫水準が増加していることも地合いを悪化させたようである。目先、10日移動平均線が上値として意識され頭重い推移が続いている。イールドカーブは期近の下げ幅が小さいが略全ゾーンパラレルに低下している。直近限月の騰落率は▲8.7%。ヒーティングオイルは大幅に下落。夜間の米在庫統計でFSCの大幅な上昇が確認された上、原油価格がNY時間の午後に下落したことが地合いを大きく悪化させた。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。直近限月の騰落率は▲12.0%。ICEガスオイルも下落。イールドカーブは期近の下げ幅が大きい。直近限月の騰落率は▲3.6%。

(ひとりごと)
イスがリクライニングできない。
動かしがたい事実。
全くゆっくり出来ない。
と、思っていたら、酒が入っていて「眠い」といってたカミさんが、なんとイスを3つ使って睡眠を始めた。
しかも、軽くラブラブであるが、私のひざの上に頭を乗せて、寝始めた。

「愛いヤツよ」

と、なぜか思ってしまった自分が馬鹿であった。
カミさんはぴくりとも動かないほど熟睡している。
まぁ、良いか。
映画でも観て何とかこの場をやり過ごそう、と思った瞬間、前の席が傾き始めた。
じっと見ていると、どんどん傾いてくる。

まだ止まらない、止まらない。

挙句、前の人の顔が、頭が完全に見えるぐらい傾いてきた。

「ああ、前の人はハゲなんだ」
なんて思っている場合ではない。傾きすぎである。
前のフランス人は相当太っていて、リクライニングシートが壊れてしまったのだ。
フランス人は満足げにいびきをかいている。
そりゃそうですよ。いつもよりも多く傾いているんですから。

海老一染之助、染太郎だったら、

「いつもより大きく傾いています。わーい」

とかいって大喜びしちゃうような状況なのだ。
当然、CAにクレーム。

「何とかしてくれ」

といってみた。フランス語でCAとハゲおじさんが話している。熟睡しているところを起こされたので、おじさん相当機嫌が悪い。

「ミスター申し訳ない。イスは壊れている。だが、満席だ。我慢してくれ」

なにッ!?
でも、それしかないんだよね。
分かってたんですよね。
でも、俺って優しい。カミさんを起こさなかったんだから(おい、カミさん、ちゃんと感謝しろよな)。
仕方ない。映画でも観るか。
(続く)