ファンダメンタルズへの回帰続く

【商品市況概況】

「ファンダメンタルズへの回帰続く」

昨日の商品相場はまちまち。日本の震災、リビア情勢、欧州の財政問題と市場の波乱材料が多く存在する中、基本的には上値を追う展開となったものの商品間では動きはまちまちだった。


エネルギー相場はしっかり。米国を中心とした多国籍軍カダフィ大佐の地上軍に対し攻撃強化を指示する準備を進めており、リビアの供給障害が長期化する懸念が強まっていることが引き続き材料視された。


非鉄金属相場は総じて上昇。震災の影響で金融市場の機能不全が懸念されていたが、徐々に安定を取り戻し、ファンダメンタルズに回帰出来る環境が整いつつあることから、安値拾いの買いが入った。最大需要国中国の金融引き締めの影響で徐々に水準が切り下がってはいるものの、新興国のインフラ整備目的の需要は堅調である。


貴金属相場は総じて上昇。金融市場システムの機能が回復したことから、リビア情勢の緊迫化に加え長引く欧州の債務危機から質への逃避としての需要が高まった。


穀物相場は軟調福島原発の影響で日本の飼料需要が減少するとの懸念が広がっていることが弱材料視された。




「震災の影響による世界景気悪化?」

日本の震災が直接的に世界景気に影響を与える可能性は低いと見積もられている。これは世界GDPに占める日本のシェア、被災地の日本のGDPへの寄与度を元にした意見である。


しかし、ここにきて日本製品の供給途絶に伴う、グローバル生産ラインの停止の影響は小さくない可能性が指摘され始めている。日本の製造業も生産ラインの復旧を急いでいるため、早晩この問題は解決されることになると期待しているが、「連鎖的な悪影響」のリスクが意識されたと言えるのではないだろうか。


今回の震災の影響で、おそらく日本は当面、化石燃料への依存度を高めざるを得ない。しかし、化石燃料への依存度が高まるのは日本だけに留まる話ではなさそうである。ドイツは旧式の原子力発電設備の延長を凍結、スイスでも国民投票原子力発電の利用に対してネガティブな見通しが強まっているためだ。


現在の世界の発電における原子力の寄与度を考えると全ての原子力発電所を停止し、火力発電にシフトさせるのは不可能であるが、当面、こうした化石燃料へのシフトが起きると考えておいた方が良いだろう。


過去の景気後退局面を見ると、その直前に原油価格が高騰しているケースが多い。直近でもリーマンショック前に原油価格は150ドルに迫った。今回の震災の影響で「化石燃料ベース需要」が増加した場合、100ドル超えの原油価格が定着する可能性も否めない。多くの資源を海外からの輸入に頼る日本からすると、少なくともその価格の変動リスクを制御していくことを考えなければならないのではないだろうか。


コモディティインデックス】
MRA CVIX(MRAコモディティ恐怖指数):32.27(▲0.15)
MRA RMI(MRAレアメタルインデックス):322.45(+0.00)