欧州不安が再び俎上に

【商品市況概況】

「欧州不安が再び俎上に」

昨日の商品相場は高値圏ではあるが、軟調な推移となった。震災の影響がとりあえず市場価格に織り込まれる中、再び欧州の財政不安問題がクローズアップされたこと、米経済統計が再び好調で、利上げに向けて前向きな発言が各連銀総裁から出るなど、ドル高が進行したため、週末をはさみドル高を映じたポジション調整の売りが入ったためと考えられる。


エネルギーは小幅下落。リビア問題の長期化懸念、シリアでも政府と反政府の衝突が伝えられるなど、価格の押し上げ材料が多いが「新規材料」というわけでもないことから欧州問題のほうが材料視されたようだ。


ベースメタルは高安まちまち。最大需要国中国の需要は堅調であるが、政策金利引き上げへの懸念は根強くもみ合いとなった。


貴金属は欧州問題は現時点で入手できる材料は織り込み済みであり、四半期決算期末ということもあってドル高を材料にした売りで小幅安く引けている。穀物も、テキサス・カンザスの干ばつへの懸念から上昇していたが、週末をはさんでポジション調整の売りに押されたようだ。


市場の売買材料は極めて多いが、「新規材料」と言える材料がないため、結果的に高値でのもみ合いが継続している、という印象である。"



「価格の乱高下に備える」

東北関東大震災の影響で、関東地区は節電を余儀なくされている。今まで関東地区の電力供給は、原子力発電に依存する部分が大きかったためである。現在の原発の状況をみるととても原子力発電所を再稼働できるような状況にないため、この状況は1〜2年程度続くことが予想される。関東地区は節電・節約志向が強まり、消費マインドも低下していく可能性が出てきた。このまま日本全体が「自粛モード」に入ると、回復基調にあった日本景気の回復が腰折れる可能性もある、といえるだろう。


この局面で自粛をするのは当然だし、そうすべきだと思う。しかし、他国は日本に震災の支援をしつつも、この機会に日本のシェアを奪いに来る可能性はゼロではない。もし本当にシェアを取られてしまったら、それこそ大変な事態となる。そうなった場合、被災地の復興にも影響がでる可能性も否定できない。今回の震災で大きな被害が出ていない西日本経済(もちろん東北地方に工場を保有している企業の方々は、別の話です)の活性化で、なんとかそうした追加的な事態発生を回避していくことが期待される。


冷静になって考えると、震災もそうであるが、中東情勢、欧州不安の再燃等、今後の市場商品価格を乱高下させる材料が多い。欧州問題や中東問題は、震災が発生する前の状態からさらに悪化しているともいえる。しかし、今のところは市場商品価格は当局介入の効果等もあって安定しているので、価格に関してはまだ戦略を立案できる余地がある。今のうちにリスクマネジメントの体制作りを始めておくべきではないだろうか。


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コモディティインデックス】
MRA CVIX(MRAコモディティ恐怖指数):31.9(▲0.49)
MRA RMI(MRAレアメタルインデックス):321.35(+1.11)