天然ガス価格

【商品市況概況】

「新規材料乏しく、高値でのもみ合い継続」

昨日の商品相場は高値でのもみ合いとなった。中東情勢の緊迫は継続しておりエネルギー価格を高どまらせる一方、(もとから予定されていたことであるが)PIIGS諸国の財政問題が市場の売り材料となる中、強弱材料が混在する中で方向感に乏しい展開となった。


エネルギー相場は高値でのもみ合いとなった。リビアへの多国籍軍の攻撃は続いており、更にシリア等でも反政府勢力と政府の衝突が伝えられる等、産油国原油生産を安定的に続けられるか否かに注目が集まる中、欧州の財政不安や米経済統計の悪化等の売り材料が噴出したため、方向感なくもみ合った。


ベーメタルも同様にもみ合い。中国のPMIが前月から改善したことやユーロ高に伴うドル安は支援材料となったものの、米耐久財受注の悪化等の影響で上値は抑えられている。


貴金属も高安まちまち。中東情勢不安や欧州財政不安を材料に金は史上最高値を更新したが、さすがにこの水準では利益確定売りが入り下落。銀は株高もあって37ドル台を維持、プラチナパラジウムは高値でのもみ合いとなった。


穀物は大幅に上昇。一大生産地、米テキサスでの干ばつが伝えられており、カンザス等への拡大も懸念されており、供給に対する懸念が強まったことが材料となった。



天然ガス価格」

東北関東大震災の影響で、火力発電向けの日本の天然ガス需要が増加すると見られている。天然ガスを輸入するにあたり、物量が確保できるかという現物調達のリスクと、望む価格帯で購入できるのかという価格リスク、という2つのリスクが存在する。通常モノの価格は投機資金等も含めた需給で決定されるが、実は日本に輸入されている天然ガスの価格は純粋な需給では決定されていない。これは大陸欧州も同じなのだが、天然ガスの価格は原油や石油製品価格を基準に決定されているためだ(日本の天然ガスはその多くが原油価格ベースで決定されている)。


現時点において世界の天然ガス需給は供給超の状態となっている。これは米国におけるシェールガス革命で米国の輸入が減少していること等にも影響を受けたものだ。しかし、上記のとおり原油価格ベースで価格が決定されているため、供給超の状態であるにも関わらず、リビア情勢の悪化等の影響で原油価格が上昇しているため、結果的にLNGの価格は原油価格に連れる形で上昇してしまっている。輸送の問題があるため日米欧の天然ガス価格を同じ尺度で比較するのは正確ではないが、日欧の天然ガス価格は米国よりも5割程度高い状態だ(ドル建、MMBTuベースで比較)。安定調達のために導入されている価格決定メカニズムであるが、一長一短といったところか。


天然ガスの安定的な調達のためには、数量確保と同時に価格リスクをコントロールしていく仕組み作りをする必要があるのではないだろうか。

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コモディティインデックス】
MRA CVIX(MRAコモディティ恐怖指数):32.39(+0.13)
MRA RMI(MRAレアメタルインデックス):322.45(+0.00)