野生の油

(経済関連ニュース)
・1月独生産者物価指数 前年比+3.3%(前月+2.5%)、市場予想+2.8%。予想を大きく上回る伸び。
・米MBA住宅ローン申請指数 前週比▲22.6%の822.8、借換指数前週比▲27.9%の3,533.8、購入指数 前週比▲11.5%の357.6。
・1月米消費者物価指数 前月比+0.4%(前月改定+0.4%)、市場予想+0.3。コア指数 前月比+0.3%(前月改定+0.2%)、市場予想+0.2%。
・1月米住宅着工 前月比+0.8%の101.2万戸(前月改定100.4万戸(速報比▲0.2万戸))、市場予想101万戸。
FOMC議事録要旨)
・利下げ後も成長下振れリスクが残存している。比較的低い金利をある程度の期間続ける必要がある。その一方でインフレ統計は我々の失望を誘う内容だ。2008年のGDP成長見通しを前回の1.8〜2.5%から1.3〜2.0%に引き下げる。総合インフレ率見通しは1.8〜2.1%を2.1〜2.4%に、コアを1.7〜1.9%から2.0〜2.2%に引き上げた」
日本株後場に急落。プライベートエクイティファンドのKKRフィナンシャルグループが、CPの償還を延期したことから信用不安が高まったことが材料視されたようだ。米株は
反発。ハイテク株や原油上昇に伴いエネルギー関連株が物色された。また、ヘッジファンドを運営するウィリアム・アックマン氏がモノライン会社の再編計画を支持したことが材料視されたようだ。その後発表されたFOMC議事録では低金利政策を支持する内容が記載されていたことから上げ幅を拡大した。
・ドルは対円・ユーロで上昇。FOMCは低金利を持続する見通しであるものの、インフレ指標の悪化で利上げも意識せざるを得ない状況にあることから、金利差拡大に着目した買いが入った様子。

穀物市場サマリー)
・大豆は小幅高。ここ数日大幅に上昇していたことから現状レベルでもみあっていたが、小麦の急落に連れる形で水準を切り下げ、前日比小幅高で引けた。
・トウモロコシは続伸。エネルギー価小麦や大豆の下落で地合いはよくなかったものの、原油価格の高騰が相場を下支えした。
・小麦は急落。取引序盤は堅調な推移であったが、後場にかけてポジション調整の売りに押された。


非鉄金属関連ニュース)
・貴金属はまちまち。金は原油価格の上昇や米CPIの上昇を受けたインフレヘッジの買いが入った。米CPI発表直後から上昇を続け、史上最高値を更新した。銀も大幅上昇。
・プラチナは下落。取引序盤は連日の史上最高値更新とドル高の進行を受けた利食い売りに押されて大幅に下落したが、南アの状況に大きな改善が見られないことなどが投機の買いを誘い、下げ幅を削る展開となった。パラジウムも同様の相場展開となった。

(エネルギー関連ニュース)
・米在庫統計市場予想 原油+2.3MB、ガソリン0.5MB、ディスティレート▲2.0MB、稼働率±0.0%

(商品市況概況)
「堅調」
 昨日の商品相場は堅調に推移した。南アの電力障害に端を発する供給懸念で、金・プラチナといった貴金属、アルミや銅といった非鉄金属が物色される中、「相対的な」割安感が出てきたエネルギーも結果的に物色され、株式市場低迷時の資金の退避場所としての商品市場の重要性が高まってきている状況。昨日もコメントしたが、下のパフォーマンスのグラフにもあるように、市場商品の明暗がはっきりと出ている。株式は年初から軒並みマイナスである一方、貴金属>非鉄金属穀物>エネルギー>債券、の順に年初の水準を上回っている。結局のところ株式市場からの資金はこちらに退避していると考えてよさそうである。
 小職の懸念は商品価格の急騰が、下降局面にある米経済を直撃した際の大幅な景気失速懸念である。実際昨日のFOMCの議事録でも米経済の成長見通しが下方修正されている。世界経済ならびに商品市場は非常に重要な局面に差し掛かっていると見る。

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は下落した。中国の電力障害に端を発する供給懸念で相場が急騰していたため、一旦利食い売りに押されたためである。ただしNY時間に入ってからは米住宅着工が市場予想を上回ったことから引けにかけては下げ幅を削る展開となった。一方昨日もLME在庫は減少(最近はイタリア・ロッテルダムなど欧州の在庫減少も顕著)を続けている。キャンセルワラント率も23.5%に上昇している。LME在庫は▲2,725Mt減少、(FSCは2.6日)、(キャンセルワラント率は23.5%と上昇している(下グラフのオレンジ色の部分参照))。売買高は8,277枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期近が小幅低下し、ベアフラットニング。C-3(Cash vs 3M Fwd)は71?バックとバック幅を縮小した。
 昨日の亜鉛価格は下落した。新規材料がない中、一目均衡表の雲に上値をさえぎられ軟調な推移となっていたが、LME在庫の減少や銅価格の上昇を受けて下げ幅を削る展開となった。銅価格の上昇はファンダメンタルズもあるが、CTA等のショートスクィーズが相場を押し上げている側面も否めない(以前中国の劉容疑者事件の時と価格の上昇の感じが似ている)。但し亜鉛はファンダメンタルズが銅ほど強くはないため、水準は大きく変わっていない。LME在庫は▲575Mt減少、FSCは3.6日(キャンセルワラント率は4.5%)。売買高は3,445枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下。C-3は18?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の鉛価格は上昇した。前日引けと略同じレベルで寄り付いた後、LME在庫の増加もあって高値でもみ合っていたが、NY時間に入ってから銅の上昇もあり急騰した。精錬鉛の最大生産国である中国の供給停滞がファンダメンタルズを強くしている可能性が高い。主要なチャートポイントであった100日移動平均線一目均衡表の雲を上抜けしていることからチャート的にも上昇しやすい地合いに入っているといえる。LME在庫は+50Mt増加、(FSCは1.9日、キャンセルワラント率は10.7%ここ数週間でキャンセルワラント率は上昇している。)。売買高は2,860枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに上昇している。C-3は14?バックとバック幅を拡大した。
 昨日のアルミ価格は上昇した。南アの電力公社のアルミ精錬所向け電力供給停止報道を材料に供給懸念が台頭、LME在庫はロッテルダム、米国で大幅に増加しているが、韓国シンガポールといったアジア回りでの在庫減少は継続している。昨晩については夜間発表された米住宅着工が市場予想を上回る改善となったことが材料視された。また、株価低迷に伴う一時的な資金避難場所として流動性が高いアルミが選好されている側面も否めない事実である。正直上値の目処を立てにくい状況。LME在庫は+1,275Mt増加、引き続きシンガポール・韓国で大幅に減少している。(FSCは8.3日)。(キャンセルワラント率は3.3%)。売買高は12,436枚。イールドカーブは期近を中心に全ゾーン上昇。C-3は36?コンタンゴと前日と変わらず。
 昨日のニッケル価格は下落した。特段新規材料がない中、前日のNY株下落やドル高の進行、LME在庫の増加を受けて水準を切り下げた。しかしNY時間に入って株が堅調に推移したことや住宅着工が市場予想を上回ったことなどが材料視され、下げ幅を削る展開となった。LME在庫の絶対水準が高いことやニッケルが流動性を重視するファンドの積極的な投資対象となりにくいことから上げ幅は限定されている。LME在庫は+186Mt増加、(FSCは11.0日)、キャンセルワラント率は2.7%。売買高は744枚。イールドカーブの形状は期近が小幅下落、期先が小幅上昇。C-3は222?コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日の錫価格は上昇した。最大生産国中国の生産が滞っている状況が相場を堅調にさせていること(LME在庫はシンガポール・マレーシアで減少)が材料。NY時間の株価上昇も支援材料となり、10日移動平均線をサポートに堅調な推移となった。LME在庫は▲140Mt減少、(FSCは10.5日)、キャンセルワラント率は6.73%。売買高は254枚。イールドカーブは全ゾーンパラレルに上昇している。C-3は75?コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。

(エネルギー)
 昨日の原油価格は上昇し、最高値を更新した。株式のパフォーマンスが悪化する中、資金の退避場所として金等の流動性が高い商品が積極的に物色されてきたが、結果、同じカテゴリー内の原油に割安感が出てきたため循環物色的に物色される流れが継続している。また、OPECの減産観測や、影響は小さいもののベネズエラの対米輸出停止、Luke Oilの独向け輸出停止といった材料も買いを誘っている。原油はNY時間に入ってから上げ足を極端に速め、一次101?をトライする展開となった。イールドカーブの形状は略変わらず。Brentも同様にNY時間に入ってから上げ足を速めたが、前日比小幅マイナスで引けた。イールドカーブは期近が小幅低下、期先が小幅上昇している。直近限月の騰落率はWTIが+0.7%、Brentは▲0.1%。
 石油製品は下落。RBOBも取引序盤は利食い売りに押されて下落していたが、NY時間に入ってからのファンド筋と思われる買いで原油価格が上昇したことを受け、同様に上昇し下げ幅を削った。イールドカーブは期近が小幅低下、期先が小幅上昇。直近限月の騰落率は▲0.7%。ヒーティングオイルも小幅安。こちらも軟調に推移していたが、NY時間に入って上昇し下げ幅を削る展開。イールドカーブは全ゾーン小幅低下。直近限月の騰落率は▲0.2%。ガスオイルは上昇。イールドカーブは期先を中心に全ゾーン上昇。直近限月の騰落率は+0.6%。


(ひとりごと)
この前のお休みに、ぼんやりテレビを見ていたら

「この言葉の意味を知っていますか?」

というのをやっていた。
大体こういう番組を見ると、日本の将来に関して非常に不安を覚えるのだが
テレビ局的には面白い発言をしたもののみピックアップするので、そこまで心配することもないんだろう。

その中で挙げられていた言葉に

春闘

というのがあった。
言わずもがなであるが、労働組合が共同して労働環境の改善を交渉する全国的な交渉のことである。
しかし、テレビに出ていた女の子は以下のように答えていた

「花粉症対策」


Σ( ̄ロ ̄lll) ええッ!!
まさかそんな答えが返ってくるとは...
春に起こるいろいろなことと戦うこと、と彼女は要約していたが、そうでしたっけ?

そうなると、新入社員が先輩の洗礼を受けるのも春闘だし
花見の場所取りも春闘だし
大相撲春場所春闘だし

まぁ、この雑感のコラムでもよく書いていますが、言葉を知らない一方で
結構若者の発想は柔軟だな、と思いますわ。

こういう人たちに「原油」って何?
って聞いたらなんて答えるんだろう。

「野生で取れる、サラダ油。あ、胡麻油のこと?」

とか言うんでしょうか。
投機筋も胡麻油は買わんでしょう。多分。