江戸の仇を長崎で討つ

(商品市況概況)
「時計が逆に回りだす」
 昨日のコモディティ市場は軒並み大幅に下落した。ハリケーングスタフの被害が最小限に留まったことが嫌気され、ロング筋の手仕舞いを誘い、エネルギー価格が大幅に下落、長らく維持してきた200日移動平均線のサポートラインを割り込んだことが相場の地合いを悪化させたためである。同時に好景気の一翼を担っていた欧州経済の悪化観測も台頭、余り国際経済に影響はないと見られるが福田首相の退陣等のマイナス材料が重なり、以前の「世界全体のプラスのモメンタム」が逆に回り始めている印象を受ける。コモディティ価格の上昇は潜在成長率を上回る経済成長が新興国を中心に継続するという前提で発生しているため、マイナスのスパイラルに入った場合にはこの限りではない。
 今後は特に、経済統計に注意を払っていく必要性が高まってきたといえよう。

(経済関連ニュース)
・7月ユーロ圏PPI 前年比+9%(前月改定 +8%)、市場予想+9.1%。
・7月米建設支出 前月比▲0.6%(前月改定+0.3%(速報比+0.7%))、市場予想▲0.4%。
・8月米ISM製造業景況指数 49.9(前月改定50.0)、市場予想50.0。

・ドルは対ユーロで大幅に上昇。欧州景気の悪化懸念に焦点が当たる中、夜間に発表された米経済統計は不冴えな内容であったものの、最悪期は脱したとの見方が強く結果的にドルの買い材料となった。円は対ドルで売られた。福田総理大臣の辞任問題で国内の政局が更に混迷するとの見方が強まったため。ドルが今年の秋口から反転上昇すると予想していた弊社の予想通りの展開となっている(→コモディティの売り材料に)。
日本株は大幅に下落。福田総理大臣の辞意表明を受けてただでさえ混迷している日本の政局が混迷するであろうとの見方から。金融や輸出関連など幅広く売られた。米国株は小幅下落。原油価格の下落を受けて自動車等が買われたが、資源関連株が売られたので相殺されて略トンの形に。

穀物市場サマリー)
・大豆価格は下落。原油価格の下落を受けてコモディティ全体が売られる中、水準を切り下げる動きとなった。結果10日移動平均線を割り込む展開となった。イールドカーブは期近を中心に低下している。
"・トウモロコシ価格も下落。グスタフの被害が最小限に留まったことを受けた原油価格の下落につれる形でトウモロコシも下落した。また、ハリケーンに伴う降雨により土壌改善が進むとの期待も相場を押し下げた。イールドカーブは全ゾーンパラレルに低下している。
"
・小麦価格は大幅に下落。収穫量の増加観測が台頭する中、エネルギー価格が下落したことや、目先の下値であった7.46㌦を下回ったことがテクニカルな売りを誘った。イールドカーブは期近の下げが大きい。

非鉄金属関連ニュース)
・NY金は大幅に下落。欧州経済統計の悪化を受けたドル高の進行や、ハリケーングスタフの被害が事前予想をはるかに下回る小規模なものであったことから、エネルギーに手仕舞い売りが入ったことなどに押された。この結果、あっさりと10日移動平均線を割り込み金は8月15日の安値780㌦を試す展開となったが、引けに掛けて原油やユーロに買い戻しが入ったことから下げ幅を削った。
 足許、ユーロ圏の景気が鈍化し始めていることに伴いドルの行き過ぎた下落が修正され始めているため、金は軟調な推移となっている。同時に地政学的リスクの高まりや、米景気の後退懸念に伴う恒常的にドルの水準が安いことといった材料を受けて安全資産であり、市場規模のうちの半分近くが投機資金である金は、質への逃避で物色されることから大幅な下落とはなっていない。同時に金価格の上昇が宝飾品需要を落ち込ませている可能性が高く上値を追いきれないのも事実であろう。よって、ドルの行き過ぎた下落が修正される局面に入っていることも考慮し、弊社は金価格の見通しをニュートラルに引き下げている。これは今までこのコラムで主張していたように「当面高値で安定推移」との見方と整合するものである。尚、金価格とユーロドルの一次回帰分析の結果は、金価格=1,065.3×ユーロ-738.51となっており、現在の価格は略この一次回帰線上にある。
 NY銀も大幅に下落し、10に妃移動平均線を大きく割り込んだ。金と同様、8月15日の安値12.20㌦をトライする動きとなっている。

・NYプラチナは暴落。そもそも月曜日の休場の際に、ドル高、原油安が進んでいたことからこの間の相場全体の下げに追随する形となった。結果、10日移動平均線を割り込み8月19日の安値をトライする展開となっている。
 中期的な見通しについてプラチナは、堅調な推移になると考えていたが、自動車向け需要が一時的にでも減退すると見られることから今までの強気姿勢は維持できないと考えている。世界経済への影響が大きい米景気の悪化観測の高まり、GM、フォードといった自動車産業の景況感悪化に反映される自動車販売の減少に伴う触媒需要の減少観測を受け、このコラムで指摘してきた需要減少のリスク要因の影響が大きくなってきている状況。また、ドルがユーロ圏経済の鈍化懸念を材料にして反転上昇していることもプラチナ価格の下げ要因となりえる。
 価格上昇に対するその他のリスクシナリオは、プラチナ価格が上昇し代替品としてパラジウムが代用品として利用されるリスクである。今のところディーゼル車向けに用いられているパラジウムは全体の10%程度であり、これは将来的には25%程度まで上昇すると考えている。しかしながらここまで価格が低下してくるとその動きも鈍化することとなろう。また地上在庫の多さがこうした不足分を補うと見られることから、結局のところ生産不足分は相殺されニュートラルになる可能性があることも相場の下押し材料となりえよう。しかしながらやはり南アの生産状態が電力価格の上昇やその他のコストの上昇等で不安定であることから、アップサイドのリスクは意識せざるを得ないだろう。しかしそのリスクは以前に比して格段に低下していると考える。
 NYパラジウムも大幅に下落。そもそもの景気悪化懸念が深刻で、プラチナの下げに追随した。しかし絶対価格水準が低いことから下げ幅も限定されている。
 今後パラジウムの価格は軟調に推移すると考える。プラチナ価格が自動車向け需要の減少観測とドル高の進行で下落しているため、代替品として需要が減少すると見られるためだ。また、非常に多い地上在庫(弊社見積もりではチューリッヒに8百万オンス、ロシアに10百万オンスの地上在庫があると見ている)が、価格の上限を押さえることとなろう。

(エネルギー関連ニュース)
・ハリケーン「グスタフ」、ルイジアナ州に上陸も勢力を弱めメキシコ湾の石油設備には被害を及ぼさず。
・イラン ハティビOPEC理事「生産枠遵守のため、生産を削減するよう要請する可能性がある」

(非鉄金属)
 昨日の銅価格は下落した。原油価格の大幅下落と、ドルの大幅上昇を受けて銅も下値を試す展開となり、昨晩は8月12日の安値である7,120㌦を試す動きとなった。世界景気の悪化、特に今まで好調であった欧州景気の悪化懸念が急速に台頭し始めていることが、相場の地合いを悪化させている。需要要因で価格が下落するという経済にとって好ましくない形での下落が続いているが、この動きはしばらく続くと見られる。しかしながら引き続きコンセントレートの供給懸念は根強く、中国の固定資産投資や鉱工業生産の水準の高さを鑑みれば下値は限定されよう。7,000㌦を割り込むまでの下落にはならないだろう。LME在庫は+6,075Mt増加、(FSCは3.4日)、(キャンセルワラント率は5.9%)。売買高は36,862枚(※現時点で確認できる前日の3Mの出来高)。イールドカーブは期先の下げ幅が大きく、ベアスティープニングしている。C-3(Cash vs 3M Fwd)は34㌦バックとバック幅を拡大した。
 昨日の亜鉛価格は前日比変わらずであった。取引序盤は原油の下げやドル高の進行を受けて10日移動平均線を割り込み、下値を探る動きとなったが、LME在庫のシンガポールでの大幅減少を好感した買いが入り下げ幅を削った。亜鉛の需要は強くないが、大生産国であるはずの中国の輸入が前年比で増加傾向を辿っており、生産調整が継続する可能性があることから底堅い推移が続いている。LME在庫は▲1,425Mt減少、FSCは4.8日(キャンセルワラント率は3.4%)。売買高は10,691枚。イールドカーブは期先が小幅上昇している。C-3は19㌦コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日の鉛価格は下落した。他のコモディティと同様、原油価格の下落、ドル高の進行を受けて取引序盤は大きく水準を削る動きとなったが、LME在庫がシンガポールで減少したこともあって、下げ幅を削る展開となった。中国からの精錬鉛のアウトフローは明確に減少し始めており、7月の統計ではとうとう中国は精錬鉛の純輸入国に転じてしまったことなどが相場の下支え材料となっている。LME在庫は▲725Mt減少、(FSCは3.3日、キャンセルワラント率は15.7%。)。売買高は3,295枚。イールドカーブは期近が下落し、ベアフラットニングしている。C-3は14㌦コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日のアルミ価格は下落した。原油価格が大幅に調整したことや、ドルが再び強含んだことから下値を探る動きとなった。このコラムでは2,600㌦程度が現在のコストベースであると考えているが、マーケットのセンチメント的に一時このレベルを試す可能性はあると考えている。しかしながら将来の中国からのアウトフローの明確な減少懸念もあって、やはり2,800㌦を下回るレベルでは安値拾いの買いが入りしっかりするとの印象。LME在庫は▲425Mt減少、(FSCは10.2日)。(キャンセルワラント率は1.9%)。売買高は28,445枚。イールドカーブは期先の下げ幅が大きく、ベアフラットニング。C-3は51㌦コンタンゴコンタンゴ幅を拡大した。
 昨日のニッケル価格は上昇した。他のひ非鉄金属と同様、原油安、ドル高の影響で水準を切り下げたが30日移動平均線に近づくレベルでは買い意欲も旺盛であり、引けにかけて反発、前日比小幅プラスで引けている。ニッケルに関しては引き続き堅調に推移するであろうとの弊社見通しを小職は支持するが、中国のステンレス需要が弱含み推移すると見られることに加えて、欧州景気が減速する可能性が高まってきたことからやはり上値は限られよう。LME在庫は+246Mt増加、(FSCは11.3日)、キャンセルワラント率は1.7%。売買高は3,589枚。イールドカーブは期先の上げ幅が大きく、とうとう全ゾーン略コンタンゴの状態に戻った。C-3は63㌦コンタンゴコンタンゴ幅を縮小した。
 昨日の錫価格は上昇した。この6営業日の間の下落が15%に達したことから、さすがに買い戻しが入った様子。原油価格の大幅な下落やドル高の進行が上値を重くした。引き続き、インドネシアや中国の生産輸出状況に改善が見られない中(インドネシアは悪化)、やはりファンダメンタルズを材料にしっかりとした推移が続くことになろう。LME在庫は▲20Mt減少、(FSCは5.6日)、キャンセルワラント率は3.83%。売買高は590枚。イールドカーブは期先を中心に全ゾーン上昇している。C-3は50㌦バックとバック幅を縮小した。

(エネルギー)
 昨日のNY原油は大幅に下落した。買い材料となっていたグスタフが急速に勢力を弱め、メキシコ湾の石油設備に被害を殆ど及ぼさなかったことや、欧州景気の悪化懸念を材料としたドル高の進行、欧州地区の需要減少が材料視された。また、ヘッジファンド(Ospraie)がこの数週間の価格の下落に耐えられず、一部のファンドプログラムをクローズしたとの報道もロング筋の手仕舞い売りを誘ったようだ。この結果一時WTIは10㌦超下落し、目先の重要なサポートラインであった200日移動平均線をとうとう割り込むに至った。しかしながら余りにも下げ幅が大きかったことから下値では消費者の買い意欲もきわめて旺盛であり、引けに掛けては買い戻しが優勢となり下げ幅を削った。足許米国はFSCを5年平均レベルに維持するオペレーションが持続しており、ハリケーンによる生産減少は端的に原油買い材料となりえるが、逆に何も被害を及ぼさなければ在庫は5年平均分は維持できてることから売られてしまう。イールドカーブは期近が大幅に下落し全ゾーンコンタンゴとなっている。Brentは期近が下落、期先が上昇している。直近限月の騰落率はWTIは▲5.5%、Brentは▲1.0%。尚、ルイジアナ州の製油所の再稼動には最大で10日程度かかる見込み。
 石油製品も大幅に下落。材料は原油と同様、ハリケーン被害が最小限に留まったこと。イールドカーブは略全ゾーンパラレルに低下している。直近限月の騰落率は▲11.2%。ヒーティングオイルも下落。イールドカーブは略全ゾーン下落した。直近限月の騰落率は▲3.7%。ICEガスオイルも下落。イールドカーブは期近の下げが大きい。直近限月の騰落率は▲0.8%。

(ひとりごと)
江戸の仇を長崎で討つ。

という言葉がある。
最近思うが、結婚前後の男と女はそんな関係である。
え?何かって?

いやですね。
ちょっと前にレストランを予約しようと思って、会社のアシスタントの女性と話していたんですけどね
男がレストラン選ぶのって、大変なんですよね。実は。

だって、デートしていて「何が食べたい?」って聞くと、女の子は十中八九間違いなく

「何でもいい。美味しいものなら」

というのだ。
せめてジャンルぐらい絞って欲しいと思うんですけど。
だが、ここで男として、「何でもいいんだな、じゃあいつもの来々軒のラーメンね」というわけには行かない。
付き合いの深さにもよるが、

「ここでいい店に連れて行かないと、店を知らないダメな人なのね」

とダメ人間の烙印を押されることへの不安な気持ちで一杯になり
頭を通常ありえないぐらいの速度で回転させねばならなくなるのだ。
もし、世界中の男が同時に女の子に「何でもいい、美味しいものなら」と言われ
店を選ぶために頭を回転させたとすると、もしその回転を何かの計算に使えるならば
スーパーコンピューターにも負けることはあるまい。

え?負けますか、そうですか。

それはさておき
ものすごく考えた後、選んだレストラン、例えば中華料理店を選ぶと、3人に1人の女性が

「えー中華?」

という。多分間違いなく。
だったら初めから中華は嫌だって言え。
で、やっとこさっとこ彼女の希望のレストランを選び、お店に入って注文し、一口したとたんに3人に1人の女性が

「この前行ったお店より、美味しくないね」

という。もう、どっか行け。
というやり取りをしつつ、愛をはぐくみ、結婚して生活を始めるわけだが
我が家の場合には料理はカミさんが作る。
朝方カミさんが私に聞く

「今日なに食べたい?」

...ね。
後はご想像にお任せしますわ。

(追記)
我が家のカミさんは、例えば「カレーが食べたい」って私がお願いして
ウキウキしながら家に帰ると
「ごめんねー、サバの塩焼きにしました」

って、そうするんだったら初めから聞くなッ!!

1枚も2枚も彼女は上手であった。